沙花叉クロヱと管理人 作:主義
沙花叉さんの部屋の掃除をした日から異臭に関しては改善されたようだ。そしてやっとこのマンションにも平穏が訪れた。今日の仕事も終えて…眠りに付こうとした瞬間にインターホンが部屋中に響いた。僕は眠い目をこすりながらも玄関まで行き…扉を開けた。
「だ、だれ…ですか?」
「管理人さん!!」
沙花叉さんが慌てたような感じだけど、こっちは眠すぎる。明日も早く起きないといけないので。
「な、なんですか…?」
「今日分の食料が届いていません!!」
「…あ、そっか。届けるの忘れてましたね…」
僕はすぐに冷蔵庫から…カレーの入ったパックを取り出して沙花叉さんに手渡した。
「…やった~~ 今度からはちゃんと届けてよ。これが沙花叉の生命線なんですから」
掃除をした日に…さすがにあそこで料理を作るのはちょっと難しいと思って僕の部屋で料理を振舞った。それが全ての始まりだった。それから僕は沙花叉さんの食事を作ることになってしまった。
「…でも…もうキッチンでも料理は作れると思いますよ」
あの時は色々と埃が待ってたし、キッチンの近くにもゴミが散乱していた。あそこで料理を作るのはちょっと危険だし、衛生的に見てもあんまり宜しくないと僕は思った。だから料理をごちそうしただけ。
「いやだ~沙花叉は管理人さんのお料理を食べたいの~~」
「別に僕の料理は普通の家庭的なものです。誰が作っても変わらないようなもの…。そんなに拘っているような料理でもありませんし」
「沙花叉は管理人さんの料理じゃないといやなの~~」
「は、はぁ……分かりましたよ。明日も用意をして持っていきますよ」
そして会話を切り上げて…今すぐにでも布団にダイブをしたい気持ちだ。扉を閉めようとすると…予備らの隙間に沙花叉さんが手をねじ込んできた。まるでまだ会話は切らせないというかのように。
「な、なんですか…?」
「もっとお話しよう!」
「い、いや…僕としては明日も早いので寝たいのですが…」
「…や~だ~~沙花叉はまだ管理人さんとお話したい」
沙花叉さんが駄々をこね始めたので仕方なく部屋にあげることにした。これ以上、玄関で騒がられると後々問題になりかけない。
「管理人さんの部屋はやっぱりいい匂いがするね~~」
「そ、そうですか?」
「うん~~いいにおいがする~」
まるで犬のように沙花叉さんは部屋の匂いを嗅ぎ始める。
「…あんまり嗅がないでくださいよ。それで沙花叉さんは何を話したいのですか?」
「…別に何かを話したいとかじゃなくて管理人さんの部屋に入りたかっただけ」
でも、なんかそんな気はしてたんですよね。沙花叉さんが僕に用があるとしたら…ご飯のことか掃除のこと以外はないはずなのに。
「そうですか…」
「だってなんか…居心地いいんだもん」
ここは沙花叉さんの部屋ではなくて僕の部屋なんですがね。そして…僕は沙花叉さんが部屋に入ってきて、ある違和感があった。そのことについて聞いてみることにした。
「こんなことを女性に聞くのは失礼と分かってはいるのですが…一つお聞きしてもいいですか?」
「なんですか?」
「沙花叉さんはお風呂に入っていますか?」
僕はそう問いかけると…沙花叉さんは明らかに動揺した。答えてくれなくてもその反応だけで全てが分かってしまう。
「…く、くさいですか!??」
「…………」
「…そ、そんなぁ…」
「それで何日ぐらいお風呂に入っていないんですか?」
「…い、いっしゅうかんぐらい…」
「そうですか…。まあ、これぐらいの匂いがするには一日二日入っていないというだけではないですよね。お風呂がお嫌いなんですか?」
「……う、うん…」
「そうですか……」
ここで無理に強要をしてはいけない。だって沙花叉さんが誰かに迷惑を掛けている訳ではないからね。部屋が汚く異臭がするのは迷惑を掛けているけど…自分がお風呂に入らなくて汚いのは誰でも迷惑を掛けないですからね。
「まあ、それは個人の自由ですからね。僕には何も言えませんね」
「え、…お風呂入れとか言わないの?」
「これに関してはさっきも言いましたけど、個人の自由ですからね」
「…は、はじめて…。今まで沙花叉がお風呂に入らないのを聞いたら「入れ」って言うのに…」
確かに…一週間もお風呂に入らないなんて聞いたら入れと言う人の気持ちも分かりますけどね。
「まあ、それは入った方がいいとは僕も思いますよ。顔立ちも整っている方ですし、身支度も整えて、お風呂にもちゃんと入ればモテると思いまし。でも最終的にそれを決めるのは…沙花叉さんですからね」
「沙花叉、モテるかなぁ?」
「沙花叉さんは可愛いですからね」
「……そ、そうかな…///」
「そうですよ。まあ、こればっかりは他人の僕には何も言えませんね」
沙花叉さんはその後も自分のことを話したり、僕のことを聞いてきた。そして最終的に夜が明けるまで僕はその話に付き合わされることになったのだ。
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