ゆっくり読んでいってね…
「…で、妖怪さん?
何でこんな事をしたわけ?」
「…さっき言ってたじゃ…痛い!」
…オッス!オラ紀流!
今現在俺は、幽香さんに首根っこを持たれて吊り下げられてる所だ!
今にも息が詰まって失神しそうだぜ!
「幽香さん、離して…「五月蝿い♪」…アウチ!」
幽香さんがいきなり手を離したので、俺は地面に尻餅をつく羽目になった。
…尻が割れたかと思ったぜ…
「だーかーらー!そこの人間二人を食べようとしてたのっ!」
「狙いが紀流と博麗の巫女だったんなら、何で私まで鳥目にしたの?」
「ちょっと!私もでしょ!」
「…あぁ、後そいつも。」
「そいつもですって…!?」
…はぁ…何でこうなるんだか…
幽香さんも余計なことを言わないでほしいものだ。
「…まあまあ、二人とも。
事ある毎に必ず喧嘩してたら、夜が明けちまうぞ?」
「それもそうね。」
俺は半ば強引に二人の間に割って入り、何とか喧嘩を止めようとする。
幽香さんが納得してくれたので、これで事態は収束するかと思ったのだが…
「…全く、現金な奴。」
…紫、少し言葉を慎みたまえ!
わざわざ幽香さんを怒らせる様な事を言うなっ!!!
「…何か言ったかしら?」
そして、当然の様に幽香さんは反応した。
…ああ…大妖怪達は口にチャックが出来ないんだろうか…
「…紫、大人げないから止めなさい。
幻想の賢者ともあろう者が、そんな子供レベルの喧嘩してどうするの?」
「…ぐっ。」
あ、言葉が詰まった。これで紫はもう何も言わないな。
後は…
「どうしたの?人間ごときの言葉に黙りこくっちゃうわけ?」
「…幽香さん、凄く
「…っ!?」
よし、黙ったな。
「…ねぇ、喋って良いかなぁ!?」
遂にミスティアが痺れを切らし、俺達を怒鳴りつけてきた。
やばい、すっかり忘れてたぜ…
「どーぞどーぞ。」
「ムカつくなぁ…」
そらそーだ。誰だってこんな適当な答え方されたら怒るわ。
ミスティアは一旦目を閉じて深呼吸をした後、唸る様に話し出す。
「じゃあ言うけど、ここは私のテリトリーなの!
さっさとその人間二人を置いて、部外妖怪はここから出ていけっ!!」
「あなたが勝手に決めたテリトリーでしょう?
私が守る必要は無いわ。」
「…何を~!」
「じゃあ、私が創った幻想郷は全部私のテリトリーにしても良いわけね?」
「「「!?」」」
紫の爆弾(?)発言に、俺と霊夢とミスティアは唖然。
直ぐ様霊夢が紫を指差し、怒ったような表情で口を開いた。
良いぞ、指摘してやれ、お前の発言はおかしいって!
「…いやいや紫、冗談じゃ無いわよ!
当時の博麗の巫女だってあんたを手伝ったんだから、私にも半分寄越しなさいっ!」
「そうそう、よく言っt…って何を言ってるんだお前は!?」
駄目だ、この巫女と賢者。こうなったら幽香さんに協力をあおぐしか…
「…たとえ何があったとしても、私の家は私のものよ♪」
「馬鹿な奴らめ…」
「「「え、何て言った?」」」
「…何でもない。」
…この三人といい、幻想郷の強者には変わった人が本当に多いね!
そんな事を考えていたせいだろうか、俺は後ろから近づいてきた影に気づかず…
「…今だっ!」
「へっ!?」
…一瞬の内に俺は羽交い締めにされ、そのまま空中に持ち上げられた。
「「「!?」」」
地上にいた三人は咄嗟に何が起こったか理解出来なかったが、直ぐに気を取り直して上を見上げる。
その目に写ったのは、どや顔(多分)で自分達を見下ろしているミスティアと…
「…。」
「…祠弥、何で捕まってるの?」
後ろから掴まれ、空中に持ち上げられている俺だった。
「そんな奴に捕まるなんて、あなたもまだまだ甘いわね。」
「祠弥が連れ去られそうになってるのに、そんな事言ってる場合じゃ無いでしょう!
紫、助けるわよっ!!」
「分かったわ、霊夢。
幻想の賢者である私の目の前で、誘拐事件なんて起こしてなるもんですかっ!!」
「…はぁ…紀流、さっさと戻って来なさい。」
各自が各々に戦闘態勢に入ったのを見て、俺は何か感動した。
…何だかんだ言っても、いい人達なんだな…後でさっきの失言を謝っておこう。
「ははは、もう遅いっ!この人間は私の食事になるんだからな!!
