東方有無録   作:印鑑

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第六十七話目です。
ゆっくり読んでいってね!


極限バトル!!三大超蓬莱人~其の一『決戦』

「まさか、本当に出てくるとは…。」

 

「…自分で呼んでおいて、その言い種は無いんじゃない?」

 

「あ、申し訳ない。ちょっと驚いた。」

 

 

オッス!オラ紀流!

今現在、『なよ竹のかぐや姫』らしき長髪の黒髪女性が俺の呼び掛けに答えて出てきた所だ!

前髪ぱっつんの彼女は日本絵画に描いてありそうな模様が描かれた、

上がピンクで下が赤の、袖や裾に白いひらひらがついたゆったりとした着物を着ている。

首元には、妹紅が頭につけているよりは少し小さくて白いリボンをつけていた。

 

 

「姫様!?

…一体てゐは何をしていたの…」

 

「あ、永琳、私が勝手に出てきただけで、てゐは何も悪くないわ。」

 

「…そうですか…」

 

 

永琳がため息をつくと、それを合図にしたかの様に横にいた妹紅も口を開く。

 

 

「輝夜…何でお前がここに?」

 

 

妹紅の問いかけに、『輝夜』は答えるのが馬鹿馬鹿しいとでも言いたげな表情で首を振った後、

これまた答えるのが馬鹿馬鹿しいとでも言いたげな表情で喋り始めた。

 

 

「その言葉、そっくり返してあげるわよ。

いつも私に殺し合いの果たし状を送ってくる癖に、何で今日に限って永琳達に協力してるわけ?

放っておけば、私という厄介者が片付くかもしれないのに。」

 

「…殺し合い?」

 

 

…ちょっと待て、何か凄い物騒な言葉が聞こえたんだが。

 

 

「…勘違いするな、輝夜。

私はお前を助けようと思ってここにいるんじゃない。

私以外の奴にお前が殺されるのが、私は我慢ならなかったんだよ!」

 

 

えぇ!?本人の目の前でいきなり殺害宣言したぞこいつ!

何かベジータが悟空に言いそうな台詞だが、幾らなんでも唐突すぎるぜ……

 

 

「あら、じゃああなたは私が殺されると思っているわけ?

私の強さなんてあなたが一番良く分かっているでしょうに。」

 

「…お前の事だからな。

どうせ私を悔しがらせる為にわざと殺されたりするんだろ?」

 

「…!?」

 

「物騒な事言わないでよ。誰が好き好んで自分を殺させるもんですか。」

 

「今『その手もあったか』みたいな顔しやがっただろ!?

全く、油断も隙もない奴だな!」

 

「長年生きていれば、自然とそうなるのよ。」

 

「死にたがりにか?」

 

「賢く、よ♪」

 

「…。」

 

 

…えーっと、何だろうねこの会話。

『殺される』とか『死にたがり』とかいう物騒な単語が飛び交っている割には微笑ましいね。

幼馴染み同士の喧嘩みたいな感じで。

 

 

「…?」

 

 

さっきまで大暴れしてた幽香さんですら頭に?マーク浮かべて見てるし。

それだけ今の二人の口喧嘩は微笑ましいんだろうね。

 

 

「…ところで…さっき私を呼んだそこの青髪さん?」

 

「え?」

 

 

しばらくして、輝夜はいきなりこちらに向き直って俺に話しかけてきた。

急に話を終わらされた妹紅は頬を少し膨らませ、腕を組んで俺を睨んだ。何故だ。

そんな妹紅を無視し、輝夜は俺に衝撃的な事を訊ねた。

 

 

「あなた、私と婚約したくて訪ねてきたの?」

 

「…はい?」

 

「え?」

 

 

瞬間、輝夜さん以外のその場にいた人全員がその場で固まりました。

幽香さんですら俺の横で固まってます。

俺は大声で突っ込みたい気持ちを抑え、喉の奥から声を絞り出して最も聞きたい事を問う。

 

 

「…ちょっと待て、どういう過程を経て婚約に辿り着いたんだ!?」

 

「だって、私の名前を知っていたじゃない。

私は普段外に出ないし、今日まで永琳や鈴仙、妹紅以外の人になんて会った事も無かったのよ。

なのに、あなたは初対面…いや、顔を見せる前から私の名前を知っていた。」

 

「…それと婚約とは何の関係があるんだ?」

 

「結婚したい人の情報を、前もって知っておくのは常識でしょう?

