変な所に来てしまったようだ
…えーっとだな。まずは一言言いたい。
「何なんだぁここはぁ?」
まだ頭が混乱していて、何がなんだかさっぱりだ。
辺りが真っ暗なので良く見えないが、目の前には神社?みたいなのあるし。
参ったな。どうやら本当に「幻想郷」とやらに来てしまったらしい。
そもそも幻想郷って何なんだろうか。名前の通り、幻想の里か?
…ダメだ。考えがまとまらん。こういう時には。
「…何か夜っぽいし、今は寝よう。」
寝るのが一番!
だが、ここで重大な事に気づく。すげー重大な問題。
「…どこで寝ればいいんだ…」
大ピンチである。
「さすがに神社に無断で上がりこむのは不味いよな…住んでる人を起こすのも迷惑だろうし…となると…」
思わずため息をつく。当然と言えば当然の結論にたどり着いたからだ。
「…野宿、か…。」
未開の地(現在)で人生初の野宿ってどうよ…と思ったが、贅沢は言ってられない。
そして俺はあろうことか、その場で横になって寝てしまったのだ。
どんだけ神経太いんだよと自分でも言いたくなったが、寝てしまったもんは仕方ない。
「明日になれば何かわかるだろ…」
そう思いながら俺は寝た。
5秒位して(自分の感覚)、俺はいきなりの大声に意識が覚醒した。
内容はよく聞き取れないが、どうやら女の人の声のようだ。案の定、起きろとでも言っているのだろう。
しかし俺は寝ぼけていたため
「…後五分…」
などと返答してしまい、相手はブチ切れ。
直後、腹部に棒?でも叩きこまれたような衝撃が走り、俺は悶絶した。
「いい加減にしなさいよ!人の神社の境内で堂々と寝る奴がいるか!」
そう言えば思い出した。俺は神社の目の前で寝ていたのだ。
そりゃあ怒られて当然だわ。
しかし、どうしようか。声からしてめちゃくちゃ怒ってそうだし…。
…しょうがない、とりあえず起きて謝ろう。
俺は目を開けた。
「あっ、やっと起きたわね…さあ、何で私の神社、しかも外で寝てたのか説明しなさい。」
…俺は答えなかった。何故なら、目の前にいる少女の容姿があまりに変わっていたためだ。
真っ赤なスカートに同じく赤い上半身?の服。何故か腋が出ている。暑がりなんだろうか。
さらに両腕に付いている着物の袖みたいな物。何で分離してんだろ。
頭にはでかいリボン。スカートと一緒で赤い。
うーむ、不思議だ。すごく奇抜な巫女さん?なんだろうか。
「…ちょっと、聞いてるの?」
「聞いてないです。」
「…は?」
「いやだから聞いてないです。」
「…殺していい?」
「いやです。」
「潰していい?」
「お断りします。」
「…分かったわ。」
そう言い終わらないうちに、俺はその巫女さん?に胸ぐらを掴まれて引っ張り上げられた。
「これが最後よ。あんたは誰?答えなさい。今すぐに!」
声の感じと体の吊られ具合からしてこれはやばいと思った俺は、即座に
「…き…『
と自分の名前を答えた。すると相手は手を離してくれた。
「最初からそう言えばいいのに。変わってるわね、あんた。」
…ごもっともですよ、巫女さん(仮)。
「…まあ聞きたい事は沢山あるけど、一応名乗っておくわ。
私の名前は『
うむ、やはり巫女さんだったか。
「…当たった。何であの服から予想出来たんだろう…。」
「えっ?」
俺が小声で呟いた言葉を巫女さんは聞き逃さず、不思議そうな声を上げた。
「…何でもないです。」
「何よ。」
「いやだから何でもないです。」
「…怪しいわね…」
「結構疑りますね…。」
「私の勘は良く当たるのよ。話してみなさい。」
…面倒だな…取り敢えず、率直な感想を言えば良いか。
「…あ、はい。巫女服にしてはずいぶん変わったデザインだなーと。」
「え、そうなの?」
「…えっ?」
「先祖代々ずーっとこの格好よ?」
そうだったのか…先祖代々暑がりだったりしたのか?。
「…あ、そうなんですか。すみません、博麗さん。」
そう言って謝った瞬間、大笑いされた。
「…は、博麗さんって…霊夢でいいわよ。…それにしてもはくれいさん…」
少女爆笑中…
「………………」
「…あ、ごめんなさい。つい…」
「いえ、気にしないでください。」
「…じゃ、とりあえず上がりなさい。丁度朝ご飯食べようとしてたから、
あんたにもあげるわよ。」
本人は普通に言ったのかもしれないが、こちらはひどく驚いた。
いや、だって何処の誰かもわからない、しかも人の家の敷地内で寝てた奴だぞ?
普通一緒にご飯食べようなんて言うか?
俺がまごまごしていると、
「さっきの事はいいわよ。早く上がりなさい、祠弥。」
「…いいんですか?」
「いいからさっさと上がりなさいっ!イラつくわね!」
「うわっ!?」
俺は腕を掴まれ、簡単に家の中に引っ張りこまれる。
…しかし、凄まじい力だな…ぱっと見、俺とほとんど同じ位の年なのにな。
「ほら、味噌汁冷めちゃうわよー。」
…寝坊した子供を急かす母親ですか、あなたは…
ま、ここまで言われたら断る方が失礼だよな。
俺は観念し、ありがたく頂くことにした。
「…ありがとうございます、霊夢さん。」
「霊夢でいいわよ。」
これが、俺が幻想郷の住人とした最初の会話だった。