ARMORED CORE VI ハスラー・ワンになり真の最強[皆のトラウマ]となる 作:影後
『621 仕事だ。
依頼主はルビコン解放戦線 ブリーフィングを確認しろ』
『…「壁」の喪失は 我々にとって手痛い一撃だった
だが 貴方は企業の狗というだけではない そう信じ 協力を要請させてもらった
作戦内容は虜囚となった戦士たちの救出 我々はヘリ単機突入による奪還を決行する
救出対象の同志は3名 我々にとっての重要人物も含まれる
独立傭兵レイヴン 貴方が我々に共鳴してくれることを願う
「コーラルよ ルビコンと共にあれ」』
ルビコン解放戦線は変わらず警句を唱えている。
独立傭兵である621はその警句に興味を持ちはしないが、
『ガリア多重ダムで手を貸したのが 解放戦線には響いたようだな
お前の選択が運んできた仕事と言えるだろう』
621が仕事を受けていたと同じ時間、その男も同じように依頼を受けていた。
『…ハスラー・ワン、これは拙者からの私的な依頼だ。ベイラムの捕虜収容所に姫が囚われている。「壁」でのレイヴンとの戦闘後、アーキバスの追撃は免れたものの、ベイラム部隊に襲撃され捕虜となってしまったのだ。拙者は姫の護衛ながら、貴殿にこの様な依頼を出すことの不甲斐無さは理解している。兄上殿、どうか……姫を、私も向かいまする』
六文銭の言葉を受け、ハスラー・ワンは[ナインボール]と共にベイラムの捕虜収容所を襲撃を決行した。
「……六文銭、何があった」
『姫は壁の部隊ではありませんでした、しかし一人果敢に』
「……まったく」
六文銭のAC[シノビ]と[ナインボール]が収容所を遠方から偵察する。
4脚MTだけでなく、ミサイル、対空砲、ACまで見える。
解放戦線の重要人物を捕獲しているのだろうか、警備が厚すぎる。
「……六文銭、まさかと思うが輸送ヘリ1機と独立傭兵一人で捕虜救出等という暴挙を行おうとはしてないよな」
『……わかりませぬ、此度の収容所襲撃は拙者の私的な依頼……なっ?!』
六文銭の驚き声で理解できた。
解放戦線のエムブレムマークを付け、隣には漆黒の[ナインボール・レプリカ]。あのアセンブリを持つものはたった一人だ。
「六文銭、合流するぞ」
『はっ』
アーシルはヘリを操縦しながら隣にいる独立傭兵レイヴンのことを考えていた。ダムでは3対1の状況ながら、ハスラー・ワンの到着までたどり着いた実力者であり、「壁替えの英雄」。
ルビコン解放戦線からしたら「壁」を陥落せしめた張本人であり、警戒しないわけにはいかない。
だが、何処か裏切らないという確信があった。
『独立傭兵レイヴン、待ってくれ。AC2機が此方に』
レーダーに写った反応はルビコン解放戦線のものであり、その機体は誰もが知っているルビコンの真の英雄ハスラー・ワン[ナインボール]。
更に、ルビコン解放戦線では知る人ぞ知る実力者、六文銭[シノビ]だ。
「アーシル、お前だったか。よくも、たった一人の独立傭兵に頼もうとしたものだな。例え猟犬でも、お前の御守りは不可能だ」
『ハスラー・ワン、どういう意味だ』
621へ向けられた言葉にハンドラー・ウォルターが反応を返す。
「簡単だ、対空砲、火砲、AC、MT、レッドガンは居ないが戦力が整い過ぎている。ハンドラー・ウォルター、お前の猟犬はけして死なないがそこのヘリは堕ちる。少なく見積もっても50機以上のMTにACだ。それに対空砲、お前の猟犬はその全てを狩りながらのヘリ護衛は無理だ」
『……確かか』
「嘘を言ってどうする、此方の目的は私の妹の救出だ」
『……アーシル殿、我々は同士である。協力しよう』
「……まぁ良い、私が殲滅する。ついてこい」
ハスラー・ワン[ナインボール]は赤い閃光を思わせる速度で収容所への襲撃を開始した。
『此方、センダイ!敵ACは[ナインボ]うぁぁぁぁぁ』
「一体……何機居るんだ」
『兄上殿!数が多過ぎます、殲滅よりも救出を優先すべきかと』
戦闘はずっと続いている、ベイラムの何処にこれほどの戦力が残っていたのか、ハスラー・ワン[ナインボール]は殲滅を続けながら思案する。
「…未確認の反応……これは」
