「…うーん?」
「お、霊夢。やっとお目覚めか。」
「…祠弥?あれ、私今どういう状況に……え?」
「…霊夢?」
「祠弥!早く霊夢から離れろ!!振り落としてもいいから!!!」
「魔理沙、何言ってんd(殴り)ふぉお!?
オッス!オラ紀流!
魔理沙が起きて、やっと霊夢もかと思ったらいきなり殴られた!何故だ…
危うく墜落しそうになったが何とか堪えたぜ!
「何故殴ったし…」
「…うるさい。」
「…咲夜、霊夢の気分を害するような事を俺は何かしたのか?」
「さあ、分かりません。」
…おい…そこまであっさり言い切るなよ…
仕方ない、ここは魔理沙に…
あれ、いない。どこいったんだ?
「おーい、魔理沙~?」
「何だ、どうしたんだ祠弥~?」
あ、いた。よかった…
この吹雪の中ではぐれたら取り返しつかないからな。
声がしたちょっと後、魔理沙がこちらに向かって飛んできた。
「どうした祠弥、何かあったのか?」
「いや、魔理沙は何してたんだ?」
「知り合いの家を探してたんだ。
確かここら辺だったような…あっ!」
魔理沙は暫くキョロキョロしていたが、やがてある一点を見つめて止まった。
つられるようにして俺もその一点を見てみると…
「あ、家だ。」
「…やっと見つかった!!」
「何が?」
「私の魔法使い仲間、アリスの家がだ!」
…アリス?誰なんだぁそれは…
「咲夜と霊夢も早く来いよ~!」
「もう来てますよ。」
「うわっと!?いつの間に!?」
「さっきからいたわよ。あんたが気づかなかっただけ。」
「…そうか。まあ、行こうぜ!」
一行移動中…
「アリス~!遊びに来たぞ~!!」
魔理沙はドアを叩き、大声を張り上げて「アリス」なる人物を呼ぶ。
…呼び鈴あるのに気づかないのか…
それから三十秒程した後、
「…魔理沙…呼び鈴を鳴らしなさいよ、あるんだから…」
ドアが開き、物凄く迷惑そうな顔をした少女が出てきた。
魔理沙と同じような金髪で、頭には赤いカチューシャを着けている。
この人が「アリス」なのか。魔理沙の知り合いにしては随分と清楚だな。
…いや、霊夢を否定してるわけじゃないぞ?
「すまんすまん!それだけ早く会いたかったんだ!」
「…はいはい、上がって良いわよ。博霊の巫女に…
…えーっと、どちらさま?」
アリスさんは俺と咲夜の方を見て首を傾げる。
俺達二人が自己紹介しようとすると、魔理沙がそれを遮った。
「まあまあ、その話は中ですることにしようぜ!」
「それもそうね。さ、中へどうぞ。」
「…邪魔するぞ。」
「お邪魔します。」
…魔理沙が強引過ぎる…いきなり訪問したのはこっちなんだがな。
そんな事を思いながら、俺は咲夜と一緒に家にあがらせてもらった。
~アリスの家~
アリスさんにお茶を入れてもらった。旨い。
他の三人も美味しそうに飲んでいる(咲夜は分からん)。
「何にも無い家だけど、ゆっくりしていって下さい。」
「シャンハーイ!」
「…!?」
…思いっきり「何か」ある…じゃない、いるじゃねーか!
何だあれ、妖精か?
俺が呆然としてそれを眺めていると、その視線に気づいたアリスさんが説明してくれた。
「…ああ、この子?人形よ。」
「シャンハーイ!」
「…自立型人形?結構ハイテクなんだなぁ、幻想郷…」
俺がそう言うと、彼女は少し吹き出した。
…俺は真面目な考えを言っただけなんだがな…
「…あ、ごめんなさい…えーっと…?」
「…名前か。紀流 祠弥だ。」
「紹介ありがとう。私はアリス。
アリス・マーガトロイドよ。宜しくね。」
…マーガトロイド?また長い名前だな…舌を噛みそうだ。
その後、咲夜も自己紹介した。相変わらずの無表情だったが。
今現在俺は動く人形…「上海人形」を眺めている。
結構せわしなく動き回るので、見てて飽きない。可愛い。
「シャンハーイ!」
~テーブル~
「…ねえ、三人とも?ちょっと訊いてもいい?」
紀流が人形達と戯れている時、女子達はおしゃべりに花を咲かせていた。
「何だぜ?」
「あの『祠弥』って子…何者なの?」
「本人は普通の人間と主張していますが。」
「…普通の人間、ねえ。
祠弥ってどうやってここまで来たの?」
「私達と一緒に飛んできたんだぜ。」
魔理沙がそう言った瞬間、アリスが突然立ち上がる。
四人が座っているテーブルが揺れ、紅茶が少しこぼれた。
だが、アリスは気にしない。いや、実際は少し気になったのだが…
…祠弥に対する興味が、それを上回った。
「空を飛べるの!?
私が見た限り、彼は魔力をあなど持ってないのに…」
「補足しておくと、祠弥は霊力もゼロに近いわよ。」
「…確かに、改めて考えてみると不思議だな…
霊力も魔力もまるでないあいつが何で空を飛んだり弾幕撃ったり出来るんだ?」
「「「うーん…」」」
霊夢、魔理沙、アリスの三人は首を傾げる。
…霊夢は気づいた。自分は祠弥と結構長い間暮らしてきたが、彼の事を殆ど知らない事に。
能力もそうだがそれ以前に何が好きで何が嫌いとか、そういった類いの事を全く知らないのだ。
「…ねえ、咲夜。」
「はい?」
「あんたの観察力を買って訊くんだけど、祠弥について何か知ってる事はある?
私の知らない事で。」
咲夜は直ぐに言葉を返す。
「猫が嫌い、という事しか知りません。」
「え?祠弥って猫嫌いだったのか!?」
「貴方達が猫に囲まれて平和に眠っていたとき、あの人間は真っ青になってましたよ。
見ただけで死にたくなる程嫌いなようです。」
「…そこまで苦手なのね…
まあ、人間誰しも苦手なものの一つや二つ…」
「え?アリスにも苦手なものがあるのか?何だ?
…まさか私とか言わないよな?」
「よく分かったわね。流石魔理沙。」
「ちょ…」
「あら、奇遇ねアリス。私も同意見よ。」
「霊夢まで…
な、なあ。咲夜は…」
「私は声の大きすぎる人が苦手です。」
まりさは たおれた!
~数十分後~
「じゃあ、そろそろおいとまさせてもらおうかしら。
…魔理沙、いいかげん立ち直りなさい。」
「……どーせ私なんて…ブツブツ……」
「そうですね。私達は異変を解決しなくてはいけないんですから。
そこの人間、出発しますよ。」
「はいはい、今行くよ。」
そう答えてこっちにやってくる紀流の腕には、まだ上海達がくっついている。
まるで、彼を引き留めるかのように。
「へえ、随分と上海達に気に入られたみたいね。
『行かないで』って言ってるわよ。」
「「「シャンハーイ!」」」
「それはありがたいな。
…で、魔理沙はどうしたんだ?」
「良く訊いてくれたな祠弥~!」
「…何で涙目なんだ?」
「どうでもいいことよ。さっさと出発するわよ!」
そう言って、霊夢はドアを思いっきり開ける。
次の瞬間、冷たい風が雪と一緒に大量に吹き込んできた。
霊夢は素早くドアを閉め、俺達の方に向き直り…
「…やっぱり、もう少し休んでく?」
「「おい。」」
霊夢に対して、俺と咲夜のダブルツッコミが発動した。