ARMORED CORE VI ハスラー・ワンになり真の最強[皆のトラウマ]となる 作:影後
それはC4-621レイヴンに送られた依頼であった。
『Rb-23独立傭兵レイヴン。
これはオールマインドからの依頼です。
グリッド086。RaD管理下のグリッドにて所属不明ACが目撃されています。
オールマインドはこのACを傭兵の活動を妨げる危険因子であると判断しました。
僚機としてランク1ハスラー・ワンが作戦に参加します、任務達成率100%の独立傭兵です。お二人の活躍を期待します。オールマインドは全ての傭兵をサポートします』
「621、ランク1との仕事だ。気楽に行け」
ヘリに乗せられたAC[ローダー4]その中で621は自分が相手にする機体を考えていた。
オールマインドがハスラー・ワンを使ってまで倒そうとするACそれがどれ程のものなのか。
自分を気まぐれで救ったあのハスラー・ワンに対するなんとも良い現れせない気持ち。
目的地に到着すると、輸送ヘリから降ろされる。
621が少し進む先で⑨[ナインボール]は待機していた。
『お前か、猟犬』
[ナインボール]はパルスライフルを構え、銃口を未確認ACへと向ける。
『アレが未確認ACだと?』
ハスラー・ワンはそのACに近づく。
『なんだと?』
しかしまるで罠のようにそのACを破壊し、新たな機体が2機現れる。
『アレは...ナインボール』
ハンドラー・ウォルターは現れた2機のACをそう呼ぶ。
『真似たか...』
『621、離れろ』
3連射されるリニアライフル。
621はそれをクイックブーストで回避する。
[ナインボール]に似ても似つかないものの、その機動は[ナインボール]を彷彿とさせる。
『猟犬、動けないなら撤退しろ。このACはこちらで仕留める』
621を狙いつつも、2機は[ナインボール]を優先して狙っているように見える。
『621、どうする』
621は下がることをしなかった。右肩のソングバードが2機に迫る。
[ナインボール]は上昇し、621の攻撃を回避する。
『来るか、まあ良い。行くぞ、猟犬』
ハスラー・ワンの機体[ナインボール]の隣に立ち、未確認ACにアサルトライフルを構える。
先行した[ナインボール]に続くように[ローダー4]がブーストを吹かす。
『621、所詮はレプリカだ。本物はお前の隣りにいる』
ハンドラー・ウォルターの言葉通り、あの共闘から621はハスラー・ワンの、[ナインボール]の動きを学んできた。ハスラー・ワンは621に取って不本意ながら教官でもあるのだ。
『マイクロミサイル?[ナインボール]を真似るのなら、もう少し努力をしろ』
ミサイルの追尾性能よりも早く回避し、更にアサルトブーストで一気に詰め寄るハスラー・ワン。
『終わりだ』
無反動で繰り出されたグレネードから、キックによるスタッガーを取られ一瞬フリーズした未確認AC。
それを、その隙を見逃すほどハスラー・ワンは優しくはない。
『こちらは終わったぞ』
チャージされたレーザーブレードは一瞬にして未確認ACを破壊する。
そして、ハスラー・ワンは動きを止める。
『猟犬、危なくなれば助けてやる』
何もしない、621と未確認ACとの戦闘を観察している。
言葉を伝える気は621にもない、ただ今は目の前の敵を倒すだけだ。
マイクロミサイルを同じように回避しながら、621は未確認ACの胴体を蹴った。
『やるな、俺の動きを真似ているのか...だが』
スタッガーは取れなかった。未確認ACのレーザーブレードが迫る。
(ふざけるな)
一瞬、一瞬だった。クイックブーストで未確認ACの背後に回り込む。
そして、パルスブレード。タキガワ・ハーモニクスにより開発されたその武装による2連撃。
『流石だな、猟犬』
疲労困憊の621、命の危機はダムを防衛した時も感じなかった。
だが今回は、[ナインボール]と接敵したときと同じ感覚があった。
『...どうやら俺たちを逃がす気は無いようだな』
『621、先程の未確認ACが迫っている。今すぐ撤退を』
『回線に割り込ませてもらう、ハンドラー・ウォルター。お前の猟犬の撤退する時間は稼いでやる』
『なに』
ハスラー・ワンは未確認ACの大群に攻撃を開始する。
『621、撤退だ』
戦闘音が響く中、[ローダー4]は一度、[ナインボール]に視線を向ける。
それを知ることはない、[ローダー4]はその後ハンドラー・ウォルターの手配した輸送ヘリでミッション領域を離脱したのだ。
『621、報酬は確認したな。ハスラー・ワンからのメッセージもあるぞ』
『独立傭兵レイヴンか……猟犬、その名前はやめておけ。……本題だ、奴等が持っていたリニアライフルを2丁とアセンブリ1式をお前に送った。確認したか?私からの支援金も受け取ってくれたか、まぁいい。
今回の依頼は私とお前を殺そうとしていた。でなければあのような紛い物を出すことはないだろう。気を付けろ、お前にはじゃじゃ馬かもしれんな』
頭部 YH12-MAYFLY
コア CR-C98E2
腕部 05-LANGUR
脚部 CR-LH80S2
右肩武器 MAGORAGA
左肩武器 CR-WB78GL
右腕武器 CR-WR93RL
左腕武器 CR-WL69LB
左腕武器 CR-WR93RL
