東方有無録   作:印鑑

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第六十八話目であるっ!
ゆっくり読んでいってね!


極限バトル!!三大超蓬莱人~其の二『再生』

「そらそらそらそらそらぁっ!」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

オッス!オラ紀流!

今現在俺は、『蓬莱山 輝夜』と高速で殴りあっている所だ!

今まで戦ってきた誰よりも手応えのある相手だぜ!

 

 

「…私の…攻撃に…ここまで…ついてくるなんて…ねっ!!!」

 

 

輝夜は最後の言葉と共に拳を握りしめ、紀流の顔面に向かって思いっきり振るう。

紀流は負けじと両腕を交差させ、重なった部分で拳を受け止めて押し返し、同時に言葉も返す。

 

 

「この程度ならまだ楽勝さ。

まさか、このまま続けて勝てるなんて思ってないよな?」

 

「そんなわけ無いでしょ。

全く、どんな答えが帰ってくるのか分かりきってるならわざわざ訊かないでよ…」

 

 

輝夜はため息と共に言葉を絞りだした後そのまま右手を後ろに引きながら突進し、

油断していた紀流の顎目掛けて強烈なアッパーを喰らわせ、上に向かって吹き飛ばす。

しかし紀流も負けてはおらず、そのままくるりと一回転して輝夜の腹に蹴りを入れた。

 

 

「…い…痛い…」

 

 

輝夜はアッパーの時に上げていた手を下げ、苦しげに自身の胴を押さえる。

一方の紀流も結構な痛みを感じており、迷惑千万とでも言いたげな表情で顎を擦っている。

 

 

「それは此方の台詞だよ…舌噛むかと思ったわ…」

 

 

紀流はそう言った後に回転しながら後退し、輝夜と一定の距離をとる。

輝夜は暫く腹を押さえて悶絶していたが、やがて蹴られた場所を軽く手で払って顔を上げた。

 

 

「けほ…やるわね。流石は私の未来の夫。」

 

「…もう俺は何にも言わんぞ?」

 

「え、それは結婚を認めたって意味?」

 

「あのなぁ…」

 

 

紀流は少し怒りぎみの顔で輝夜の横まで一瞬で移動し、彼女の首元に向かって手刀を振るう。

輝夜は首を横に倒して手刀を回避した後、そのまま両手で紀流の腕を掴み…

 

 

「戦いにおいて怒りは禁物…隙の元よ!」

 

 

…全力で上手投げを繰り出し、地面に叩きつける勢いで下に放り投げた。

更に輝夜は両腕を振るい、追撃とばかりに紀流に向かって赤と青の米粒型弾幕を大量に撃つ。

 

 

「おっとぉ!」

 

 

紀流は急に投げ飛ばされた事と弾幕が飛んできた事に一瞬面喰らったが、

直ぐに気を取り直して上下逆さまのまま高速で動き回って輝夜の弾幕を避けた後、

にやっと笑いながら体勢を元に戻し、輝夜を見上げる。

 

 

「良いぞ、輝夜…これだ…

戦いはこうやって、互いの実力が拮抗している方が面白いからな。」

 

「さっきまでと比べて、随分容赦無さそうな顔になったわね…

ま、そっちの方が私も気兼ねなくやれるってものよ♪」

 

 

輝夜はそう言って笑いながら、不意に手を着物の袖に入れてスペルカードを引っ張り出す。

紀流も対抗する様に手のひらにスペルカードを出現させると、輝夜は悪戯っぽい笑みを浮かべた。

 

 

「そっちの準備も万端ってわけね。

じゃあ、そろそろ難題攻略の時間といきましょうか?」

 

「良いだろう、来いっ!」

 

「じゃあ行くわよ!

神宝『ブリリアントドラゴンバレッタ』!!!」

 

 

輝夜が腕を高々と挙げながらスペルを宣言すると、彼女の周りに無数の光球が出現した。

光球は輝夜の周りをくるくる回りながら七色に光り輝き、光の筋をそこらじゅうに撒き散らす。

光の束はあちらこちらで交差して虹の様に重なりあい、目標である紀流に襲いかかっていく。

 

 

「…ドラゴンって事は、龍の顎の玉か!

