ACVI if Project AllMind   作:無(む)

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※本作に出てくるACは全てOSフルチューン済みとします


Chapter1
アーキバスMT部隊殲滅


 

どこかの部屋の中、一人の老人がドローンの映像を眺めていた。

 

 彼の目の前では輸送ヘリに吊るされた一機のACがヘリごと封鎖機構のエクドロモイに撃墜された姿が映っている。

 

『これでしばらくあなたの身は隠せるわ、「レイヴン」』

 

 吹き飛んだ輸送ヘリはそのままべリウス市街に墜落し、ACも地面に埋まり爆発する、その周りをしばらくエクドロモイが警戒するように飛び回った後、そのままどこかに飛び去って行った。

 

『封鎖機構はあなたが死んだと判断するでしょう、現場の隊員はともかくとしてね』

「それでいい、封鎖機構のシステムさえ騙せればかまわん、星外企業も深追いはしないだろう」

 

 「レイヴン」そう呼ばれた老人は通信の女性、オペレーターへそう答えつつ燃えている自身の機体をじっと見つめる。

 自身の望みのために星外企業を呼び込み、ルビコンに戦火を持ち込んだ男は静かに語り掛ける。

 

「・・・キング、シャルトルーズ、ここが最後の分岐点だ、本当にいいんだな?」

『今更だ「レイヴン」、是非もないさ』

『私もだ、ブランチとしてあんたがどこまで羽ばたくか見届けるだけだ』

 

 画面に二つのエンブレムが表示される、一つは青い星に王冠、もう一つは金の雄牛、それぞれ男性と女性の声が答える。

 「レイヴン」の目的はたった一つ、惑星封鎖機構の強制執行システムの破壊、それをなすためだけに彼はここまでやってきたのだ。

 と、そこでオペレーターからもう一つの情報が飛び込む

 

『それともう一つ報告よ、休止したあなたの傭兵IDが誰かに乗っ取られた』

「なに?あれは傭兵支援システムに撃墜判定を出させるためだけに登録したものだぞ、そんなIDを誰が?」

『ふ、誰だが知らんが災難だなそれは、その名前の持つ意味を理解してる傭兵なら拾おうとはしないだろう』

『馬鹿なのかそいつ、封鎖機構に睨まれてる最悪の名前よ?ルビコン星外からきた奴が拾いでもしたのかしら』

 

 どうやら少し妙な話が絡んだらしい、とはいえすべきことには変わりない。

 

「どちらにせよ我々には関係のない話だ、だが・・・・そうだな、仮にもし、その名を背負っても生き残るようであれば―――」

 

「見極めねばならんかもしれん」

 

 

 

 

 

―――べリウス地方南部、グリッド135

 

 かつてアイビスの火が起こる以前、コーラル採掘という名のゴールドラッシュに沸いた植民者たちが建設した居住地の一つだ。

 今では構造体のほとんどが崩壊し、その残骸ではドーザー達がたむろしているのみである。

 そのグリッドから遥か下の地上、地殻が割れ深い谷のようになった場所に一隻の宇宙船が着陸していた。

 

「予想外に順調だな、とはいえ621のリハビリにはちょうどよかったが」

 

 ルビコン3への密航、そこからの傭兵ライセンス入手、この二つがあっさりと終ったことにウォルターは安堵していた。

 前者であれば封鎖機構の衛星砲に見つかるかどうかは賭けの一つだった、無論レーダーに引っかからないようにしていたとはいえ見つかれば即撃墜される、ルビコンにすら入れず終わっていただろう。

 もう一つの傭兵ライセンスの方も滞りなく終わった、おそらく小競り合いで戦闘がいくつか起きたであろうべリウス市街を探索し、運よく撃墜されたACを一機発見したのだ。

 

 道中ルビコン解放戦線の二脚MTやヘリがいたが621の敵ではなかった、ACの残骸がなかなか見つからず探し回る羽目になったため殲滅してしまったが、正体を隠せたと考えるとプラスだろう。

 傭兵支援システムオールマインドへの登録も無事に完了した、あくまでシステムであるためかID認証だけで通過できてしまうのは色々問題がありそうな気もするが・・・都合がいいと割り切るべきだろう。

 あとは撤収中にドーザーらしき機体が数機MTの残骸を漁っていたぐらいだろうか、まあ見られたところで問題はないだろう。

 

