「いやー、雪を凌げる建物があって良かったぜ…」
「そうだな…あー寒い。」
「だからこの程度の寒さで…」
「あんたは気温関係の発言をするな!」
オッス!オラ紀流!
今現在、俺達は偶然見つけた家(小屋)で休んでいる所だ!
外にいるよりはなんぼかマシだぜ!
「…さて、これから何すんだ?」
「そうねぇ…何の考えも無いけど、どうしましょうか?」
「…無計画ですね…」
「その場その場で考える事も重要、私はそう思ってるわ。
まあ、あんたの考え方とはちょっと違うと思うけどね。」
「ちょっとどころか百八十度違いますよ。おかしな考え方ですね。」
「…意見が違うからってその言い方は無いと思うぜ…」
…駄目だ…次する事が全く決まらねえ…もどかしい…
俺は思わず寝っ転がり、天井を眺める。
「…行儀が悪いですよ、人間。」
「流石メイドだけに、礼儀にうるさいな。」
「仮に私がメイドで無くても注意してますよ。」
「そうか。じゃあ、改めるよ。
…明日から。」
「天下一の大馬鹿者が言う言葉ですよ、それは。」
「…分かったよ…」
俺は体をおこし、咲夜に向き直る。
…相変わらず真顔だ。見てて全く面白みがない。
「…私の顔に何を求めてるんですか?」
「豊かな表情。」
「無駄な事です。」
「あっそ…」
俺と咲夜は、たわいもない事を延々と喋っている。
霊夢と魔理沙は、これからどうするかを議論している。
…そんな状態が、一時間位続いた。
「…なあ。」
「「何?」だぜ?」
「まだどうするか決まらないのか?」
言ってしまってからとんだ失言をしてしまったと気づいた。
慌てて謝るが、後の祭り。
「…あ、ごm(ry
「何であんたは蚊帳の外みたいな態度なのよ!
ばっかにしないで!!文句言うなら協力しなさい!!!」
「…はい。すいません…」
「大体あんたはいつもいつも…」
霊夢の説教が今正に始まろうとしたとき。
「…にゃーん」
「「「「?」」」」
何かの鳴き声が聞こえたので、四人は一斉に声のした方を向く。
そこにいたのは…
「にゃーん」
「…猫?」
茶色の毛をした、いたって普通の猫だった。
「おー、中々可愛いじゃないかー♪」
魔理沙は猫に近づき、頭を撫でる。
すると猫は嬉しそうな声で鳴き、魔理沙の足にすりよってきた。
「にゃーん♪」
「おー、よしよし。いい子だなー♪」
魔理沙は猫を抱きかかえ、抱き締める。
猫も喉をゴロゴロ鳴らして嬉しそうにしている。
「暖かいなー、この猫♪正に天然のカイロだぜー♪」
「えっ、本当?ちょっと私にも貸しなさいよ…」
「いくら霊夢でも出来ない相談だな♪」
「…この…」
霊夢が危うく魔理沙に殴りかかろうとすると…
「にゃーん」
「!」
丁度いいタイミングでもう一匹猫が出てきた。こちらは白だ。
「…。」
「にゃーん」
霊夢は止まっている。
彼女の中では今、自制心と欲望が戦っているのだ。
…勝負はあっという間につき。
「…!」
「にゃーん♪」
霊夢は欲望に従い、おもいっきり猫を抱きしめた。
「…全く、たかが猫ごときで…」
「にゃーん」
「?何ですか?」
咲夜が振り向くと、黒い猫が彼女の背中にすりよっていた。
「にゃーん♪」
「…間に合ってますよ。」
「…にゃーん…」
猫はガッカリした様子で離れていく。
その後ろ姿を見送っている内に、咲夜はあることに気づいた。
…例の人間がいないのだ。
「…いつの間にどこ行ったんでしょうか…」
咲夜は軽く辺りを見回す。すると、案外簡単に見つかった。
なんの事はない、ただ単に部屋の反対側の壁に引っ付いているだけだ。
…しかし、その顔があまりにも必死だったため、不審に思った咲夜は声をかける。
「何やってるんですか、そんなおかしな格好で?」
「…猫…い…」
「は?何ですか?」
紀流の声は聞き取れず、咲夜は近づいてもっとよく聞き取ろうとする。
…やっとなんと言っているか聞き取ることが出来た。
「猫怖い猫怖い猫怖い猫怖い猫怖い猫怖い猫怖い猫怖い猫怖い猫k(ry
「…貴方、猫恐怖症なんですか?」
「…まさに、その通りだよ…」
意外ッ!紀流は猫恐怖症だったッ!!
よく見ると顔が真っ青になっており、今にも息が止まりそうな表情をしている。
「何故ゆえ猫が怖いんですか?」
「全部が怖い。恐ろしい。目なんて合った日には死にたくなる。」
「全部?具体的にどこの部位が駄目なんですか?」
「主に目。あんな細い瞳孔があるか!あと爪!鋭すぎるんだよ!!あと…」
「………………。」
紀流は猫の(本人にとって)悪い所を次々とあげていく。
咲夜はそれを適当に聞き流し、さっさと結論を言う。
「…つまり猫という存在その物がだめと。」
「そう言う事だ。」
「…にゃーn(ry
「猫の鳴き真似すんなぁぁぁぁぁっ!!!」
そうしていると、いつの間にか周りは猫だらけになっていた。
咲夜は足元に猫が群がっているのも気にせずに、この怪現象について考え始める。
「…いくら寒さを凌ぐためとはいえ、こんなに猫ばかりが集まって来るものなんでしょうか…」
「にゃーん」
「にゃーん」
「にゃーん」
「にゃーん」
そう考えている間にも、猫はどんどん増えていく。
そのうち、咲夜はあることに気づいた。
「私達の動きを…封じようとしている…?
成る程、そういう魂胆でしたか。」
「…どんな魂胆だよ…!
…わあぁ!こっちみんな!!」
紀流は舞空術を使い、天井すれすれを飛んでいる。
顔はもはや青を通り越して白色だ。
そんな状態の紀流に、咲夜は手を伸ばす。
「…何だよ、咲夜…」
「引っ張って下さい。このままだと身動きがとれなくなります。
一旦外に出て、状況を確認しましょう。」
「そうしたい所だが、霊夢と魔理沙が…」
「今は逃げる方が吉です。大丈夫ですよ、あの二人は猫ごときじゃ死にません。」
「…分かったよ…」
俺は咲夜を引っ張り上げ、猫の上を飛んで入ってきたところから外に出る。
…想像を遥かに越える景色が、そこには広がっていた。
所狭しと猫猫猫猫猫猫猫猫猫…卒倒しそうになったが、何とか持ちこたえた。
突然、猫軍団が静かになったかと思うと。
「「「「にゃーん!」」」」
猫達が一斉に鳴いた。すると…
「へえ、あの猫達の元から逃げ出すなんて、やるじゃない!」
妙に子供っぽい声が直ぐ後ろで聞こえた。