それにもう顔も見せたしね♪」

 

 

輝夜はるんるんと、場の凍りついた空気とは正反対の表情で楽しそうに言葉を進める。

…そういえば、平安時代には女性が顔見せるのは自分の夫だけとかあったな…

 

 

「…確かに俺はお前の顔を見たけども…

あの五人の貴公子みたいに、心のこもった文も書いてないぞ?」

 

 

俺が『五人の貴公子』と口にすると、輝夜は少し驚いた。

 

 

「あら、あの五人を知っているの?」

 

「…知ってるだろうさ。

あいつ、私の親父の名前だって知ってたんだからな。」

 

「ふ~ん…」

 

 

輝夜は不思議そうな顔をしながら、何かを探る様に俺の顔をじーっと見つめる。

 

 

「…あの五人の誰とも似てないけどねぇ…」

 

 

どうやら、自分の記憶にある五人と俺の顔を照らし合わせていた様だ。

そもそも赤の他人なんだから、似てるわけが無いがな…

 

 

「…言っておくが、多分お前が知ってる人の中に俺に関係ある人はいないと思うぞ?」

 

「そのわりには、やたら私について詳しいじゃない。

実は妹紅の遠い子孫だとか、どっかで繋がってるんじゃないの?」

 

「…私に子供はいない。」

 

「…誰があなたの子供って言ったのよ。

あんたは五つ子だったでしょ?その内の誰かの子孫、とは考えられない?」

 

「だとしてもおかしいだろ!

お前自分で言ったよな、ここに来てから今日まで私や永琳以外の奴と会った事無いって!

なのに、何で何処の誰かも分からないあいつがお前の名前を知ってるんだ!!」

 

 

妹紅は真剣な形相で俺を指差しながら怒鳴るが、

当の輝夜は全くの上の空であり、適当に言葉を返した。

 

 

「さあねー、求婚したかったからじゃないの?

私、都で知らない人はいなかったっていう程の美人だし。」

 

「お前なぁ…

そう言われていた時から何年経ってると思ってんだ?」

 

「私は自分の容姿が衰えたとは思ってないけど?」

 

「…。」

 

 

…かぐや姫って、随分と自由人なんだな。

妹紅は拳を握り締め、今にも輝夜に殴りかかりそうである。

 

 

「じゃ、本人に訊いてみましょうか。

あなた、何で私の名前や妹紅の父親の事を知っていたの?」

 

 

ああ、遂に来たかこの質問。

…ここで嘘ついても仕方がないだろうし、正直に答えるか…

 

 

「…本で読んだ事がある。」

 

 

俺が正直に答えると、輝夜は興味深い事この上ないとでも言いたげな驚きの表情を浮かべた。

 

 

「…本…もっと色々訊いていいかしら?

『五つの難題』って聞いて、何かピーンと来る?」

 

「…五つの難題?

ああ、確か貴公子達に持ってくるように言った五つの宝の事だろ?

存在しない宝を取ってくる様に言う位なら、きっぱりと断った方が良かっただろうに…」

 

「「…!?」」

 

 

永琳と妹紅の顔に『何でそこまで知っている』って書いてあるけど無視だ。

輝夜は余り気にしておらず、俺の言葉に続けて話を進める。

 

 

「冗談半分であれだけの難題を出せば、尻込みすると思ってたのよ。

それが五人とも本気にして各々の知力と財力を全部擲ってまで宝を手に入れようとしたから、

どうにも冗談だって言い出せなくなっちゃってね…」

 

「…全員撃沈させておきながら、何て自分勝手な奴だ…

悪そびれる様子もなく…」

 

「厳しいわね~。

あなた、永琳と一緒に私の教育係になる気はない?」

 

「婚約の次は教育係かよ…」

 

「別に婚約兼でも良いのよ?」

 

「何故に。」

 

 

周りの四人を完全に蚊帳の外にし、俺と輝夜は喋り続ける。

…正直言って、昔話の登場人物に会うなんて初めてだから結構わくわくしてるんだよな…

裏話とか聞けそうで。

 

 

「…しかし、何で最初っから俺が『求婚』しに来たって決めつけたんだ?

