「「…祠弥!?」」
「フランお嬢様っ!?」
「…げっほごほっ…何で…フランが?」
四人は驚く。何せ、いきなり壁が吹き飛んで凄まじい量の埃が舞ったかと思えば、
知っている顔(もう一方は知らない)が飛び出して来たのだから。
「…パチェに咲夜…!」
「霊夢、魔理沙!ここにいたのか…。」
飛び出して来た二人も四人に気がつき、戦いを中断する。
一同驚愕中…
…オッス!オラ紀流!
フランが壁を砕いたと思ったら霊夢と魔理沙がいた!
…ってなわけでただいま質問責めにあってるぜ!
「…あんた…もう腹は大丈夫なの?」
「おかげさまで。」
「祠弥!一体こんなところで何してるんだぜ?」
「フランと遊んでた。」
「ふ、ふらん…?」
「俺と戦ってた子だよ。ほら。」
俺はフランを指差す。彼女も俺と同じように質問責めにあっていた。
…ただ、その顔は暗い。まるで説教されているようだ。
「…フラン、レミィから言われたでしょ?部屋で大人しくしてなさいって。」
「…だって…誰も遊びに来てくれないし、つまんないし…」
「今は皆忙しいの。フランも分かってるでしょう?」
「さあ、お部屋にお戻り下さい。」
「………。」
何かよく分からんが、どうやらあの二人はフランを部屋に戻したいらしい。
…まあ、フランが戻るとは到底思えんが。「ずっと退屈だった」って言ってたしな。
「…仕方ないわね…咲夜。」
「はい、分かりました。」
紫色の髪をした少女が、「咲夜」と呼ばれた女性になにやら耳打ちする。
すると彼女は返事をして頷いた後、おもむろにスペルカードらしき物を手に持った。
そして。
「少々乱暴ですがお許し下さい。幻世『ザ・ワールド』!」
彼女がスペルを発動したと同時に、一瞬にして視界の物全てが灰色になった。
…は?…一体、何が起こったっていうんだ!?
「おい…霊夢、魔理沙。」
俺は横にいる二人に話しかける。だが、返答は無い。
不思議に思って二人の方を見ると、二人も灰色になっていた。
「!?」
驚いて顔の前で手を振ってみたりしたが、全くといって反応しない。
…止まっているのだ。完全に。
「…一体全体何がどうなってやがるんだ…」
とにもかくにも、咲夜って奴のスペルが原因なのは間違いない。
そう思った俺が彼女の方を見ると、フランを抱えてどこかに連れていこうとしていた。
…待て待て待て待てい!勝手に連れてくな!
「『瞬間移動』!」
俺は瞬間移動を使い、咲夜の前に移動する。
「なっ!?」
咲夜が驚く。いや、俺の方が驚いてるからね?
「…貴方…何故私の世界で動けるのですか!?」
「え、お前の世界?何の事だ…ああ、スペルの事か。
この状況ってなんなの?周りの人全員に金縛りでもかけてあるの?」
俺は疑問に思ったことを質問する。やがて、咲夜が答えた。
「…私の能力で『時』を止めたんですよ。」
なーるほど、時間を止めたのか!それが理由なのか、この状況は!
まるでギニュー特戦隊のグルドみたいだな…すげえ。
俺が感心していると、今度は咲夜が聞いてくる。
「もう一度聞いてもよろしいでしょうか?何故、貴方は…」
「…止まった時の中でも動けるのか?そうだな…うーん…あ、そうか。
多分、俺の能力によるものだと思う。」
「貴方の能力?」
「俺の能力は『相手の能力を無効化する程度の能力』だからな。」
「…何ですかその反則的な能力は。」
「お前も似たようなもんだろ。時止められるって…」
「そうでしょうかね?」
「そうだよ…」
彼女は首を傾げる。まるで頭に?マークが浮かんでいるのが見えるようだ。
…おっと、こんな事を話している場合じゃない。
「…フランをどこに連れていくつもりだ?」
「フランお嬢様のお部屋です。」
「それはちょっと間違ってるんじゃないか?フランはそんなこと望んでないと思うぞ。」
「…随分と知ったような口の聞き方ですね。」
「色々話してくれたのさ。何百年もずっと独りぼっちだったとか、
ろくにオモチャで遊べなかったとかな。」
「…フランお嬢様がそんなことを…貴方、一体何者なんですか?」
「俺はただの人間さ。能力持ちのね。」
「……。」
咲夜は黙りこむ。そして、こちらに歩み寄ってきた。思わず身構える。
だが、彼女は攻撃してこず、また話しかけてきた。
「…貴方なら…あるいは…お嬢様を止められるかもしれませんね。」
「お嬢様?フランの事か?」
「いえ、この紅魔館の主にして、フランお嬢様のお姉様でもあられる…
…レミリア・スカーレットお嬢様です。」
フランの…姉さん!?なんてこったい…
「…そいつが今起こっている異変の原因なのか?」
「ええ、そうです。私を雇っているお方でもあります。
お嬢様を止めれば、紅い霧は止まるでしょう。」
「…お前、いいのか?そんな事を俺に伝えて…」
俺がそう訊ねると、咲夜は「しまった」と言い出しそうな顔になり、こう言った。
「…レミリアお嬢様には、言わないでおいてくださいね。」
「…勿論さ。言う暇無いと思うぞ。」
「それもそうですね。」
…ほんと、変わった奴だな…俺が言える事ではないが。
「…さあ、こちらです。」
「えっ?」
「どうせ止めても行かれるんでしょう?なら、無駄な争いは避けたいと思いましてね。
…館をこれ以上壊されるのも面倒ですからね…。」
「…すまん。」
「構いませんよ。時を止めて掃除すれば、他人には一瞬で終わったように見えますからね。」
「…。」
…色々とすまんな、咲夜さん。
彼女は俺を通路に案内し、進むべき道を教えてくれた。
まあ、「真っ直ぐ行けばその内たどり着きますよ」って言われただけだが。
「では、フランお嬢様を頼みます。」
「…ありがとな、咲夜さん。」
「咲夜でよいです。」
そう言うと、咲夜は光っているスペルカードを掲げ、再び時を動かした。
「…あれ、紀流?ここは?私達、確か図書館に…」
俺はまだ戸惑っているフランの腕を掴む。
「うえっ!?どうしたの、紀流?」
「…いくぞ、お前の姉さんの所に。」
「えっ!?」
まだ状況を飲み込めていないフランを引っ張り、俺は館の奥へと進んでいく。
…待ってろよ、レミリアお嬢様。