ARMORED CORE VI ハスラー・ワンになり真の最強[皆のトラウマ]となる 作:影後
〘BAWS第二工廠防衛〙
『ハスラー・ワン、ルビコン解放戦線からの依頼だ。
依頼の内容は我々ルビコン解放戦線が到着するまでBAWS第二工廠に訪れるすべての勢力の撃破だ。BAWS第二工廠には何かがある、我々はそれを調査する必要がある。だが、封鎖機構だけでなく謎の勢力が狙っている事がわかった。ハスラー・ワン、もう一度伝える。全ての勢力の撃破だ』
それはハスラー・ワンの知人であるあの男、ミドル・フラットウェルの声だ。窓口を担当するのはアーシルの筈だが、幹部が直接依頼する。
その緊急性と重要性がハスラー・ワンには理解できた。
ハスラー・ワンが[ナインボール]と共にBAWS第二工廠に向かった。
『こちら、独立傭兵ケイト・マークソン』
ハスラー・ワンは[ナインボール]のパルスライフルをケイトと名乗ったACに向けて放った。
『何を』
「排除対象を確認……撃破する」
『ハスラー・ワン!こちらはBAWS第二工廠の防衛を』
「私の依頼は第二工廠に近づく勢力の撃破だ。お前も排除する」
ハスラー・ワンの[ナインボール]は旧世代のACである。
しかし、眼の前の謎のACよりも機敏に動き、パルスライフルを当て続ける。
「……その武装、馬鹿げているな」
相手の右腕にあるその武装はハスラー・ワンから見れば呆れるほど、無様なものだ。プラズマライフルとレーザーライフルを”並列で接続した”というふざけた設計の兵器。高い攻撃力を持ってはいるだろう、2段チャージをしながらケイトは射撃をしてくる。プラズマ爆発は普通に当たれば大ダメージかつACはほぼ確定でスタッガーするだろう、しかし何故か眼の前のケイトはチャージでしか撃ってこない。
「……なめているのか」
『ハスラー・ワン、やめてください!』
レーザーオービットが飛んでくるが、ハスラー・ワン[ナインボール]は簡単に避ける。ハスラー・ワンとケイトの実力が違いすぎるのだ。
「……その動き、AIか?」
ハスラー・ワンはRADのチャティの様な何処か機械的な動きがある眼の前のACは無人機であると決めつけた。
つまりだ、BAWSなりルビコン解放戦線なりに持っていけば高値で売れるデータとなり、より戦力増強に繋がることだろう。
「…終わりだ」
ハスラー・ワンは[ナインボール]のフットペダルを踏みしめると、既存のACでは出せない加速を行う。
通常の強化人間ですら失神し、気絶する速度。
それをハスラー・ワンは容易く行って見せる。
『そんな………私が……こ…の』
胴体部から真っ二つに斬り落とし、コアの内部を確認する。
そこには誰も居ない、定められたコアの内臓があるだけだ。
「……コックピットには誰もいない。やはり無人機か」
ハスラー・ワンは機能停止した存在を見て考える。
敵の存在は理解している、なればどうするのが正解なのか。
「………」
ハスラー・ワンは[ナインボール]からハッキングウィルスを流した。
これを辿れば操作していた本体の居場所が理解できる、その筈だと。
そして、このウィルスは自己増殖し完全に排除するかハスラー・ワンが自壊させるまで、見えないカビの様に全てを蝕む存在だ。
『随分と……俺は面倒が嫌いなんだ』
ソレは惑星封鎖機構のエース。
ACを駆る男スティンガーAC[ヴィクセン]だった。
不意打ちのようにレーザーライフルを連射し、
『避けるな、俺は面倒が嫌いなんだ!』
バースト射撃を行いながらレーザーライフルが発射される。
[ナインボール]ハスラー・ワンは始めて危機感を覚えた。
ハスラー・ワンの動きを少なからず理解しているのだ、完全に避けられる筈の射撃を[ナインボール]は掠ってしまっている。
「脅威レベルを3へ、対象を排除する」
『ハスラー・ワン、お前は本当に面倒な奴だ』
パルスライフルも命中しているが、ハスラー・ワン[ナインボール]、
スティンガー[ヴィクセン]共に決定打を決められては居なかった。
『スティンガー大尉、後は我々が』
『……そうか、ならお前達がやれ』
スティンガーはそう言い残すとその場から飛び去った。
代わりに特務機体であるエクドロモイとカタクラフトが中心となり、LC機体、HC機体が隊列をなしている。
「目標、惑星封鎖機構。排除開始」
