綾小路が生まれて来るのが一年遅かったら   作:主義

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接触

 

入学してから時間が経過して少しずつだがこの学校にも慣れてきた。だが自己紹介に失敗したこともあってオレはクラスに馴染めていない。七瀬はオレのことを心配してだろうが頻繁に話し掛けて来るが…個人的にはそこまで馴染めていない事は気にしていないから話し掛けてこなくてもいい。

 

 

それにオレは目立つことなく学校生活を過ごす事を望んでいるのだから。だが一つだけ気がかりなことがあるとすれば『坂柳有栖』。ほとんど毎日、教室を訪れる。そして坂柳がクラスに来るとクラスは静寂に包まれて緊張が走る。そして注目を浴びる。坂柳は「ただお話をしに来ただけですよ」と言っていたが、来るのを止めて欲しい。だが、それを言ったところで素直に来なくなるとも思えない。

 

 

 

 

一方的にオレのことを知っていて、行動が読めないのは面倒。大人しくてしていてくれれば何も言う事はないが、じっとしているようなタイプでもない。面倒なことにならないことを望むだけだ。

 

 

 

―――――

 

四限の授業が終わり、今は昼休み。いつものようにオレは食堂でスマホを見ながら食している。まだ、プライベートポイントは九万ポイント近くあるが、周りには既にポイントを使い果たした者も多くいると聞く。なぜ、学園側はただの学生に過ぎない者たちに毎月十万という破格の金額を生徒に提供するのか。その事に加えて、コンビニに会った無料のコーナー。まだ学園のシステムについて何も掴めていない状況で変に散財するような行動は避けるべきだな。

 

 

誰かが隣の席と向かい側の席に腰を下ろした。そして視線はこちらを向いている。

 

 

「あんたが綾小路清隆か」

 

 

「…………」

 

 

「警戒されてるな。そんなに警戒すんなよ。俺たちは別にお前を取って食おうってわけじゃないんだからよ…………まあ、そう言っても無理か。俺は2年Aクラスの橋本正義だ。そしてお前の隣に座ってんのが同じクラスの神室真澄」

 

目の前に腰を下ろした金髪の男は笑みを見せているが…まるで考えている事が分からない。確か、この二人は坂柳と一緒に居た二人のはずだ。坂柳の命令で動いているのか、それとも個人的に動いているのかは分からない。だが、どちらにしてもオレに会いに来る理由の見当がつかない。

 

 

「……」

 

 

「じゃあ、単刀直入に聞くが、坂柳とどういう関係なんだ?」

 

 

「どういう関係とは?」

 

 

「それは言葉通りの意味だ。入学式の日、坂柳は朝から普段と違っていた。それはクラス全員が異様だと感じ取ったほどにだ。一年間一緒に過ごしてきたがあんな坂柳を見るのは初めてだった。何かあるなと感じ取ったがふたを開けてみれば新入生に挨拶しに行くだけ。坂柳があんな風になるなんて何か繋がりがある奴と見るのが普通だろ」

 

オレも坂柳と会うのは入学式の日が初めてだ。だから坂柳に関する事を聞かれても答えられることは無い。

 

 

「入学式の日が初対面のはずだ。だから、質問に答えるのだとすれば何の関係もない」

 

 

「正直、私も入学式の日の坂柳は薄気味悪かったのを覚えてる。何でもない男に坂柳はあんな顔はしないわ。不愉快だけど、坂柳と一年間一緒に過ごしたから分かるのよ」

 

隣に腰を下ろしている、神室と呼ばれているが言った。何かあるだろうとこいつらは思っているようだが、本当に何もないんだから答えは同じになる。

 

 

「本当に何もない。ここに来るまで面識もなかった」

 

 

 

 

その後も何度も橋本正義は同じ質問を繰り返した。その度に同じ返答を繰り返していると昼休みの終わりを告げるチャイムの音が鳴り響いた。

 

 




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