トレーナーが近くに居てくれないと…何も出来なくなった。昔の私が今の私を見たら失望するだろう。自分でもそれぐらいは分かっているつもり。トレーナーが近くに居ないと何もできないし、、何も手に付かない。
走る事さえもトレーナーが見てくれていないと走れない。
トレーナーの付き添いの元色々な病院に言ったけどこればっかりは精神的なものなので長期的な目線が必要ということ。だから今すぐにこれが治ることはない。
「トレーナー…」
「シリウス、どうしたの?」
「悪いが手を繋いでくれないか?」
「いいよ」
トレーナーはいつもの優しい笑顔で答えてくれている。その笑顔を私に向けてくれているのが嬉しいという気持ちと情けない自分への怒りで心は壊れてしまいそうだ。
トレーナーは優しく私の片手を握ってくれる。まるで恋人が繋ぐように…。歩いていてもトレーナーは私に合わせてくれている。
一通り、トレーニングを終えると私とトレーナーはトレーナー室に戻る。トレーナー室に来ると精神的にも安定する。ここにはトレーナーの匂いが至る所からする。人間に比べてウマ娘は匂いにかなり敏感なこともあって気付くがあいつは気付いている様子もまるでない。
トレーナー室にいるとトレーナーに抱きしめられている感覚を覚えることが出来る。
「トレーナー、いつもの頼む」
そう言うとトレーナーはいつものように強く抱きしめてくれる。トレーナー室でトレーナーに抱きしめられる時が『幸せ』だと感じられる。
私もトレーナーを放さないという意味を込めて強く抱きしめる。今の私はトレーナーにとってお荷物かもしれない。解放させてあげた方がトレーナーの手腕を発揮できるんじゃないだろうかと何度考えてもトレーナーが私の元から放れていくと思うとどうしてもそれができない。
「これでいいの?」
「ああ、それでいい。これで暫くは落ち着ける」
それから数分の間はトレーナーのことを離すことをしなかった。
「膝枕でもする?」
「いいのか?」
「うん。それでシリウスの心が落ち着くなら」
トレーナーは本当に私のことを考えてくれている。私は私のことしか考えられていないのにトレーナーはいつも私のことをしっかりと考えてくれる。
それから私はトレーナーに膝枕をしてもらった。私の不安を取り払うようにトレーナーは優しく撫でてくれたり、手をずっと握ってくれていたり。
「大丈夫ですよ。僕がここにいるので」
「ありがとう」
本当にトレーナーが居てくれないと私は生きていけないんだ。
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