東方有無録   作:印鑑

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vs紅魔の二精鋭~銀のメイドと紫のウィッチ

紀流とフランが遊び(戦い)始めたころ、館内ではもうひとつの戦いが勃発していた。

館内にある巨大図書館、そこが戦いの舞台だ。

 

 

「魔符『スターダストレヴァr(殴)ぐはっ!」

 

「私が近くにいるってのに拡散する弾幕を撃とうとするな馬鹿っ!!」

 

 

よう!魔理沙だぜ!

折角スペルカードを使ったのに霊夢にどつかれて中断しざるをえなくなった!

 

 

「…何すんだ霊夢!折角の攻撃チャンスだったのに!」

 

「うるっさいわね!あんたみたいなパワー馬鹿と組んでる私の身にもなりなさいよ!」

 

「何だと!弾幕はパワーだって言うだろ!余裕ぶっこいてんじゃ無いぜ!」

 

「随分とデカイ口が叩けるようになったわね魔理沙…心はネジ曲がってる癖に…」

 

「腋も心も同じようにスースーしてるお前が言うな!」

 

 

     少女喧嘩中…

 

 

「……。」

 

「……。」

 

 

霊夢と魔理沙の不毛な口喧嘩。それを呆然と見ている二人がいた。

一人は、薄ピンク色のネグリジェのような服と帽子を着て、紫色の長髪をした少女。

完全に呆れ返った顔をしている。

もう一人は、スカートが短い事を除けば「これぞメイド服」とう言うべき服を着た銀髪の女性。

表情に全く変化がない辺り、特に何も感じていないようだ。

 

 

「…何なの、こいつらは…?」

 

「さっぱりですね。奇術『ミスディレクション』。」

 

「…えっ、ちょっ、咲夜!?」

 

 

ネグリジェ姿の少女が驚く間もなく、「咲夜」と呼ばれたメイド服の女性がスペルを発動する。

すると、たちまち空間を埋め尽くす程のナイフが出現して霊夢と魔理沙に襲いかかった。

当然二人が気づかないわけもなく。

 

 

「夢符『封魔陣』!」

 

 

まず霊夢がスペルで発生させた結界によってナイフを消滅させ、

 

 

「恋符『マスタースパーク』!」

 

 

そこに魔理沙が自慢のパワーを生かしたスペルを放つ。

その一連の動作は、あまりにも滑らか、そして一糸乱れぬものだった。

…まるでついさっきまで喧嘩していたのが嘘のように。

 

 

「ナイフ消されてレーザー飛んできましたよ、パチュリー様。」

 

「…咲夜は冷静になり過ぎよ…はあ…水符『ベリーインレイク』。」

 

 

「パチュリー様」と呼ばれた紫の髪の少女がスペルを発動する。

床に魔法陣が現れ、そこから吹き出た水流が魔理沙のレーザーを掻き消した。

 

 

「…ちっ、相殺されたか。けど、作戦は大成功だぜ!」

 

「は?作戦ってなんの事よ?」

 

「え、覚えてないのか!?『喧嘩するほど仲がいい』作戦を!?」

 

「何よ、その安っぽくて何の捻りもない作戦名は…」

 

「戦い始める前にお前の耳元でこっそり言っただろ!?」

 

「…記憶に無いわね。まああんたが喋る事だし、

別に集中して聞かなくてもいいかなーなんてその時の私は思ってたんだと思うけど?」

 

「霊夢…お前…!」

 

 

…また始まった。

 

 

「…何ですか、私達の事は眼中に無いと言うわけですか?」

 

「…その様ね。さしずめ、喧嘩の合間の余興って所かしら?」

 

「非常に不愉快ですね。さっさと片付けましょう。スペルお願いします。」

 

「…私にとっては咲夜の態度も非常に不愉快なんだけど…火符『アグニレイディアンス』!」

 

 

パチュリーはぼやきながらスペルを発動する。

彼女の後ろに数個の魔法陣が出現し、そこから無数の火球が放たれていく。

 

 

「…大体あんたはいつも…」

 

「…調子に乗るな!…」

 

 

