ARMORED CORE VI ハスラー・ワンになり真の最強[皆のトラウマ]となる 作:影後
『やあ 戦友
アーキバス系列 シュナイダーから君に依頼がある。
早速だが説明に入ろう。
惑星封鎖機構のルビコンにおける補給拠点 、
ヨルゲン燃料基地を叩いてもらいたい。
目標は 最奥にあるエネルギー精製プラント、
これを潰せば… そうだな 連中の制圧艦隊の
足止めくらいにはなるだろう。
当該基地は つい先日までは 、
ベイラムのコーラル調査拠点だった。
それが封鎖機構の艦隊襲来で… 一夜にしてこのとおりだ。
今回は基地に点在する燃料貯蔵タンクにも
破壊報酬を設定させてもらった。
封鎖機構に対しては 日和見を決め込む傭兵も多い。
連中を叩くと金になる そう宣伝してくれるとありがたい』
621へ届いた依頼、
通常ならペイターだった気がしたが今回は戦友からの
直接メッセージ付きのものだ。
『…宣伝とはな
621 お前はマスコットではない。
気を引き締めてかかれ』
『レイヴン、嫌な予感がします。
何方かに連絡を取ることもできますが……』
パッチ・ザ・グッドガイ AC[ノーカウント]
ハスラー・ワン AC[ナインボール]
ラナ・ニールセン AC[ナインボール]✔️
『わかりました。
レイヴン、ラナ・ニールセンに連絡を取ってみてます』
『こちら、[ナインボール]。ラナ・ニールセン。
レイヴン、いえハウンド。貴方の事はハスラーから
聞いています。報酬は山分けとの事ですので、
私からも全力で貴方への借りを返させていただきます』
『ハスラー・ワンの身内か。
伝手があるのは良い事だ。
621、横の繋がりを大切にする事だ』
ウォルターの言葉を受け、
C4-621は少しばかり気分が高揚する。
声色は普段と変わらないように思えるが、
ウォルターが純粋に喜んでくれているからだ。
AC乗りになってからというもの、知り合いは増えた。
『メインシステム戦闘モード起動』
変わらないCOMからの音声メッセージを確認し、
C4-621は周囲を見渡す。
すると赤い閃光が雪を巻き上げながら、隣へと着地した。
『ラナ・ニールセン。AC[ナインボール]。
到着致しました。ハンドラー、ハウンド。
本日のミッション、よろしくお願いします』
『621、最強の右腕がついている。
ミッション目標は精製プラントの破壊だ。
封鎖機構の駐屯部隊を撃破しながら進め』
〘レイヴン、道中の燃料貯蔵タンクにも追加報酬が
設定されています。破壊を推奨します〙
「(うん、エア)
ウォルター、行ってきます」
エアとは声を出さずとも、心で会話が可能だ。
ウォルターは幻聴というが確かに隣にいる。
『では、私が先陣を』
「私も行く」
『……子供のようですね』
C4-621AC[LOADER4]とラナ・ニールセンAC[ナインボール]
この2機に攻められた惑星封鎖機構の兵士達は、
ただ死体となるばかりであった。
『こんなの……こんなの……ACの』
『旧世代の兵器だぞ?!なにが!』
「…ラナ、一人でも良かったかも」
『ハウンド、慢心は行けませんよ。
あと、女の子ならばもっと笑いましょう。
顔も良いのですから』
ラナ・ニールセンは事前にハスラー・ワンから
C4-621が女性だと聞いていた。
しかし、音声通信ではなくカメラで通信してみると、
女性というよりもハスラー・ワンと共に保護している
子供達より少し歳上程度にしか見えない。
『貴女の様な子供を護るのも私の務めです』
〘レイヴン、彼女は何を言っているのでしょうか〙
(気にしないで)
C4-621の友人たるエアは何処か不満げな声で
ラナ・ニールセンの言葉に反応する。
今の彼女にC4-621の隣に立つ力はない。
だが、C4-621を護りたい気持ちは誰にも負けていない。
〘レイヴン、残弾に気をつけてください〙
(うん)
『LC機体も数多い、ふむ。
アーキバスから報酬を受け取った後にアーキバスを
撃破するのも良いかもしれませんね』
ラナ・ニールセンが怪しい言葉を紡いでいるが、
せめて依頼が終わってからにしてほしいと、
C4-621は思う。
彼女にとって、アーキバス、ベイラム、封鎖機構、
