東方有無録   作:印鑑

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第二幕〜激突!百億パワーの萃香達

「だりゃあっ!!!」

 

「…くっ!」

 

 

オッス!オラ紀流!

今現在俺は宴会場にいた鬼、萃香と戦っている所だ!

危うくボコボコにされそうになったので、「超サイヤ人」になる羽目になったぜ…

 

 

「…やるね。それがお前の本気かい?」

 

「いや、本来ならもっと強くなれる筈なんだが…

俺の実力不足のせいで、超サイヤ人もまだ不完全なんだよ。」

 

「…それで『不完全』かい。末恐ろしい発言だねえ…

はあっ!!」

 

「おっと!」

 

 

俺は萃香が殴りかかってくるのを冷静に見極め、彼女の拳を受け流す。

攻撃を受け流されて無防備になった萃香の胴に、俺はすかさず拳をねじ込んで攻撃する。

 

 

「あぐっ…!!」

 

「そこだ!宇撃『ビッグバンアタック』!!」

 

 

萃香が怯んだ所で俺はスペルを発動し、ほぼゼロ距離から青い気弾を撃ち込む。

俺はそれが当たって大爆発を起こすかと思ったが、萃香は気弾をギリギリまでひきつけた後に…

…自らの体を「霧」にして回避する。

 

 

「…またか…何処から来るんだ…?」

 

 

俺は精神を集中させ、周りの様子を伺う。

次に萃香が出てきた時に直ぐ対応出来るようにするためだ。

…一瞬の静寂の後、空気が乱れる。分かった…

 

 

「…後ろか!波符『かめはめ波』!!」

 

「おっと、反応出来るのかい!萃符『戸隠山投げ』!」

 

 

俺は振り向くと同時に光線を放ち、萃香が飛ばしてきた巨大な岩に対抗する。

かめはめ波は容易く岩を砕き、そのまま萃香へと向かっていく。

 

 

「くっ!」

 

 

これは回避が間に合わないと感じた萃香は、咄嗟に腕を交差させてかめはめ波を受け止める。

…だが、彼女はそこで違和感に気づく。威力がそこまで高くないのだ。

 

 

「…何でだ?あいつの力ならもっと威力の高いのが撃てる筈…

はっ、まさか…!?」

 

「下から失礼!散弾『トラップシューター』!!」

 

 

萃香が紀流の攻撃の真意に気づいた時には既に遅し。

下に移動した紀流は腕を振るい、無数の緑色の気弾を彼女に向けて放っていた。

 

 

「中々やるね!だが、数が多けりゃ当たるってもんじゃないよ!!」

 

 

彼女はそう宣言すると、自身の腕力を生かして気弾を弾き飛ばしていく。

それも全てではなく、放っておくと自分に当たるであろう弾だけだ。

やがて気弾は飛んでこなくなり、萃香は流れを自分に向ける為に攻撃を仕掛けようとするが…

 

 

「…いない!?」

 

「だっはーっ!!!」

 

「!?」

 

 

突然横から勝ち誇ったような声が聞こえたかと思うと、紀流が両足で蹴りを入れてきた。

萃香は顔に手酷い一撃を喰らい、そのまま地面に叩きつけられる。

 

 

「大成功!」

 

 

紀流は得意気な表情を浮かべ、萃香を叩きつけた辺りの地面を見下ろす。

煙が舞い上がる中、不意にガラガラという音がする。

 

 

「フフ、結構効いたよ…」

 

「…あれ?あんま応えて無いな…」

 

 

煙が晴れて瓦礫が軽々と持ち上がったかと思うと、

服が少し破れた程度のダメージしか受けていない萃香が現れた。

 

 

「私もウォーミングアップはこれ位にして、そろそろその気になろうかな…」

 

「まだなって無かったのかよ…」

 

「…始める前に、一つ謝っておくよ。」

 

「え?何を?」

 

「戦う前、私はお前を甘く見ていた。

どれだけ強そうだといっても所詮人間、恐れるに足らないってね。

けど、お前の強さは本物だった…」

 

「鬼に認めてもらえれば、俺の修行も報われたかな…大した事してないけど…」

 

「だから私も全力を出す!!覚悟はいいかい?」

 

「いいぜ…来な!」

 

 

…何で俺は調子に乗ってしまうんだぁ…本気の鬼に勝てっこ無いのに…!

