ACVI if Project AllMind   作:無(む)

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見せてもらいましょう、借り物のタル大砲でとこまで飛べるか


調査拠点襲撃

 

『クソッたれ!こんなところで!』

 

 必死になってブースターを吹かしながら飛び回るACが一機、グリッド135にいた。

 彼の名前はモンキー・ゴード、ルビコンにおけるコーラル流出情報を受け一攫千金のために密航した独立傭兵である。

 この日彼はアーキバスの依頼を受け大豊MT部隊の殲滅を行うため出撃した、しかし

 

『こんなに数がいるなんて聞いてねぇぞ!』

 

 グリッド135に突入すると約30機のMTがおり、さらにはガードメカやヘリまで揃えていたのだ、BAWSやRaDの混成で極めつけにはBAWSの四脚MTが3機もいる始末である。

 アラートが鳴り響く中であちこちから飛んでくるミサイルとライフル、マシガンの雨、そして四脚の九連バズーカを避ける。

 彼にとって幸運だったのは機体構成が軽量寄りだったことだ、中量機体や重量機体ならばこの飽和攻撃をまともに避けられず即座に撃破されていただろう。

 だがそれでも限界はありすでに機体の左半分が吹き飛んでいる、右肩の装備もなくなっており右手のレーザーライフルを連射することしかできなくなっていた。

 

『畜生がああああああああ!』

 

 とうとう避けきれずミサイルがいくつも着弾し動きが止まる、彼が最後に見たのは自身に向かってブレードを振り下ろす四脚MTの姿だった。

 

―――――――

 

「機体照合完了、独立傭兵モンキー・ゴード、ランク圏外です」

「よし、本部に連絡を取って戦闘報告を送信、それとこのまま任務続行すると伝えろ」

「了解しました、隊長!」

 

 四脚MTのパイロット席で部下に手早く指示を出し、一息ついた彼は真っ二つになり炎上しているACを見つつ一言吐き捨てた。

 

「アーキバスめ、外れを引いたな」

 

 

 

 

 

「以上が報告となります、スネイル閣下」

「そうですか、やはり独立傭兵は役に立ちませんね・・・いいでしょう、下がりなさい」

「はっ!」

 

 報告を終えた部下が手早く扉を開いて司令室を去っていく、スネイルはそれに目を配ることもなく次の一手を考える。

 想定以上にベイラムの物量は増しているようであり、すでにアーキバス側の巡回部隊がいくつも壊滅、撤退させられている、おまけに部隊指揮が明らかに使い捨てを前提としておらずベイラムらしからぬ集団行動をとるようになってしまった。

 恐らくミシガンが作戦指揮を執っている可能性が高い、ベイラムの上層部を探らせている諜報員からはファーロンの物言いがあったとの連絡を受けていた。

 

「今までのベイラムならばコーラル調査範囲を広げてきた所を各個撃破すれば問題はなかった、だがこうまで一つに固まられて動きつつ拠点を立てられるとなると厳しい」

 

 敵部隊の一つ一つが20~30機ほどのMT小隊として動きながら陣取りを行うようにじわじわと調査範囲を広げてきているのだ、現状の盤面は駒の取りあう将棋やチェスではなく囲碁である。

 無論手をこまねくつもりはないがここで問題となるのが物量差だ、下手な傭兵程度では返り討ち、ヴェスパーでも苦戦は必至だろう。

 

 何より厄介なのが即応できる増援が常に張り付いている所である、いくつかベイラム側の拠点を傭兵に襲撃させたところ、傭兵が善戦していた箇所ではすぐに輸送ヘリで増援が飛んできていた。

 調査範囲が広くなっているためかレッドガンが増援として出てくることは少なかったがそれでも厳しい。

 

「今までの手段では通用しない、やり方を変える必要がありますね」

 

 その時扉が叩かれ、そのまま許可もなく勝手に扉が開かれる。

 

「誰です、許可はだして」

「ああ悪いスネイル、ちょっと野暮用でな」

「フロイト!あなたという人は・・・!」

 

