「…旨いな、酒って。」
オッス!オラ紀流!
酒が意外と旨いということを発見したぜ!
あと、どうやら俺はどれだけ飲んでも酔わない体質らしい。やったね!
…まあ、程々にしておくが。
ところで、俺の足の上を見てくれ。
「……zzz…」
「…お酒は飲みっぷりだぜ~…ははは…」
べろんべろんに酔った霊夢と魔理沙がいるんだが…こいつをどう思う?
え、ハーレム?なにそれ飲めるの?美味しいの?
「あー!博麗の巫女と白黒のまほーつかいが祠弥を二人占めしてるー!」
「え!?紀流お兄ちゃんを!?ずるーい!」
何故来たんだよお前達は!これ以上乗ったら潰れる!!
そんな俺の心の叫びも二人には届かず。
「あたいは背中に乗るからな!」
「えー!フランも背中がいいっ!」
俺は椅子じゃねえぞ!下手に乗ったら壊れるかも…
「じゃあ、二人で乗ればいいじゃん!」
「おー!いいアイディアだなー!あたいは左!」
「私は右!」
「「いっせーのーせっ!!!」」
チルノと フランの のしかかり!
いちげき ひっさつ!
「……………………。」
足に霊夢と魔理沙、背中にチルノとフラン…なぁにこれぇ?
え、何で何も喋らないのかって?喋ったら潰れそうだからだ。
…ドラゴンボールに出てきた重力室ってこんな感じなんだろうか…
俺がそんな事を考えながら重さに耐えていると。
「…私も乗ろうかしら?」
「止めr(バキバキ)………。」
「冗談よ、紀流。フフ…
咲夜、妖精とフランを紀流の背中から下ろしてあげなさい。」
「かしこまりました。」
そう咲夜が答えると、俺の背中は直ぐに軽くなった。
…と思ったら、またすぐに重くなった。何故だ…
「…咲夜、何をしてるの?」
「いえ、特に深い理由はありません。暇だったので。」
暇潰しに人の背中に乗るなぁ!重い!ナイフの分が特に重い!
「…あまり揺らさないでくださいますか?座り心地が悪くなるので。」
じ ゃ あ 乗 る な !
「…何やってるの?」
「パチュリー様、見て分かりませんか?」
「…じゃあ聞くけど、何で紀流の背中に乗ってるのよ…」
「暇だからです。」
「紀流を暇潰しの道具にしちゃだめでしょ…」
よく言ってくれたぞパチュリー!
「パチュリー様も乗りますか?」
「乗るわけないでしょう…早く降りなさい。」
「承知しました。」
良かった…やっと背中が軽くなるぜ…
「幻世『ザ・ワールd(ry
「いい加減にしろぉぉぉっ!!!」
…こんなやり取りが数時間ほど続きましたとさ。めでたしめでたし。
~数時間後~
「………………。」
「…やっとか。」
ようやく皆様が御就寝したようだ。さて、水でも飲みに行くか…
俺は霊夢と魔理沙を足からどかし、立ち上がって台所に向かう。
すると。
「…紀流?」
「ヘアッ!?」
突然誰かに呼ばれて振り返ってみると…
「…そんなに驚く事ないじゃない。」
「…レミリアか。」
今回の異変の黒幕さんが、縁側に座っていた。
「なにしてんだ?」
「月を見てるのよ。あなたも一緒に見ない?」
「別に良いぞ。今日は満月なんだろ?」
「そうよ。よく分かったわね。」
「当てずっぽうだけどな。」
俺は縁側まで歩き、レミリアの隣に座る。
暫くの間、二人で満月を見上げる。見事なまでに真ん丸だ。こりゃあサイヤ人も大猿になるわな…
そんな事をぼんやりと考えていると、隣にいたレミリアが口を開いた。
「…ねえ、紀流。」
「何だ?」
「あなたは、今回私がした事についてどう思ってる?」
「…は?」
「異変についてよ。」
俺は首を傾げた。何難しい事言ってんだこいつは…
だが、レミリアの表情は真剣そのものだ。こちらの答えを待っている。
…うーむ…何て言えばいいものかな…
「俺みたいな凡人にはよく分からんよ…」
「…真面目に答えて。」
「いたって真面目さ。お前がどんな気持ちで異変を起こしたのかなんて分からんからな。
まあ、霊夢達は迷惑だったらしいけど。」
「…そうね。そうよね。」
どうやら納得してくれたようだ。じゃあ今度は俺から質問するか…
「レミリア。単刀直入に聞くが、何でフランをずっと閉じ込めてたんだ?」
俺がそう質問すると、レミリアはこちらをゆっくりと向く。
「やっとその話題になったか」とでも言いたげな顔だ。
俺が待っていると、彼女はゆっくりと話し始めた。
「…あの子と戦ったあなたの事だから、いつか聞いてくると思ってたわ。
…フランの能力が何か知ってる?」
「知らんな。」
「『ありとあらゆる物を破壊する程度の能力』よ。」
「え"え"!?何だその格好いい響きの能力は…」
「フランが今言った事を聞いたら喜ぶでしょうね。
…けど、私はそうは思えなかった。怖かった。」
「…。」
「あの子の触った物は全て跡形もなく壊れた。生き物も同じだと私は思った。
触れられたら壊れてしまう、死んでしまうと。」
「……。」
「だから、部屋に閉じ込めた。
「…495年間もか!?」
「あの子が産まれてから昨日までの間、ずっと…」
「そりゃあちょっと許せんな…うん。」
「そうよね。全く「お嬢様」が聞いて呆れるわ。
私は妹一人すら導けない、最低の姉なのにね。」
そう言って、レミリアは笑った。涙を流しながら。
成る程、そういう理由があったのか。結構重い話だな…
だが、俺は遠慮はしない。言いたいことはちゃんと言わねば!
「おい、レミリア。お前は何歳だ?」
「え!?…500歳だけど…?」
「500歳でその見た目か…うーん…」
「…何?まさか私に喧嘩売ってるの?」
「違うって。まだまだお前とフランの時間は沢山あるじゃないかと思ってな。
495年間も独りぼっちにしてたんなら、今度は同じ495年間、
もしくはもっと長く一緒にいればいいだろ?」
「紀流…」
「失った物には二度と取り返せない場合もあるが、お前達の場合は取り戻せる。
残りの人生…吸血鬼だが…でゆっくりと取り返していけばいいじゃないか。」
「…。」
「…以上、お節介焼きの人間からのためにならないアドバイスでした。」
全く何偉そうな事を言ってるんだ俺は…部外者なのに…
「…ありがとう、紀流。」
「…お役に立てて光栄です。」
そう言った後、また二人で月を見上げる。
気のせいだろうが、満月はさっきよりも大きく、より輝いているように見えた。