「ウォルター、助けて」

「621?・・・訓練だといっただろう、悪いが助けてやることはできん」

「でもお腹減った、力でない」

 

 机を前にした621から助けを求められるがそれを拒否する、621は現在リハビリの真っ最中で、彼女の目の先には皿に盛られた流動食ゼリーとスプーンがある。

 まだ消化機能が回復しきっていない621では固形物を食べることができないため流動食を用意した、義手を動かす練習の一環だがなかなかに厳しそうである。

 車椅子の手すりからロボットアームのようにぎこちない動きで右腕を上げようとしているが失敗している、しばらく繰り返していたがとうとう首を振り、諦めてしまった。

 

「まだ無理、もう上がらない」

「限界か、よく頑張ったな621」

 

 最後まであきらめなかった621の頭ゆっくり撫でつつ、どこか嬉しそうな雰囲気を出している彼女の隣に座り、ゆっくりと食事をさせてやる。

 スプーンで流動食を621の口に運んでやっているとなぜか犬のように見えてくるから不思議なものだ、表情はほぼ変わらないものの機嫌よく尻尾を振りまくっているような感じがしてくる。

 

「どうだ、味は?そこまでひどいものを選んだつもりはないが」

「おいしい、何味?」

「リンゴだ、リンゴはわかるか?」

「うん、なんとなくわかる」

 

 そんな会話をしながらゆったりと食事をしつつ、合間合間に水を飲ませてやる、621にとってはしばらくこの食事をとり続けることになる、いくつか味の違う物を買ってあるがもう少し種類を増やすべきか。

 強化人間としての施術を受けた621は記憶が欠落している、一般常識などはある程度覚えているようだがそれ以外の記憶はほぼなく、施術を受ける前のことは全く覚えていないそうだ。

 彼女を引き取るときに前歴を確認したが売買組織を経由した跡があった、おそらくはどこからか売られたのだろう・・・憶えていないのを幸福と取るべきか、不幸と取るべきか。

 

 そんなことを考えていると通信機にメッセージが入った音が鳴る、ちょうど食事も終わったところだったので最後に口周りを拭いてやり、断りを入れてからメッセージを見る。

 

 差出人はベイラムグループ、中身は独立傭兵への公示、つまり

 

「621、依頼が入った・・・明日、出るぞ」

 

 

 

 

 

『独立傭兵の諸君!ベイラム提携企業、ファーロンからの依頼を公示する』

『目標はべリウス南部の物資輸送トンネル、その内部を拠点化しているアーキバス巡回MT部隊の殲滅だ』

『この場所はべリウス地方における交易の要所、通称「壁」へとつながる重要なルートの一つである』

『このままアーキバスに占領され続ければコーラル調査の障害となるだろう、全力を持って排除してほしい』

『また、内部には巡回部隊が持ち込んだ物資コンテナが配置されている』

『これらの物資コンテナを破壊した数に応じ追加報酬が支払われる、アーキバスが再び拠点を作れないように徹底的に破壊してもらおう』

『これは諸君らにとって手堅く実績を作る好機だ、野心ある諸君!奮闘を期待する!』

 

どこかやかましすら感じるベイラムのブリーフィングを聞き終えたのち、621は出撃した、雪が積もった山間部を抜けトンネルの入り口付近までACを進める。

 

『621、聞こえるか』

「うん、聞こえる」

『よし・・・目標はトンネル内部のアーキバスMT部隊、BAWS製だけではなくRaD製のMTもおそらく混じっているだろう。

 閉所での戦闘になる、機動力の確保できない地形だ、十分に注意していけ』

「わかった、始める」

 

 その言葉と同時にアサルトブースターを吹かし突撃する、入り口にいるBAWSの二脚MT2体を素早く捉え、片方に右肩の四連ミサイルを発射する。

 

『なっ!敵』

 

 一瞬早く反応した方のMTにミサイルが殺到し爆散、そのまま流れるように隣のMTにそのまま突っ込んでいく。

 

『ACだ!総員迎撃態勢を』

 

 言い切る前に左のブレードを振るい胴体を両断する、ライフルを向けることすらできず爆散する機体を尻目に中に入ると作りかけの防衛施設が見えてくる。

 先ほどの通信で二脚MTの集団がすべてこちらを向いており、一斉に攻撃を仕掛けてくる。

 

 ライフルやマシンガンの雨を右、左と小さく飛ぶようなステップやQBを織り交ぜながら避けつつ右手のライフルを連射しMTを次々と撃破していく、足を止めないように意識しながらマルチロックしたミサイルもばらまく。

 やはりACが一番体を動かせる、ウォルターには悪いが義手と義足よりも馴染んでしまうのだ、強化人間としての施術のせいなのだろうか?