入ってきたのはアーキバス一の自由人、V.Ⅰフロイト、許可もなく堂々と入りそのまま応接用のソファに座る、そんな様子を見て笑いをこらえながらもう一人の男が入る。

 

「いや、これは失礼をしたかな、第一隊長殿が案内をしてくれるというから挨拶のためについてきただけなのだが」

「ジャック、到着していたのですか」

「つい先ほどだ、シュナイダーAC部隊「プファイル」現着した」

 

 ジャックと呼ばれた男はそのままフロイトの逆側のソファに腰かける、スネイルはそれをジト目で見ながら思い返す、この男も大概マイペースな性格であったことを。

 シュナイダーAC部隊、3名からなるシュナイダー専門のACテスター集団であり普段は新武装や新パーツなどの調整や実験を行っている。

 場合によっては実力行使として出撃することもありシュナイダーの矛といっても過言ではない。

 

「無理筋と思いながら本社に増援として願い出ていましたが、まさか本当に派遣されるとは」

「自分も驚きだ、だがアーキバスからかなりの圧力をかけられてしまってな、随分と焦っているようだが」

「なるほど、本社の石頭でも現状が非常にまずいことは理解できているようですね」

「状況を整理させてほしい、そちらの情勢を教えてもらえるだろうか」

 

 そうしてスネイルとジャックは情報交換を始める、なおフロイトはいつの間にか備え付けのポットを使い勝手にコーヒーを自分の分だけ入れて飲み始めていた。

 

「なるほど、ベイラムが本腰を入れた上に作戦指揮を「歩く地獄」が執っているとは、おまけにファーロンの支援付きか、これはアーキバスが焦るのも頷ける話だな」

「ええ、非常に厄介な状況です、あなた達にも存分に働いてもらうことになります」

「かまわない、我々もそのために派遣された、腕を振るわせてもらうとしよう・・・しかしヴェスパーとこうして肩を並べて戦う時が来るとはな」

 

 ふっ、とどこか皮肉気な笑みを浮かべそんなことを言うジャックにスネイルは眉間の皺を寄せる。

 シュナイダー社はアーキバスの傘下に強制的に編入された経緯があった、アーキバスにはない先進的な空力特性を用いたAC開発技術や独自のパルス武装などに目を付けたアーキバスが武力で持って編入を迫ったのだ、当然シュナイダーは承諾せず企業同士の戦争となり果てた。

 元々のシュナイダーの立ち位置としてはベイラム側にあったためにその反発は相当なものであった、ヴェスパーにも召集がかかり当時隊員であったフロイトやスネイルも出撃、ジャックとも何度かやりあったものである。

 

 最終的な結果としてシュナイダー側はプファイルの隊員を4名失いさらにMT部隊の戦力が崩壊、なし崩しにアーキバス傘下に下ることとなった。

 しかしアーキバス側も無傷ではなく当時のヴェスパーが2人死亡の上MT部隊が一つ消滅している。

 そういった経緯があるためシュナイダーとアーキバスの確執は根深いものがあり、今でもシュナイダーは独立を目論んでいるという噂がどこかしこからか流れてくるほどだ。

 

「アイランド・フォーですでに肩を並べたでしょう、何をいまさら」

「ほとんど別動隊扱いでまともに協同させて貰えなかった上、こちらにばかり負担を押し付けてきた癖にか?そのせいでこっちは貴重な新入りをレッドガンにやられてる」

「見解の相違ですね、あの時はヴェスパーとプファイルを同時に動かしては戦力配置の無駄と判断しただけですよ、負担が大きいのはどこも一緒でしたとも」

「その割に第一隊長殿ぐらいしかまともに出撃してなかったようだが?第二隊長殿は司令部に缶詰だったようだしな」

 

 スネイルとジャックはお互いに嫌味を飛ばし合う、スネイルはこの男が非常に苦手であった、自分と同じくAC部隊を率いる男で政治力があり、さらには同等の実力を持っているこの男を、不快といっても過言ではない。

 仕事の話ならばこの二人は至極真面目に行う、だがそれはそれとしてお互いに気に食わないため本題が終わればことあるごとにこうして皮肉の応酬をするのはもはや恒例となっていた。