面白い!散弾『トラップシューター』!!!」

 

 

紀流もスペル発動を宣言して右手に気を溜め、そこからすくいあげる様に腕を振り抜いて

緑色の気弾を数十発程輝夜のスペルに向かって発射した。

二つのスペルは真っ向からぶつかり合い、倍々ゲームの様に連続して爆発していく。

 

 

「…これしきの難題じゃあ、超サイヤ人にならなくても攻略出来るぞ?」

 

 

紀流がボソッともらした本音に輝夜は素早く反応し、少し頬を膨らませて怒った。

 

 

「むっ、言ってくれるじゃないの!

けど忘れた?これはまだ『一つ目』の難題なのよ?」

 

 

そう言いつつ輝夜は両腕を広げ、両手のひらに光球を作り出す。

 

 

「一問目でギブアップなんて、論外だからね?ふんっ!」

 

 

輝夜は一気に気を高めて両手の光球の輝きを上昇させると、

両手の光球を体の前で合体させると同時に腕を光球に突き出し、巨大な光線を紀流に放った。

 

 

「…うわっとおっ!?」

 

 

光り輝くレーザーが自分に迫ってくるのを見た紀流は度肝を抜かれ、咄嗟に体を横にずらす。

光線は紀流の服の肩を掠め、そのまま地上の竹林に到達して大爆発を起こした。

 

 

「あらら、竹林に当てちゃった…

少し狙いを下に向けすぎたかしら?」

 

 

輝夜が少し困り顔で下を眺めている間に、紀流は自分の肩を見る。

服は焼き切れたりはしていなかったが相当熱せられた様であり、まだ少し煙が昇っていた。

 

 

「…ひゅう…あんなもんまともに喰らったら結構痛いぞ…

成る程、難題って呼ばれているわけだ…」

 

「もう一発、いっくわよーっ♪」

 

「あ、はぁーい♪…ってちょっと待て、そう何発も撃たれてたまるかっ!

宇撃『ビッグバンアタック』!!」

 

 

紀流は慌てて輝夜に右手を向け、手のひらに青い気弾を作り出して発射する。

 

 

「え…いつっ!」

 

 

気弾は見事輝夜の手に直撃して爆発し、輝夜が溜めていた気は分散して消えてしまった。

輝夜は顔をしかめ、両手をぶんぶん振って周りの煙を払いながら紀流を睨み付ける。

 

 

「何するのよー!痛いじゃないのーっ!!」

 

「そりゃあそうだろう…

…ってか、間近で爆発したのに大したダメージは受けてないみたいだな…流石と言うべきか。」

 

「…まあ良いわ。まずは一つ目の難題、攻略成功ね。

おめでとう、祠弥。」

 

 

先程まで怒っていたのが嘘であるかの様に、輝夜は拍手と共に紀流を褒める。

 

 

「え、もう終わり!?」

 

 

紀流は面食らい、思わず本音を言葉にして口から出す。

その言葉を聞いた輝夜はまたしても不満げな顔に逆戻りし、紀流に向かって大声で怒鳴る。

 

 

「終わりよ!それとも、もっともっとやって欲しいのかしら!?」

 

「…どちらにせよ、難題はまだ四問も残ってるからな…

悪い、今の発言取り消す。」

 

「ふん…その方があなたの身の為ね。」

 

 

輝夜は腕を組み、自分の言った事が正しいと強調する様にうんうんと頷く。

 

 

「…腕なんて組んでる場合か?千刃『サウザーブレード』!」

 

 

隙ありと見た紀流は右手に紫色の刃を形成し、輝夜に向かって斬りかかる。

それを見た輝夜はゆっくりと腕組みを解き…

 

 

「せっかちねぇ…

神宝『ブディストダイアモンド』!」

 

 

スペル宣言と共に右手を前に出し、光り輝く巨大なバリアを展開した。

 

 

「…なっ…ぐっ!?」

 

 

バリアは紀流のスペルをあっさりと受け止め、当たった箇所からは赤い星型弾幕が放出された。

紀流もこのカウンターは予想外であり、防御出来ずに全弾まともに喰らって吹っ飛ばされる。

 

 

「闇雲に私に突っ込んでくる人ほど、激しく跳ね返されちゃうのよねー♪」

 

 

吹き飛ばされながらも体を起き上がらせた紀流を見て、輝夜はバリアの奥で微笑む。

 

 

「…確かに、これじゃあの五人の二の舞だな…

ようし、だったらこれだ!暗魂『ダークスピリッツ』!!」

 

 

紀流は空中で足を組み、両手を横に開いて緑色のバリアを展開した。

 

 

「あら、結局あなたも受け身をとるの?」

 

「残念ながら、このスペルはお前のバリアとは違うんだよ…

行くぞ!とっつげきーっ!!!」

 

 

掛け声と共に紀流は気合いを入れ、輝夜の張ったバリアに向かって突進した。

輝夜のバリアからは無数の星型弾幕が発射されるが、紀流はそれをバリアで弾いて突進し続ける。

 

 

「ぐぐぐぐぐぐ…」

 

「…ここまで強引な攻撃をしてくるなんてね!

