東方有無録   作:印鑑

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決着、そして始まり~遂に動き出した幻想の賢者

「…今のはちょっと危なかったわね~。」

 

「そう?残念だけど、まだまだ終わらないわよ?」

 

 

…オッス!オラ紀流!

今現在俺の前では、霊夢&魔理沙&咲夜vs幽々子の凄まじい戦いが繰り広げられている所だ!

飛び交う弾幕の密度がおかしい事になってるぜ…あそこに入れって言われても、無理だな…

 

 

「亡舞『生者必滅の理-魔境-』!」

 

 

…そんな事を言っている間に、幽々子がスペルを発動した。

幽々子の後ろに巨大な屏風の様な物が出現し、そこから生み出された青とピンクの蝶が

同じく発射された巨大な弾と一緒に、三人に向かってくるくると円を描きながら飛んでいく。

 

 

「させるか!恋符『ノンディレクショナルレーザー』!」

 

 

魔理沙はそれに対抗するようにスペルを発動する。

すると魔理沙の手のひらから四つの光が発生し、彼女の周りに浮かぶ。

 

 

「弾幕は…パワーだぜ!!!」

 

 

魔理沙の掛け声と共に漂っている四つの光からレーザーが放たれ、幽々子の弾幕を薙ぎ払う。

蝶の様な弾幕はみるみる消えていくが、巨大な方の弾は依然として残っている。

その弾を打ち消していくのは…

 

 

「…何で私が残りの掃除係なのよ…夢符『二重結界』!」

 

 

霊夢はぼやきつつもスペルを発動し、結界を弾幕にぶつけて打ち消していく。

二人の活躍で幽々子の撃った弾幕は全て消滅、一瞬だけだが間が生まれる。

その隙を逃さず攻撃するのは当然この人。

 

 

「メイド秘技『殺人ドール』!」

 

 

咲夜はその場で回転し、手に持ったナイフを雨あられと幽々子に投げつける。

幽々子は勿論避けようと動くが、それよりも早く咲夜は時を止めて彼女の後ろに回り込み、

逃げ道を塞ぐ様にナイフをまんべんなく投げていく。多すぎだろ…

 

 

「…。」

 

「?」

 

 

俺があまりのナイフの量に呆れていると、咲夜が俺の方を向いた。

目が合った時彼女は一瞬だけニヤッと笑い、直ぐに幽々子の方に向き直ると口を開いた。

 

 

「…そして時は動き出す。」

 

 

その言葉を合図に時が動き出し、四方八方からのナイフが幽々子に襲いかかる。

 

 

「あらあらあら~。」

 

 

幽々子は舞うように体を動かし、紙一重でナイフを次々と避けていく。

やがて彼女は、咲夜が投げたナイフを全て避け尽くした。嘘だろ…

 

 

「残念だったわね~。」

 

幽々子が得意そうに微笑む中、咲夜は相変わらず真顔のままだ。

まるで、最初からこうなる事が分かっていたかのように。…まさか!?

 

 

「ええ、確かに残念ですね…

…私のスペルで勝負を決める事が出来ないのは。」

 

「え?」

 

 

思わず聞き返した幽々子の声は、上からの霊夢の声によって掻き消される。

 

 

「夢符『封魔陣』!」

 

「なっ!?」

 

 

幽々子が気づいた時にはもう遅く、既に四肢をその場で固定されて身動きが取れなくなっていた。

思わず霊夢の方を見上げると既におらず、代わりにいたのは…

 

 

「これで決めるぜ!恋符『マスタースパーク』!!!」

 

 

…虹色の極太レーザーを両手から放つ直前の魔理沙だった。

幽々子は自分に向かってくる光線を呆然と見つめていたが、やがて呟く。

 

 

「…ちょっと油断しちゃったわね~。」

 

 

魔理沙のスペルが、幽々子に直撃した。

 

 

 

 

 

「…これで懲りたでしょ?黒幕さん。」

 

「ええ、懲りたわ。私の完敗よ~。」

 

 

今現在、霊夢は幽々子と何やら喋っている。おそらく異変についてのの事だろう。

さしずめ、「これに懲りたんならもう二度と異変を…

 

 

「…起こすなんて馬鹿な真似はしない事ね。」

 

「分かったわ~。」

 

 

…とでも言っているのだろう。

そして、魔理沙と咲夜はというと…

 

 

「…あれ?おかしいな。確かここがこうなって…」

 

「何がどうなればそんな複雑怪奇な結びかたになるのですか?」

 

「そんな事言われてもな…」

 

 

俺の左腕に二人がかりで包帯を巻いてくれている所だ。

…何か結び目の量が凄いことになってるんだが。そんなに巻かなくてもいいだろ…

 

 

「全く…ちょっと包帯を貸してください。私がやります。」

 

「…私が巻きすぎた包帯はどうやって外すんだ?」

 

「切ります。」

 

 

…いや、切りますっておい!危ねーだろ!!