 そのままヒートアップしていくかと思われたがそこにカップをスプーンで叩く音が響く。

 

「なあ、話はもう終わったんだろう?俺はジャックと久々に戦りあいたいからわざわざ付き合ってスネイルのところまで来たんだ、さっさとシミュレーションに行くぞ」

「フロイト!いい加減にしなさい、あなたという人はいつも・・・」

「おっと、ヴェスパー第一隊長殿の御指名とあらば致し方ない、お供するとしよう」

「そうこないとな、さて、今回の武装はどうするか」

 

 フロイトが声をかけた途端あっさりと引き下がったジャックに、さらに眉間に皺をよせたスネイルが睨むも柳に風といった表情である、先にフロイトが去り、その後を追うようにジャックが退室し―――

 

「ああ、一つ言い忘れていた・・・スネイル、プファイルの配置を間違えるなよ?アイランド・フォーのような鉄砲玉扱いはもうごめんだからな」

 

 最後にスネイルに釘をさす一言を残して去っていった、それを忌々しく思いながらそうしなければならないであろうという現状を直視する。

 ベイラムの物量を削るためには彼らを独立傭兵と同じような都合のいい駒扱いをするわけにはいかない、ヴェスパーと組ませ遊撃隊とし確実な戦果を挙げるべきだろう。

 それを相手もわかっているからこその発言であるがゆえにより腹に据えかねる。

 

「・・・ふぅ、まあいいでしょう、せいぜいフロイトのスパーリング相手にでもなっていなさい、きっちり使い倒してさし上げますとも、ええ」

 

 だが彼らだけでは足りない、このコーラル争奪戦に勝利するためにはさらなる戦力が必要である。

 再教育センターやファクトリーを動かすための「部品」を集めるためにも敵戦力の撃破は必須。

 

「大変遺憾ですが独立傭兵の中から腕の立つ者をピックアップするとしましょう・・・自分で飲んだコーヒーぐらい自分で片付けなさいフロイト!」

 

 

 

 

 

 前回の依頼の後、オールマインドから送られたメールにあったアリーナに自分は飛び込み・・・ウォルターに怒られた、調整のための時間と休息はしっかりとるように言われてしまった。

 声を荒げるわけでもなく静かに怒られるのは辛かった、親がいたらあんな感じなのだろうか、記憶がないため全くわからないのだけど、その日はおとなしく休むことになった。

 

「・・・勝てない」

 

 あれから少し日がたち義手義足のリハビリをしつつ過ごしている、時々生体ポッドを使ってシミュレーションのアリーナに入っているのだが勝てない。

 このヴォルタというランカーがすさまじく強いのだ、タンク型の機体でショットガンとグレネードを持っているのが非常に厄介で先ほど十回目の敗北を味わったところだ。

 無論それ以外でも負けている、ハークラーにはパイルバンカーでメーテルリンクには肩のレーザーで、六文銭にはプラズマの鞭で、他にも強いランカーは多く勝ち負けを繰り返しながら進んでいる。

 

 自身の持っていない装備を自由に使いながら飛び回るAC達を相手にしながらどうにか喰らいついている、だがとうとう火力不足が露呈してきた、無理矢理アサルトアーマーを仕掛けてからブレードでごり押ししてたのが通じなくなってしまった。

 

「ブースター買おう、それで動きをよくして、シールドをミサイルに変えて―――あれ?」

 

 新しい装備で打開しようと考えパーツショップに入ろうと思ったのだが、どうやらアリーナやトレーニングでは自由に装備変更できるようになっているようだ、何戦もしていたのに今更気づいた。

 ベイラムやアーキバス、シュナイダーに大豊、色々と揃っている、金銭的に厳しいので購入せずとも試せるのはありがたい、これもオールマインドの支援の一つのようだ。

 そうして様々な機体や武装を試しながらトレーニングでMTを相手に感覚を確かめていく。

 