『面白い状況だな、[ナインボール]今は手を貸そう』
[ナインボール]と同じパルスライフルWG-XP2000を装備し、的確にベイラムMT部隊を攻撃していく。
「上昇するぞ」『わかった』
密集地を[ナインボール]はグレネードで、[ロックスミス]は拡散バズーカで破壊する。
阿吽の呼吸、けして味方ではないが二人の動きはまさに『イレギュラー』そのものだ。
『ハスラー・ワン!此方、捕虜の救出は完了した、しかし』
『随分と暴れまわってくれたな』
それはG2ナイルのAC[ディープダウン]だった。
遠距離からロックオンしたのだろう、[ローダー4][シノビ][ナインボール][ロックスミス]に向けてミサイルが飛んでくる。
『G2ナイルか、そのアセンだと4人の相手は難しいだろ?』
『621、撃て!』
『まさか、ヴェスパーが此方につくとはな』
『俺は楽しい事が好きなんだ、行くぞ独立傭兵。お前とそっちのお抱えとは初めてだ。期待している』
[ナインボール]の横を抜け、[ロックスミス]は[ローダー4]と[シノビ]への攻撃を開始した。
『貴様の相手は俺だ』
「……目標[ディープダウン]。排除開始」
G2ナイルは迫る[ナインボール]から常に距離をとって戦っている。
自身のアセンブリはリニアライフルと3種のミサイルを装備した重量二脚型ACであり、近接戦闘は苦手である。
『くっ…そんな旧式が』
[ナインボール]は現存しているACのパーツと比べれば型落ち品であるはずなのだ。さらに、連続したクイックブーストとアサルトブーストを駆使した戦闘は生身の人間が扱えるはずのないものだ。
『一発一発の威力が……くっ!』
更にG2ナイルを焦られるものは[ナインボール]の持つパルスライフルだ。
パルスガンよりも連射性能は劣っているが、射程距離、精密性、火力、全てが上だ。更に劣っていると言っても6連射されるエネルギー弾は回避をすると自分が考える前に動かなければ、簡単に蜂の巣にしてくるだろう。
「……随分と耐えたな、だが……これ以上は邪魔なだけだ」
[ナインボール]が加速する、アサルトブーストを更かし[ディープダウン]への距離を瞬時に詰める。
G2ナイルは常に死ぬことも想定していた、だがここまで理不尽な存在と出会ったのは最初で最後だ。
「…すまない、ミシガン」
[ディープダウン]のコアを[ナインボール]のレーザーブレードが一閃する。
爆発もなく、上下に切り裂かれた[ディープダウン]ば下半身のみが墓標の様に佇み続けた。
AC[ロックスミス]がAC[ローダー4]とAC[シノビ]の攻撃をかいくぐりながら、パルスライフルを撃ってくる。
621も六文銭もその武装を知っている。
『何故、貴様が兄上殿のライフルを!』
『これか?奴から壊した武装の代金として貰った。使い勝手も良いぞ、ベイラムのアサルトライフルよりもな』
『621、そのパルスライフルの性能はお前が知るとおりだろう。当たるなよ』
ウォルターからの指示を守り、回避しながらリニアライフルをお返しとばかりに撃ち込む。
[シノビ]はプラズマ機雷投射機を使い、ヨーヨーの原理で攻撃を行い[ロックスミスを]狙う。
『変わった武装だな、俺でも扱えるか...だがソレだけだ』
[ロックスミス]のレーザーブレードが[シノビ]を狙う。
しかし、それを防ぐように[ローダー4]のマイクロミサイルが[シノビ]を狙う。
[ロックスミス]を狙うよりも襲われている[シノビ]狙ったほうが当たりやすいと621は直感的に感じ取り、敢えて囮にしたのだ。
『レイヴン殿‼』
『面白いな』
[ロックスミス]がアサルトブーストからキックで[シノビ]を吹き飛ばす。
『レイヴン、シノビ、ハスラー・ワンが[ディープダウン]を撃破し、MT部隊を攻撃している。こちらの任務も終了した!もう撤退して大丈夫だ‼』
『なんだ、逃げるのか...ならお前だけは貰おう』
『ぬう⁉』
六文銭は苦悶に満ちた声をあげるが[シノビ]では[ロックスミス]の急稼働に対応できなかった。
『姫...兄上殿、アーシル、姫を...ど...』
六文銭は最後の言葉を伝えることなく[シノビ]と共に捕虜収容所の大地に散った。