お前達は私の能力で鳥目になってもがいていろ!鷹符『イルスタードダイブ』!!」
ミスティアがスペルを発動すると、彼女の周りに雀らしき鳥が集まり、
地上に立っていた三人に向かって小さい矢尻の様な弾幕と中くらいのサイズの丸い弾幕を発射した。
だが、密度はそれほどでもない。あの三人なら余裕でかわせ…
「紫、どうやら相手がスペルを発動したみたいよ!」
「…ちっ、目が見えないとなると、避けるのには苦労するわね…」
「…。」
…しまった、ミスティアの能力の影響を忘れていたぁっ!!!弾幕が見えないって絶望的じゃねーか!
俺が見ている前で、ミスティアの撃った弾幕は少しずつ三人に迫っていく。
「何も見えない中襲いかかってくる弾幕に恐怖しながら、ここで散れっ!」
ミスティアは(俺からは見えないが)得意気な顔をしている。
…フン、調子に乗るなよ…この野郎!
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…だあっ!!!」
「なっ!?」
俺は超サイヤ人になり、一気に気を解放してミスティアを振りほどいた。
ぐずぐずしている暇はない、直ぐに行動しなくては!
「間に合えっ!消砲…」
俺は全速力で飛びながら、左手に気を込め…
「…『イレイザーキャノン』!!!」
三人に迫っていく弾幕に向かって、緑色の気弾を全力投球した。
俺の放った気弾は弾幕に当たるやいなや、大きな爆発を起こして残りの弾幕を飲み込み、消滅させた。
「「きゃあっ!?」」
「…あ。」
…発生した爆風で霊夢と紫をぶっ飛ばしちまったがしょうがないよね!
「…祠弥ぁぁぁ!!!何してくれてんのよっ!!!」
「悪い悪い、やっちまった…」
案の定霊夢はブチ切れし、俺の声が聞こえてきた方に拳を突き出す。
その拳は見事、
「…痛たたたたっ!霊夢、今貴方が殴ってるのは私よ!?」
「くっそ~…自分は能力の影響を受けないからって…!
祠弥!この戦いが終わったら覚えてなさいっ!!」
「…お、おい…」
「そこか!よし、そこから動くなっ!
お払い棒の一撃を喰らえぇぇぇっ!!」
「止めろ!後悔するぞー!!!」
俺の制止を聞かず、霊夢は俺の声のした方に持っていたお払い棒を降り下ろした。
確かに、お払い棒の先には俺がいた。但し…
「…何をしてくれてるのかしら、博麗の巫女♪」
…幽香さんが、俺と霊夢の間にいたが。
「げっ!何で祠弥じゃなくてあんたが…」
「真っ暗な中でそんな物を振り回したら危険って事くらい、あなたなら分かるでしょう?」
「うるさいわね!大体、こうなったのも全部祠弥のせいよ!」
…え"え"え"え"え"え"え"え"え"っ!?幾らなんでもそれは酷いだろ!?
俺は弾幕を消そうと…
「確かにそうね。あなたが怒っているのも、私の頭に棒が叩き込まれたのも全部祠弥のせい。」
…くそぉ…あんまりだぁ…
「…でも、今私達がこうして無傷で立っているのも、紀流のせいよね。」
…あれ?今、幽香さんに遠回しにフォローされたような気が…
「無傷なのはあんただけでしょう!?
私達は吹っ飛ばされて…」
「じゃあ訂正するわ。
『動きに支障が出る程の傷を負わずに立っていられるのは』、紀流のせいよね?」
「…まあ、そうだけど…」
「そう認めたのなら、これ以上喚くのは止めなさい♪」
幽香さん…感謝します。元気出ました。
やはり、持つべきものはパートn…
「お~ま~え~らぁぁぁぁぁぁ!!!
目が見えなくなって動きを制限されても尚、私を無視するわけぇ!?」
「無視するも何も、俺以外はお前が見えてないんだが?」
「そんな事はどうでもいいっ!
もう人間なんていらない!四人まとめて叩きのめしてやるっ!!」
ミスティアは顔を真っ赤にして怒り、スペルカードらしき物を取り出した。
それが見えたのかどうかは知らないが、俺の傍らの三人もスペルカードを取り出す。
「上等よ。博麗の巫女の力、見せてあげるわ。」
「視覚を奪った位でいい気にならない事ね、妖怪さん。」
「夜雀風情が…圧倒的な力の差を思い知らせてあげる♪」
…うん、格好いい。格好いいんだけど…
顔の方向がバラバラです。誰一人としてミスティアの方向いてない。
「…ふん、その強がり、何時まで持つかな?