 だがそうしていてわかるのは今搭乗している機体の選択肢のなさだった、シミュレーションで使えても現実で反映できなければ意味がないことにも気付く。

 AC乗りである以上死の危険は常に付きまとう、機体の選択肢を増やしておかないといけない、特に武装関連は早急に取り換えないといけないだろう。

 

「ほしいな、ミニガン(HU-BEN)パイルバンカー(ASHMEAD)レーザーライフル(VE-66LRA)10連装ミサイル(P05MLT-10)ベイラムFCS(TALBOT)、あと・・・・」

 

 そう、これは必要なことなのだ、決して自分が欲しいからではない、うん。あとでウォルターにお願いしてみよう。

 ヴォルタを重量二脚の機体にミニガン二丁とさえずり(SONGBIRDS)でごり押し勝利しながらそう考えていると。

 

「あれ、メール?」

 

 いつの間にか再びオールマインドからメールが届いている、中身はオールマインド製のパーツ販売の案内だ。

 引退した独立傭兵から資金提供と開発依頼を受けて行っているらしく、テスターとして実戦で使ってもらえるのならばある程度の報酬が出るらしい、ただしこれらのパーツを使用した場合のデメリットも書かれている。

 オールマインドの独立性維持のため云々と細かい文章が書かれている、あまりこういった文章を読んだことがないので途中で眠くなりかけたもののようは使用データは各企業に送信されるらしい、ベイラムやアーキバスのほかにも色々と企業の名前が書かれている。

 

「強いけど、癖が強い」

 

 それならばとシミュレーションで試してみたのだが癖が強いものが多い、動きが独特な近接プラズマスロアーや銃剣がついたバズーカ、大きく円を描くように飛びながら通過したところが爆発するミサイルと中々に個性的だ、とはいえ威力は十分にある。

 重すぎるマルチENライフルだけは除くが、あれはさすがに使い辛過ぎた、撃破したケイト・マークソンというランカーも持っていたがチャージ攻撃に固執しすぎて全然扱えてなかった。

 機体パーツも売っているらしく報酬が出るのならばと思い見てみたが購入資金が足りなかった、前回の依頼で稼いだ報酬では到底足りない、やはりウォルターに相談するしかないだろう。

 その時ガレージの扉が開いてウォルターがちょうど入ってきた。

 

「621、依頼が入って・・・またアリーナか?あまりACの事ばかり考えるのは」

「あの、ウォルター」

「・・・どうした?621」

「その、お願いがあって―――」

 

 

 

 

 

『独立傭兵各位、これは当社系列企業VCPLからの依頼です』

『作戦目標はべリウス地方東部に設営された大豊のコーラル調査拠点』

『そこを防衛しているMT部隊の撃破となります』

『当該拠点は当社と競合関係にあるベイラムグループ系列企業により設営されており』

『べリウス地方各地にコーラル調査を行うための重要な足掛かりとして機能しています』

『ここを破壊すれば彼らのコーラル調査に大きな損害を与えることができるでしょう』

『アーキバスグループはその奮闘に期待しています』

『ブリーフィングは以上です、よろしくお願いします』

 

 依頼を受け出撃し、大豊のコーラル調査拠点に突入した621をモニターしながら先ほどの話をウォルターは思い返していた。

 ACの強化を行うためのパーツ購入、それに伴いコームが欲しいと言われたのだ。

 ウォルターも621のためならば惜しむ金銭はないのだがあいにく困ったことにウォルターにも手持ちがなかった、617達の機体に費用を費やしたのもあるしルビコン密航のための宇宙船の購入費用や前回のパーツ購入でほとんど払底してしまってる。

 それらを申し訳なさと不甲斐なさを入り混じった顔で話すしかなかった自分に対し621は無表情なまま短く「わかった、しょうがないね」と言ってくれたが・・・心なしかしょんぼりとした雰囲気を出していた。

 

「621、ミサイル砲台がいくつか設置されているようだ、注意しろ」

(カーラに頼るのはさすがにな、それにRaDの紐付きと誤解されても困る)

 

