ARMORED CORE VI ハスラー・ワンになり真の最強[皆のトラウマ]となる 作:影後
『ハスラー・ワン
此方は、ルビコン解放戦線ミドル・フラットウェルだ。
今回、お前に依頼したい内容はコレだ』
[ナインボール]の画面に見覚えのある画像が浮かぶ。
ルビコン3が灰被りとなる以前、採石場として数多のルビコニアンが働いていた採掘場だ。
現在はアーキバスグループの部隊が占拠し、数多の軍備が整えられている場所でもある。
『アーキバスの連中はヒアルマー採掘場を中心とし、調査キャンプを設営した。どうやら採掘場にデータバンクを作り上げ、
コーラル集積反応に近付くための何かも手に入れた可能性がある』
フラットウェルは一息つくと、静かに話す。
『お前も会った事のあるだろう。
アーキバスに潜入中のスパイからの情報ではどうやら、
ベイラムもその情報を狙っているらしい。
…ハスラー・ワン。基地とデータバンクを破壊し、
アーキバス、ベイラム双方を砕け』
ナインボールに火がともる。
氷雪地帯の廃棄された旧世代の軍事施設。
ACを最低限整備可能な設備は存在しており、
そこをハスラー・ワンは根城にしていた。
「…ミッション開始」
アサルトブーストで目的地たるヒアルマー採掘場に入る。
レーダーには映っているはずだが、攻撃が無い。
「いや……まさか…な」
ブーストを切り、歩行による移動で少しずつ近づく。
アーキバス・グループの守備隊の動きが一つもない。
「……スキャン開始」
周囲をスキャンしてみたが、戦闘の様子は無い。
それどころか、生体反応が何一つ無かった。
ACの中でも、[ナインボール]は特に優れた電子戦性能。
解析性能を有しているとハスラー・ワンは自負している。
その[ナインボール]でも生体反応が出ないのは異常すぎた。
「MT……中身は」
半機動状態のMTを確認する。
生体反応も無ければ、中で死体が出来ていることも無い。
「カメラには……何もない」
映像に残っているのは何かに向けて撃っている物のみ。
他は何一つ残っていなかった。
まるで、意図的にデータを改竄されている。
「きな臭いな」
スキャンを多用しながら、ブーストで進む。
途中、アーキバスの装甲車等も確認したが、
やはり中に人間は居なかった。まるでゴースト・タウンだ。
地球に伝わる幽霊船の階段の如く、先程まで居た痕跡がある。
『誰!』
〘レイヴン、AC[ナインボール]。ハスラー・ワンです〙
「……お前、喋れるのか」
何気にC4-621の声を初めて聞いたハスラー・ワン。
年若い少女の様なその声に何処か、激しい不快感が現れる。
「子供だったのか」
『ハスラー・ワン、パーツありがとう』
「気にするな、[ナインボール]を貶した機体の成れの果てなど、
俺の知ったことではない。それに、パーツ自体に罪はない。
お前は、色も塗り替えているだろ?」
〘色、[ナインボール]は鮮やかな赤でしたね。
レイヴン、貴方の機体の色は漆黒の黒。
まさにレイヴンというカラーです〙
「(エア、ありがとう)
ハスラー・ワン、これをやったのは貴方?」
ハスラー・ワンは悩むが、敵対すると決まった訳では無い為、
C4-621へミッション情報を共有した。
「アーキバスの防衛部隊と、
来たるだろうベイラムからの刺客の両方の撃破だ。
お前は」
『私は、ベイラムからアーキバスのデータを盗めと』
「……正直、お前を殺さなくてはいけなくなったが」
AC[ローダー4]が戦闘態勢に入る。
だが、それよりも速く[ナインボール]のパルスライフルの
銃口が輝いた。
『え?』
「レーダーを過信し過ぎたな。ハウンド」
そこに居たのは所属不明機。
まるでレギオン、軍団であった。
「主が、おまえの名は何か。とお尋ねになるとそれは答えた。我が名はレギオン。我々は、大勢であるがゆえに」
『なにそれ……』
「さぁな、だがやる事は一つだ」
昆虫を模したような存在。だが、赤い閃光を放っている事から、
コーラルを動力源にしていると理解できた。
「……技研は一体何を作ったんだ」
〘コーラル反応増大、レイヴン警戒を!〙
『ハスラー・ワン、何か来る』
「……おいおい、モンスターハントは仕事じゃないぞ」
『カーラが見たら笑いそう』
それは地球のヘラクレスオオカブトを
機械で作ったような何かだった。
コーラルを放ちながら、まるで指揮官のように子機。
いや、レギオンを使い攻撃を仕掛けてきている。
「…レーザー兵器?それに」
『……うそ』