その姿勢は嫌いじゃないけど…っ!!!」

 

 

そう言いながら輝夜は左手を右手に添え、バリアに向かって気を解き放つ。

次の瞬間、輝夜のバリアの表面から無数のレーザーが発射された。

 

 

「どわぁぁぁ!?」

 

 

紀流は直ぐ様突進を止め、ひっくり返るのも辞さない勢いで体を思いっきり仰け反らせる。

放射状のレーザーは紀流のバリアを容易く貫き、そのまま空に吸い込まれていった。

 

 

「うふふ、どう?

金剛石は決して砕けず、例え砕けたとしても更に強い輝きを放つのよ♪」

 

「…いくら砕いても元に戻るんじゃ、確かに破れないわな…

ならば一気に叩き割ってやるっ!!!」

 

 

紀流は気を高めて急上昇し、黄色い弾幕を輝夜に向かって大量に撃ち始める。

量こそ凄まじい物だが威力はそこまで高くない為、輝夜は余裕で紀流の弾幕を打ち消していく。

それにも関わらず延々と弾幕が襲いかかってくるのを見て、輝夜は首を傾げた。

 

 

「…さっきから思考放棄の如く、弾幕を撃ち続けてるわね…

うーん、少し買いかぶり過ぎたかしら?」

 

 

そんな事を考えながらも、輝夜は前方からの弾幕を防ぎ続ける。

ふと、輝夜は肩に何かが触れたのを感じた。

 

 

「…?」

 

 

バリアに気を配りつつ、一体何が触れたのだろうと思って輝夜が振り向くと…

 

 

「やっぱり、俺の事は見えて無かった様だな…」

 

「え!?」

 

 

そこには、腰に手を当てて佇んでいる紀流の姿があった。

 

 

「はぁっ!!!」

 

 

輝夜が何の行動も起こせない内に、紀流は至近距離から気合い砲を炸裂させて輝夜を吹き飛ばす。

吹き飛ばされた輝夜は自分のバリアに激突し、カウンターの星型弾をまともに喰らってしまった。

 

 

「きゃぁ!?」

 

「おまけだ!残りも纏めてくれてやるっ!!」

 

 

紀流が手を握り締めると同時に割られたバリアの向こうから無数の弾幕が出現し、

カウンターの星型弾幕とごちゃ混ぜとなって輝夜に襲いかかる。

 

 

「これで終わりだ!殺輪『キルドライバー』!!!」

 

 

紀流は手を合わせて輪っか状の気弾を作り出して頭上に掲げ、だめ押しとばかりに輝夜に放つ。

二種類の弾幕で既にぼろぼろになっている輝夜には、最早避ける事も反撃する事も出来ず…

 

 

「…二問目…攻略されちゃったわね…」

 

 

そう呟き、大人しく紀流のスペルを受けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「姫様…」

 

「何処を見てるの…っ!」

 

「おっと危ない!」

 

 

紀流と輝夜が戦っている(と思われる)遥か上空で起きた爆発。

その爆発を思わず眺めてしまった永琳は危うく幽香のレーザーに迎撃されそうになるが、

それに気づいた妹紅の放った御札型弾幕によって何とか難を逃れた。

 

 

「よそ見するな!

大丈夫だ、輝夜はあの程度でくたばる程やわじゃ無い!私が保証する!」

 

「ええ、そうね…ごめんなさい。」

 

「私なんかに謝る暇があるなら集中しろ…来るぞっ!」

 

 

妹紅と永琳は瞬時に散開し、飛んできたレーザーを回避して再び合流する。

それを見た幽香は全身から殺気を放ち、今度こそ二人を仕留めるとばかりにレーザーを乱射する。

その顔には最早余裕の色は無く、『本気』である事が戦っている妹紅と永琳にも読み取れた。

 

 

「しぶといのよっ!」

 

「それはこっちの台詞だっ!