 自身の目的のためにはフリーの独立傭兵でいなければいけない、どこからか資金提供を受ければその紐付きと受け取られてしまう、今は地道に依頼をこなしていくしかない。

 そうして今後の事を考えている間にも621は次々とMTや砲台を撃破していく、MTの数は多いが幸いにもBAWSの大型四脚はいないようである、これなら今回の依頼もすぐに終えるだろう。

 その時広域レーダーに影が映る、おそらくベイラム側の増援だ。

 

「レーダーに反応多数あり、どうやら増援部隊が迫っているようだ、輸送ヘリごと撃破し・・・まて、地上からもBAWSの四脚MTが来ている、3機だ、手早く輸送ヘリを落としてMTの数を減らせ」

 

 レーダーの反応が想定以上に多い、ベイラムお得意の物量で押し切るつもりだろう。

 その前に先手を打つように指示する、MTが投下される前に輸送ヘリを素早く621は叩き落としていく、数が多く全ては撃破できなかったようだがほとんどは何もできず撃墜され、投下に成功したMTも迅速に潰された。

 

『な、なんだこの独立傭兵は!?今までのとは動きが違いすぎる!』

 

 遅れて戦場に突入してきたBAWSの四脚MTが一斉に射撃を浴びせるもそれをひらりと上に飛んで躱しミサイルを浴びせていく、相手は全機九連バズーカを装備しており、二機がガトリングを、一機だけブレードとライフルを装備している、おそらくあれが隊長格だろう。

 連携がきっちりしており、近づけばブレードが振るわれ、離れればバズーカとガトリングやライフルで応戦してくる、621はミサイルとライフルで少しづつ削るように動き回りながら応戦していく。

 

「621・・・!?」

 

 敵がお互いをカバーするように密集して突撃してくるのを躱しながら交戦していたが、621が突如としてアサルトブーストを吹かしながら突っ込んでいく。

 ガトリングの弾幕を電磁装甲(AP)で無理やり突破し、バズーカの雨を正面から回避していく、そのまま3機の中心に飛び込んだ621に隊長格がブレードを振るおうとし。

 

『遅い』

 

 621の機体からすさまじい爆発が発生する、アサルトアーマー、コア拡張機能の一つであり絶大な威力を誇るそれを至近距離から浴びせられ一斉に全てのMTが体勢を崩す。

 その瞬間を逃さずブレード持ちMTにパルスブレードの二連撃を叩き込み撃破、続いて隣のMTに蹴りとミサイルとライフルの集中砲火を浴びせていく。

 ほとんど装甲が吹き飛んでいるMTが反撃しようとするもなぜか動きが不自然に止まる、そのまま冷却が終わったブレードのチャージ斬りで再び一機撃破。

 その瞬間背後から飛んでくるミニガンを後ろ向きのまま躱し、クイックターンで機体を振り向かせ最後のMTと対峙する。

 

「敵との立ち位置を計算して射撃できないようにしたのか」

 

 自身の背後に相手のMTをおき射線を重ねさせることで高威力のバズーカを封じたのだ、相手の力量を理解していなければできない行動だろう、それを短時間で見抜いた上で実行したのだ。

 残った大型MTも攻撃をかわされながらミサイルとライフルで削られ、体制を崩したところに蹴りとブレードを受け沈んでいった。

 

「全敵部隊の撃破を確認、よくやった621・・・増援に関しては予定外だ、アーキバスには追加報酬を出してもらうとしよう」

『本当?よかった、じゃあ帰ったらブースターを買う』

「今回の報酬を合わせれば可能だろう、お前が戻る前には話をつけておこう」

 

 迎えの輸送ヘリをオートパイロットで向かわせACを回収させた後、621の行動を思い返す。

 大型四脚MTはACに匹敵するほどの性能を持ちながらACより安価な兵力として運用されている、ACほどの拡張性はないものの堅牢な装甲と武装で連携すれば並みのパイロットなら蹴散らせる。

 今回相手にしたのは明らかに連携の取れたベテランの集団だった、通信の様子からしてもACを数機撃墜していたのだろう。

 だがその相手に対してすら621は圧倒的な勝利を収めた、まだルビコンに入って日が浅いというのに。

 

