「春ですよー♪」
「あー確かに赤と青の弾幕が花びらみたいだな~
…っていきなり弾幕飛ばして来るな!!」
オッス!オラ紀流!
アリスの家を出発した後、魔理沙の意見・
「雲の上に出れば雪で凍えなくてすむんじゃないか」を採用して雲の上に出た所、
いきなり妖精らしき奴が弾幕を飛ばしてきた。
まあ、当たらないがな!ハハh…
「祠弥、油断するな!」
「…うわっと!?」
俺は魔理沙の声に咄嗟に反応し、全速力で相手の撃ってきた赤と青の交差弾幕から離れた。
だが距離が離れているのも一瞬の事であり、また直ぐに弾幕が迫ってくる。
俺は一つ一つの弾の軌道を冷静に見極め、最低限の動きでかわしていく。
…この妖精、弾幕の密度も中々の物だ。避けるのに結構ヒヤヒヤするぜ…
「…だが速さが足りん!紅拳『界王拳(四倍)』!」
俺はスペルを発動し、通常の四倍のスピードで妖精に突進する。
相手は頑張って俺に弾幕を当てようとし、動きに合わせて撃つ方向を変えているが…
…遅い遅い!止まって…は見えないけどゆっくりに見えるぞ!
「お前の弾幕もろとも一掃してやろう!喰らえ、波符『かめはめ波』!」
完璧に調子に乗った俺は、非情にも二枚目のスペルを発動した。
俺の両手から発射された青い光線は見事に弾幕を全て飲み込み、そのまま妖精も巻き込み…
…そのまま纏めて落ちていった。
「家に帰ってのんびり花でも育ててやがれ…」
「…こうして見ると、祠弥って勝ち方が結構えげつないわね。」
「容赦無いな…」
俺が勝利の余韻に浸っている時、二人の間ではこんな会話がかわされたらしい(咲夜談)。
…え、何故四倍界王拳を軽々使えるようになっているのかって?
バッチリ使いこなせるように、「常時、界王拳を発動したままでいる」的な修行をしたのさ。
意外と大変だったぞ…普通の生活をするだけでも。何せ普通の何倍ものパワーを出してるからな…
触った物は大体壊れてしまうのだ。そのたびに霊夢に殴られるのだからたまったもんではない。
まあ、「霊夢に殴られたくない」という気持ちがあったから修行が続いたのだと思う。多分。
…そこ、さっさと止めればよかったじゃんとか言うな。
「これにて一件落着。」
「祠弥、どや顔してる暇はないわ。さっさと先に進むわよ!」
「…俺、どや顔になってたか?」
「なってましたよ。」
そうなのか。自分でも気づかない内になってしまうものなんだな、どや顔って。
そんな事を考えながら進んでいたためだろうか、俺はいきなり何かに衝突してしまった。
見てみると、何故か柱が立っていた。それも四本。
…ここって雲の上だよな?
「「「…。」」」
痛みを気にせず振り向くと、三人が必死に笑いを堪えていた。
…あれ?三人?咲夜が笑った…だと!?
慌てて目を凝らすと、確かに咲夜が笑っている。錯覚ではない。
「綺麗だな…。」
普段真顔の咲夜しか見てない俺は、素直にそう思った。
…しかし、何で急に…?何かが外れたのか?
「…メルラン姉さん、まだ躁状態になってない人間が一人いるよ。」
「え?まだなってないの!?これで限界なんだけど…」
「私も手伝ってあげましょうか?」
「いや、ルナサ姉さんが音出したら鬱になっちゃうよ…」
…三人位の女の子の話し声がしてきた。何処からだ?
辺りを見回して探してみると、雲に突っ立ってる四本の柱の内の一本の影から声がしている。
俺はこっそりと柱に近づいて回り込み、大声を出しながら一気にその人達の前に飛び出る。
「ブルアァァァァァァァァ!!!」
「「「きゃあぁぁぁっ!?」」」
案の定、相手は見事に驚いてひっくり返ってしまった。
…声に関して?これしか浮かばなかったんだ、しょうがないだろう。
やはり三人組だったか。一体何者だ?
