入学式の日は授業もなく担任がこの学校のシステムについて話をして終わった。そして自己紹介でオレは失敗というやつをした。やっぱり人は第一印象が大事だ。だから少し奇抜な自己紹介でもしようと思ったが…最終的には無難な挨拶をして終わった。
別に目立とうとしているわけではないが一人ぐらいは話せるやつがいると助かるんだがな。まあ、失敗してしまったことを後悔しても始まらない。
その日はそれで解散することになった。何人かの生徒は集まって一緒に食事を食べに行くらしく七瀬に誘われたがオレは丁重に断った。俺が行ったところで空気が良くなるわけはない。そしてオレは教室に残っている理由もないために帰宅する事にした。
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そのまま部屋に直行するわけではなく、今はコンビニエンスストアで生活必需品や今日の夕食を選んでいる。最初はこのまま部屋に帰ろうかと思ったが生活必需品や今日の夕食を買って行った方がいいと考えてコンビニエンストアにいる。後で買いに来るのも面倒だしな。
店内を見て回ると『無料コーナー』と書かれているところがあった。そこには売れ残りなどが置かれていた。だがさっきの話を信用するのであればこの学校は毎月十万円という大金を生徒に対して送っているはずだ。このコーナーは十万円を使ってしまった生徒への救済措置なのか。それほどまでにこの学校は生徒に手厚いのか。いくら政府が作り上げたとしてもそこまで手厚いものなのか。
まだこの学校のシステムの全てを知っているわけではないからこそ油断はしない方が良いかもしれないな。そんなことを考えながら店内を歩いていると後ろから急に誰かとぶつかった。
「あ、悪い」
「ううん。大丈夫………って二年生に話し掛けられてた人だ!」
そんな変なイメージを初対面の人間に持たれているのか。確かに体育館で坂柳に話し掛けられた時はかなりの注目を集めたから仕方ないと言えば仕方ないのかもしれないな。
「ああ、そうだがそんな変な風に呼ばないでくれるとありがたい」
「え~~でも名前知らないし、そう呼ぶしかないよ」
「オレの名前は綾小路清隆だ」
変な風に呼ばれるよりは苗字で呼ばれた方がまだいい。
「あたしは天沢一夏。よろしくね」
「ちょっと綾小路くんに興味があってさ」
「興味?」
「うん。なんか分からないけど興味を惹かれるんだよね。言葉で言い表すのは難しいけどさ」
「気のせいだろ」
オレは別に特別なものを持っているわけではないからな。それにしても初対面の奴に興味を持たれるような何かがあるのかと考えてしまう。坂柳に関してもオレは一度も接点がないと思うのにオレのことを一方的に知っているし、天沢も『興味を惹かれる』と言っているしな。面倒事を招きそうだな。
「そうかな~でも、綾小路くんに何かあると思うけどな」
「そんな風に見ても何もないものはないぞ」
「う~~ん。あると思うけど……ってそう言えば、綾小路くんは何の用でコンビニに来たの?」
「俺は生活必需品とかを買っておこうと思ってな。後々で買いに来るのも面倒だから帰る前に買っておこうとな」
「そうなんだ。私は昼食でも買って行こうかなと思って来たんだ。それで綾小路くんってこの後、暇?」
「この後?…予定は入っていないが」
七瀬たちからの誘いも断ったから予定はないが今日は静かに自室で過ごしたいが。目の前の天沢はオレの返答を聞いてから目を光らせてこちらを見ている。
「だったらさ、一緒に昼食食べないかな?」
「…悪いが今日は部屋でし「いいよね!??」」
天沢はどんどん距離を詰めてきて圧を掛けてくる。見ず知らずではないが今日、名前を知ったような人物を食事に誘うというのは何か理由があるのか。
それよりも天沢の圧がすごい。断りでもしたら何をされるか分かったもんじゃないな。それにここで無理やりにでも逃げたとしても天沢は地の果てまでも追ってきそうだしな。
「ああ、わかった」
「そうと決まればすぐにでも行こう!!」
オレはまだ買おうと思っていた品物があったが天沢に手を掴まれて外にまで連れ出されてしまった。そしてその後は天沢に食事に付き合わされて解散する頃には日が沈み始めていた。
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