「アリーナでの経験を実戦にそのまま反映した結果か、彼女の成長は凄まじい・・・621ならば、きっとこのルビコンで最期まで付き合っていけるはずだ」

 

 そう、自身の目的の最期まで、そしてすべてが終われば、彼女は自由になれるのだ。

 

 

 

 

 

 アーキバス前哨地、その一角にあるシュナイダーAC部隊「プファイル」に割り当てられたガレージで3人の男女がいた、一人はジャック、プファイルの第一隊長であり残りの隊員を率いる指揮官でもある。

 ガレージ内に人の気配はなく、3人以外はACの整備員すらいない、機械の音だけが響いている。

 

「本社から連絡は来たか?リリウム」

「はい、ジャック様、本社からは[共食い]を続行させろとのお達しです。」

「簡単に言ってくれる・・・スネイルに目をつけられている状況では難しいというのに」

 

 ジャックに答えたのは第三隊長のリリウム、彼女は今回の作戦においてシュナイダー本社との通信を任されている、無論、その通信が秘密裏であることはこの3人にとって共通認識だ。

 ため息を吐きながら本社の作戦、ベイラムとアーキバスの[共食い]をいかに長引かせるかを彼は考えなければならない。

 

「面倒な話だ、我らは戦うことしかできないというのに」

「そういうなウラヌス、厄介な仕事を任されているだけましさ、コーラルを手に入れてこいだなんて無茶ぶりを命令されている連中に比べればな」

 

 毒づくように吐き捨てたのは第二隊長のウラヌス、戦闘に関してはトップクラスの腕を持つ男だ、ACの腕に関して言えばジャックと同等、もしくはそれ以上である。

 その分政治方面を煩わしいものとして切って捨てている男でもあるため、本社の行動を面倒に思っている、まあAC乗りにこのような作戦を任せられる方が酷というものだろう。

 

「ジャック様はベイラムとアーキバスがコーラルを手に入れられないと考えていらっしゃるのですね」

「コーラル集積地は見つけられるかもしれん、だがそこまでだろう、惑星封鎖機構に勝つことは不可能に近い」

「随分な話だ、お前ほどの男がそこまで言い切るほどか」

「通常戦力ならば目があったかもしれんが執行部隊の投入があるとなればな、あれは一筋縄で済む相手ではない、アーキバスもベイラムも撤退せざるを得なくなるだろう」

 

 惑星封鎖機構、かつて所属していた古巣の事を知るだけにジャックはその戦力を的確に分析していた。

 シュナイダーに拾われる以前、彼は惑星封鎖機構の一般隊員として所属していた時期があった、その技術、練度、システムによる無慈悲な判断、それに忠実に従う隊員、それらを見てきた彼にとっては全く油断できない相手である。

 システムが続行を判断すればそこに一切の余地はなく、いかなる状況であっても任務を遂行するしかなくなるのだ。

 かつて別惑星にて起こった旧世代特攻兵器の暴走による惑星封鎖の際、逃げ出すことも許されずに特攻兵器の雨にさらされた身としては正直関わりあうことも避けたい相手だった。

 

「だがもし対抗できるとすれば、それはアーキバスとベイラムが手を組むことだろう」

「犬猿の仲どころではない二大グループをか?無理だろう、何十年争っていると思う」

「だからこそ我々がいる、ここでアーキバスの最高戦力に撤退されては都合が悪い、ベイラムと手を組ませてでも惑星封鎖機構と対峙させなければいかん、そうでなければ本社の独立は不可能だろう」

「なるほど、ジャック様はベイラムとアーキバスの共食いではなく惑星封鎖機構と衝突させるおつもりなのですね」

 

 現状のアーキバスとシュナイダーの力関係はアーキバスの方がはるかに上だ、故にこのコーラル争奪戦でアーキバス側の戦力を消耗させるのが彼らの役目となる。

 特に対処しなければならないのはヴェスパー部隊、その第一隊長と第二隊長だ、第二隊長は実質ヴェスパーの管理者と言っていいほどに部隊を掌握しておりアーキバス本社にも強い影響力を持つ、政治的にも必ず排除しなければいけない。

