ARMORED CORE VI ハスラー・ワンになり真の最強[皆のトラウマ]となる 作:影後
ホワイト・グリントは多いのに!何故だ!
と、書いてみた。続くかは知らない
アーマードコア。
フロム・ソフトウェアから世に出された傑作ロボットゲームである。
人形戦闘兵器AC=[ARMORD CORE]を駆り戦う傭兵達の物語である。
ACの最大の特徴は、コックピットブロックを有する胴体部パーツ「コア」を中心に、すべてのパーツが規格化されており、自由に組み替えることができること。
パーツの組み換えによる高い汎用性と拡張性を持ち、理論上あらゆる戦場に対応できることから「戦術的な観点から見て最強の兵器」と評される。
ただし、汎用性が高いとはいえあくまでもハードウェアとして可能なだけであり、大幅に機体構成を変えればもちろん別物となるため、パイロットは相応の訓練を積んで乗りこなさなければならない。
しかし、しばしば現れるイレギュラーつまりプレイヤーはすぐに乗りこなす。
そんなプレイヤーのトラウマとなった機体がいる。
[ナインボール]初代ARMORD COREのボスであり、ARMORD CORE MASTER OF ARENA にてその正体が判明した同作品のAIであるハスラー・ワンもといレイヴンズ・ネスト戦闘AI[H-1]だと個人的に理解している。
そして、ARMORD CORE VIにおいてレイヴンズ・ネストは存在せず、あるのは傭兵支援システム[オールマインド]
だからこそ、それがこの世界にあるのが異常だった。
「……この世界で……お前を……」
その機体こそ[ナインボール]
「……この世界がゲームなら、画面の外の彼等に再び悪夢を与えるのも良いかもしれない。だが、それまでは」
その男に名前はない/既に捨てた。
強化人間ですらない/必要がない。
その男は、ただのルビコニアンの一人だ。
「ハスラー・ワン……そう名乗らせて貰おうか」
その男の目的、否計画は決まっている。
イレギュラーの排除である、この星を焼くもの。
この星に害を為す存在達の排除。
ハスラー・ワンは傭兵である。
5年前に急遽現れ、ルビコン3に巣食う敵を葬り始めた。
惑星封鎖機構、コーラルドラッグに侵されたドーザー、市民キャンプを襲撃する野盗。
傭兵でありながら、ただルビコン3という星を守る為に戦っている。
市民にとって、ルビコン解放戦線が政府なら
[ナインボール]はヒーローの様な存在であった。
「レイヴン、お前を排除する」
『ランク1、ナインボール!ハスラー!何故!!
何故レイヴンを』
「力を持ちすぎるものは、全てを壊す。貴様もその一人だ」
『違うわ!私達は同じルビコンの』
「意思もない、無意味な存在だ。
レイヴン………その名は自由意志の象徴等ではない。レイヴンとは……いや……これから死ぬお前に話すことではない」
肩の⑨のエンブレムが高速で視界から消えていく。FCSでも追いかけることの出来ない加速、レイヴンはそれを理解できない。
『何故、何故なのハスラー!』
オペレーターの悲痛な叫びすら、レイヴンには聞こえない。高速で迫るブレードがレイヴンのAC
[ナイトフォール]に傷を付ける。
「まだ、甘いか」
旧式ACでありながら、その動きは何よりも破壊に洗練された動きだ。
『レイヴン!回避を!!』
上空からのグレネード、二脚、見るからに中量のそれであるにも関わらず、[ナインボール]は
グレネードを[ナイトフォール]に降らせる。
「レイヴン、大丈夫か!」
「ハスラー・ワン、[ナインボール]だなんて」
『キング、シャルトルーズ』
[アスタークラウン]そして、[アンバーオックス]
がまるで仲間を守るように立ち塞がる。
ハスラー・ワンは理解しているここで殺すべきではない。
「……だが…お前は危険だ」
『レイヴン、脱出を!』
[ナイトフォール]がまるで紙のように斬り捨てられる。[アスタークラウン]も[アンバーオックス]もその動きを捉えれはしなかった。
「……一度は見逃してやる」
「待て!」
[アンバーオックス]から声が響く、女性の透き通る声が、怒気を妊み、[ナインボール]へと向けられる。
「……」
ナインボールはその場から立ち去る。
