初めての人里にて~強引な少女作家との出会い
「…えーっと、服に米に野菜に酒に…」
オッス!オラ紀流!
今現在俺は霊夢に頼まれた物を買うために「人里」に向かっている所だ!
人里なんてあるんだったらもっと早くに行っておくべきだったな…
そんな事を考えながら飛んでいると、前方に小さな村の様な場所が見えてきた。
「あれが人里…かな?」
ぱっと見、時代劇に出てきそうな村だ。
しかしここは幻想郷…見た目だけで判断してはいけない。
もしかしたらあれはカモフラージュで実はハイテクの町かもしれないじゃないか!
「ま、行ってみれば分かるか。全速力!」
そう考えて俺は加速し、謎の村に向かった。
~人里~
「…普通に村…だな。」
結論・別にカモフラージュなんて無かった。
見事なまでに普通の村だったよ…江戸時代の。
「…さて、最初に何を買えば良いのやら。
食い物とかお酒はかさばるからな…うーむ。」
俺は頭を捻り、人里でどう行動するかを考える。
…よし、決めた!
「服→野菜→酒→米の順番で行くぞ!」
つまりは軽い物からである。普通は近い所から買ったりするもんだが、
なんせ人里の構造がまだよく分からないからな…とりあえずだ。
「よし、行くか!」
俺は周りを軽く見た後、歩き出そうとする。
そのお陰で危うくスルーしそうになった服屋を見逃さずにに済んだぜ!
「危ない危ない…気づいてよかった。」
俺はそう呟き、店の中へと歩を進める。
中はこざっぱりしており、和服が沢山置いてあった。
いや、よく見ると洋服も奥の方にある。それも大量に。
「いらっしゃいませー!」
「わあっ!?」
後ろからいきなり声をかけられ、俺は声をあげる程に驚く。
瞬時に振り向くと、俺と同じようにびっくりしている女の子がいた。
服装からして、おそらくこの店の店員だろう。
「何だ店員か…びっくりした…」
「…店なんだから、店員がいるのは当たり前ですよ。
そこまで驚かなくても…」
女の店員さんは怪訝そうな顔でこちらを見つめてくる。
…何だろう、何で罪悪感が湧いて来るのかな?
「…えっと、ご注文は?」
「あ、はいはい。これで。」
俺は店員さんに霊夢からもらった袋を差し出す。
霊夢が言うには「私その店の常連だから渡せば分かる」との事だ。
流石にこれだけじゃ分からないだr…
「あーっ!そのずぼらで数えるのが面倒なお金の払い方!間違いないっ!!
あなた、博麗の巫女の使いですね!?」
…理解してくれたーっ!?
そして何気無く霊夢に対して酷い事言わなかったか!?
「あ、あの…」
「分かってます、いつものサイズですね!
後…」
「?」
「…あなたの服も直してさしあげましょうか?
というか是非!」
「は?」
店員さんにそう言われ、俺は自分の服を見る。
…別に汚れてたり破れたりはしてないけど…
言っておくが、一応自分の服は自分で洗ってるんだぞ?
「頼んでもいいが…替えの服を持ってないからな…」
「心配いりません!ここは服屋ですからね!
どんな服でもオッケーですよ!!」
その位分かる。分かるけど…
余分な金なんて霊夢が持たせてくれてる筈が無いからな!無理だ!
「…いや、金が…」
「四の五の言わずに直させろ!!
古着は補修だーっ!!!」
「誰の服が古着だぁぁぁ!?」
俺が思わず怒鳴ると、店員さんは笑った。
「…何てね、冗談ですよ。」
「そいつを聞いて安心したぜ…はぁ…
じゃあ、頼むよ。」
「任せて下さい!数時間あれば仕立てられます!
