俺は今年で…15歳。今年から高校生になる予定だ。俺としては医者になるためにそれなりに良い大学を受験しようと思ったが…結局、ルビーと同じ陽東高校に入学することになった。それは前に「アクアは役者さんとか向いていると思うんだけどな」と言われたことを未だに引きずっている。
そんな時に俺はスカウトされた。そしてそのスカウトはアイドルとしてだった。もちろん、俺は断った。俺にはアイドルなんてものは向かない。アイのような非凡な才能もなければ、ルビーのように人から愛されるような人間でもないんだからな。まだ役者としてのスカウトとかだったら…考えなくもなかったが。
スカウトされたことをアイに話すとアイは少し残念そうな顔をしていた。
「え~~アクアもアイドルになればいいじゃん」
「俺には向かないよ」
「やってみればいいのに~」
アイは本当に無責任なことを言う。俺のような人間がアイドルになっても誰も『ファン』にならない。まず、なろうと思わないだろう。
すると…ミヤコが急に話に入ってきた。
「いいじゃない。やってみても」
「やっぱりそう思う?」
「ええ、別に顔も悪くないし、アイドルとしての才能を持っているかは分からないけど、向いていないことはないんじゃない」
この人も何を言っているんだ。これで変にアイが乗り気になったらどう責任を取ってくれるんだよ。
「やっぱそうだよね!!アクアは役者さんかなぁと思ったけど…アイドルってのもありだと思うんだよね」
「社長の方に私の方からお願いしてみよっか?」
「うん!お願い!!」
「いや…やらないよ。俺にアイドルなんて向かない」
「大丈夫だよ。私だって出来たんだし、アクアなら絶対に大丈夫!!」
そしてそれからもアイに何度も説得されて最終的に首を縦に振ってしまった。なんでか分からないが、アイに迫られると断れない。これは幼い頃からずっとそうで…本当にアイには叶わないな。
普通はアイドルなんて簡単になれるものではない。アイドルオーデションなどの応募をして、審査に通ったらやっとアイドルになれるものだ。だが、俺たちに関しては少し事情が違う。それは母親のアイが所属している、苺プロの社長たちとかなり親しいことだ。そんなこともあってルビーも苺プロからアイドルとしてデビューするらしい。そしてそれは俺も同じだ。
どうやら…社長もアイの息子や娘ということもあってオーデションも何もなかった。
そして家に帰るとすぐにルビーが迫ってきた。
「お兄さんもアイドルになるんだって!?」
「うるさい」
「お兄ちゃんがアイドルなんてどんなことがあったらそんなことに?」
「アイに迫られてな」
「ああ、お兄ちゃん、ママには弱いもんね。ママに頼まれたらどんなことでもやっちゃうしね」
ルビーの言い方は気になるが、確かに俺はアイに弱いのは事実だから言い返さない。
「まあ…どうせ俺はルビーと違ってアイドルに対して憧れもなければ売れたいという想いもないからすぐに終わると思うけどな」
ファンは予想以上に…アイドルの人間性などを見抜いてしまったりする。頑張っている人間と頑張っていない人間などもなぜか見抜けてしまったりするもんだ。だから、ルビーのような向上心の塊と俺のように向上心なんか欠片もないような人間ではどちらが売れるかなんて誰が見ても明らかだろう。
努力をしても必ず…報われるわけではない世界だが、それでも努力も何もしてない人間が売れるられるような甘い世界ではないからな。
「え~~私としては『兄妹アイドル』なんて肩書でいつかはライブとかしたいけどなぁ~」
「そんなこと無理だろう」
「夢は大きく持たないと。それにママのためにも私たちが輝いているところを見せてあげたいじゃん」
ルビーはかなり盛り上がっているが、俺としてはそこまで盛り上がれるようなものじゃない。これからアイドルとしての活動をしていく上で……色々と面倒なことも多いだろう。それにデビューする以上は事務所に迷惑を掛けるような真似はあまりしたくない。
社長にもかなりお世話っているしな。
「まあ…出来るだけ頑張るか」
感想があれば