全員集合っ!」
そういうが早いが、ミスティアは先程よりも更に多くの鳥を呼び寄せた。
鳥達は集まった後に拡散し、俺達四人を囲むようにして陣を組む。
「これで終わりだ!夜盲『夜雀の歌』!!!」
ミスティアがスペルカードを宣言したのを皮切りに、周りを飛んでいた鳥達が一斉に上昇する。
やがて、俺達は「鳥の壁」に四方を囲まれた。
「さあ、大人しく蜂の巣になれっ!攻・撃・開・始!!!」
彼女の号令と共に、鳥達が放った無数の赤い楔が四方から襲いかかってきた。
どうする!?最初の弾がこちらに届くまでの時間はあまり無いぞ!
俺が迫り来る弾幕を前に、必死で頭をフル回転させていると…
「紀流!そこの二人を私の傍に集めて!!」
「え、紫?どういう事d「良いから早くっ!」…分かった!!」
俺は霊夢と幽香さんをひっつかみ、紫の傍に移動した。
「きゃっ!?」
「!?」
「紫!集めたぞ!!」
「上出来、上出来!境符『四重結界』!」
紫はスペルを発動し、手を空に向かって突き上げる。
すると、その手を中心として二つの巨大な四角形が現れ、それが結界となって俺達を包み込んだ。
「…ふう。何とか難は逃れたわね。」
「けど、何時までも結界の中で立ち往生、ってわけにもいかないぞ?」
「それについては考えてあるわ。
三人とも、よく聞いて。」
「ちょっと紫!今は一体どういう状況なの!?」
「五月蝿いわよ、博麗の巫女。
さ、この状況からの打開策を教えてちょうだい。」
「じゃあ、説明するわよ。
私の能力で音の境界を無くすから、その隙に攻撃して♪」
随分と思いきった、かつチートな作戦だなぁ…流石紫。
っていうか音の境界無くしたら何も聞こえないんじゃ…
「…理解したわ。」
「けど、あなたの作戦通りに事が進むのかしらねぇ?」
…二人が納得したみたいだから、別に良い…のか…?
「一か八かすぎないか…?」
「もしも上手くいかなかったら、後は好きにしなさい。
…行くわよ!結界解除!!!」
紫の掛け声と共に、今まで俺達を囲っていた結界が消えた。
それと同時に俺意外の三人が空高く飛び、一人取り残された俺は咄嗟にスペルを発動する。
「危ねえ!完防壁『パーフェクトバリヤー』!!!」
俺が発生させた紫色の衝撃波は、瞬く間に鳥達を四方八方に吹き飛ばし、弾幕も打ち消した。
ミスティアはそれを見て、別のスペルを発動しようとするが…
「それっ♪」
「うわっと!?」
彼女の攻撃は、幽香さんが放ったレーザーによって阻まれた。
「…なぁ!?何で私の位置が分かるんだ!?
お前達は私の能力で鳥目になっている筈なのに…!?」
「え?何か言ったかしら♪」
「霊符『夢想妙珠』!」
「って!?」
幽香さんの攻撃から間髪を入れずに、霊夢はスペルを発動した。
彼女の周りに大きな赤い泡のような弾幕が発生し、ミスティアに向かって飛んでいく。
「くっ!」
「あらら、私を無視したままで良いの?」
「!?」
後退したミスティアの耳に聞こえてきたのは、紫の楽しそうな声。
咄嗟に振り向いた彼女の目に飛び込んできたのは…
「じゃあね、夜雀さん♪魔眼『ラプラスの魔』!!!」
…紫の周りに浮かんだ無数の巨大な目が、一斉に光線をぶっぱなした光景だった。
博麗の巫女と幻想の賢者。この二人の攻撃を一度に喰らい、耐えることができる妖怪など…
「く…くそぉぉぉぉぉぉっ!」
…いるはずは、無い。
「…おい、この子大丈夫か?」
「手加減したから生きてるわよ。」
「博麗の巫女である私、幻想の賢者と呼ばれている紫。
更には最強の風見に超サイヤ人の祠弥。こいつに勝てるわけないでしょ?」
「…か…辛うじて生き…て…(気絶)」
「…あ。逝っちゃった♪」
最期にミスティアの目に写ったのは、自分を見下ろしている三人の少女(?)と、
それを不安そうな目で見守っている少年だった。
「…霊夢に紀流、後花妖怪。
知ってる?雀って美味しいのよ。私は食べた事ないけどね〜。」
「止めて!私は食べられないよ!!!」
「…じゅる…」
結論・ミスティアは死んでいませんでした。良かった良かった。
…あれ?