『ハスラー・ワン……お前に肩入れするか。どういうつもりだ。………パーツの安全は確認した。使うかはお前に任せる、621』
ハスラー・ワンからの餞別とも取れるそれ。
開発元は不明であり、送られたタグにはRNの文字がある。
しかし、それが何を意味するのか、621が知る由もない。
_______ハスラー・ワン
彼の記憶にあるのはナインブレイカーに現れたレプリカだった。
リニアライフルを3連射し、APは軽く5万はあり、既にACと呼べるそれでは無い。
だが、動きは単調だった。
AIの動き、人間特有の踏み切りが良いという物がない。
計算し、最適解を作り出す。
しかし、それではハスラー・ワンを倒すことは出来ないのだ。
「……オールマインド…か」
心当たりがあるのは1勢力のみ。
他勢力で何ができるか、技術力で群を抜いているのは惑星封鎖機構なのだ。
その機体ではないのだから、答えは一つしか無い。
「ナインボールも存在したと言うのか」
ハスラー・ワンは、まだ生身の男である。
だが、近いうちに肉体を捨てるという選択肢もあり得る。
「此方、ハスラー・ワン。解放戦線、ミドル・フラットウェル。聞こえるか」
『……今度は何だ』
「未確認ACを大量に撃墜した、回収を頼みたい。どの勢力のものとも違う。BAWSやエルカノにまた売れる」
『感謝する、回収班が向かわせる。座標を送れ』
ハスラー・ワンは座標をミドル・フラットウェルに送るが、その座標で戸惑いを受ける。
『そんな場所でどんな』
「受注したログが消えている、罠だな。だが相手方はこちらをどうやら過小評価、又は自身の戦力を過大評価していたらしい」
想像できる明確な敵、ハスラー・ワンは理解している。自分ひとりでは解放戦線を勝たせる事はできないと。
ヴェスパーやレッドガンを鏖殺しても、また新しい人員が送られてくるだけだ。
そして、来る未来アイスワーム攻略作戦にて、彼は確実にアーキバスグループの惑星封鎖機構襲撃部隊を惑星封鎖機構ごと殲滅しなければ、彼自身のチャートが崩れる。
たった一人でなし得ても、ルビコン解放戦線が居なければ意味がない。
あるのはオーバーシアによるルビコンの滅却だ。
「…ドーザーめ」
がめつい奴等は理解していたのだろう。
ハスラー・ワンは再び[ナインボール]の戦闘モードを起動する。
「貴様ら、撤退するのなら殺しはしない」
『知るかよ!てめぇが怖くて俺達が』
ハスラー・ワンは警告はした。
無慈悲にパルスライフルの引金を引き、MTを爆発させる。
「害虫駆除か……まだ来ないのか」
1時間後、その場は地獄だった。
MTの残骸がそこら中に散らばり、[ナインボール]の足には何かを踏み潰したように飛び散った赤い染みと、肉片がこびり付いている。
『ハスラー・ワン、此方ルビコン解放戦線のアーシル』
『我々も居まする、兄上殿』
輸送ヘリ部隊と共に2機の護衛ACが付き従っている。
「…おまえ達か」
自身の妹とその配下、妹に関してはランクは上がってはいないようだが、武装からやっと武器の使い方を学んだように思える。
右腕武装 HML-G2/P19MLT-04
左腕武装 HI-32:BU-TT/A
右肩武装 Vvc-703PM
左肩武装 Vvc-703PM
頭部 VP-44s
コア CC-2000 ORBIER
腕部 AA-J-123 BASHO
脚部 LG-012 MELANDER C3
ブースター BST-G2/P04
他の内装はわからない、だが接近戦をメインとしているようで確実にAC[ユエユー]は進化している。
「反動とか考えなくて良いから、それに……接近戦なら六文銭に教えてもらえたし」
「姫は優れたAC乗りになりました、今では個人で依頼を受け、BAWSやエルカノの仕事をし、報酬を稼いでいます。それだけでなく、アーキバスの補給部隊の襲撃なども」
「アーキバスだと?六文銭、アーキバスを狙うのなら、お前もついていけ。でないと死ぬぞ」
「…心します、兄上殿」
「ハスラー・ワン、このAC達は……[ナインボール]」
「アーシル?!」
ハスラー・ワンはアーシルの顔面を殴り飛ばしていた。
「これがナインボールだと?[ナインボール]に敗北は許されず、けして真似ただけのものではない!」
ハスラー・ワンにとって、[ナインボール]そして、ハスラー・ワンとはキャラクターではなく、既に自分自身なのだ。
自分が操り、最強で有り続ける。
負けるとしても、それは自身が認めたイレギュラーによるもの。
だが、それを意識していない。
無意識なのだ。
「兄上殿、落ち着かれよ!」
六文銭に押さえつけられたハスラー・ワンは自分のとった行動に驚きが隠せない。
「すまない、ハスラー・ワン。[ナインボール]は貴方自身だったな。許して欲しい」
「……すまない」
アーシルの手を取り、自分の暴挙に驚きが隠せない。ハスラー・ワンはここで始めて意識したのだ。自分が演じているではなく、自分がハスラー・ワンであること、⑨を付け、[ナインボール]を駆る傭兵として誇りがあること。
そして、目の前のレプリカにそれを貶された事に憤りを感じていることに。
「俺が回収する分は貰うぞ、レイヴンに贈る」
「わかった、ハスラー・ワン」
その後、ハスラー・ワンはレプリカを独立傭兵レイヴンへと贈ったのだ。