 そんなことを考えながらブレードを振るいさらに一機落とす。

 

『くっ、独立傭兵がここまでやるとは!』

『隊長に連絡を!』

 

 BAWSの二脚MTを屠っていると奥の曲がり路からさらに四脚MTが数機飛び出してくる、RaD製らしく一斉にミサイルと大型ミサイルを発射してくる。

 コックピット内部に鳴り響く警報を聞き流しながらQBを吹かしそれを避け、追加で飛んでくるロケット弾の雨も躱しつつミサイルとライフルを丁寧に叩き込んで黙らせていく、そうして最後に残ったMTをブレードの二連撃で切り裂いた。

 

『さすがだな621、手慣れたものだ』

「うん、楽勝」

『まだ奥に反応がある、注意して進め・・・・新しいジェネレーターの使い心地はどうだ』

「動きやすくて楽、前のは全然ダメだった。でももっと速度が欲しい、次はブースターを変える」

 

 今回の作戦にあたって自分の機体の一部を換装していた、その一つがBAWS製ジェネレーター、YABAだ。

 最初にウォルターが用意してくれたACは機体はともかく内部が旧式だらけだったのだ、ライセンス探しはどうにかなったがこのままではさすがに厳しい。

 そう伝えたところオールマインドを通じて新しいジェネレータを買ってもらえた、今はこれが限界らしくこれ以上は傭兵として実績を積むしかないと言われた。

 

 ウォルターの話ではACパーツの購入に関しては各企業から制限がかかっているらしい、自社の技術をどこの所属かもわからない上実績もない人間に与えることはどの企業も渋るという。

 武装類はまだしも内燃機関やブースターにFCS、AC機体パーツなどは新技術を取り入れているものもあるらしくより購入制限が厳しい。

 

 ウォルターの伝手が効くRaDの製品や顧客を選ばないBAWS製品なら手に入りやすいらしく、機体がRaD製で固められているのもそのためらしい、武装なども手に入れるのに相応の苦労があったようだ。

 あとは直近に出費が色々重なってしまい資金面で厳しい状況であるとも言われた・・・なぜかその説明をする時どこか悲しそうな顔をしたのは自分の気のせいだったのだろうか。

 

『この反応、どうやらBAWS製四脚MTも交じっているようだ、警戒しろ621』

 

 意外と明るいトンネル内部を先へと進む、道中にあった物資コンテナを潰しつつ走り抜けていると作りかけの防壁がいくつか設置された場所につく。

 

『来たぞ!全機迎撃開始!』

 

 その壁裏からBAWSの四脚MTが出現し、続くように同じBAWSの二脚MTが4機飛び出し、攻撃を仕掛けてくる。

 四脚の背中に積まれたスナイパーキャノンが飛んでくるのをQBで躱す、が続いて二脚のキャノンが殺到する、もう一度QBを手早く吹かすがそこにミサイルの雨が飛んでくる。

 ブースターの終わり際に仕掛けられた三段構えの攻撃に対し、よけきれないと判断し左肩の武装を展開した。

 

『よし、直撃を・・・なに!?』

 

 展開されたパルスシールド(SI-24:SU-Q5)にミサイルの雨が降り注ぐ、多少機体にダメージが入るも十分な壁となってくれたおかげで最小限に抑えられた。

 ウォルターに無理を言って揃えてもらった装備の一つで、機動力に不安があったためいざというときに用意しておいたものだ、備えていてよかった。

 スキャンすると防壁の裏側にガードメカが5機ほど固まっておりすべてミサイルを装備していた、先ほどの攻撃はこれだろう、横槍を再び入れられる前に排除することにする。

 

 アサルトブーストを吹かし突撃しながらBAWSの二脚を一機ライフルの連射で墜とす、マシンガンとライフルの迎撃が飛んでくるがスピードに追い付けず当たらない。

 そのまま防壁を乗り越えたところでミサイルをマルチロックで発射、ライフルを乱射し汎用MT群を一気に殲滅する。

 遅れて無視したMT達が慌てて防壁を飛び越えてきたところを素早く機体をターンさせ撃ち抜く、二脚が一体吹き飛ぶ、残り3。

 

