東方有無録   作:印鑑

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悪魔対人間~この戦い、遊び?本気?

「止めろフラン!落ち着けぇ!」

 

「やだ!紀流は私と遊ぶの!!」

 

 

オッス!オラ紀ry「アハハハハハハハハ!!!」…以下略。

気弾一発でベッドを粉々に出来る吸血鬼の少女と戦っていると思ってくれ!

俺は前だけを見て飛び続ける。後ろを向かずとも、響いてくる爆発音だけで十分だ。

入り組んだ通路を右へ左へと飛んでいく俺のすぐ後ろから、フランが追ってくる。

膨大な量の弾幕をそこらじゅうに撒き散らし、狂ったように笑いながら。

 

 

「どうしたの紀流?何で逃げるの?ねえねえねえねえねえねえねえねえっ!!!」

 

「別に逃げてるわけじゃないぞ。ただ単に…」

 

 

俺は急停止し、フランの方に向き直る。

 

 

「攻撃を当てやすい所に来ただけだ!」

 

「?」

 

「宇撃『ビッグバンアタック』!」

 

 

俺はスペルを発動し、すかさず気弾をフランに向かって放つ。

それは見事にフランに直撃し、大爆発を起こす…が。

 

 

「アハハハハハ!やっと逃げるの止めてくれたね!」

 

「…俺の攻撃にびくともしやしない…」

 

 

…全く効いてなかった。

フランは何事も無かったかのように笑い続けている。埃の一つすらついていない。

不意に、フランが手を突き出した。その手は「パー」の形に開かれている。

 

 

「きゅっとして…」

 

「!?」

 

 

何かよく分からんがこのままここにいるのはヤバい!

俺は本能的にそう感じ、慌てて少し移動する。

…実際に言えば、なんとかフランの手の真ん前から逃れただけだった。

それほどまでにフランの次の行動は速かったのだ。

 

 

「どかーん!」

 

 

フランが手を握り締める。次の瞬間、俺の真横(さっきまでいた場所)を中心に大爆発が起こった。

当然対応出来るわけもなく、俺は大きく吹き飛ばされる。

直ぐに壁が迫ってきた。このまま行けば、激突してぐちゃぐちゃになってしまうだろう。

…そんな死にかたはごめんだ!スペル発動!

 

 

「紅拳『界王拳(二倍)』!」

 

 

俺はスペルの力を借り、なんとか壁に激突する寸前で止まる。

 

 

「…危ない危ない…。」

 

「アハハハハハ!避けた避けたー!」

 

 

楽しそうに手を叩くフランを見て、俺は不覚にもイラッとした。

まだ俺の事を「オモチャ」としか考えていないようだな…いいだろう。

 

 

「『瞬間移動』!」

 

 

俺は瞬時にフランの後ろに移動する。

 

 

「え?あれれれれ?」

 

 

俺がいきなり消えてキョロキョロしているフランの背中に、

界王拳を力一杯叩き込んだ…と思った次の瞬間、俺は大きく蹴り飛ばされていた。

 

 

「!?」

 

 

今度こそ俺は反応できず、壁にしこたま叩きつけられてめり込む。

界王拳を発動していたからよかったものの、素で喰らったら死んでいただろう。

フランが笑いながらこちらを見てくる。圧倒的な力の差から生まれる、余裕の笑みだ。

 

 

「凄いねお兄ちゃん!どうやったの?」

 

「…教えると対策されるから言わない。」

 

「えー!けちー!」

 

 

フランは頬を膨れさせる。普通の人なら可愛いと思うだろう。

だが、戦っている俺にはそんな風に考える事は到底出来なかった。

 

 

「…ま、壊れなかったからいっか!」

 

「良いのかよ!」

 

「いいのっ!!」

 

「…………。」

 

 

本当に自由な奴だな。どれだけ楽しいんだろうか。

…数百年もずっと独りでいて、ようやく誰かと遊べるって言うのは。

その気持ちは俺には分からない。だが、折角フランが楽しんでいるのだ。

…多少荒っぽいのには目を瞑ってやろう!

 

 

「はあぁっ!!」

 

 

俺は気を高め、壁をぶっ壊して抜け出す。

フランが少し驚いた表情をしたが、また直ぐに笑う。

 

 

「アハハ、そう来なくちゃね!」

 

「…おい、フラン。俺は気づいてるんだぞ。」

 

「え?」

 

 

俺が思わせ振りな発言をすると、フランは首を傾げた。

 

 

「お前さあ、本気でやってないだろ。」

 

「…。」

 

 

フランが黙る。俺は更に続ける。

 

 

「気にくわないんだ、そういうの。俺はただの人間だが、一応プライドってもんがある。

こっちは命懸けてんだから、遊び半分でぶっ殺されたくないんだよ。」

 

「…だって、壊れたらやだし、つまんないし…」

 

「そういう事を言ってるんじゃねえっ!!遊ぶんなら全力で遊べ!それこそ何もかも壊す気持ちでな!

そうじゃないんなら部屋で大人しくしてろ!いい迷惑だ!!」

 

 

そこまで言った所で俺は言葉を切り、フランの顔を見る。

…うつむいている。おそらく、こんな事を言う人間に会ったのは初めてなんだろう。

まあ、俺が二人目らしいが。

いつまでもフランが喋らないので、流石に言い過ぎたと思ってしまった。

 

 

「…少々キツく言い過ぎた、すまん。」

 

「…ううん、いいの。ありがとう、お兄ちゃん。」

 

 

フランが顔を上げる。その顔は先程よりも引き締まっているように見えた。

 

 

「なんか吹っ切れたみたいだな。」

 

「…うるさいなあ、お兄ちゃんのせいだよ。」

 

 

…十中八九フランの言う通りだな、うん。

 

 

「…本気でやっていいんでしょ?」

 

「そんな分かりきった事訊くなよ。そうしてくれってさっきから言ってんだから。」

 

「スペルカードは?」

 

「あ、知ってんのか。勿論大歓迎だぞ。」

 

「…本当に?壊れない?」

 

「…そればっかしはなんとも言えんが、多分大丈夫だろ。」

 

 

…ベッド粉砕したりぬいぐるみを跡形もなく握り潰したり出来る奴に、俺は何言ってんだ…

フランは笑う。その目には、喜びと狂気が入り交じっている。だが、迷いは消えているようだ。

 

 

「じゃあ、いくよ!『紀流』お兄ちゃん!!」

 

「さあ!かかってきやがれ!!」

 

 

準備運動は終わった。さあ、本番開始だ。

…何か凄いフラグを建てたような気が…

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