「…誰だお前ら?」
「ひっ…」
どうやら酷く驚かせ過ぎたかな?すげービビってるんだが…
暫くして金髪で黒服、バイオリンを抱えている子が答えてくれた。
「…え、ええっと…プリズムリバー…三姉妹です。
私が長女のルナサで…」
次に青髪で服がピンク色、トランペットを掴んでいる子が答える。
「…私が次女のメルラン…で後は…」
最後に、茶髪の赤い服を着て、キーボードを傍らに持った子が自己紹介をしてくれた。
「…三女のリリカです…」
「自己紹介どうも。俺は紀流 祠弥。普通の人間だ。」
「…普通の人間なら何で私の音で躁にならないの?」
「メルラン!失礼でしょう!」
「聞こえて無いんじゃないの?もしくは曲として認識されてないとか…」
「…認識されてなかったら…私音楽止めるわ…」
「…。」
率直な感想・何だこいつら
曲ってなんのことだよ…何も聞こえないんだが…
「あの…聞こえてますか?私の音…」
「すまん、全く聞こえん。」
「…もう駄目だぁ…演奏者としての人生お終いだぁ…」
俺が正直に答えると、メルランはorz状態になってしまった。
…いや、音そのものが聞こえない人の評価で絶望してどうするんだよ…
「メルラン…だっけ?心配する事は無いと思うぞ。」
「…うぇ…?」
泣いている。ざ…罪悪感が…
「あー、姉さんを泣かせたー。」
「リリカは黙ってなさい。」
「…ルナサ姉さん、目が怖い。」
「…ごほん。あれだ、俺には何も聞こえないが、
お前の姉さんと妹の話を聞く限り、おかしいのは俺の方っぽいからな。
俺の評価なんか気にしなくて良いぞ。」
「…いいの?」
「いいの。問題無いの。」
…何を言ってるんだ俺は…余計なお世話ってレベルじゃねーぞ…
「…すまんな。偉そうなこといって…」
「…ありがとう…」
「何だ、人間には珍しく良い奴じゃない。」
「「リリカ!!」」
「…ごめんなさい。」
…何か面白いな。俺には兄弟姉妹がいないからよく分かんないけどな…
「…そうだ。あの…プリズムリバーさん達?」
「呼び捨てでいいわよ。何?」
「…連れになんかしたか?ずっと笑いっぱなしなんだが…」
「…あ、そういえば躁状態にしてるんだった…
リリカ、お願い。」
「はいはーい。」
リリカは元気よく返事をすると、キーボードを構えて引き始めた。
…俺には何も聞こえないがな…上手いんだろうな。
「ふぅ…これで元に戻る筈だよ。」
「感謝するぞ。」
「良いですよ感謝なんて…元々私達がやった事なんですから…」
「祠弥?どこにいるのー?」
お、霊夢の声だ。戻ったのか。
「ここだz(ry
俺が答えようとすると、三人に口を塞がれた。
「…ごめんなさい、けど静かにして…」
「今の声って博麗の巫女だよね?殺されちゃうよ…」
「…いや、流石に殺しはしないだろ…」
「祠弥~?あ、いた。」
「ひっ…」
霊夢が柱の影から顔を覗かせた。
俺は軽く会釈するが、プリズムリバー達は固まってしまっている。
「…何、そいつら…」
「プリズムリバー三姉妹だよ。演奏家なんだとさ。」
「ふーん…」
霊夢はゆっくりとこちらに近づき、プリズムリバー達の顔をのぞきこむ。
…姉妹達は蛇に睨まれた蛙状態だが。
「ねえ、あんた達?」
「…はい?」
「ここに張ってある結界って、何を守ってるの?」
「え、結界?」
俺がそう言うと、霊夢は後ろを指で指した。
…さっきは気づかなかったが、確かに霊夢が出してた結界の巨大バージョンみたいなのがあるな…
「…
「分かったわ、ありがとね。
さあ祠弥、行くわよ。」
霊夢は俺の腕をひっつかみ、ずるずると引っ張っていく。
このまま別れるのも何かしっくりこないので、手を振ってみた。
そうしたら、三人とも振り返してくれた。よかった。
「…で、霊夢。何処に行くんだ?」
「さっき言ってた白玉楼って所よ。私の勘が合ってれば、多分そこが…
…今回の異変の原因よ。」