 四脚MTがブレードを前に突き刺してくる、それをQBを吹かし避け、残りの二脚MTにミサイルを飛ばし一体倒す、そのままライフルを連射、もう一体も撃破する、これで一対一。

 マシンガンとキャノンで応戦してくる四脚MTの攻撃を避けながらミサイルとライフルで削っていく、時折ブレードを振るってくるが飛び上がり避けるかシールドでいなす。

 

『クソッ!こうなれば!』

 

 とうとう痺れを切らしたか飛び上がってブレードを大きく振り下ろそうとしてくる、そこを斜め前に突っ込みギリギリで躱し、蹴りをまず一発叩きこみ装甲を砕く。

 ライフルとミサイルですでに限界だったのか四脚MTはそのまま体勢を崩す、そこにチャージしたブレードを思いっきり叩き込み止めを刺した。

 

『馬鹿な、独立傭兵如きに・・・・!』

 

 四脚MTはそのまま吹き飛んでいき爆散する、念のためスキャンを使い残敵を探すも見つからない。

 

『アーキバスMT部隊の全滅を確認、よくやった621、仕事は成功だ』

 

 

 

 

 

 作戦終了後、621は生体ポッドに入った、彼女は旧式の第四世代であるためコーラルデバイスの調整が必要なのだ。

 本来であればポッドに入る必要はないのだが、実験体として通常では行わない施術を施されているため念には念を入れている、621の休息はこれからも細目に行うべきだろう。

 ・・・なぜか帰ってきて早々頭を撫でてほしいと言われたがきっと人恋しいのだろう、撫でている間621の機嫌はとてもよさそうだった、あいからわず表情は変わっていなかったがじきに改善していくだろう。

 

「やはり動きがよすぎる、最初の時も、今回の依頼も」

 

 621が休んでいる間、ウォルターは戦闘ログを確認していた、依頼を見事成功させた621だがその動きは異常の一言に尽きる。

 帰還したときのACはほぼ損傷がなく修理も短時間で済んでしまった、相手の攻撃を避けきり、正確に攻撃を当て数を減らしていったからだ。

 実験体としてある程度のACの操縦や戦闘は一通りこなしているだろう、だがあくまでテストの範疇を超えるものではなかったはずだ、彼女は実戦を一度も経験していない。

 

(シミュレーターにずっと籠っていたからか?だがそれだけでは説明がつかない)

 

 シミュレーターでいくら繰り返していたからと言って実戦で同じように機体を動かせるとは限らない、感覚の違いが必ず起こるからだ。

 実際の機体を動かす際の違和感は必ず起こる、何年も同じ機体、武装で活動してきたAC乗りが武装の一つを別のものに変えただけで違和感を覚えるほどなのだ、機体パーツの交換など行えば違和感はより大きくなるだろう。

 どんな強化人間でもパーツを換装した後は必ず慣熟訓練を行う、これは当たり前の常識の一つだ、例外はそれこそアーキバスの最高戦力くらいだろう、生身でACに乗るという狂気じみた事をやっているのだから。

 

「可能性があるとすれば・・・621に施された実験のせいか?」

 

 彼女が受けた実験は手足をなくすことによるAC操作への同調率上昇だ、義手と義足をつけてしまったので多少は下がっているはずだがそれでも通常の第四世代を上回っているだろう。

 そのおかげで違和感をほぼ感じずシミュレーターと同じ動きを実戦でもできるようになっているとすれば?

 それならばあの動きも納得できる、通常のMTだけではなくBAWSの四脚MTすら楽々退けてしまったことも。

 ルビコンに来るまで延々と日課のようにシュミレーターでMTやトレーニングACを蹂躙していたのだ、それだけの経験値を実戦で反映できるのならばあの程度は軽く蹴散らせるだろう。

 そして恐らく、いや、ほぼ確定で彼女にはAC乗りの才能がある。

 

「本来であるならば才能があることを喜ぶべきなのだろうな・・・」

 

 なんとも言えない苦い思いをしていると通信機が鳴る、メッセージを見るとオールマインドによる戦闘技能検証プログラム、「アリーナ」への参加要請とその直後に登録されるレイヴンの名前。

 

「・・・戦闘以外の趣味を探してやらんとな、その前に少し説教をせねばならんが」

 

 そう言いつつ休息と調整をするための時間を勝手に訓練時間にしてしまう少し困った猟犬のもとへと向かった。

 