だが、言ってしまったもんはしょうがない!!駄目で元々だ!!!

 

 

「じゃあ…行くぞ…!はぁぁぁぁぁぁ…!!」

 

 

萃香はそう宣言すると、気を高め始める。

…さて、何を仕掛けてくるんだ?

 

 

「はっ!!!」

 

 

暫くした後、萃香の周りに霧が発生し…

その霧が収縮して、小さい萃香が出てきた。

 

 

「…え?」

 

 

俺が驚いている間にも、萃香はどんどん量産されていく。

ふと我に帰った時には…

 

 

「「「「「待たせたね!」」」」」

 

 

…目測百体程のちび萃香が、俺を見て笑っていた。

 

 

「…!?」

 

「開いた口が塞がらないみたいだね…説明してあげるよ!

私が能力で体の密度を自由に操れる事は知ってるな?」

 

「…ああー。」

 

「…余程驚いてるんだね…

で、その能力を使って自分を量産したってわけさ!どうだい?」

 

「チートだな…」

 

「…ちいと?」

 

「反則、って意味です。」

 

「参ったね…まさかそんな風に言われるなんて、私は悲しいよ…」

 

 

萃香が俯くと、ちび萃香達も一斉に俯く。

…あれ?俺のせい?

 

 

「…冗談だよ、冗談!ごめんな!」

 

「そうですか…良かった。」

 

 

俺は安心して、ほっと溜め息をつく。

やっぱり他人が落ち込んでいるってのは辛いからな…うん。

 

 

「…今言った事は冗談だけど、強さは本物だぞ?」

 

「まじかよ…」

 

 

強さが大した事なければいいのだが、現実はそんなに甘くないよな…鬼だし。

まあいい!勝てばよかろうなのだ!!

 

 

「いけーっ!!!」

 

「「「「「おーっ!!!」」」」」

 

 

…前言撤回!勝てるかこんなもん!!逃げろぉぉぉ!!!

俺は咄嗟に舞空術で飛び上がり、ちび萃香達の突進を回避する。

そうしてしまってから俺は自分の重大なミスに気がついたが、既に後の祭りで…

 

 

「かかったね!!」

 

「なっ!?」

 

 

次の瞬間、俺は飛んできた無数の岩に体を捕らえられてしまっていた。

岩は一つ一つ尖っており、少し動くだけで体に喰い込んでくる。

 

 

「う…動けな…!」

 

「下手したら死ぬかもね!萃鬼『天手力男投げ』!!」

 

 

萃香は俺の胴を掴み、周りについている岩ごと俺を地面に向かって投げつける。

…待て待て待て!決まったら確実に死ぬぞ!!こうなったら…

 

 

「んぐぐぐぐ…だあっ!!!」

 

「!」

 

 

俺は気合いで無理矢理岩を吹き飛ばし、体を自由にした後地面を滑って着陸する。

萃香は意外そうな表情をしたまま固まっていた。

 

 

「まさかあそこから抜け出すなんてね…やるじゃないか。」

 

「だって避けなきゃ死ぬからね…」

 

「ふふ。ところで何か忘れてないかい?」

 

「…え!?」

 

「お前達!思い出させてやれ!!」

 

「「「「「萃夢『施餓鬼縛りの術』!!!」」」」」

 

 

萃香の号令と共に、ちび萃香達が一斉に鎖を投げてきた。

鎖は俺の腕や足や胴体、さらには首にまで巻き付いて俺の身動きを不可能にする。

 

 

「エネルギーを吸い尽くしてやりな!」

 

「「「「「おーっ!!!」」」」」

 

「…がぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

突如体に電撃が走り、俺は思わず声を上げる。

いや、それだけでは無い…この感覚は…

 

 

「力が…吸いとられる…!?」

 

「気づいたようだけど、もう遅いよ!