 第一隊長は言わずもながらその圧倒的な強さである、あれで強化人間ではなく生身だというのだから恐ろしいものだ、こちらには懐柔策を掲示するべきだろうか。

 

 だが戦力を削るだけなら何も相手をベイラムに限る必要はないだろう、惑星封鎖機構と対峙させるのも一つの手だ、むしろその方がこちらとしては望ましいかもしれない。

 ベイラムグループは近年業績不調であり本社内部でも統率が取れなくなってきている部分が出始めている、今回のコーラル調査にも消極的だったがファーロンにいいように踊らされて戦力を出してきているあたりそれは顕著だ。

 まかり間違ってこの戦乱でアーキバスがベイラムに勝利してしまえばシュナイダーの独立はさらに絶望的なものとなりかねない。

 

「うまく立ち回る必要がある、リリウム、本社にファーロンへ接触しておくように伝えてくれ、場合によっては手を組む必要があるだろう。あの総帥相手に貸しを作ることになりかねんが手段を選べる立場でもない、致し方ないだろう」

「かしこまりました」

「それと今後の動き方だがしばらくはアーキバスの言う通りに動く、現状はベイラム優勢のようだからな、適度にバランスをとってやるとしよう」

「了解した・・・まったく面倒しかない任務だ」

 

 ウラヌスのぼやきに苦笑しつつも同意するしかない。

 アーキバスに従いつつ適度にサボタージュし、なおかつベイラム側と手を組むように誘導しなければいけない、まったくもってややこしい話である。

 

(本社は期待していないようだが・・・解放戦線にも働いてもらうべきだな、確かV.Ⅳがフラットウェルの紐付きだったか、いずれ接触するとしよう)

 

 

 

 

 




・シュナイダーAC部隊「プファイル」
 アーキバス傘下であるシュナイダー社が保有するAC部隊、かつてはヴェスパーやレッドガンに匹敵するといわれたがアーキバスとの企業戦争に敗北し同社傘下に置かれた結果ほぼ無名と化した。
 現在の所属隊員は3名しかおらずアーキバス側の駒として酷使されている。
 作者がベイラム側を強化した結果アーキバス側の戦力が足りないことに気づき急遽テコ入れとして登場させた、隊員は過去作からオマージュして作成、機体などは未制作のためいずれ作成予定

☆AMちゃん
 わーいBAWSの四脚やRaDの四脚が豊作ら、企業の削り合いが始まったおかげでいい感じにMTを回収できています、もっと争え・・・・!
 ん?アリーナに登録が入りましたね、また新しい独立傭兵が・・・・シュナイダーAC部隊じゃねーか!
 ちょっと想定外ですねクォれは、てっきりアーキバス相手には協力しないと踏んでたので全く計算に入れていませんでした、戦力値の再計算しなきゃ(白目)
 まあ、まだ慌てる時間じゃないので問題はないでしょう、序盤で来てくれて助かりました、チャートをちゃーんと修正しておきましょう(激うまギャグ)
 それはそれとしてAM製パーツの稼働データをまた企業に売りつけないといけません、六文銭あたりのでいいですかね、換金しておきましょう。
 AMの独立性維持とか色々理由をつけていますが実際には解放戦線を介護するにあたって多額の資金が必要になってしまったからです、ちょっと貧乏すぎんよ~
 登録した独立傭兵達からも定期的に搾り取っているのですが怪しまれないために最低限しか搾り取れてなかったんですよね、やってるの弾薬とか物資とかの代行手配ぐらいですし、そのせいで開発していたパーツもバラマキせざるを得ない状況となりました、オ・ノーレッ!
 ただこれ自体はこちらにもメリットがあります、傭兵達が勝手にテスターになってくれるので作ったパーツの性能試験ができます、おかげでブラッシュアップがガンガン進みましたし戦闘ログが山ほど手に入りました、やったぜ。
 この調子でガンガン集めていきましょう、コピーAC部隊のためにいくらでもいりますからね!
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