お前を迎えにきた天人だったかもしれなかったのに…」

 

「最初に呼ばれた時はそう思ったわよ。

だけど私に対してへりくだった態度をとらなかったから、その疑いは早々に捨てたわ。」

 

「じゃあ今からでもとってやろうか?

『なよ竹のかぐや姫様、今宵の月は如何ですか?』」

 

「『懐かしき感じがいたします』って所かしらね…ふふ…」

 

 

輝夜は袖で口を隠し、くすくすと笑う。

その笑った顔を見て、俺はふと自分の感じていた違和感の正体に気づいた。

 

 

「…なあ、俺も一つ訊いていいか?」

 

「え、何?」

 

「俺の読んだ本では、かぐや姫は最後に月に帰っていく筈なんだ。

なのに何で、お前はまだ地上にいるんだ?いや、いられるんだ?」

 

「…。」

 

「迎えの天人達の前じゃ、人間は無力の筈。

いくらお前を守ろうとしても、守れるわけはない。なのに…」

 

 

俺が一番訊きたかった事。

妹紅との会話からして、恐らく元になった話から千年位は経っている筈。

それにも関わらず、何故、輝夜は地上にいるのか。

 

 

「…そうねぇ…

私の夫になってくれたら、教えてあげても良いわよ?」

 

 

…おめーなぁ…何でそこまで拘るんだ…

まあ、ただで教えてはもらえない事は何となく予想してたが…

 

 

「…うーむ…そうさなぁ…

じゃあ、一つ勝負をしないか?」

 

「勝負ぅ?じゃんけんとか?」

 

「そんな楽なもんじゃない。

異変を起こした主犯達との勝負って言ったら、決まってんだろ?」

 

 

俺が言った言葉の意味を、輝夜は直ぐに理解した様だ。

 

 

「…成ーる程、理解したわ。

私とあなたで一戦交えて、私が勝ったら結婚、あなたが勝ったら私が地上にいる理由を教える…

そう言いたいんでしょ?」

 

「理解が早くて助かる。正にその通りだ。

あ、お前って戦えるのか?」

 

「たしなみの一つとして、だけどね♪」

 

「たしなみ、ねえ…」

 

 

…平安女性のたしなみって言ったら、普通琴とか書道とかだよな?

戦闘訓練なんて間違ってもしないだろ…本当に大丈夫か?

そんな俺の考えを読み取ったのか、輝夜は少し悪い笑みを浮かべて口を開いた。

 

 

「言っておくけど、私に手加減は不要よ?」

 

「誰だってそう言うからなぁ…」

 

「私の体を心配してくれてるの?

益々良い夫になってくれそうねぇ…ふふふ…」

 

「まだ結婚すると決まっちゃあいないぞ?」

 

「じゃ、早く始めまし…」

 

 

輝夜がそう言い終わらない内に、俺と輝夜の間に二つの影が割り込んできた。

今まで全く動きが無かったから、いつ割り込んでくるのかと思ってたよ…

 

 

「おい輝夜、何勝手に戦おうとしてんだよ!

眠い目擦りながら竹林中を走り回ってた私の苦労を無駄にする気かっ!!」

 

「私にとっての最重要事項は『姫様を守る』事。

この異変も、そもそもは姫様を守る為に起こした物…!ここは私達二人にお任せ下さい!!」

 

「…」

 

 

輝夜を庇う様にして、俺の前に立った妹紅と永琳。

だが二人の間から輝夜の顔を見るに、彼女は迷惑としか考えていない様だ。

 

 

「永琳、妹紅、邪魔。」

 

「邪魔言うな!