虚人『ウー』!!」

 

 

幽香が放ったレーザーに対し、妹紅は数珠繋ぎになった三列の米粒型弾幕を放って対抗する。

双方のスペルは激しくぶつかり合い、凄まじい衝撃波が発生して互いの体に直撃した。

 

 

「くっ!」

 

 

妹紅は咄嗟に炎の翼を展開し、その熱で衝撃波を弾いて体勢を保つ。

 

 

「…ん…っ!」

 

 

一方の幽香は右手を勢い良く突き出し、自分に向かってくる衝撃波を掻き消した。

衝撃波が消えると同時に幽香は右腕を後ろに引き、レーザーを撃つ為に気を溜めようとしたが。

 

 

「遅いんだよっ!」

 

 

その時には既に先ほどの激突で拡散した、妹紅の米粒型弾幕が幽香の間近にまで迫っていた。

咄嗟に幽香は気溜めを止め、レーザーでは無く光球を放つ事で何とかこれを防ぐ。

 

 

「天呪『アポロ13』!」

 

「っ!」

 

 

いつの間にか幽香の後ろには永琳が回り込んでおり、赤と青の米粒型弾幕を幽香に発射する。

幽香は振り向きざまに腕を振るい、自分に向かってくる弾幕を吹き飛ばす。

だが、これこそが二人の作戦であった。

 

 

「いくら貴方でも、片手しか使えないのでは反撃と次の反撃の間に隙が出来るっ!」

 

「私のスペルを消しきれなかったのは失敗だったな!!」

 

「がはっ!?」

 

 

相殺しきれなかった妹紅の弾幕が背中に直撃し、幽香は思わず苦しげな声をあげる。

更に永琳が追加で撃った弾幕も合わさり、幽香は二人の集中砲火を受ける事になってしまった。

爆発による煙が幽香の姿を完全に覆い隠したのを確認すると、二人は攻撃を止めて合流する。

 

 

「ふうっ…何とかなったな…

しかし、我ながら良くぞあいつを倒せたと思うよ…」

 

「いくら大妖怪と言えども、片手で戦うんじゃ本調子が出なかったんでしょうね…

それに、彼女のパワーそのものは時間経過と共にどんどん下がっていっていたもの。」

 

「え!?だってあいつ、最高の力って言って凄まじい気を…」

 

「パワーダウンを悟られない為だったんでしょうね。

貴方は気づかなかったみたいだけど。」

 

「何だよそれ…結局私はあんたとあいつの思惑通りに動いてたってわけか…面白くないな…

まあいいや、じゃあさっさと輝夜の援護に行きますk…」

 

 

妹紅がすっかり安心してそう言いかけた瞬間、空中を漂っていた煙が爆風によって吹き飛んだ。

二人は反射的に爆風が吹いてきた方向に焦点を合わせたが、時既に遅し。

 

 

「…誰の援護に行くって?」

 

「「な!?」」

 

 

次の瞬間、二人に向かって極太のレーザーが飛んできた。

幽香が『左手』から放ったレーザーが。

 

 

「…腕そのものが動かなくたって、その気になれば発射口には出来るのよ…っ!」

 

 

幽香は右手で左手を掴み、レーザーの向きがぶれない様に安定させていた。

そして。

 

 

「…完全に…消えてなくなりなさいっ!!!」

 

 

幽香は一気に気を高め、止めとばかりに出力を増大させる。

レーザーは容赦なく二人を吹き飛ばし、暫く空中を進んだ後に大爆発を起こした。

 

 

「…はぁ…はぁ…いつっ!」

 

 

張り詰めていた緊張が解け、幽香は全身を襲う痛みに思わず声をあげる。

といっても、今まで痛みなど構わず戦っていて気づかなかっただけだったのだが。

 

 

「…はぁ…さて、紀流も終わったみたいだし…

さっさと…帰りましょうか…」

 

 

幽香は大きなため息をついて煙に背を向け、左腕を抑えて上空にいる紀流の元へ向かおうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、何処に行くつもりだ?」

 

「まさか、今ので倒せたと思いこんでしまったわけ?」

 

「…!?」

 

 

幽香が咄嗟に振り向くと、

そこにはレーザーによって跡形もなく吹き飛んだ筈の二人が傷一つ無い格好で佇んでいた。

 

 

「…ど…どういう事…なのっ…!?」

 

 

驚愕して目を見開いている幽香の顔を見て、二人は微笑を浮かべた後に喋り始める。

 