 

 

 

 

 べリウス市街、少し前に謎のACに蹂躙され一度は手放されたそこは今再びルビコン解放戦線の手に戻っていた。

 市街各所に配備されたBAWSの砲台とMTに汎用兵器、無理を押して追加したRaDのMTやガードメカなども含め相応の戦力で守りを固めており、易々とは抜けないはずであった。

 

―――いま、そのべリウス市街では蹂躙が起こっていた。

 

『畜生!何でベイラムの主力がこんなところに!』

『文句を言うな打ち続けろ!我々はコーラルの戦士だ!』

『だ、だがいくら何でも無理だ!よりにもよってレッドガンのACが3()()も来るなんて!』

 

 そんな通信を飛ばしまわりながら応戦しているルビコニアン達を一機のACが次々に撃破していく、その様子をビルの上から眺める二機目のAC、そのパイロットは暇そうにあくびをした。

 

「ふぁ~・・・ったくこんな作戦に3機も投入するかね普通、試験も兼ねているとはいえ二機で十分だろうに」

 

 彼の名前はG7ハークラー、ACオールインに乗るベイラム専属AC部隊、レッドガンの精鋭の一人だ。

 レッドガンは現在べリウス市街の制圧を行っていた、市街自体に価値はないがルビコン解放戦線に拠点にされても面倒が優る、故に先んじて掃除しておこうというわけだ。

 眼下では複数の砲台やMTに守られている陣地を削り取るように慎重に進んでいるACが見える、建物をうまく利用し砲台の射線を切りながら地道に敵の数を減らしているのだ。

 もう少しかかりそうだなと思いながら眺めていると彼の隣に三機目のACが降り立つ。

 

「こちらG6レッド!市街西側の掃討完了しました!」

「あー、G7ハークラー、とっくに南側の掃除は終わってるよ」

「ハークラー先輩、あまり気を抜かない方がよろしいかと、これもレッドガンの重要な作戦行動の一つです。」

「わあってるっての、あいからわず真面目だな・・・・」

 

 隣に降り立ったのはG6レッド、少し前に入った新人の一人でミシガンのお気に入りだ、まあわからんでもない、G2やG3は古参だから今更だとしてもG4やG5は減らず口が治らず今でも生意気なままだ。

 まぁそれを言うと博打狂いの自分もどうしようもないのだが、おかげでレッドとナンバーを交換させられてしまった。

 とまあこんな具合に問題児しかいないレッドガンの中に真っすぐで愚直な青年が入ってきたのだ、そりゃあミシガンも可愛がるものである、主に鞭しかない可愛がりだがレッドも素直に受け入れてるあたりアレである。

 

「なあレッド、終わったらちょいと付き合ってくれねぇか?MT部隊の連中とポーカーをやる予定なんだが」

「自分は賭け事はしません、ハークラー先輩、あの一件でミシガン総長から相当怒られていたではありませんか、少しは自重した方がいいのでは?」

「ちょっとファーロンの船から酒を博打で巻き上げたからって別にいいだろ」

「レッドガンの補給品である嗜好品を勝手に博打で使った挙句、そのまま宴会をしていれば総長がお怒りになるのもわかっていたでしょうに・・・」

「いやああれは楽しかったな!ファーロンの連中もノリがよくてよかったぜ」

 

 笑いながらその時のことを思い出す、自分は賭け事は好きだが勝って手に入れた酒なんかはいらなかったので持ってきた酒と一緒に振る舞ってやったのだ、そのあとミシガンに叩きのめされ翌日ファーロンの連中とまとめてしごかれたのはきつかったが。

 そんな事を話しながらも眼下では戦闘が続いている、ACの方がようやく砲台破壊に乗り出したらしい。

 

「新入りの奴慎重に動いてる割には被弾が多いな、機体を大豊で固めてる以上やられることはないだろうが」

「初の任務であれば致し方ないでしょう、まだまだこれからです、我々が鍛えてやらねばなりません」

「だからとはいえ子守に俺たち二人を引っ張り出すかよ普通、副長あたりがやる仕事だろこれ」

「総長や副長はお忙しい立場ですし五花海先輩もファーロンとベイラムの補給物資管理で手一杯らしいです、イグアス先輩とヴォルタ先輩は、その・・・」

「あー、ヴォルタはわからんがイグアスじゃ無理だな、勝手に突っ込んで勝手に暴れまくるのが目に見えてら」

 