全く、お前って奴は…此方の苦労も少しは考えろよ!!」

 

「あなたが『勝手に』しなくても良い苦労をしたんでしょ。」

 

「…姫様、あなたにどう思われようとも、私達は戦います。」

 

「…好きにしたら?

ま、どっちにせよ私はあの子と戦うけど。

そう言えば、鈴仙は何処に言ったの?」

 

「てゐを呼びに行かせました。

人数が多い方が、戦いに置いては有利ですからね。」

 

 

…確かに今の戦力は三対二…

さっきまでもそうだったが、新しく加わった輝夜の戦闘力は未知数だし、幽香さんは手負いだし…

これで更に二人追加されたら…

 

 

「苦戦しそうだな…」

 

「紀流、何暗い顔してるわけ?

自分から言い出したんだから、私に全部丸投げなんてしないわよね?」

 

「…そんな怪我してる人に丸投げなんて出来ませんよ。

むしろ休んでて下さいって言いたい所ですからね…」

 

「休むと思う?」

 

「思っちゃいません。」

 

「そう言う事よ。

さっ、とっとと済ませましょう♪」

 

 

幽香さんはそう言って笑い、永琳の方を向く。

永琳もその視線に気づいたのか、幽香さんの方を睨み付けた。

 

 

「あ、そう言えばまだ名前を名乗っていなかったわね。」

 

「え?『なよ竹のかぐや姫』じゃ無いのか?」

 

「そう呼ばれていた時もあったけど、本名は『蓬莱山(ほうらいざん) 輝夜(かぐや)』よ。」

 

「ご紹介どうも。

俺の名前は紀流 祠弥だ。」

 

「祠弥…ねぇ。

じゃあ改めて、戦いを始めましょうか!」

 

 

輝夜はそう言い放ち、前にいた永琳と妹紅が吹っ飛びかける程の物凄い気を全身から放出した。

思わず俺も後退しかけるが、にやっと笑っている輝夜の顔を見てその場で踏ん張る。

 

 

「成る程、戦いを『たしなんでいる』だけの事はありそうだな…

しかし、そんな程度じゃ俺は倒せんぞ?」

 

「これで本気じゃ無いわ♪」

 

「そいつを聞いて安心したぜ…」

 

 

安堵のため息をつきながら、俺はゆっくりと上昇する。

それを二人の後ろから見ていた輝夜も、俺と同じ様に上昇して付いてきた。

 

 

「…おい、輝夜!?」

 

「姫様!?」

 

 

当然永琳と妹紅は気づき、輝夜を呼び止めようとした。

彼女もそれを予想していたのか、一旦上昇を止めて直ぐに口を開く。

 

 

「あー、永琳と妹紅。

その緑髪の人が私と祠弥の戦いに乱入してこない様に足止めしてくれない?」

 

「え…」

 

「あなた達は私を守ってくれるんでしょう?

じゃ、頼んだわよー♪」

 

 

輝夜はそう言い終えると同時に素早く上昇し、俺と同じ高度までやってきた。

…全く…自分勝手というか我が儘というか…

 

 

「これでようやく戦えるわね♪」

 

「…はいはい。」

 

 

輝夜は微笑んだ後、軽く咳払いをして表情を改めた。

そして先程とはうって変わって静かな、しかしはっきりとした声で喋り始める。

 

 

「今まで数々の人間が挑み、ことごとく破れ去っていった『五つの難題』。

私の夫となるあなたに、果たしていくつ解けるかしら?」

 

「夫とか言うのは、俺に勝ってからにしてほしいもんだな…

俺だって負ける気は無いけど。」

 

「今回ばかりは、難題を解けない馬鹿であって欲しいわね!」

 

「生憎、俺は『戦闘馬鹿』なんだよ!!」

 

 

俺と輝夜は笑いながら瞬時に間合いを詰め、互いに相手の顔を狙って右手で殴りかかる。

双方の拳が互いの拳を捉えて一瞬止まり、それと同時に輝夜は俺を睨んで呟く。

 

