亜人とお兄さん   作:ホム竜

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普段は二次創作しか書かないけど、なんとなく自分の限界に挑戦したくなったから、オリジナル作品を書いてみた。

書けるところまで書いて、限界だと感じたら…なんとか完結までもっていく予定。

とりあえず人に見せるようで書いていないものなので、矛盾点があったら優しくご指摘ください。


1話

亜人。

それは、人間(ヒューマン)獣人(ビースト)森人(エルフ)小人(ドワーフ)魔人(デーモン)といった、たくさんある種族の中で唯一その中に含まれない種族。

その姿は、腕がたくさんあるものだったり、皮膚がなく肉が剥き出しなもの、上半身が人間であるが、下半身が別に生き物であるものなど、ほかの種族には見られない特徴を持つものと様々だ。

また、その中でも"○○の亜人"と呼ばれる亜人は、その中でもとりわけ強いものや特殊能力を保持したものが名乗ることを許される、言わば一種の称号である。

しかし、特殊な亜人が生まれることは非常に少なく、一番新しく見つかったもので120年も前である。

そもそも亜人が生まれること自体がなかなか無いことであるのだが……。

 

で、なぜ急に亜人の説明が始まったか。

それは今、()の視界全体で起きていることが原因だ。

 

「おいクソガキ、てめぇみたいな貧弱なもやしがギルドにいると俺たちの評判にも傷がつくんだよ、『このギルドはガキでもやっていける脆弱ギルド』ってな!」

 

「そんなもの、俺の知ったことじゃない。いいからそこをどけろよ、おっさん」

 

今、依頼斡旋所(ギルド)の受付の前で、20前半ぐらいの男と、まだ成人になりたての肌が浅黒い少年がいがみ合っていた。

少年のほうはまだ王都に来たばかりなのだろう、目の前の男を何もわかっちゃいない。

あのやや汚い金髪をした男は、このギルドに来て未だ半年にもかかわらず、既に中堅といわれるC+級の冒険者なのだ。

噂では、最近城で召喚された勇者の一人なのではないかと言われている。

 

勇者とは総じて、特殊な能力を保持して別の世界から呼び出された、この世界の救世主なのだ。

……まぁその男は、俺たちが思い浮かべている勇者像とは遠く離れている存在なのだが。

 

だがしかし、結局のところ、その男がどんな奴でさえ強いというのは事実。

しかもその強さは、数百を超える、さらに多種多様の種族がいる王都ギルドの中でも中堅クラス。

とてもじゃないが少年が勝てる見込みは限りなく0に近いだろう。

 

「てめぇ、誰が草臥れたおっさんだクソガキャァ!!」

 

「いや、そんなには言ってない」

 

「黙って死ねぇ!!」

 

や、やべぇ!

ついに男の怒りが頂点に達して腰に下げてた直剣を抜きやがった!

 

俺はなんとか助けようと思い、周りの冒険者たちを見る。

しかし、みんな誰一人として男と少年を見ようとしない。

この場にいる皆がこの現場を見て見ぬふりをしている。

受付嬢でさえ、苦虫を嚙み潰したような顔をして目を逸らしている。

 

まぁそんなのは当たり前だ。

この国、いや、この世界にとって勇者とは国宝だ。

そんな勇者(大事なもの)を俺たちみたいな一般人が手を出してみろ。

一発で処刑まで持っていかれちまう。

かといってこのまま黙って見ていられるかといったら、それは無理だ。

だから俺は――

 

 

 

 

 

 

少年と男の間に飛び込んだ。

 

ぶっちゃけ死ぬのは嫌だ。

まだ童貞も卒業してないし、可愛い彼女も見つけられていない。

まだまだやることがたくさんある。

だが、流石に成人して人生これからな少年を見殺しにするほど俺は、心は腐ってない。

 

男はもうすでに振りかぶった剣を振り下ろしていて、あと数秒もしないうちに俺は、真っ二つ……とはいかずに俺の脳天に剣がぶち当たり、首や精髄は折れ、頭から血を噴水のようにまき散らしてながら地面に無様に倒れ、物言わぬ骸へとなり果てるのだろう

……。

あ、なんか想像したら涙が出てきた。

ごめん母ちゃん、父ちゃん。

先に旅立つ息子を許してくれ……!