その全てがハスラー・ワンと同じく敵なのだ。
『621警戒しろ。未確認のACだ』
〘レイヴン、きます!〙
『……あん時の野良犬に……忌々しい土着野郎』
『なんと?AC[ヘッドブリンガー]ということは
G5イグアスですか、おかしいですね。
ハスラー・ワンが消した筈でしたのに』
『うぜぇ…テメェもあの世に』
『621、奴を倒せ』
〘レイヴン!〙
C4-621のAC[ローダー4]が動こうとした瞬間、
それよりも速くラナ・ニールセンのAC[ナインボール]
がG5イグアスのAC[ヘッドブリンガー]のコアへ
レーザーブレードを突き立てた。
『こんな雑魚に構う必要ありません。
行きますよ、ハウンド』
『……621、ミッションにもどれ』
それは早業というにも恐ろしい物だ。
C4-621のオペレーターたるハンドラー・ウォルターも、
AC[ナインボール]の挙動に追いつけなかったのだ。
ラナ・ニールセンはハスラー・ワンの右腕にして、
ドミナントと呼ばれる人種の一人。
たかが強化人間如きに相手が務まる訳が無い。
〘あれが……ルビコンの守護者〙
だが、エアには見えていたのだろう。
真紅の残像とレーザーブレードの挙動が。
今までも、そしてこれからもルビコンを護る為に戦い、
敵を無慈悲に殺す。
それがハスラー・ワンとラナ・ニールセンなのだろうと。
そこからの動きはまさに鬼神の如きものだった。
ラナ・ニールセンの心情は怒り狂っていた。
AC[ナインボール]がハスラー・ワンが殺したのだ。
つまり、ハスラー・ワンの功績を無かった事にしようとする
敵がいるのだ。
ハスラー・ワンに心酔し、慕う彼女にとってそれは
許せないことである。だからこそ、破壊するのだ。
現れる封鎖機構の兵器達は皆パルスライフルに焼かれ、
ミサイルに落とされ、グレネードで吹き飛ばされる。
近づけば、レーザーブレードに真っ二つにされ、
生き残ることは叶わない。まさに殺戮だった。
C4-621も同じ様な事はできるが、
少なくともアレと同じではない。
『ははっ……フハハハ!!!
ルビコンに迫る害虫共め!ハスラーの邪魔する奴、
ハスラーの功績を貶すゴミどもが!
アハハハハハハッ!!死ね!死んでしまえ!!』
前にも見たことがあるが、
エアは初めて見たのか怯えていた。
怯える兵士達を踏み潰し、その悲鳴で笑っている。
仕事だから別に気にしないが、生身の人間を踏み潰して、
ラナ・ニールセンは何が楽しいのかと、
C4-621は思えてしまうのだ。
「エア、アレって楽しいの?」
〘レイヴン、私はそれをわかりませんが…
少なくとも、常人は逃避する行動であると思います〙
「そうなの?」
数多の人間がまるでトマトのように潰され、
赤いシミとして地面に散らばる。
試しに自分も同じ様にしてみたが、
C4-621は特に楽しいと言った感情は出てこない。
〘レイヴン?何故〙
「エア、気持ち悪いね……」
〘…えぇ、そうですね〙
エアは知っている。
レイヴンの情緒はリセットされた子供の様なもの。
戦うことに特化された強化人間なのだ。
少女でありながら、ACのパーツとして
生きる事を選択せざる得なかった存在。
過去は知らないが、レイヴンがまだ幼い子供だと
理解している。
〘(レイヴン、貴女の隣に立ちたい)〙
半狂乱で暴れているAC[ナインボール]を尻目に、
残党のMTや戦車、砲台、貯蔵タンクを破壊する。
〘621、仕事は終わりだ〙
ラナ・ニールセンAC[ナインボール]と
C4-621AC[ローダー4]にかかればこの様な依頼は
簡単なものだった。
だが、C4-621は始めて己がした事を嫌悪感を抱いた。
デブリーフィングと戦友、アーキバスから報酬の振り込み。
それをラナ・ニールセンにも半分入金し、
作業を全て終わらせる。
「621、どうした」
「……気持ち悪い」
AC[ローダー4]の足にはべっとりとした赤いシミがある。
それはラナ・ニールセンを真似て自分が行った、
行動の産物だ。
「お前はそれでいい、それでいいんだ」
〘レイヴン、私も……〙
ウォルターに頭を撫でられながら、
C4-621は静かに休眠状態へと移行した。