沙花叉クロヱと管理人 作:主義
どうして管理人さんが退院して戻ってきてからはいつもの日常に戻った。管理人さんと会ってから毎日がもっと楽しくなった。管理人さんの側に居られるだけでも…沙花叉は幸せ。今まで管理人さんといることが当たり前すぎて気が付かなかった。
「管理人さん」
「なんですか…?」
「沙花叉の側に居てくれてありがとう」
「…い、いや、沙花叉さんが僕の腕をずっと抱きしめて来るからですよ。離れたくても離れられないんです。離してくれたりしませんか?」
「いやだよ。沙花叉は管理人さんとくっついていないとダメなので」
沙花叉にとって管理人さんがオアシスで…全ての疲れを癒してくれる。触れているだけでこんなに回復できるなんてゲームの回復薬みたい。
「あ、そう言えば…見ましたよ」
「なにを?」」
「沙花叉さんの動画を」
それを聞いた瞬間に…沙花叉は平常心を保てなくなった。
「み…み…たの?」
「はい、入院中に暇だったので見ました」
「ま、まじで?」
「まじです」
「…みないでよ!!!」
「な、なんでですか?」
「だ、だって…恥ずかしいじゃん!!」
配信上の沙花叉もあくまで沙花叉。でも、やっぱり管理人さんと一緒にいる時とが違うし、なんか沙花叉の秘密を見られちゃった気分。
「…じ、じゃあ…生配信とか見たことも…あるの?」
「ありますよ。何ならコメントをしたこともありますよ」
もしかしたら…あのことを聞かれていたのかなぁとか考えたりしちゃう。別に知られて困るようなことは言ってないけど…。それでも管理人さんにはいつもの沙花叉だけを知っていて欲しい。
「…や、やめてよ…」
「え、面白かったですよ。沙花叉さんって話も上手ですし、歌もとっても上手かったんですね」
「……そ、そんなことないって!」
「そうですか?僕は見ていてとても楽しかったですよ」
管理人さんに褒めてもらえるのはとても嬉しい。褒めて欲しい人に褒めてもらえるのは何事にも代えられない位に嬉しい。だけど…それと同じかそれ以上に恥ずかしい。
「これからはあんまり見ないで!!」
「え、面白いから見ようと思っていたんですが…」
「だ、だめ!!管理人さんは沙花叉の動画とか生放送とか見ちゃダメ!!」
「で、でも……」
どうしても見て欲しくないから、沙花叉は管理人さんの端末を貸してもらってチャンネル登録を解除しようと思ったら…。
いや、沙花叉クロヱのことをチャンネル登録してた。
それはいいとして――――――――
「な、なんで…こんこよといろはちゃんのことを登録してるの!?」
「博衣さんも風真さんも面白かったですから。最近はまた仕事に戻っちゃったので色々と忙しいから見れていませんけど」
「…だ、だめ!!」
沙花叉は自然と…二人のチャンネル登録を解除した。
「…なんでですか?」
「管理人さんは沙花叉だけ見ていればいいの!!」
なんか、管理人さんがこんこよとかいろはちゃんの配信を見ている姿を想像するだけで…なんかいやだ。他の子に管理人さんが夢中になっているのは。
「…え、さっきと言っていることが矛盾していませんか?」
「い、いいの!!!管理人さんは沙花叉だけ見てればいいの!!」
「わ、わかりました」
勢いだけで押し切るしかない。今の沙花叉は自分でもおかしいと思う。だって身内でもないのに、管理人さんの見ているものに口を出しているんだもん。
それから…昼食を作るために管理人さんは厨房で料理をしている。
沙花叉はそんな管理人さんの後ろ姿を見ていた。
自分ではこの気持ちに…気付いていなかった。いや、気付かない振りをしていたのかも。
沙花叉は管理人さんのことが『大好き』。だから…管理人さんが他の子を見ていたら嫌な気持ちになるし、誰よりも沙花叉のことを見て欲しいと思っちゃう。
でも、そんな気持ちを馬鹿正直に伝えちゃったら今の沙花叉と管理人さんの関係は壊れちゃう。今までのように普通に話して…普通にご飯を食べて…という生活が終わっちゃうと思う。それに告白をしたとしてもほぼ間違いなく、断られちゃうだろうし。
沙花叉も管理人さんと出会ってからはそれなりに経ったから分かるんだよ。管理人さんの心の中にはまだ…奥さんのことが根付いている。いや、たぶん、これからもずっと……。沙花叉の入る隙間すらもないほどに二人の結びつきは強いんだもん。
「はぁ……きついなぁ…」
感想があれば