[アンバーオックス]も[アスタークラウン]も理解している、[ナイトフォール]は破壊され、レイヴンは脱出してはいるが何時、惑星封鎖機構が攻撃してくるかもわからない。
まだ、彼等の計画の第一段階にも進んでは居ないのだ。
〘ブランチ〙
止まり木を意味するその秘密組織のメンバーは上位ランカー2名と、実力ならば上位ランカーと同じであるレイヴンの3名からなる。
「レイヴン、ハスラー・ワンは敵になってしまった」
「……あの男はルビコニアンだ。この惑星が」
「でも、仲間を殺そうとする理由は」
レイヴンは理解している、1位であるランカー。
[ナインボール]を駆る存在、ハスラー・ワン。
実力はある、しかしその3人もハスラー・ワン
[ナインボール]は容易く撃破できるのだ。
「……計画は止めない。それがハスラー・ワン。[ナインボール]と敵対するとしても」
普段喋らないレイヴン、だからこそその言葉には説得力がある。
キング、シャルトルーズ、オペレーター、3人が頷き、そしてオペレーターへ視線を向ける。
「……私達はもう、後戻りは出来ない。もしかすると、今よりも酷い事になり得る」
「理解している、ブランチに入った時からな」
「……わかってるよ。ここは、私達にとっても大切な星だ」
ルビコニアンだからこそ、戻ってきた。
半世紀前に起こされたアイビスの火、彼等は一度ルビコン3外へと出た、しかし故郷を忘れる事はできなかったのだ。
「……ハスラー・ワン、彼奴は私等と違ってずっとこの星で生き、戦っていた」
「…彼奴はこの星の守護者だ」
ブランチとして、ハスラー・ワンは共に戦っていた。しかし、一つの計画が袂を分つ結果となる。
「行くわ……レイヴン、良いの?これを、」
「覚悟の上だ、ハスラーに追われるのも、封鎖機構に追われるのも……変わりない」
その日、独立傭兵レイヴンから全世界にとある情報が発信された。
ルビコン3にはコーラルが未だ、存在している。
ソレは、企業を、そして、新たな火種をルビコン3へと齎す原因となる。
「始まったか…レイヴン」
ハスラー・ワン、彼は理解している。
戦い続け、進化し続ける者達であると。
「惑星封鎖機構、お前達の存在は危険だ」
『データ照合……ハスラー・ワン』
『何故だ、我々は埋そ』
惑星封鎖機構のMTが破壊される。
パルスライフルから放たれた弾丸で、言葉を繋げることができずに死んでいく。
「………」
偵察部隊、または遠征部隊だったのだろうか。
HCも、LCも姿は無かった。
だが、彼等の持っていた箱にはびっしりと人の死体が詰められている。
「………埋葬してくれていたのか」
MTが戦闘ではなく、別の何かをしていたとは感じていた。箱の中には大量の死体、しかし、その死体の大半がコーラルドラッグによる中毒死だと理解できる、大人ではない子供ですらこの様に死んでいる。
「許してくれ…とは言わん。お前達が無用な事をしなければ……この星から人を出せば、死ななかったのだから」
惑星封鎖機構はルビコン3を、生き残った存在ごと封鎖した。
救助艇も、星外への脱出手段もなく、ただ立ち去れ、と告げるのみ。
逃げる手段のない市民にそんなのはできなかったのだ。
「………俺は、ハスラー・ワン」
ハスラー・ワンと名乗る前の記憶。
忘れたい過去、自分自身がいずれ来るイレギュラーに殺される立場なのだ。
「……おまえ達も埋めてはやる」
土を掘り返し、箱と共にMT達を埋めて行く。
墓標として武器を地面への突き立て、静かに立ち去る。殺した相手を覚えるほど、ハスラー・ワンは優しくはない。
しかし、殺したことを忘れるほどハスラー・ワンは狂ってはいない。
「……起こしたか、レイヴン」
それは発信された情報が[ナインボール]の画面に出たこと。
かの計画が行われた場合、即座に理解するために。
「……やはり、人間は愚かだ」
『データ照合AC[ナインボール]優先排除対象』
「……ターゲット確認………排除開始」
惑星封鎖機構の戦闘ヘリが空爆を開始する。
しかし、[ナインボール]は止まらない。
アサルトブーストからブレードを戦闘ヘリのコックピットへと突き立て、撃破する。
「まだ…終わらないか」
惑星封鎖機構の機体達、LC、HC、戦闘ヘリ。