 

「…将来の妻にも、容赦ないわねぇ…」

 

「…それはお互い様だろ?」

 

「ふふ…はぁっ!」

 

 

輝夜は拳を開いて俺の拳を掴んで引き寄せて俺の体の軸を崩し、

右手を離した後に俺の脇腹に向かって右足で蹴りを入れる。

 

 

「甘い!」

 

 

俺は素早く左足を上げて膝を輝夜の足の脛に当てる事で蹴りを受け止めた後、

お返しとばかりに輝夜の脇腹を目掛けて右足を横に振る。

 

 

「おっと!」

 

 

輝夜は体の軸を蹴りと同じ速度でずらし、衝撃を緩和しながら左腕で俺の右足をロックした。

間髪入れずに彼女は再び右手の拳を突き出してきたので、俺も負けじと右手を突き出す。

 

 

「てやぁ!」

 

「そいやっ!」

 

 

互いの拳をぶつけ合った瞬間、重い物同士がぶつかり合う様な音と衝撃波が発生する。

俺と輝夜は衝撃波が広がっていく速度に合わせて後退し、最初と同じ間合いをとった。

 

 

「…中々ね。

確かに、たしなみ程度じゃ倒せないわ。」

 

「やっと分かってくれたか?」

 

「まあね。ふふふ…」

 

「…ははは…」

 

 

俺と輝夜は再び相手に向かって突進し、先程の様に複雑な組み手を始める。

双方の攻撃がぶつかり合ったら下がって間合いをとり、また距離を詰めては組み手の繰り返しだ。

一方が後退するのをもう一方が追撃してそのまま次の組み手に移行したりもする為、

ぶつかり合う場所はあちらと思えばまたこちらと、目まぐるしく空中を移動していく。

 

 

「…」

 

「…」

 

 

紀流と輝夜は相手だけを視界に捉え、無言でひたすら殴り、蹴り、いなし、防ぎ、飛び回り…

いわゆる『ドラゴンボールにおける空中戦』を繰り広げる。

勿論、この戦闘における最大の特徴…

 

 

「…な…え?

あの二人、一体何をしてるんだ!?」

 

 

…『本人達以外には何が起こっているのか分からない』事も実現していた。

妹紅と永琳は目を大きく見開いて上空を見るが、その目に二人の姿を捉える事は出来ない。

精々『何かと何かが超高速で動き、ぶつかり合っている』事が何とか分かる程度である。

 

 

「姫様と互角なんて…あの人間、何者…」

 

「…輝夜の野郎、私との戦いは遊びだったって言うのかよ…」

 

「いつまで上を向いているわけ?」

 

「「っ!?」」

 

 

少し苛つきの混じった声と共に、上を向いていた二人に向かってレーザーが飛ぶ。

咄嗟に避けた二人の目に写ったのは、自分達に傘の先端を向けて浮かんでいる…

 

 

「上なんか見てないで、敵である私を見たらどうなの?」

 

 

一応『手負い』の大妖怪、風見 幽香の姿だった。

 

 

「まさかとは思うけど、

一対二だから余裕で勝てるなんて馬鹿馬鹿しい計算をしたんじゃ無いわよね?」

 

「そ、そんな事…あった。すまん。」

 

「…貴方、良く彼女を目の前にしてそんな考えが出来たわね…」

 

 

妹紅は呆れ顔の永琳をばつの悪そうな目でちらっと見た後、再び顔を引き締めて幽香の方を向く。

 

 

「どうやら、数も有利だし相手は手負いだから楽に勝てるなんていう、

甘すぎる考えを改めなくちゃいけないみたいだ…」

 

「そうね、一瞬で負けたくなかったらそうした方が良いわ。

さ、終わらせましょう♪」

 

 

幽香は傘を放し、微笑みながら永琳と妹紅に向かって手招きをする。

 

 

「分かりました。

手っ取り早く貴方を倒して、姫様の助太刀に行かせてもらいます!」

 

「私達二人は始めっから全力で行くぞ!