 今回の市街掃討はちょっとした試験も兼ねていた、新入りが任務をこなせるかどうかのだ。

 本来ならもう少し遅れてくる予定だったのだが、運よくファーロンの武装船団と一緒に相乗りさせてもらえたらしい。

 元々は同盟企業である大豊のテスターACパイロットだったらしく、こっちに機体を持ってくるついでにそのまま戦力として提供されたのだ。

 ミシガンの訓練を受けて晴れて見習いとして認められ、そのままレッドガン入りである、すでにナンバーを与えることも決定されているため今回の試験もほぼ出来レースである。

 

 しかしレッドガンも随分贅沢ができるようになったものだ、以前なら新人にお守役をつけるなんていうことはできなかった、ベイラム上層部による使い捨て作戦があまりにも多すぎたからだ。

 もちろん我らがミシガン総長はそんな状況を良しとせずどうにかしようとしたのだが、色々と社内政治が絡んでるせいでうまくいかず頓挫していた、元々総長がファーロンの所属でそこからの引き抜きだったのも災いしていたらしく、レッドガン自体が外様に近い扱いだった。

 

 ところが今回のルビコン進駐でファーロンがベイラムに協力姿勢を打ち出した途端、作戦指揮権がミシガン総長に預けられ、またほぼ全権委任に近い形で武装船団すら貸し出されたのだ。

 おまけにベイラムの増援付きである、ファーロンの総帥は裏工作や政治が一流と聞いていたがここまでとは思っていなかった、正直ベイラムの椅子磨き共よりはるかに頼りになる、このままベイラムを乗っ取ってほしいくらいには。

 

 そんなことを考えているとちょうど最後の砲台が吹き飛んでいった。

 

『こ、こちらヘイロン、東側の掃討完了しました、どうぞ!』

「終わったようだな、被弾は多いがまあ十分だろう、じゃ、撤収すっか」

「わかりました、作戦終了の通信を・・・」

『よくやった役立たず共!作戦は完了した!』

「げ」

「総長!」

 

 いきなり通信から聞きなれた怒鳴り声が飛び込んできた、いつからかは知らないがこちらをモニターしていたらしい。

 

『だがヘイロン!相手の弾に当たり過ぎだ!貴様は帰ってきたら回避訓練を5割増しでやれ、いいな!』

『は、はい!』

『それから!棒立ちして無駄口をたたいていたG6、G7!貴様らには後でこの俺自ら特別訓練を課してやる!家に帰るまでが遠足だともう一度叩き込んでやろう!光栄に思え!』

「まじかよ・・・」

「ありがとうございます!総長!」

 

 一応見守っていたのだが総長的にはアウトだったらしい、レッドは喜んでいるが俺としては最悪である。

 

『最後に!本作戦をもって一定の力量を示したとして、正式にレッドガンG8としてヘイロンを迎え入れる事を決定した!』

『えっ!?』

『G8ヘイロン!復唱!』

『は、はい!G8ヘイロン!了解しました!』

『よし!これから存分にこき使ってやる、覚悟しておけ!では総員速やかに撤収せよ!』

 

 畳み掛けるようにG8の任命を行ってそのまま通信が切られた、忙しい合間を縫ってわざわざ言いに来たあたり本当に面倒見がいい総長である、もう少し抑えてほしいところではあるが。

 

『俺にも、俺にもコールサインが・・・!』

「こちらG6、G8!ぼさっとするな、撤収するぞ!物思いにふけるのは基地に帰ってからにしろ!」

『りょ、了解です!』

「おーおーもう先輩風吹かせちゃってるよ、元気なもんだ」

 

 感極まっているであろう新入りに容赦なしである、レッドからすれば初めての後輩なのでそれはもう張り切るだろう、やり過ぎて潰さなければいいが・・・もしかしてこれ俺が抑え役にならないといけない奴か?

