沙花叉クロヱと管理人   作:主義

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沙花叉は食べに行く

「ねぇ、なんで僕の部屋に沙花叉さんがいるんですか?」

 

 

「え、いいじゃないですか~~」

 

 

「いや、どう考えててもおかしい気がする」

 

掃除をした日以来、沙花叉さんは僕の部屋に来るようになった。その理由は分かっている。『食事』だ。僕は沙花叉さんに夕食の差し入れを行っていた。最初の頃は掃除のこともあってあそこで料理を作るのはさすがに衛生的にマズイかなぁと思ったから。

 

「料理なら渡しますよ」

 

 

「ううん、いいよ。沙花叉が管理人さんのところまで食べに来れば全て解決だよね」

 

その解決法は少しおかしい気がする。それにこの人には人として備わっていないとおかしい『警戒心』というものが全くない。初めて会った時こそ少し警戒している感じはあったものの、それが解けるのはかなり早かった。

 

「少しは男の部屋に入ることに抵抗感や警戒心というものがないんですか?」

 

 

「管理人さんは沙花叉を襲うの?」

 

まさか襲うのかと聞かれるとは思いもしなかった。それに襲う意思があったとしても『襲うのか?』と問われて『襲う』と答えた人はいないのではないだろうか。

 

 

「襲わないですよ」

 

 

「そうだよね。沙花叉は美少女で襲いたい気持ちが生まれてしまうかもしれないけど、それなら最初に会った時に襲われているはずだし」

 

 

「大丈夫ですよ。これからも絶対に沙花叉さんに好意を抱くことはないので!」

 

 

「なんでそんなに言い切れるの?もしかしたら沙花叉を好きになっちゃうかもしれないじゃないですか~~」

 

 

「…言い切れるんです。僕はかなり一途な人間なので」

 

一度この人を好きになったら他の人を好きになる事はほとんどない。子供の頃から好きなものは今でも大好きだし、逆に子供の頃から嫌いだったものは今でも嫌いだ。

 

「え、ってことは管理人さんには好きな人がいるんですか!??」

 

明らかに沙花叉さんが動揺しているのが伝わって来る。

 

 

「まあ、そんなところですかね」

 

 

「……そ、そうなんですか…」

 

 

「僕も世間ではおじさんに入るような年齢に差し掛かりつつありますからね。好きな人はいますよ」

 

そろそろ真剣に色々なことを考えていかないといけないのも分かっている。このままの生活を続けているのも………。

 

 

そんな話を暫くすると沙花叉さんが叫び始めた。

 

「ご飯~~~」

 

時計を見ると夕食の時間にはそろそろ良い時間になってきた。夕日も沈みつつある。

 

 

「はい、分かっていますよ」

 

僕は重い腰を上げて立ち上がって料理を始める。ある程度の下準備はしておいたので出来上がるまでの時間はそれほど掛からない。沙花叉さんが来るのは分かっていたようなことなのでね。今日はカレーを作る予定。

 

「何か適当に暇つぶしをしておいてください」

 

 

「は~~い」

 

沙花叉さんの良い返事が聞こえてきたので僕は料理作りに専念することにした。

 

 

十分ぐらいが経つと沙花叉さんの方から呼びかけてきた。

 

「ねぇ…」

 

 

「なんですか?」

 

 

「管理人さんの好きな人って綺麗な人?」

 

 

「綺麗ですよ。僕が一目惚れをするぐらいの人ですからね。後にも先にも彼女以上の女性は現れませんよと断言できてしまうほどに美しい女性でした」

 

彼女はとても美しい人だから。

 

 

「そんなに綺麗な人なんだ~~沙花叉も一度ぐらい見てみたいな~~」

 

 

「どうですかね……」

 

少し複雑な気持ちになりながらも僕はカレーを煮詰めているのだった。

 

 




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