レギオン達にはレーザー兵器が搭載され、
大軍で[ナインボール]と[ローダー4]を攻めている。
〘レイヴン……アチラを〙
『死体が無いわけだ、ハスラーこのポイントを』
「…ACやMTの中で死ねれば良かったものを」
とある一角にレギオンに囲まれた人間の死体が溢れていた。
虫の様な思考を有しているのか、群がっておるレギオンは
頭の周りが赤い。おそらく、巨大なレギオン。
マザーが起動することで子機たるレギオンが
活動再開するのだろう。
「ハウンド、大物と小物の大軍どっちを」
『大きいやつ!』
「小物は任せろ」
ハスラー・ワン[ナインボール]のグレネードで群がっていた
レギオンが破壊され、コーラルが誘爆する。
それに巻き込まれ、他のレギオンも壊れるが恐怖など
無いように[ナインボール]に向かって攻撃してくる。
「くそ……ついには自爆までか!」
ハスラー・ワンも冷静さを保つのが一苦労だ。
何度も自己暗示を繰り返し、
パニックに陥らないように耐えている。
そんなハスラー・ワンを焦らせている要因は一つではない。
「……くそ」
グレネードは1回の射撃で軽く10体は倒せるだけでなく、
誘爆も狙えるが元々の残弾数が少なめであるため、
残弾がもう無いのだ。パルスライフルの残弾も残り少なく、
最終的に格闘戦を視野に入れなければいけない。
『ハスラー・ワン!回避して!』
「くっ…」
それはコーラルレーザーだった。
命中地点に大きな爆発を引き起こし、
数多のレギオンがそれに巻き込まれ消えていく。
仲間諸共、敵対者を屠ろうとするとこまでも昆虫だ。
「……冗談ではないが、ハウンド。
今ので小型の大半が死んだ、
此方の武装の弾薬は残り少ない。交代するか?」
『大きいのは私の獲物、露払いはお願い』
〘レイヴン、行きましょう〙
レイヴンの[ローダー4]はアサルトブーストからのキックを
大型のレギオンへの繰り出す。
「じゃじゃ馬娘め」
ならば、ハスラー・ワンの行う事は決まっている。
露払いだ、あのじゃじゃ馬娘が悠々と戦えるように
目の前にいる多数のレギオンを討伐するのだ
「………排除再開」
[ナインボール]のレーザーブレードと
無限にも思えるクイックブースト。
並の強化人間ですら、意識を失いかねない高機動。
自爆だけでなく、MTの様にレーザーを放つ小型レギオン。
しかし、かするだけだ。致命傷には決してならない。
そう、ハスラー・ワンはハスラー・ワンである。
ハスラー・ワンとは、最強にして、最恐。
何時如何なる場所、時代において、人々の悪夢になる。
絶望を送る存在なのだ。そして、今のハスラー・ワンは
絶望だけでなく、希望を与える勇者でもある。
そんなハスラー・ワンがAC[ナインボール]に乗っている。
つまり、イレギュラー以外に敗北はありえないのだ。
「消えろ、マシナリー」
マシナリー、機械類、機械装置、または機械の構造や部品を
意味する言葉であり、レギオンに相応しいものだ。
最後の一体まで、絶対に破壊する。
これはルビコニアンも殺しかねない怪物なのだから。
「……終わったか」
小型レギオンは倒し終えた。
ハスラー・ワンはドミナントたるレイヴンを救おうと動くが、
そこにあったのは意外なものだ。
此処に至るまで、レイヴンはかなりの戦いをして来た。
そして、[ローダー4]=ナインボール・レプリカの癖や、
使い方をマスターしていたのだ。
「……ナインボールをくれてやっても良いかもしれん」
レーザーブレードで巨大レギオンを撃破した[ローダー4]。
そして、改めて今回の依頼を考える。
「まぁ良い、データは破壊されている」
そう、ハスラー・ワンに課せられた依頼は
基地とデータバンクを破壊し、ベイラム・アーキバス双方の
存在を叩くこと。だが、金輪際ベイラムも、アーキバスも、
迂闊に手を出すことはしないだろう。
レギオン、かの詳細不明の存在は今討伐したのが最後とは
限らないのだから。
『ハスラー・ワン、ご苦労だった。
映像データは確認させて貰った。此方の予想では、
C兵器の一種だろうという結論だ。
何分データが存在しない。我々としても、
初遭遇がハスラー・ワン、お前で良かったと思っている』
[ナインボール]の中で聞くデブリーフィング。
ミドルフラットウェルも流石に想定外だったようだ。
今まで存在が秘匿されていたのか、それとも、
あの基地の者達は禁忌を呼び覚ましたのか、
結論は誰にも判らない。
『報酬には色を付ける。
次回もまた頼むぞ、ハスラー・ワン』