…火球が迫って来ているというのに、霊夢と魔理沙はまだ喧嘩中だ。

 

 

「…はあ…」

 

 

パチュリーはため息をつく。

 

 

「ああやって直前まで全くこっちに集中してないのに…」

 

 

火球が二人の目前にまで迫った時、ようやく二人が動いた。

 

 

「…完璧に避けられるんだからムカつくわねえ…。」

 

 

案の定、パチュリーの言う通りであった。

霊夢と魔理沙は、喧嘩をしていたそのままの間合いで横っ飛びに火球を避ける。

その動きはまるで事前に打ち合わせていたかのように完璧にシンクロしており、実に見事な物だ。

火球は目標から外れ、床に直撃して煙が巻き起こる。

その煙の中から咲夜がナイフを持って飛び出し、そのままスペルを発動する。

 

 

「傷魂『ソウルスカルプチュア』。」

 

 

咲夜の目が紅く変わり、両手に持ったナイフを超高速で振って二人に衝撃波を飛ばし始めた。

二人は後退して避けるが、咲夜は二人よりも速く前進しているため双方の距離は縮まっていく。

遂に衝撃波が霊夢と魔理沙を切り裂くかと思われた時、

 

 

「!」

 

 

突然、咲夜の動きが止まった。彼女自身も驚いているため、本人の意思で無いことは確かだ。

よく見ると、両腕に糸のような物が絡みついており、両足も同じような状態になっている。

攻撃が止んだのはその為だ。

 

 

「…やっとかかったわね。」

 

「まったく、ひやひやしたぜ。実際服ちょっと切れたし…後で直しとかないとな。」

 

 

霊夢と魔理沙がほっとしたように話し合っている。その顔は、正に親友同士だ。

 

 

「…あんた達…まさか最初からこのつもりで…」

 

 

パチュリーが驚いていると、霊夢が説明を始めた。

 

 

「二人同時に来られるとやっぱり厄介なのよ。攻撃に防御、両方共に隙が無くなるからね…」

 

「だから、先にお前達二人を分断させることにしたんだ。上手くいって良かったぜ。」

 

「…成る程、最初に私の攻撃に対抗してスペルを発動した時にこれを仕掛けたんですか。」

 

「あなた、冷静ね。その通りよ。」

 

 

身動きが取れない状態に陥っているのにも関わらず、咲夜は依然冷静だ。

パチュリーはそんな彼女を見て凄いと感じる。流石紅魔館のメイド長…

すると、不意に彼女が首を回してこちらを見る。そして口を開いた。

 

 

「…動けないんですが、どうすればいいんでしょうかね?」

 

 

パチュリーは危うくズッコケそうになった。

 

 

「…ご自慢のナイフを使いなさいよ…」

 

「はい、そうします。」

 

 

咲夜はそう答え、まず手首のみを動かして両腕に巻きついた糸を切り、

その後流れるような動作で足の糸を切ってたちまち自由になった。

 

 

「…咲夜…卒がないようでどこか抜けてるのよね…」

 

 

パチュリーはそう思った。

 

 

「へえ、結構早く抜け出したじゃない。」

 

「本気で拘束する気が貴方に無かったのですから当然です。」

 

 

咲夜はそう答えながらナイフを構え直す。それを見て、霊夢もお札とお払い棒を構える。

 

 

「…おっ、あっちも始まりそうだな。」

 

「…はあ…」

 

「何ため息ついてんだよ!霊夢じゃないのが不満なのか?」

 

「別に…」

 

 

そう言いつつもパチュリーは魔法陣を展開し、魔理沙はミニ八卦炉を構える。

そして双方が攻撃を仕掛けようとした時…

 

 

 

 

 

…壁が爆発した。

 

 

「「「「!?」」」」

 

 

四人が同様に驚いていると、埃の中で暴れていた「何か」が姿を表す。

その正体は、

 

 

「アハハハハハ!壊れちゃえーっ!!」

 

「さあ、来い!遊んでやる!!」

 

 

狂ったように笑っている少女・フランと、不敵な笑みを浮かべた人間・祠弥だった。

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