ハスラー・ワン[ナインボール]を消すためだけに、送り込まれる刺客たち。
「……何故だ、何故……死にに来る」
『ハスラー・ワン……貴様は』
「何故だ、何故お前達は殺す」
『貴様のような独立傭兵が、偉そうに!』
迫るLC機体が[ナインボール]のブレードに斬り裂かれ、消えていく。
「……虚しい……お前達は」
6連射されるパルスライフルがまるで、理解しているようにLCやHC機体の行く先に放たれる。
機械のように、そこに人間の意思はない。
「まだだ」
戦闘ヘリから地面に大量の爆弾が落とされる。
回避するために跳べばそれはLCやHC機体のテリトリーだ。
狙っていたかのように優れた連携による射撃、そして、接近戦が繰り出される。
「……遅い」
しかし、終わらない。通常のACならば既にオーバーヒートしていてもおかしくない程のクイックブーストの連続使用、生身の人間であればその命はとうに尽きているはずのに。
『何なんだ……何なんだ……おまえはぁぁぁぁ』
最後まで[ナインボール]を撃破せんと戦っていたHCも、コックピットにパルスライフルを突き立てられ、落ちていく。
生きていない筈なのに、ハスラー・ワンはパルスライフルの引き金を引いた。
コックピットのみを破壊し、機体には大したダメージは無い。
ハスラー・ワンは端末から自身の知り合いへと連絡を取った。
「ミドル・フラットウェル」
『お前か……今回はどうした』
「ポイントxx-xxxにLCやHC、封鎖機構の戦闘ヘリを落とした。回収班を求める」
『了解した、済まない。お前には』
「……私はハスラー・ワン、ただの独立傭兵だ」
ミドル・フラットウェルは画面越しながら何処から哀しげな表情を浮かべながら、此方を見ていた。画面には決して顔は映らない。
ハスラー・ワンとなった時から、顔に意味はない。
『お前が戻る日を待っている、ハスラー・ワン』
「私に……居場所はない」
ハスラー・ワンはドーザー、戦利品漁りの底辺傭兵も仕留めていく。ACならばコアのみを破壊し、他の部品は再利用するのだ。
「ハスラー・ワン、此方ルビコン解放戦線資材回収班だ。まったく、派手にやったな」
「何時もの事だ、これからお前達の護衛に入る」
AC[ナインボール]とルビコン解放戦線の関係は厚い。ルビコニアンであるハスラー・ワンにとってルビコン解放戦線は政府であり、依頼主であるのだ。
「……感謝する、これだけあれば我々も」
「技術格差、それこそが敗因となりえる物だ。気にする必要はない、これも仕事のうちだ」
ハスラー・ワンもただで残骸を渡している訳では無い。ルビコン解放戦線の支援者であるエルカノとBAWSに此等の残骸を渡すことで解放戦線は情報量を手にする、その何%かを振り込まれているのだ。さらに、その護衛にはハスラー・ワンが付く、ハスラー・ワンを敵に回す者はルビコン3内に通常は居ない。
「…ハスラー・ワン、俺達はアンタに感謝してる。ルビコン解放戦線の仕事を優先してくれるし、こうして無償で俺達を守ってくれてる。イカれたドーザーや、野盗、俺達がカバーできなかった奴等をアンタが」
「急にどうした」
回収班の指揮官がそんな事を口にする。
当たり前のことなのだ、ハスラー・ワンは英雄になりたい訳では無い。
ただ、故郷の為に働きたかった。
[ナインボール]という力を得たことでルビコン3での自分の立ち位置が変わりはしたが、ルビコニアンという事実に変わりはない。
「何故、アンタは姿を見せない。アンタは、常にACの中だ。教えてくれ、アンタは」
「それを話す理由はない、俺への詮索はするな」
[ナインボール]は静かに回収班の隣を歩く。
⑨のエンブレムが硝煙と血に塗れ、赤と黒のツーカラーの装甲は泥に塗れている。
「ハスラー・ワン、すまない」
「気にするな、俺は……何者でもないのだから」
壁、ルビコン解放戦線最大の拠点。
そこへ物資は送られた。
「仕事は終わりだ」
「いつも通り、後で振り込んでおくよ」
[ナインボール]は消える、もうじき来る嵐に備え、自身の死期を理解するために。
「……来るか、イレギュラー」
ハスラー・ワンの言葉に答えるものは誰一人居ない。居るとすれば……この世界を作り出した神(フロム・ソフトウェア)だけである。