「最近、お兄ちゃんが変わった。ママが亡くなった後のお兄ちゃんは人が変わったように笑うこともなくなったし、どこか私と距離を置いている感じがした。
でも、今のお兄ちゃんは―――――
「エメラルドは可愛いな」
今もエメくんを抱き抱えてベンチに座っている。以前のようにはいかなくても少しずつお兄ちゃんは笑うようになった。それは…エメくんのおかげだ。ママが亡くなって…皆、顔に出さなくてもダメージを受けている。そんな時にエメくんが来てくれた。
今日は社長とアクアとエメくんと私でお散歩に来ていた。さすがにまだ1歳にもなっていない、エメくんはベビーカーに乗っている。
「ねぇ、お兄ちゃん!」
「なんだ?」
「私に抱かせてよ!もうお兄ちゃんはずっと抱っこしているじゃん!」
「…そうだな」
少し不服そうな顔をしながらもお兄ちゃんは私にエメくんを預けてくれた。本当にエメくんは軽くて…小さい。
「エメくんはかわいいねぇ~~」
私の顔を見て…エメくんは笑っている。そのエメくんの笑顔はとても素敵でまだ何も知らない純粋な笑顔。私はこの笑顔を守っていかなければ…エメくんが汚れないように。そして汚そうとする奴が来たらどんな手を使っても絶対に排除する。
「本当にルビーはお母さんみたいね」
「え!?私、お母さんに見える!???」
「うん、見えるわよ」
「そ、そっかぁ…///」
この子の本当のお母さんにはなれないけれど、この子の心の中のお母さんにはなれると思うの。血が繋がっていなかったとしても…私たちは本当の家族になれるって証明したい。
「そろそろ…保育園に預けようか考えているんだけど、二人はどう?」
「…まあ、仕方ないだろう。やっぱりどんなに頑張っても一人にしちゃう時間はある訳だし、エメラルドみたいな年だと好奇心の塊だから何をするかも分からない。それなら本職の人たち見てもらっていた方がいいしな」
「ルビーは?」
「…仕方ないよね。本当はずっと面倒を見てあげたいけど、私もアクアも保育園に通っている………ってことはいつでもエメくんのところに行けるってこと!!」
翌々考えれば、私もまだ保育園に通っていたんだった。多分、エメくんが入るんだったら同じ保育園だろうし、そしたらいつでもエメくんのところに会いに行けるし、逆にいいかも。
「まあ、そうね。預けるとしたらルビーと同じ保育園だろうし」
「やったぁ~~」
「本当にお前はエメラルドに夢中だな」
「エメくんに夢中。あの子は私の命だからね」
どんなことがあったとしても…自分の命は守る。それと同じ。初めて私が守らなくちゃいけない人。前世でも誰かを守るなんて経験をしたことがなくて、転生しても誰かを守るということをしてなかった。そんな私に始めてできた…守らなくちゃいけない命。
「そうか。あんまり無理はするなよ」
「大丈夫だよ。お兄ちゃん」
お兄ちゃんはとっても優しいから私が無理をしないかが心配なんだと思う。でも、お兄ちゃんも私のことを知っているから分かっているはず。私は無理をするなと言われても『無理をする』ということを。
「エメくんはかわいい…」
「ああ、可愛いな」
私とお兄ちゃんはエメくんのことを見ながらそんなことを呟いていた。
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