 

……。

 

…………。

 

………………?

 

 

思わず目をつむり、いつか来る一瞬の衝撃を待つが、待てと待てどもその衝撃はやってこない。

俺は恐る恐る目を開くと、そこには――、

 

 

 

男の剣を、紫色半透明の無数の手が抑えていた。

 

「…………え?」

 

俺はその、生きてる中で絶対に見たことのない光景に、思わず間の抜けた声を出して、へたり込んでしまう。

 

「ありがとうございます、冒険者のお兄さん。俺を守ってくれて」

 

背後から少年に声を掛けられる。

先ほど男と対峙していた声とは思えないほどに優しげな声。

まだ声変わりの途中なのか、その声はやや高い。

 

「でも大丈夫です。だって俺、――強いですから」

 

そんな言葉とともに、背後から剣を抑えている手と似たようなものが複数現れる。

だがその手は、指先に近づくにつれて鋭くなっている。

 

その手を、男の、いわゆる急所に当てる。

もちろん男は悶絶。

股間を抑え、悶え苦しんでいる。

 

その光景を見ていた俺は、股間にあるモノがヒュッと縮みこむような錯覚に襲われる。

ちらりと周りを見ると、同じように股間を抑え、顔を青ざめている男が複数名いた。

 

「~~~……っ!ってめぇ、不意打ちしやがってぇ……!卑怯だぞ!」

 

股間を抑え、苦悶の表情を浮かべながら少年を批判する男。

ここまでやられたのにまだ言い返せる元気が残っているのは、ある意味尊敬ものだと思う。

 

「まだ言い返せるんですね、やっぱりもう一つ潰すべきでしたか?」

 

「……!?――ちっ、覚えてやがれ!」

 

少年の脅しともガチとも捉えられる言葉を聞いた男は、さらに顔を青ざめさせながら足をプルプルと震えさせてギルドを出ていく。

 

そして扉が完全に閉まり切ったのを確認して、ギルド内で大歓声があがった。

 

「よくやった少年!」

 

「あー、スカッとしたぁ!」

 

「しょうねーん、私と付き合わないかぁ!」

 

「あのいけすかねぇ顔が一気に青ざめたところ見たか?最高に気分がよかったな!」

 

「私、あの男にずっと言い寄せられてたけど、自分のあんな醜態を晒したんだから、流石に羞恥心でやめてくれるでしょ!」

 

四方八方から少年に対して声をかける冒険者たち。

 

「おっさん!お前もカッコよかったぞぉ!」

 

「よく飛び込んだおっさん!結局少年に助けられてたけどな」

 

よく聞くと俺に対しての言葉も聞こえる。

 

まぁ、死ぬ思いしてこんな言葉を掛けてくれるなら、頑張った甲斐があったな。

 

「大丈夫ですか、お兄さん」

 

背後から少年の声。

俺は少年のほうへと振り向く。

 

「改めまして、助けてくれてありがとうございます」

 

少年は、そのまだ少し垢抜けてない顔を、近くで見なければわからないぐらいに緩め、はにかんでいた。

 

「や、いやいや、俺のほうこそありがとう。おかげで真っ二つにならずに済んだよ」

 

「あの男の実力では、真っ二つにするのは難しいのでは……?」

 

そんな少年の、少し的外れな言葉に、俺は思わず吹き出す。

 

よくわからないといった表情を浮かべる少年と、その少年の表情ですらもツボに入ってしまった俺。

 

 

 

 

こんな俺にとっては非日常的な出来事が、彼、亜人のアースィとの出会いであり、これから巻き起こる様々な冒険の、幕開けだった。




少年の姿は実はまだ確定で決まっているわけではない。

近いうちに考える予定。

なんなら読者からの案が来るならばそれを採用してもいいとまで考えている、今日この頃。


人気そうなら続ける
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