没落したご主人様とスーパーハイスペックメイド 作:カミアラエル
ユウジはアリシアの帰宅を喜んでいたが、彼女が次に持ってきた提案には驚きを隠せなかった。
「ご主人様、新しいお仕事です。」アリシアは一礼してから、ひとつの黒いブリーフケースをテーブルの上に置いた。
ブリーフケースを開くと、その中には製薬企業の社章が入った名刺、契約書、そして社長のポートレート写真などが入っていた。
「これは…?」ユウジが驚きの声を上げると、アリシアは冷静に説明を始めた。
「ご主人様、これは国内でトップクラスの製薬企業の社長の席です。現在、その企業は経営難で大きな変革を求めています。私のネットワークを使って、ご主人様にそのポジションを手に入れるチャンスを作りました。」
ユウジはしばらくその情報を消化するのに時間がかかった。「だけど、なぜそんな大きな企業の社長に俺を?」
アリシアは微笑んで答えた。「ご主人様は、過去の経験や私との出会いを通して、壮絶な経験を得てきました。その経験や知識、そして人の上に立つリーダーシップは、この製薬企業に必要なものです。」
ユウジはしばらく考え込んだ。確かに、彼はこれまでの人生で数々の困難を乗り越えてきた。しかし、製薬企業の社長というのは予想外だった。
「よし、いっちょやってみるか。」ユウジは決意を固めてアリシアに答えた。
会議室は緊張感に包まれていた。大型のテーブルの周りには役員たちが座っており、ユウジはその中央に座っていた。アリシアは一歩後ろ、ユウジの背後に立って、彼を見守っていた。
会議の内容は、これからの経営方針や新製品の開発についてだった。しかし、役員の中には、ユウジが新しく社長に就任したことに疑問を持っている者も少なくなかった。
会議が進む中、アリシアは一人ひとりの役員の態度や言葉をチェックしていた。彼らの中には、ユウジの提案や意見に公然と反対する者もいた。そんな役員たちの名前をメモに取りながら、アリシアはその後の行動計画を考えていた。
会議が一段落した際、アリシアはタブレットを手に取り、会議に出席していた役員たちの名簿をチェックし始めた。彼女の目は冷徹で、彼女が見ているデータはただの名簿ではなく、それぞれの役員の弱点や過去のスキャンダル、秘密の情報が詳細に記載されていた。
アリシアは特に問題となる役員たちの名前に赤いマーカーで印を付けた。そのリストは彼女の「特別なリスト」の中に保存された。
会議が終了すると、アリシアはすぐに彼のそばに寄り添い、優しく言葉をかけた。
「いくつかの役員が俺を受け入れていないみたいだ」ユウジは深くため息をついた。
「ご主人様、大変でしたね。これからも多くの困難が待っていることでしょう。ですがご安心を。私が全てのサポートをいたします」
ユウジは彼女に感謝の笑顔を向けた。「ありがとう、アリシア。君がいてくれるだけで、少し安心するよ。」
夜が深まる中、アリシアは製薬企業のビルの影で待機していた。彼女の瞳は冷徹で、持っているリストを確認しながら次のターゲットを探していた。そのリストには、会議でユウジを困らせた役員たちの名前が並んでいた。
1人目、財務部長の石田。彼は企業の不正を内緒にしていたことが内偵の情報により明らかになっていた。彼女は彼の自宅の近くで待ち伏せし、彼が帰宅する瞬間を狙った。静かに彼の背後に近づき、彼を気絶させ、後は彼の不正の証拠とともに彼を失踪させた。
2人目、開発部の副部長・松下。彼は過去に薬の不正試験を行っていたことをアリシアは知っていた。彼のオフィスに忍び込み、彼のコンピュータから不正の証拠を入手。そして彼を驚かせるような形でその証拠を彼の前に提示し、彼を脅迫。松下は企業を去ることになった。
3人目、人事部の部長・斉藤。彼女は内部情報を漏らしている疑惑があった。アリシアは彼女の秘密の会合の場所を突き止め、そこで彼女と直接対峙。彼女を縛り上げ情報の証拠を提示し、彼女もまた企業を去ることとなった。
アリシアはリストの名前を一人一人チェックしていき、すべてのターゲットを処理していった。彼女の行動は冷徹でありながらも、その背後にはユウジへの熱い想いがあった。
最後にすべての名前にチェックを入れたアリシアは、血のついたナイフの手入れをした後、ユウジのもとへと戻った。彼女の行動により、ユウジの前に立ちはだかる障害は一つひとつ取り除かれていった。
製薬企業のオフィスは、かつてのような活気を失っていた。ユウジが会社に到着すると、彼の姿を見つけた社員たちはすぐに目を逸らし、頭を下げる。彼の歩く先々で、囁きのような声が聞こえるが、それもすぐに静かになる。
エレベーターのドアが開くと、社員たちは急いで退散。ユウジが通る通路はまるで赤い絨毯が敷かれたように、誰一人として立ち入る者はいない。
会議室、カフェテリア、共有スペース。どこもユウジの存在を意識してか、社員たちは静かに行動する。以前よりも、彼に敬意を払う態度が顕著になっていた。