さんばか×シチュエーション   作:主義

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さんばかが苦手なもの

リゼ・ヘルエスタ

 

今日は二人でホラーゲームをやることになった。

 

「は、はなれないで!!」

 

 

「大丈夫ですから引っ張るのは止めてください」

 

 

「だ、だめ…」

 

 

「…一回でいいので落ち着きましょう」

 

 

「む、むりだよぉ…もうバクバクだもん」

 

 

「止めますか?僕としては後でやってもいいですし、リゼさんがホラー苦手なのは分かっていた事ですし」

 

 

「…だ、だいじょうぶだもん!」

 

 

「でも、腕が震えていますよ。それに無理して明日に響かない方が良いと思いますよ」

 

 

「だ、だいじょうぶだっていったらだいじょうぶなの!」

 

 

「そ、そうですか?リゼさんがそこまで言うなら」

 

でも、リゼさんの恐怖は僕の服の袖を握る力が強くなっていることだけでも分かっちゃう。そして少しずつホラーゲームを再開していくとリゼさんは袖を掴むんじゃなくて腕を抱きしめて来るようになった。

 

 

「あ、あの…さすがにそうされるとゲームの操作が出来ないんですけど」

 

 

「む、むりかも…」

 

 

「じゃあ、止めましょう」

 

さすがにこのまま続けるのは無理だってゲームの電源を切ろうと思っていたらリゼさんがその手を止めた。

 

 

「で、でも…手を繋いでくれたら…」

 

 

「え?」

 

 

「…手を…」

 

 

「…あ、はい」

 

僕はリゼさんの手を繋ぐことにした。別に止めてもいいんだけど、リゼさんが大丈夫ならやっておきたいんだよね。明日も休みだし、夜更かしできるのは今日ぐらいしかないから。

 

 

「…本当に続けていいの?」

 

 

「う、うん…きみがそばにいれば…」

 

 

「…そ、そうですか…」

 

そして最終的にホラーゲームをENDまで出来たけど…リゼさんはその日、眠りに付けなかった。これからはやっぱりホラーゲームをやめようと思った。

 

 

 

 

アンジュ・カトリーナ

 

「そんなに無理しないでいいんですよ」

 

 

「…だ、だめ…」

 

 

「もう明らかに無理そうな顔をしていますし」

 

 

「だ、だって…キミがトマトを食べたらアンジュの言って欲しい言葉を言ってくれるんだよね!?」

 

僕は冗談交じりにそう言ってしまったらそれを本気にしてしまった。

 

 

「まあ、そういいましたけど、そんなに無理なら別に言ってあげますよ」

 

 

「だめ。ご褒美として…キミの言葉を聞いた方がもっと格別だもん」

 

 

「だけど、もう無理そうじゃないですか」

 

アンジュさんの顔は今から地獄に行くときの顔。死にそうな顔。

 

 

「アンジュ、がんばる!」

 

 

「無理しない程度に頑張ってください」

 

アンジュさんのトマトを掴んでいる、箸は震えていた。そこからも本当に苦手なのが伝わって来る。

 

 

「た、たべる…アンちゃん、勇気を出すのは今や!」

 

 

「頑張ってください」

 

そして食べそうで食べないという感じが30分以上も続いて…ついにその時が来た。アンジュさんはトマトを口には運んだ。

 

 

どんどんアンジュさんの顔は歪んでいって…僕の袖を強く握っている。そして少し咀嚼した後に飲み込んだ。

 

「ど、どうでしたか?」

 

 

「ま、まずい…」

 

 

「まあ、そうですよね」

 

普通に苦手ものが急に大丈夫になることもあるけど、無理なものはずっと無理なことだってありますしね。

 

 

「でも、これでアンちゃんの願いを叶えてくれるってことだよね!?」

 

 

「え、言って欲しい言葉を言うって話じゃなかったんですか?」

 

 

「あ、そうだったっけ。じゃあ、「アンちゃんのことが世界で一番好き!愛してる!」って言って」

 

ちょっと恥ずかしいですね。改まって『好き』なんて言うことはないですし。

 

 

 

でも、アンジュさんも頑張りましたしね。僕は深呼吸をしてから言い始めた。

 

「アンちゃんのことが世界で一番好き!愛してる……///」

 

 

「………///」

 

アンジュさんの顔を見ると赤く染まっていって…僕も恥ずかしくて頬が熱を帯びちゃっているし。お互いにダメージを喰らった。

 

 

 

戌亥とこ

 

今日は戌亥さんと蕎麦屋に来ていた。

 

「今日は僕が決めちゃってよかったんですか?」

 

 

「ええよ。いつもあたしの行きたいところに連れてってるし」

 

 

「そうですか、ありがとうございます」

 

そしてその後も他愛もないような話をして蕎麦が運ばれてきた。さすが有名なお蕎麦屋さんというだけあってとても美味しそう。

 

僕は橋を取ろうと戌亥さんの方に視線を向けるとそこには…氷のように固まっている戌亥さんの姿があった。

 

 

「ど、どうしたんですか?」

 

 

「…ね、ねぎが…」

 

 

「ねぎですか?」

 

 

「…苦手なんよ。ねぎとかわさびとか…」

 

 

「あ、そうなんですか。それならねぎとかは僕が取っちゃうので」

 

確かにネギが嫌いな人には最悪かもしれない。だってもうねぎは汁の中に入っちゃっている。普通はお好みで入れたり、入れなかったりするものだけど。

 

 

「ご、ごめん」

 

 

「別にそんなことで謝らないでくださいよ。誰にでも苦手なものはあるので」

 

 

「…ありがとう」

 

 

「お礼を言われるようなことでもないですけど、戌亥さんに苦手なものってあったんですよね」

 

正直、戌亥さんと付き合い初めて感じたのは本当に完璧。どんなことでも出来ちゃって、逆に自分の無力さというのを痛感させられる。

 

 

「あたしは完璧超人んとでも思っとるん?」

 

 

「はい、完璧ですし」

 

 

「そんなこと全然ないよ。あたしだって得意なことがあれば不得意なこともあるよ。それにあんまり言えへんし……」

 

 

「なにをですか?」

 

 

「あんたに気持ちを伝えてへん。何度も言おうと思ったけど、言えなかった」

 

 

「?」

 

 

「…こんなことで言うことやないけどちょっと言ってもいい?」

 

 

「あ、はい…どうぞ」

 

戌亥さんが何を言うのかまるで見当もつかない。

 

 

「あたしはあんたのことが大好き」

 

 

「え…」

 

急にそんなことを言われると思っていなかったので脳がショートしてしまった。

 

 

「ほな、お蕎麦食べよう」

 

 

「え、えええ…そんな普通に!?」

 

 

戌亥さんはもうお蕎麦を食べ始めちゃっている。僕の頭はまだ全然働いていない。

 

 

だけど…とっても嬉しい。




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