そんな俺の心の叫びを無視し、咲夜は素早くナイフを振って包帯を一瞬で切る。

そして、慣れた手つきで俺の腕の傷に包帯を巻いた。

 

 

「どうですか?」

 

「…参った、完敗だぜ…」

 

 

俺も自分の腕を見る。腕についていた痛々しい傷は、既に包帯によって完璧に隠れていた。

試しに腕をちょっと動かしてみたが、全く痛くない。すげえ!

 

 

「感謝するぞ、咲夜。」

 

「別にそれほどの事をしたつもりは無いのですが。」

 

「いやいや、おかげさまで楽になったよ。

…魔理沙もありがとうな。」

 

「…ふふん。」

 

 

俺が魔理沙にもお礼を言うと、彼女は嬉しそうな顔をした。

…さてと、そういえば聞きたいことがあったんだったな…。

俺は幽々子の方に歩いていき、彼女に話しかける。

 

 

「なあ、幽々子さん。」

 

「なあに~?」

 

「戦いが終わってから聞くのも何だかなと思うが、何で異変を起こしたんだ?

さっき言いかけてただろ?」

 

「…知りたい?」

 

「ああ、是非とも知りたい。良いよな、三人とも?」

 

 

俺は三人の方に振り向き、意見を求める。

 

 

「…私は別に構わないわよ。もう倒したし。」

 

「私も全然大丈夫だぜ。面白そうだからな!」

 

「何の問題もありません。」

 

「…うふふ。じゃあ、お言葉に甘えて話させてもらおうかしらね~。」

 

 

幽々子は一際大きい桜の木を見上げ、ゆっくりと話し始めた。

 

 

「…この大きな桜の木が、人間さんの言っていた『西行妖(さいぎょうあやかし)』なのだけれど、

実はこの木の下にはある人が封じられているの。」

 

「…ある人?誰の事よ?」

 

「私もそれが気になってね~。是非とも一度、会ってみたいと思ったの。

それでこの木の封印を解くために、『春』を妖夢に集めさせたのよ。

…後もう少しで封印が完全に解ける所だったんだけど…」

 

「そこに俺らが来てしまった、と。」

 

「そうそう。残念だけど負けは負けだし、もう一回封印し直すしかないわね~。」

 

「封印とかは私の専門分野だから、今回だけ無料で手伝ってあげるわよ。」

 

「あら、とても助かるわ~。」

 

 

幽々子と霊夢は二・三言話した後、二人で西行妖の方に歩いていった。

…これで、一件落着か。

 

 

「あ~、疲れたぜ…。早く霊夢んち帰って炬燵に入りたい…」

 

「もう異変は解決したのですし、今の季節に相応しい天気になっていると思いますが。」

 

「…あ、そうか。本来なら今は春なのか!花見したいな~…」

 

 

俺は舞い散る桜の花びらを見ながら、魔理沙と咲夜のたわいもない話を聞いていた。

……その時、俺は何らかの気配を感じ、勢いよく振り向く。

 

 

「どうしたんだ、祠弥?」

 

「いや、一瞬だけ何かの気配を感じたんだが…気のせいか?」

 

「…気のせいなんかじゃないわよ、人間。よく気づいたわね。」

 

「「!?」」

 

 

何処からか俺を呼ぶ声がしたかと思うと、突然空間が歪んで裂け目が出来る。

その裂け目からは無数の目が覗いていたが、やがてその中の一つが人の顔の様になって出てきた。

 

 

「…貴方が「紀流 祠弥」なのよね?」

 

 

裂け目から出てきたのは、不思議な雰囲気をたたえた女の人だった。

紫色のネグリジェ?のような服に、リボンみたいに結ばれた赤い紐がついている帽子、

そしてピンク色の傘を右手に持った女性だ。

 

 

「…どうなの?」

 

 

女性がもう一度聞いてきたので、俺は慌てて答えた。

 

 

「確かに俺は紀流ですが…あなたは?」

 

「私は『八雲(やくも) (ゆかり)』。幻想郷の賢者と呼ばれているわ。」

 

「…その賢者さんが、わざわざこんな普通の人間に何の用ですか?」

 

 

俺が聞くと、紫さんはゆっくりと答える。

 

 

「…貴方を『退治』しに来たのよ。」

 

 

…え?

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