小さな私に力を吸いとられ尽くしちまいな!!」

 

「…ぐぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅ…!?」

 

 

ちび萃香達は鎖を引っ張り、エネルギーを吸いとると共に俺の体を締め上げていく。

ヤバい、意識が遠のいていく…死ぬ…

…何てね!スペル発動!!

 

 

「完防壁『パーフェクトバリヤー』!!!」

 

「なっ!?その体勢からスペルだと!?」

 

 

俺は紫色の衝撃波を全方位に放ち、油断しきっていたちび萃香達を巻き込んでいく。

その勢いは凄まじく、離れた所で見ていた本物の萃香すら巻き込みそうな勢いだ。

 

 

「「「「「うわぁぁぁぁぁぁっ!」」」」」

 

 

ちび萃香達はどんどん呑み込まれて消滅していく。

一体一体消えていくと同時に、俺の体を捕らえていた鎖が消えていった。

やがてちび萃香達は全て消え、再び俺と萃香だけになる。

 

 

「…まさか…全員を撃ち消すなんて…!」

 

「驚いたか?俺も驚いたよ。

ここまで簡単にあいつらを消せるなんてね…」

 

「…簡単だと?」

 

 

萃香の目が険しくなり、放っている気も怒りを含んだものになった。

…ああ…また俺は挑発的な発言を…

 

 

「もう、手加減はしないよ…紀流!

光栄に思いな!私をここまでさせた奴は…久しぶりだ!!!」

 

「初めてじゃ無いのか…」

 

「残念ながらね…っ!!!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ…!!!」

 

 

俺がぼやいている間にも、萃香はどんどん気を高めていく。

やがて彼女の体は再び霧となって周りに広がり始める。

そして…

 

 

「な…っ!?」

 

「鬼の四天王の真価を、お前に見せてやるよ!!」

 

 

…十数メートルはあろうかという、超巨大萃香が俺の前に現れた。

 

 

 

 

 

「…うーん…うるさいわね…」

 

 

ここは宴会会場。殆どの人が寝ている中、霊夢だけは目を開けた。

…いや、霊夢だけでは無い。あと三人…

 

 

「霊夢~?どうしたんだぜ~?」

 

「…私としたことが…地べたに寝てしまうとは…はしたない。」

 

「少々飲み過ぎましたね…」

 

 

魔理沙、咲夜、そして妖夢も起きていた。

 

 

「…あ、魔理沙。さっきからドンドンやってるのってあんた?」

 

「いや、私も今起きたばっかりなんだが…」

 

「じゃあ、あんた達?」

 

「いえ、私もたった今起きたばかりですので。」

 

「同様です。」

 

「じゃあ誰よ?」

 

 

霊夢がそこまで言ったとき、凄まじい地鳴りが彼女達を襲った。

思わずよろけて転びそうになるが、お互いを支えあって何とか持ちこたえる。

 

 

「ちょ…一体何だって言うのよ…」

 

「今の地鳴り、神社の表の方からしなかったか?」

 

「確かにそうでしたね…」

 

「おそらく、例の人間が関わっているのではないでしょうか?

何処にも寝ていませんし。」

 

「…また祠弥…あんた達、行くわよ!」

 

 

霊夢はそう言い、神社の前に歩いていく。

三人も後からついていき、地鳴りの原因を確かめようとする。

神社の影からその「原因」を見た瞬間…

 

 

「「「「!?」」」」

 

 

四人は絶句した。

何しろそこに広がっていた光景は、自分達のよく知っている「普通の人間」と…

 

 

「どうした!逃げているだけじゃ私には勝てないよ!!」

 

「お前の一撃は大きすぎるんだよ!喰らったら潰れるわ!!」

 

 

…おおよそ十数メートルはあろうかという巨人が戦っている光景だったからだ。

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