 

「まあ、驚くのも無理は無いでしょうね。」

 

「『普通の』奴が相手だったら、今ので確実に死んでたさ。

しかし、運が無かったな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「生憎、私達は『普通』じゃないのよ♪」

 

「な…!?」

 

 

幽香と同じ様に、紀流も驚愕していた。

何しろ怒濤の連続攻撃を喰らわせた相手が、それ以前に受けた傷さえ消して復活したのだから。

 

 

「ど…どういう事だ!?」

 

「あら、あなたの事だから知っているんじゃ無いかと思ってたけど…

その顔から判断するに、どうやら知らないみたいね。」

 

 

意外そうな顔をしながらくるくると回る輝夜を見て、紀流は素早く思考を巡らせる。

 

 

「…再生能力が異常に高いって言うのなら分かる。セルやピッコロだってそうだ…

しかし輝夜の場合は傷どころか服まで新品同様に戻っている…言うなればむしろブウに近い…」

 

 

そこまで考えた所で、紀流は恐ろしい考えに辿り着いた。

全く信じられない、いや信じたくない仮説だが、もしも事実だったら飛んでもない考えに。

紀流は顔をあげ、恐る恐る輝夜にその考えを訊ねる。

 

 

「…お前…まさかとは思うが…『不死身』…じゃ無いよな?」

 

「その『まさか』よ。

私は『蓬莱の薬』を飲んで『不老不死』になったの。」

 

 

紀流の最悪の予感は、見事に的中してしまった。

 

 

「蓬莱の薬…最後に帝に残していった、あの薬か…っ!!」

 

「あら、やっぱり知ってたんじゃない。」

 

 

輝夜が淡々と喋るのを聞き、紀流は頭を抱えて喚きたくなる衝動に襲われた。

紀流は必死でその気持ちを抑え、あくまで冷静さを装って静かに呟く。

 

 

「…一気に勝機が薄くなったな…」

 

「そんな事無いわよー。

不老不死でも一応痛みだって感じるし、耐えられなくなったら降参するわ。

あ、そうそう。ついでにもう一つ教えてあげる。」

 

「…何をだ?」

 

 

紀流が首を傾げたのを見て、輝夜は無造作に下を指差す。

その指の遥か先にいたのは…

 

 

「妹紅と永琳も、私と同じ様に不老不死なのよ。」

 

「なぁ…にっ!?」

 

 

どう見ても満身創痍の幽香と、彼女と対峙している無傷の二人だった。

 

 

「ゆ…幽香さん…」

 

 

先程よりも更に大きく目を見開き、その場で固まった紀流。

輝夜は紀流が期待通りの反応を示してくれた事に喜び、あえて場違いな疑問を紀流にぶつける。

 

 

「私も質問して良いかしら?

さっき、どうやって私の後ろに回り込んだの?」

 

「…撃った弾幕を、ある程度空中に待機させておいたんだよ。

その弾幕を時間差で発射して、お前がそれを防いでいる間に回り込んだんだ…」

 

 

そう説明しながらも、紀流の目は下の三人に釘付けになっている。

その視界を遮る様にして輝夜は紀流の前に立ち、にやっと微笑んで口を開いた。

 

 

「さ、続きを始めましょうか、祠弥♪」

 

「…っ!」

 

 

輝夜の笑顔に戦慄を覚えた紀流は、大きく後方に飛んで輝夜と距離をとる。

その紀流を追跡する様に、輝夜は青と緑の巨大な弾幕を発射して攻撃し始めた。

 

 

 

 

 

「さてと、気分爽快・完全回復したし…」

 

「続きを始めるとしましょうか!」

 

「く…っ!!!」

 

 

幽香は再び気を高め、体に火花を纏った状態になる。

それを見た永琳と妹紅は『彼女には余裕がない』事を改めて確信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『形勢逆転』

それが、今現在の戦いの様子を最も良く表している言葉だろう。

 

 

ー現在の時刻ー

  ー 寅の二つ ー 3:30 ー




次回は後編(終わりではない)です。我ながらなげえなぁおい…
チートな三人相手に、果たして紀流と幽香はどう立ち向かうのか。
感想、意見、アドバイス等々募集中。


…一つ気になったんですが、皆さんはこの小説のタイトルを何と読んでいますか?
一応「東方『ゆうむろく』」なんですが…『うむろく』と読んでいる人はいませんよね?
いたらごめんなさい。
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