沙花叉クロヱと管理人   作:主義

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沙花叉クロヱと管理人

僕が管理しているマンションには…一人だけ異臭を放つ住人がいる。僕がここのマンションの管理人になって1週間もしない内にその人物と会うことになった。その時の第一印象は普通の綺麗な人ぐらいだった。だけどその次の日にはイメージが180度変わるとは思いもしなかった。

 

 

その日の朝は隣の部屋から変な異臭がするという話から始まった。どうやら話を聞く限り、仕事に行くために部屋を出て隣の部屋を通りかかった時に異臭がしたという。その人は仕事があるということで行ってしまった。そして僕はその部屋に向かうことにした。

 

一応、相談されたのだから解決をしておかなければならない。そして目的の部屋の前まで着くと…確かに少し変な匂いが充満する。扉を貫通してこんな匂いがするということは部屋の中はどうなっているんだろう。

まずはインターホンを鳴らしてみたが全く応答はない。もちろん、鍵は締まっている。さすがにこんな事でマスターキーを使う訳にもいかないしな。

 

 

そんなことを考えながら扉の前で突っ立っていると……扉が急に開かれた。それもお化けが登場する時のようにとっても遅く。

 

「……な、なんですか~~」

 

明らかにパジャマ姿で昨日見た人とは同じ人とは思えないほどに違う。それに何よりも彼女が扉を開くのと同時に部屋の匂いが勢いよく外に出て来るのだ。

 

 

「く、くさ」

 

言わないように我慢はしたが自然と言葉が出てしまう。それほどまでに匂いがキツイ。

 

 

「くさって失礼な。沙花叉は臭くないです!」

 

 

「い、いや、あなたが臭いというより部屋の中です。一体なにをしているんですか?」

 

ここまで匂いが部屋に充満するなんてよっぼどのことをしなければならないんじゃない。

 

 

「……べ、べつになにもしてないよ…」

 

 

「そんなことはないですよね。普通に暮らしているだけならこんな匂いがする訳ありませんよ。僕にはここの管理人として苦情のようなものが来た以上は解決しないといけないんです」

 

ここで何もしていないという言葉を信じる訳にもいかない。

 

 

「じゃあ、まずは入ってください」

 

 

「入るんですか?別に状況を説明してくれれば入る必要はないんですけど…」

 

言葉でこんなことを言っているが、正直入りたくないという意思が強い。こんなところに入ったら服に匂いがしみこみそうで怖い。

 

 

「入ってくれた方が説明も早いし、何よりも目で惨状を見てもらった方が分かりやすいしね」

 

 

「そ、そうですか…」

 

僕は恐る恐る、部屋の中へと足を踏み入れる。そして中の惨状を目撃することになる。

 

 

 

「やばい……」

 

最初に抱いたのはヤバい。足の踏み場にも困るほどにゴミが散乱している。まあ、あの匂いからしてある程度予想したけど、まさかここまでとは思いもしなかった。

 

 

「本当に汚いですね。もう汚いという言葉でも言い表せないほどに汚いです。どんな生活をしたらこんな惨状になるんですか?」

 

 

「…う……さ、さかまたはふつうにくらしてただけだもん」

 

 

「普通に暮らしているだけならここまでにはならないですよ…」

 

本当にこの惨状については色々と言いたいことはあるけど、ここで僕が言っても仕方ない。それよりもこの惨状をどうするべきかですよね。

 

 

「沙花叉さんですよね?」

 

 

「あ、はい」

 

 

「正直、ここまでになるともう退去も考えてもらわないと…」

 

 

「い、いやだ~~ さかまたをおいださないで~~」

 

すると沙花叉さんは僕に泣きついてきた。泣きつかれてもどうしようもないし、沙花叉さんには言いづらいけど本人からもそれなりにキツイ匂いがする。

 

 

「ま、まずは離れてください…」

 

 

「や~だ~~」

 

 

「だったら掃除をするしかありませんよ。もう周りから苦情が来ているんですから。それにこの汚さだと一日や二日で片付くような感じではありませんからかなり苦労するとは思いますけど…」

 

本当だったら今すぐにでも退去して欲しいところ。

 

 

「…か、管理人さんも手伝ってくれますよね?」

 

 

「え…」

 

 

「お、おねがい~~~てつだって~~」

 

 

 

「……」

 

絶対に首を横に振りたい。でも僕は管理人。管理人はマンションに関する問題などを解決したりすることなのは分かっているが、これは入っているのか。あくまでこれは個人的な問題ではないのか。

そんな考えを巡らせた後、僕は手伝わないという選択を選び、口にしようとした瞬間に上目遣いで僕のことを見ている、沙花叉さんの顔が目に映ってしまった。これを見なければ何も罪悪感を抱くことなく、言えたのに。

 

「わ、わかりましたよ。手伝います」

 

そして最終的に掃除を手伝うことになってしまった。

 

 




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