沙花叉クロヱと管理人   作:主義

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頭ピンクコヨーテ

 

沙花叉さんと知り合って1ヶ月以上の時間が過ぎた。普通は管理人と住んでいる人が親しくなって家にまで呼ばれることはほとんどないと言ってもいい。

 

なのに今の僕は沙花叉さんの家にいる。

 

 

「お疲れ様~」

 

 

「ありがとうございます」

 

それではなんで僕が沙花叉さんの家にいるのかというとそれは実に簡単でお掃除のため。沙花叉さんは数日掃除しないだけでそれなりにゴミだらけになる。そして沙花叉さんの頼みでまた掃除を手伝いに来た。

 

 

「これからはなるべく自分で掃除をしてくれませんか?」

 

少しでもやってくれればここまでひどくなることはないはず。こまめに掃除をしていれば…僕が掃除を手伝いに来なくても済むようになるはずですしね。

 

「え~~管理人さんが手伝いに来てくれるんだもん」

 

 

「じゃあ、これからは手伝いに来ませんよ。沙花叉さんの自立のためにも」

 

 

「い~や~だぁ~~」

 

沙花叉さんは駄々をこね始めると長くなる。

 

 

「分かりましたよ。だから今は大人しくしていてください」

 

そしてそんな話をしていると玄関の呼び鈴の音が部屋に響いた。沙花叉さんが玄関まで行って何か話しているようだ。そんな時間もしないうちに沙花叉さんは戻ってきた。

 

「管理人さん、ちょっと沙花叉の友達を紹介してもいい?」

 

 

「え…」

 

急にそんなことを言われて混乱してしまったが、今更ダメだと言えるわけがない。だって多分、さっきの呼び鈴がその人なんだろうし。

 

 

「頭ピンクコヨーテちゃんです~」

 

そして部屋の中に入って来たのは…ピンク色の髪色でケモ耳の少女。

 

 

「ち、ちょっとくろたん!!変な名前で紹介しないでよ!」

 

 

「だってそういう名前でしょ」

 

 

「ちがうよ!こよは博衣こよりって名前があるでしょ!!」

 

 

「へぇ~そうなんだぁ~」

 

やり取りを聞いているだけでも沙花叉さんとこの子が仲良いのは伝わって来る。この中にいるのはさすがに場違いではないかと思ってしまうほど。

 

 

「それでこの方が管理人さんでいいんだよね?」

 

 

「うん、さっきもお掃除を手伝ってもらってるんだぁ~」

 

 

「本当にうちの沙花叉がお世話になってます」

 

 

「あ、ご丁寧にどうも」

 

そしてそんなこんなで僕と博衣さんと沙花叉さんで机を囲む。博衣さんが沙花叉さんへのお土産として何か透明な飲み物を持ってきてくれたらしい。そしてそれを最初に注がれて僕は流し込むように飲んだ。別に普通の『水』のよう……。

 

 

「あ、ちょっとまって!!!」

 

博衣さんが何か止めているが、もう水らしくものは流し込んでしまった。

 

 

「…な、なんだ…」

 

そしてそこで意識は途絶えた。

 

―――――――――

 

「え…管理人さん!!」

 

いくら揺らしても何も返答がない。口元に耳を近づけてみると息はしているようで一安心した。そこでこよちゃんの方に視線を移すと焦っていた。

 

 

「ど、どうしよう…」

 

 

「こよちゃん、これ何が入ってたの?」

 

 

「…睡眠薬」

 

 

「ってこれ沙花叉に飲ませようとしたってこと?」

 

 

「うん、ちょっとくろたんにいたずらしようかなぁと思って」

 

それで管理人さんが間違えてそれを飲んじゃったってことか。でもそれなら少なくとも命の心配はないはず。

 

 

「ど、どうしよう~くろたん」

 

 

「まあ、大丈夫でしょ」

 

 

「え?」

 

 

「大丈夫だよ。それに後で管理人さんに事情を話せば許してくれると思うしね。それよりも今なら管理人さんは無防備ってことだよね!」

 

 

「…な、なにをする気?」

 

 

「そりゃ…普段は出来ない事でしょ」

 

案外、管理人さんはガードが堅い。沙花叉とはしっかりと一定の距離を置くし。でも、こういう時だったらどんなことをしても許される。それに睡眠薬を飲んだんだとしたらしばらくは絶対に目覚めることはない。

 

 

沙花叉は管理人さんの右隣に寝転んで匂いを嗅ぐ。こんな至近距離で人の匂いを嗅げる時間はない。

 

「ち、ちょっとクロたんなにしているの!??」

 

 

「うん?匂いを嗅いでるんだよ」

 

 

「なんで匂いを?」

 

 

「だって管理人さんって良い匂いがするんだもん。前に一緒にお出掛けした時も思ったんだけどね。その時は香水かなぁと思ったんだよ。でも、今日で確信した。これは管理人さんの匂いなんだよ!」

 

少し興奮気味で沙花叉が言うもんだからこよちゃんは少し引いている。

 

 

「…え…さ、さすがにそんなことしたら怒られるよ!!」

 

 

「バレなきゃ大丈夫!大丈夫!」

 

沙花叉は犬のように管理人さんの匂いを嗅ぐ。肺の中を管理人さんで満たしている。

 

 

「や、やめなよ!」

 

口では否定しながらもこよちゃんは気になっている。だってずっとこっちを見てるもん。

 

 

「こよちゃんも我慢せずにこっちに来なよ」

 

 

「が、がまんなんかしてないないよ!!クロたん見たいな変質者になりたくないもん!」

 

 

「え~~絶対にこよちゃんも気になってる癖に。くんくん、はあ~~やっぱり管理人さんっていい匂いだなぁ~~」

 

沙花叉はこよちゃんを挑発するかのように言い続けた。でも本当に管理人さんの匂いはいい。なんか…おかしいかもしれないけど…優しい匂い。

 

 

「あ~~こよりも!!!」

 

そしてこよちゃんも沙花叉とは反対の左から管理人さんの匂いを嗅いでいる。

 

 

「ほら、やっぱりこよちゃんも我慢してたんだぁ~」

 

 

「ち、ちがうもん!クロたんみたいな変質者とは違うもん!」

 

口ではそんなこと言いながらもこよちゃんは夢中になって管理人さんの匂いを嗅いでいる。そしてその時のこよちゃんは今にも天に上りそうな…顔をしていた。世間には見せられないね。

 

 

「沙花叉もこよちゃんに負けないように!」

 

沙花叉も張り合うように嗅ぎ始めて…管理人さんを両隣からに匂いを嗅がれている。起きてたら絶対にこんなことできないもんね。今の内に…嗅いでおかないと。

 

――――――――――

 

窓からの光で目を覚ました。

 

「あ、あれ…なんで……って…え!」

 

 

なぜか両隣に沙花叉さんと博衣さんが寝ていた。

 

「…ど、どうして……」

 

いくら思い出そうとしても…全然思い出せない。博衣さんが来たところぐらいまでは思い出せるんだけど……。

 

まずは起き上がろう…。この状態で二人に目を覚まされると色々と誤解してしまうかもしれない。そして起き上がろうとして…僕は気付いた。

 

「…手が…」

 

両腕とも二人に抱きしめられていて起きれない。ここで無理に動かせば必ず二人は目を覚ます。さすがに気持ちよさそうに寝ている二人を起こすのは悪い気がするし、待ちますか。

 

 




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