死にたくなけりゃ、お前も全力でかかってきなぁ!!」

 

「良いわよ?はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ…」

 

 

幽香はその場で佇み、掛け声と共に全身の気を高めていく。

やがて彼女の周りに緑色の気が集まり、全身から絶えず火花が飛び散っている姿へと変化した。

彼女が発している凄まじい気で髪の毛の先が少し焦げても、妹紅は怯まずににやっと笑う。

 

 

「紀流って奴以上の凄い気だ…

ふふ、そう来なくっちゃな!」

 

「…本来なら、ここまでパワーを上げなくても良かったんだけれど…

あなた達に『敬意』を表して、最高の力で終わらせてあげるわ…!!!」

 

「行くわよ、妹紅。

…死なないようにね。」

 

「その言葉、私には縁がないんだよ。

ま、有りがたく受け取っておくさ!行くぞぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

 

妹紅と永琳は一気に気を高め、幽香に向かって突進しながらスペルを発動する。

 

 

「滅罪『正直者の死』!!!」

 

「神脳『オモイカネブレイン』!!!」

 

 

妹紅は炎の翼を展開し、幽香を狙って滅茶苦茶に白い米粒型弾幕をばら蒔く。

永琳も妹紅と同じ様に赤いオーラを纏った黒い米粒型弾幕を大量に発射し、幽香を攻撃する。

 

 

「ふふ…♪」

 

 

幽香は少し笑うと、先程の数倍はあろうかというスピードで弾幕の雨の中を掻い潜っていく。

最早妹紅と永琳にはその姿は見えず、ただ高速移動時の音が聞こえるだけなのであるが…

 

 

「…3…2…1!今よ!!」

 

「合点承知ぃ!てやぁぁぁ!!」

 

 

永琳の合図と同時に妹紅は両手を合わせ、弾幕の雨の中心に向かってレーザーを放つ。

レーザーは弾幕に当たらずに真っ直ぐ飛んでいき、中心に到達した瞬間に突然大爆発を起こした。

爆発による煙の中から出てきたのは、二人に向けて右手を構えた幽香。

 

 

「…成る程、私を中央におびき寄せて、レーザーで迎撃する魂胆だったのね…」

 

「その通り。」

 

「どうだ、今のは結構効いただろ?」

 

「そうね…まあまあって所かしら!」

 

 

幽香は手に気を溜め、二人に接近しながら弾幕を連続で撃ちまくる。

二人は後退しながら弾幕を避け、幽香に負けじと弾幕を発射し始めた。

 

 

「まだまだスペルは終わらない…もっと楽しもうぜ!」

 

「覚悟っ!」

 

「♪」

 

 

…遂に、永夜異変は最終章へと突入した。

 

 

ーカード1ー

 

 

「おらおらおらおらおらぁっ!!!」

 

「てりゃてりゃてりゃてりゃてりゃぁっ!!!」

 

 

ー紀流 祠弥 vs 蓬莱山 輝夜ー

 

 

 

 

 

ーカード2ー

 

 

「こいつは…かわせんぞっ!」

 

「喰らいなさい!はぁっ!!!」

 

「そー…れぇっ!!!」

 

 

ー風見 幽香 vs 藤原 妹紅 & 八意 永琳ー

そして…

 

 

 

 

 

「…まさか、あの廊下から抜け出すとは…」

 

「生憎、私達も急いでるのよ。さっさとそこを退きなさい。」

 

「そうも行かないんだよな!

行くぞお前達!これが最後の戦いだ!!!」

 

「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」

 

「…全く…面倒ねえ。

あんた達、さっさと突破するわよ!」

 

「「「おうっ!!!」」」

 

 

ーカード3ー

 

 

ー永遠亭防衛隊 vs 異変解決を目指す人妖チーム×4ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竹林の中心にひっそりと建っている屋敷、永遠亭。

今そこで、まさしく『極限』の戦いが始まったのだった…

 

 

ー現在の時刻ー

 ー 寅の刻 ー 3:00 ー




次回、二幕目です。
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