それまでどうかごゆるりと~。」
「お、おう…」
俺は曖昧な返事をし、逃げるようにして店から出る。
あの店員さんの店の常連とは…流石霊夢だな。
…いや待てよ?むしろ霊夢が常連の店
「…へっくし!」
「…どうしたんだい?」
「…いや、急にくしゃみが…
誰かに噂されてんのかしらね…」
「…博麗の巫女は人(鬼)使いが荒いってかい?」
「え?」
「…何でも無いよ。で、この木材は何処に置けばいいんだい?」
「…ああ、そこに…」
…いや、関係無いか。うん。
さて、服の修理も頼んだし、ぶらりと人里を回ってみるかな~。
…買い物も兼ねてね。
「次は野菜か…八百屋はどこだ?
それよりも先に、地図が欲しいぞ…」
「…あの、何かお困りですか?」
「ええ、とってもお困りですよ…
…って、え?」
俺が横を見ると、着物を着た少女が俺を見上げていた。
濃い紫色の髪の毛に、袖が黄色で上半身が黄緑、下半身が赤紫の着物。
頭には花の髪飾りを付けている。
「そうですか…私なら、助けになれるかもしれませんよ?」
「…その前にさぁ…
君、誰?」
「あ!これは申し遅れました!
私、『
少女はそう言って、頭を深々と下げる。
「え、ああどうもこちらこそ…」
少女の礼儀正しさに押され、俺も思わず頭を下げてしまった。
「…すいません。」
「別に気にする事は無いよ。俺は紀流 祠弥。
自称、普通の人間さ。」
「よ、宜しくお願いします!」
「…あ!」
阿求があまりにも強くお辞儀をしたため、彼女の頭の髪飾りは吹っ飛んでしまった。
そのまま飛んでいきそうになったので、俺は咄嗟に空を飛んで髪飾りをキャッチする。
「!?」
「間に合って良かった…はい、どうぞ。」
「…ありがとうございます…
あ、あの…たった今、お空を飛びになっていませんでしたか!?」
「うん、飛んだよ?
空を飛ぶなんて、幻想郷じゃそんなに珍しい事じゃ無いんだろ?」
俺が何気無くそう言うと、阿求は「何言ってるんだコイツは」とでも言いたげな顔をした。
…え?結構珍しい事なの?
「…確かに妖精や妖怪が飛ぶのは珍しく無いですけど、
人間で飛ぶことが出来るのは博麗の巫女程度しかいませんよ?」
…そうだったのか…俺が会った人(?)達の殆どが空飛んでたからな…
俺の感覚は麻痺していたようだ。
「…空を飛べる人間…是非とも書き留めておきたいですね…
紀流さん!私の家に来てくれませんか?」
「…残念だな、俺は今買い物中なんだ…」
「そんな事はどうでもいいんです!
あなたを私が書く『幻想郷縁起』に書き写さなければ、私の気が済みません!」
「随分と自分勝手だなおい!?
そして『幻想郷縁起』って何だ!?」
「私の書いている本です!そう言いましたよね!?」
…本!?お前は作家だったのか!?
俺が驚いているのも気にせず、阿求は俺の腕を掴んで引っ張る。
「…とにかく…だまされたと思って…来てください!」
「詐欺みたいな言い方をするなぁぁぁっ!」
紀流&少女喧嘩中…
「…中々…強情ですね…はぁ…」
「お前ちょっとしつこいぞ…」
数分後。紀流と阿求は未だに引っ張り合いを続けていた。
「来てくれるまで離しませんよ…っ!」
あまりにも強情なので、遂に俺は折れた。
「…ああ、もう…分かったよ!行ってやるよ!!」
「え、本当ですか!?やったー!…じゃなくて…ありがとうございます。
…でも、本当にいいんですか?」
「別に行かなくてもいいんだが…」
「じゃあ行きましょう!こっちです!」
「はぁ…」
嬉しそうに歩く阿求の後ろから、俺はとぼとぼとついていく。
…すまんな、霊夢。当分は帰れそうに無いぜ…
「なにをもたもたしてるんですかー!」
「…。」
…ああ、嫌だ…