『なっ!当たらない……なんで!…相手はACなんだぞ!それも!型遅れの旧し』
ハスラー・ワンのレーザーブレードがLC機体を真っ二つに切り裂き、あたりに散らばっていく。
『カタフラフトならば』
カタフラフト、ハスラー・ワンはその機体を何度も倒してきた。
弱点、特性、その全てを周知している。
正面にブーストをし、そのままグレネードをカタフラフトのMT部に命中させる。本来ならACではそのような事はできないのだろう、しかし並のAC乗り以外なら、長い間戦場に居た者達なら容易くできる。
『カタフラフトが……一撃で』
『怯むな、数は此方が上だ。奴を……ハスラー・ワンを、[ナインボール]をここで落とすぞ!』
だが、所詮は有象無象である。
たとえそれが彼等にとっての上澄みであろうとも、『イレギュラー』で無ければハスラー・ワンを[ナインボール]を撃破するのは不可能なのだ。
〘ウォッチポイント襲撃〙
『これは… ある友人からの 私的な依頼だ。
「ウォッチポイント」と呼ばれる施設がある
地中に眠るコーラルの支脈を監視し、かつてはその流量制御も行っていた施設だ。お前には そこを襲撃してもらう。
目標は… 最奥にあるセンシングバルブの破壊。
当該施設は惑星封鎖機構のSGが警備に当たっている。
企業たちも表立っての手出しは 避けるだろう。
つまり この仕事は… 俺たちだけで 遂行しなければならない。
単機での夜間潜入となる 気を引き締めてかかれ』
これは運命の転換点、C4-621レイヴンは自身のAC[ローダー4]と共にウォッチポイントに降り立った。
『どういう事だ、何故……封鎖機構の部隊が壊滅している』
『見付けた、お前を……ハスラーの敵を』
『ナインボール?ハスラー・ワンの子飼いの女か!』
『お前はハスラーの脅威、ここで排除する』
621はその声の主を知っている、かつて共に戦ったラナ・ニールセンだ。
『621、彼女を援護しろ。相手はスッラだが今のお前なら倒せる』
621はアサルトブーストをふかし、[ナインボール]と[エンタングル]の間に入った。
『貴方はC4-621レイヴン。お久し振りですね』
『此方、ハンドラー・ウォルター。ラナ・ニールセンだな』
『えぇ、貴方がたも害虫に用がある様子。ならば、ここは共に眼の前の害虫を排除しましょうか』
『ちぃ……』
『621、未確認機体が』
ステルスの機体が背後から射撃を行ってくるか、[ナインボール]も[ローダー4]も見え透いた射撃には当たらない。
『あの雑魚の排除は頼みますよ、621。あと、レイヴンの名は止めるべきです。貴方はハウンドが相応しい』
『621、ラナ・ニールセンの言うとおりだ。お前は未確認機体の排除を優先しろ』
それはC4-621にとって簡単な相手だった。
[ナインボール]や[ロックスミス]といった怪物達との戦闘を経験し、強くなった彼女にとって無人機は所詮は木偶坊だ。
アラートがなる前に回避し、レールガンを撃ち返す。
スタッガーがとれた瞬間、レーザーブレードで破壊。
その行動はまさに工場の機械のように正確な流れ作業だ。
『流石だな、621。このままナインボールを援護しろ』
『ちぃ…ハスラー・ワンの子飼いめ』
『ナインボールから生きて帰った者は居ない!だから、お前は死ね!』
それはラナ・ニールセンの言葉だ。
ラナ・ニールセンにとって[ナインボール]は象徴である。
自分を救い、惑星封鎖機構を殲滅し、企業部隊を無慈悲に殺害する。
ハスラー・ワン自身は殺戮を楽しんでいるわけでもなければ、殲滅戦が好きな訳では無い。しかし、ラナ・ニールセンには常に変わらず一つの映像が浮かんでいる。
ルビコン解放戦線の基地が近いために家族は惑星封鎖機構に殺された。
燃え盛る街と壊されていく防衛のMT部隊。
最後、自身に銃口を向ける惑星封鎖機構のLC機体。
死を覚悟した瞬間だった。全てが消えた。赤い天使が現れたのだ。
敵である惑星封鎖機構を鏖殺し、生き残った者達を救出した。
「大丈夫か」
あの時の一言を忘れていない、そして誓った。
強くあると、そしてハスラー・ワンの名を貶す者を倒すと。
『排除する!』
そして、目の前の存在はハスラー・ワンを貶す存在だ。
殺さねばならない、ハスラー・ワンの為に。
『ラナ・ニールセン、回避しろ』
『感謝します、ハウンド。さぁ、殺しましょう。あの……紛い物を』