沙花叉クロヱと管理人 作:主義
スタジオでの収録が終わってお家に帰っている時に…沙花叉は見てしまった。そこには…管理人さんと黒髪ロングの綺麗な女性が一緒に歩いている。
「あれが…もしかして…管理人さんの好きな人なのかな」
まだ正面から見れてないけど…着ている服も白のワンピースで後ろから見ている感じだと綺麗な女性って感じがする。
さすがに空気読むが上手じゃない、沙花叉でも今は話し掛けていくタイミングじゃないのは分かる。もしかしたら…『デート』かもしれないし、そこに水を差すような真似はしない。だってもし、沙花叉が管理人さんと出掛けている時に水を差されたらキレそうだもん。
ちょっと…もやっとするけど…今は大人しくしてよう。でも、さすがにここで家に帰る気にもなれず、管理人さんたちの後を追うことにした。付けているのが分からないように少し距離を取りながらの尾行。
そして最初にスーパーに入って行った。これも管理人さんだけで女の人は外で待っている。10分ぐらいすると管理人さんは帰ってきた。その手にはスーパーの袋を抱えていた。
次に管理人さんは…花屋の前で歩みを止めて店員さんと何か話して店から出てきた時には…花束のようなものを抱えていた。今回も店の中に入ったのは管理人さんだけで女の人は外で待っていた。
そしてまた二人で一緒に歩み始めた。
「いいなぁ~」
その光景を見ていて自然と口から出てしまった。女の人の身長は軽く160cm以上ある気がする。だから二人が隣同士で歩いている姿はとても良く映る。でも、沙花叉だと管理人さんとの身長差とかがあるから子供とお父さん的な感じで見られちゃう。
「沙花叉にもっと身長があったらなぁ…」
沙花叉がそんなことを思っている間にも二人はどんどん進んじゃって…沙花叉が置いてきぼりになるところだった。
なぜか、管理人さんと女の人はお寺の中へと入って行く。沙花叉は疑問に思いながらも二人の後を付けて行く。すると二人はお墓がたくさんあるところを歩いて行って、あるお墓の前で歩みを止めた。
ここからじゃ管理人さんが何を言っているのか分からないけど、何か話しているのだけは分かる。そして今度はお墓にお花を供えたりし始めた。
「もしかして管理人さんの大事な人のお墓なのかな」
そしてスーパーの袋の中から線香とライターを取り出した。
これは…さすがに悪い気がした。人がお墓参りをしているところを隠れて見ているのは別に犯罪じゃないけど、嫌な気がする。なるべく音を立てないように沙花叉は忍び足で帰ろうとした。
そして数歩ぐらいまでは良かったけど、運悪く木の枝を踏んでしまった。
「あ、あれ…沙花叉さんじゃないですか?」
後ろからそんな声が聞こえて来る。
「あ、管理人さん!こんなところで会うなんて偶然ですね!!」
そう言いながら振り返って…沙花叉には疑問が湧いた。だって今の沙花叉の視界には管理人さんが一人でこちらを見ているだけ。
管理人さんだけ…。
女の人の姿がどこにもない。少なくともさっきまではお墓のことを眺めていたはず。沙花叉が帰るために視線を外すまでは…。
「沙花叉さんもお墓参りですか?」
「あ、はい…」
さすがにキョドってしまった。
「どうしたんですか?」
「一つだけ聞いていいかな?」
「はい、どうぞ」
「管理人さんってここまで誰かと来ましたか?」
「いえ…一人で来ましたよ」
その言葉を聞いて…沙花叉はなんか体が急に寒くなる感覚がした。だったら沙花叉が見ていた、あの女の人は一体誰だったんだろう。ずっと管理人さんの隣を歩いていて…。
「だ、だいじょうぶですか?」
「だ、だいじょうぶ…」
「それならいいですけど…」
「あ、あのもう一つ聞いてもいいですか?」
「いいですよ。僕に答えられる範囲のことであれば」
「…あ、あのこのお墓って」
「あ、このお墓は僕の奥さんのお墓です」
「お、おくさん!!?」
「はい」
「え…ってことは管理人さんって結婚してたの!!」
「はい。してましたよ」
そういえば、前に『好きな人』が居たとか言ってたかも。それが…奥さんのことだったってことか。
「とっても綺麗な人だったんですよ。僕が一目惚れしちゃって。僕も初恋だったのでどうすればいいのか分からなくて…頑張って振り向いてもらおうと色々なことをしましたよ。そして最終的に結婚までこじつけたんです」
そう語っている、管理人さんはお墓を見ていた。そしてその目はまるで過去を懐かしむかのようで。
「そうなんですか…」
「あ、いらないことまで話しちゃいましたね」
もしかして…この話からするとさっきの女の人は。
「奥さんの写真とかありますか?」
「写真ならありますよ」
そして管理人さんは自分の端末を取り出して…操作して沙花叉に見せてくれた。そこにはさっきの女性と同じような風貌の女性が管理人さんと笑顔で映っていた。綺麗な黒髪で身長も160cm程度。
「あ…やっぱり…」
「なにがやっぱりなんですか?」
「ううん。何でもないです」
じゃあ…奥さんは亡くなった後も管理人さんの側にいるのかも。亡くなっても一緒にいるなんて余程管理人さんのことが大好きだったのかな。
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