「ずいぶんとストレートな断り方だな・・・。勝負を受けてくれた時点でそれなりに音楽が好きである程度の実力はあると思ったんだけどね・・・。」
「悪いな、今回勝負を受けたのは別の理由があったもので。」
「ははは、やられたよ。これじゃあこっちも撤退するしかないね。でもね、総合音楽部は校内の音楽系部活の融合組織として、これからも活動しようと思うんだ。それじゃあね。君達も帰っていいよ。」
けっこうあっさりと帰してくれるものだ。もっと粘って勧誘してくるかと思ったが・・・。
☆
「あー、なんか終わったな。」
代わりまして宮津健斗より、今はみんなで集まっているんだけど、誰も何も話さず・・・。
「・・・もう、帰っていいんだよね?」
「あぁ、いいぞ。」
それじゃあ、退室。
「あ、よよぎぃだ。」
そして、よよぎぃが登場するんだ。
「ねぇ、思うんだけどさ・・・。」
「な、何をだよ・・・。」
「もう、さっさと告白しちゃえば?」
そんなことを言われて、はいそうですかやってみますと受け入れることができるだろうか?
できてしまった。なんか、そんな気がした。
「なんだ、冗談も混ざってたのに。」
ただ、感じたことが1つあった。
「結局、いつ言っても加古川の答えは変わらないよ。いいならいい。ダメならダメ。先に延ばすことに意味を感じなくなったんだ。」
「ふぅん、変わらない事実を恐れないということ?」
「それにさ、なんかわざわざこの学園都市に来てくれたことが嬉しくてしょうがないんだ。僕が嫌いなら勝手に別のところに行ったからって見捨てりゃいいのに、加古川はそれをしなかった。僕は、そんな加古川が、好きでしょうがない。ただ仲がいいってだけの関係じゃ、自分自信が我慢できないんだよ。中学のころよりも加古川への想いが強くなってるのが自分でもわかる。その想いを伝えずにはいられない。ただ好きでいるだけで通じ合えないなんてもう嫌なんだ!」
なんだろう。妙に自信が出てきた。なんの根拠もないのに。かつて好きじゃないと言われたのに。
失敗という結果が見えない。早く伝えたい。それだけ感じていた。
「すごいね。だったら行ってきなよ。でもさ、1つだけお願いがある。」
よよぎぃからお願い?
「もちろん聞くよ。勇気が出たのはよよぎぃのおかげでもあるんだから。」
「それ、もうやめて欲しい。もし、告白する勇気をくれたのは誰かと聞かれたら、僕の名前は絶対に言わないで欲しい。」
・・・・えっ?
「よよぎぃ、それどういうこと?」
「僕は、宮津君の告白をもって恋愛窓口を引退するよ。」
「そんな・・・、僕はよよぎぃのおかげでこうしてこれから告白しに行けるんだよ。よよぎぃはこれからも男同士の恋愛窓口として、感謝されていくんじゃないの!?」
「僕は、恋愛窓口は辞めて、自分の恋をすると決めたんだ。」
それってまさか・・・。
「そうだよ。今まで他人の恋愛に関わってきただけの僕、代々木陽介に好きな人ができたんだ。」
「それは驚いたな。で、それ誰?僕はよよぎぃみたいにうまい相談は無理かもしれないけど、聞いてあげるくらいはできるよ。」
「Dクラスの……さんって人。」
「そう、それじゃ、僕も決着の時かな。」
こうして、恋愛を始めたよよぎぃと恋愛に決着をつける僕は、それぞれの行動に出る。
でも、よよぎぃの好きな人、名前的によよぎぃとピッタリだな。『代々木』と……だもんね。
☆
1人の少年は恋をした。そして、彼は恋に決着をつけると宣言した少年に対して、こう感じていた。
「あそこまで考えられたなら、なんで今まで鈍感だったの?」
☆
Cクラスの教室。ここには加古川しかいなかった。
「あ、宮津く~んっ!」
僕の登場とともに笑顔を見せる加古川。
さぁ、決着をつけよう。
「なぁ加古川、ちょっといいか?」
緊張してきた。やっぱりよよぎぃの前で宣言するのと本人を前にするのでは緊張が全然違う。
「何?」
そこで座っていた加古川が立ち上がった。ただこっちを見ている。何か動こうとしているようにも見える。
「き、聞いてくれ!」
ここまでいったら戻れない。あとはただ、言うだけだ!!
と、そこで加古川がこっちに向かって歩き出す。
構わず、僕は・・・
「加古川、お前が好きだ!」
瞬間の出来事だった。
『好きだ』その言葉を言った後、他の言葉を口にすることはできなかった。
僕の口が、加古川によってふさがれていたから。
そして、僕から離れた加古川は、一言だけ言った。
「告白してから初めてキスするまでの時間って、たぶん私達が最速だねっ♪」
ここで1つの章が終わり、次回から上琴回に入ります。
そしてそのあとは『明瑞と1人の少女と高槻とよよぎぃ』の章です。