「おーい宮津。」
練習中、明久達が呼ばれた後は今度が僕が呼ばれるパターンである。
「何?」
「今、メンバー6人だろ?それぞれで役割が違うんだ。それを俺1人で1つずつ指示するのは難しい。そこで、お前にも指示を手伝ってもらいたい。」
「まぁ、一応どうにかなるかな?」
「そんなに気にすることはない。お前には1人にだけ指示をしていればいい。俺は残りの3人をやる。」
「あ、2人、2人じゃないわけか。1人の指示を担当するだけならなんとかなるだろう。」
「わかった。じゃあ今から加古川の指示担当よろしくな。」
「え?」
まさかの加古川の指示担当。いや確かに嬉しいことは嬉しいけど、これでもかつて振られたことのある人だし、それに教える方が緊張してたらまともに教えられるかどうか・・・。
「どうしたの宮津君?」
「うわっ!!加古川!?」
そしていつの間にか高槻はいなくなり、加古川が代わりに現れた。
「あぁ、これから加古川の指示は僕が担当することになった。だから何か疑問点があれば僕に聞いて。」
「うん、じゃあもしかしてしばらく一緒に練習?」
「うん、そうなるね・・・あ。」
そう、加古川の指示を担当するなら基本的に加古川と練習をすることになる。僕はキーボードだから別に1人で練習することもできるけど、加古川は破裂音(もはや楽器ではない)だ。破裂音で練習する点はやっぱり音を鳴らすタイミング。ならばやっぱり他の人と一緒にやる必要があって、それで僕が指示担当だから加古川と一緒に練習やって・・・。でも加古川と一緒って嬉しいけどでも集中できるかどうか・・・。
「ふふーん。これで一緒に練習だぁ。2人で一緒に練習だぁ♪」
ただ、加古川も嬉しそうだし、なんとかなるかなぁ?
「なんだ、ずいぶん面白そうに練習してるじゃないか。」
「余裕だな。騒音部。」
あ、その名称まだ使ってたんだ。
「だって個人的にこの名称気に入っててな。」
「いや、こっちとしては騒音騒音って言いまくるのはやめてもらいたいのだけど・・・。」
・・・ってあれ?高槻と会話してるあの騒音部らしき人ってもしかして・・・。
「よよぎぃ!?」
「ど~も~。」
なんでよよぎぃ!?そしてなんで気づかなかったんだ!?
「おかしいね。僕も文月学園がここに来てからずっといるはずなんだけどね。Dクラスも忙しいみたいでさ。全然会わなかったね。で、そこに加古川さんがいることを考えるとうまくいっムグッ!!」
危ないなぁ、よよぎぃってすぐこういうこと言っちゃう人だから。とにかく恋愛話が大好きな人なんだよ。本人に彼女ができたなんて話は聞かないけど。
「なんだい?ダメなの?」
「あぁ、加古川といる中でその話をするのはダメだ。じゃあ勝負の時にまた会おう!」
そしてさっさとよよぎぃを追い出した。あれがいるとまたややこしくなる。
「なんだ。あの代々木、宮津の知り合いかよ。」
「まぁね。中学時代はよき恋愛窓口的な存在で、女子にモテたがっている男子には頼られていた。ただし本人に関する恋愛ネタは全然無し。彼女どころか好きな人に関する情報すらない。」
「ほぉ、宮津が情報を持ってないと言うとはな。」
確かに、情報収集は僕の得意分野、それでも情報がないとなると、本当に好きな人はいなかったのだろうか?
代々木陽輔という人間はよくわからない。でも恋愛窓口として男子に頼られていたのは事実なのである。
「まぁいいや。これで、あとは加古川が破裂音のタイミングを覚えたら、そのあとは全体で合わせられる。その中でどれだけレベルを上げられるか。ってところだ。宮津、お前の役目だ。ちゃんとやれよ。」
「おうっ!」
「いくぞ加古川。」
教えるだけ教えた。あとは加古川が覚えたら加古川はOK。全体でのレベル上げに参加できる。
チャッチャッチャラーラ
僕がキーボード部分をやる。全部覚えるのはけっこう大変だった。
あとはここにタイミングよく加古川の破裂音が入れば・・・。
パンッ!
よし、うまくいった。次だ。
ここは大事だ。最後のサビに入る直前、キーボードの後、加古川が破裂音を鳴らし、ごくわずかなキーボードだけのサビ部分に入る。その後のサビの間に高低差をつけるためのものだ。
ジャジャッジャッジャッジャジャーン
僕の演奏の後に
パンッ!
加古川がタイミングよく破裂音を入れる。
これで加古川も基本的な部分は完了。あとは全員でレベル上げをする。
そうして、よよぎぃほか騒音部に挑むっ!!