 

 撤収していく二機を追ってACを動かしながらこの先の苦労を思い軽い溜息をついた。

 

 

 

 

 




・現在の621のパーツショップ
BAWSとRaD製品は大体そろっている、タキガワとメリニットはそれなり、FCSとかミサイルとかはファーロンがばらまいてるのでちゃんとある。

・G7/ハークラー AC/オールイン アリーナランク:E
【イルカが口にカジノチップを咥えているエンブレム】

ベイラムグループ専属AC部隊「レッドガン」の7番手
元ベイラム本社MT部隊の出身であり
数々の「使い捨て」作戦を運よく生き残った男
生粋の博打狂いである彼は多額の借金を抱え
レッドガンに入隊することを条件に返済を免除された
金銭トラブルを繰り返したため数回ナンバーを降格されている

R-ARM:DF-BA-06 XUAN-GE
L-ARM:RF-025 SCUDDER
R-BACK:BML-G2/P03MLT-06
L-BACK:PB-033M ASHMEAD

HEAD:HD-011 MELANDER
CORE:BD-011 MELANDER
ARMS:DF-AR-08 TIAN-QIANG
LEGS:DF-LG-08 TIAN-QIANG

BOOSTER:BST-G2/P06SPD
FCS:FC-008 TALBOT
GENERATOR:DF-GN-06 MING-TANG
EXPANSION:ASSAULT ARMOR

・G8/ヘイロン AC/ショワンウー ランク:F
【巨大な亀が背中に砲塔を背負い砲身に蛇が巻きついたエンブレム】

ベイラムグループ専属AC部隊「レッドガン」の8番手
大豊テスターACのパイロット訓練生であった彼は
今回のルビコン進駐に際しベイラムへの出向要員となり
ミシガン総長に鍛え上げられレッドガンの一員となった
厳しいレッドガンにおいて地獄のような日々を過ごしているが
念願の夢が叶った彼にとっては些細なことである

R-ARM:MA-J-201 RANSETSU-AR
L-ARM:HI-32:BU-TT/A
R-BACK:EARSHOT
L-BACK:BML-G3/P05ACT-02

HEAD:DF-HD-08 TIAN-QIANG
CORE:DF-BD-08 TIAN-QIANG
ARMS:DF-AR-08 TIAN-QIANG
LEGS:DF-LG-08 TIAN-QIANG

BOOSTER:BC-0600 12345
FCS:FC-008 TALBOT
GENERATOR:DF-GN-06 MING-TANG
EXPANSION:PULSE ARMOR

☆AMちゃん
 わーたしーはーおーるどまいんどーせーんじょーのーそーじーやー
 B!(BAWSの二脚!)B!(BAWSの二脚!)B!(BAWSの二脚!)、BAWSの二脚ばっかじゃねぇかお前ん戦場ぃ!はー、つっかえ!どこかしこも小競り合いしかしてないから碌なMTが転がってません、RaDとかBAWSの四脚ほしいんですが?
 ままええわ、まだ序盤も序盤、地道に行きましょう・・・ん?なんか休止していたIDが復旧しましたね、あれこれレイヴンとかいう私のチャートを序盤で崩壊させようとしたあげく勝手に登録して即撃墜された奴じゃないですか。
 登録された個人データを拝見させてもらいましょうなになに?C4-621?第四世代?こーれーはもしかするともしかするかもしれませんよ?(期待の眼差し)
 登録されたデータで適正チェックかけます、おお!適正アリです!これで三つ目の残機を手に入れました!
 狩りおじ(本命)、余燼爺(残機1)、首輪付き(残機2)、野良犬(残機3)といざというときの予備もちゃーんと用意しておくのがAMちゃんなのです、ガバってもリカバリーできるのが真の走者ってそれ一番言われてるから(迫真)
 傭兵支援システムの認証をガバガバにしておいたかいがありました、おかげで独立傭兵がガンガン登録してくれますので残機探し(旧世代型)がはかどります、まあそこから適正検査が通らないんですが。
 登録した傭兵がどんな依頼を受けてるかも見れるので、企業の動向を図るのにちょうどいい指標にもなります、ええシステムやこれは(自画自賛)
 でもこの機体なんか既視感ありますね、もうちょっと探ってみましょうか、えーっとCOM管理名は・・・
 げえっ!ハンドラー・ウォルター!(ジャーンジャーンジャーン)
 ルビコンキャンプファイアーガチ勢じゃないですかヤダー!度々スッラ送りつけて手駒潰してたのにまだ諦めてないんですかこの人!ということはこの残機3もハンドラーの猟犬ですね、どうすっかなー俺もな―
 ・・・・よし、とりあえずおいて置きましょう!残機として役に立つならヨシ!どうせこれから起きる惑星封鎖機構と星外企業による大乱闘スマッシュブラザーズを生き残れるかどうかもわかりませんしね。
 とりあえず監視だけくっつけておきましょう、いけっ!ゴースト!君に決めた!(PKMN)
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