沙花叉クロヱと管理人 作:主義
管理人さんはとっても優しい。最初は少し怖い人かなぁと思ったりもしたけど、話していく内に優しい人なのが伝わってきた。でもそんな管理人さんにも一つだけダメなところがある。それは優しいところ。あまり優し過ぎると誰かに付け込まれたりするんじゃないかと思ってしまうほど。沙花叉は優しいから管理人さんの優しさに付け込むような真似はしないけどね。
「ねぇ~~いっしょにでかけようよ~」
「……はぁ…離してくれませんか?」
「ねぇ、ねぇ、いこうよ~~」
「……ち、ちょっとはなしてください!」
「ねぇ~ねぇ~~」
それから十分以上粘れば管理人さんは「分かりました」と言ってくれる。そこまで我慢すれば確実に肯定的な返事をしてくれるのは管理人さんと接していく内にわかった。
全然…沙花叉は管理人さんの優しさに付け込んでいるんじゃなくて…お願いをしているだけだもん。別に管理人さんも嫌々じゃなくて行きたいのに我慢しているから沙花叉は正直になった方がいいと思って誘っているだけ。
沙花叉は管理人さんのことをかなり気に入っている。こんなに異性の男性に対してドンドン行く感じじゃないのに管理人さんを前にしちゃうと体が動いちゃう。
「それじゃあ~どこにいこうかなぁ~」
「え、決まってないんですか?」
「うん。だって勢いで誘っただけだもん。行く場所はこれから決めるんだよ」
「そ、そうですか…」
管理人さんは明らかに困ったような顔をしているけど、そういうところも可愛い。
「管理人さんは行きたいところとかありますか?」
「ないですね。折角の休暇なので自宅で休みたいですね」
管理人さんにも休みの日はある。そして今日はその日。だから沙花叉は今日なら管理人さんを誘えると思ったんだもん。
「だ~め~~沙花叉と出掛けるの!」
「いや、僕が居てもそんなにいいことはないですよ」
「ううん、沙花叉は管理人さんと一緒がいいの」
沙花叉は管理人さんの腕に抱き着いた。それなりに管理人さんと沙花叉には身長差があるので本当にいい感じに抱き着ける。
「そうですか?僕にそんな魅力はないですけどね…」
「沙花叉はそんなこと思わないけどなぁ~~管理人さんと一緒に居ると楽しいよ」
「沙花叉さんは少し変わっているのかもしれないですよ」
「…そ、そうかなぁ…」
別に沙花叉は変わってないと思うけどなぁ。確かにお風呂に入らなかったりするところはあるけど、自分で料理だってしようとすれば出来るし。確かに今は管理人さんに食事を頼っているけど…。
「本当に行きたいところないんですか!?」
でも、折角のお休みなんだもん。早くいく場所を決めて管理人さんにお休みを充実させて欲しい。
「…行きたいところですかぁ……映画ですかね」
「映画?」
「はい、最近、公開された映画でちょっと気になるものがあって…」
「じゃあ、それにしましょう!!」
「いいんですか?沙花叉さんの好きなところでも全然大丈夫ですよ」
「沙花叉は管理人さんが行きたいところに行きたいので…」
そして沙花叉と管理人さんは映画館に向かった。
「な、なんで……」
「本当に大丈夫ですか?もし、ダメなら今からでも」
「いいよ!だって…さ、さかまたが…管理人さんの好きな映画でいいって…いったんだし」
「でも…」
「だ、だいじょうぶ」
「…ホラーが苦手なら先に言ってくれたら良かったのに…」
沙花叉にとっては地獄の時間だったけど…勇気を振り絞って目を開けて隣に視線を移すとそこには子供のように無邪気な笑顔を浮かべていた。
「よ、よかった…」
本当にもう二度と見たくないぐらいだけど、管理人さんがあんな笑顔をしてくれるなら…。
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