東方有無録   作:印鑑

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何話目だっけ(白目)
というのは冗談で、長らくお待たせしました。第七十九話目です。
二ヶ月も待たせた分長くて読み応えのある話になっていますので(濃密とは言っていない)、
ゆっくり読んでいってね!


理に背きし『モノ』〜有情で無情な戦士達

「「「「「『反魂蝶』」」」」」

 

 

…オッス!オラ紀流!

今現在、西行妖が謎のスペルを発動して蝶を大量に放ってきた所だ!

さっきまでとは色の違うピンク色の蝶って時点で嫌な予感しかしないぜ!

 

 

「…だがなぁ西行妖…そんな鈍い蝶ごときで俺達を倒せると思うなよ!

狂光『クレイジーフィンガービーム』!」

 

 

俺は両手の人差し指と中指に紫色の気を溜め、蝶に向かって連続で紫色のビームを発射する。

 

 

「ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃぁっ!!!」

 

「…一体どうしたんですか、紀流 祠弥は…

あんな狂った様に叫んで…」

 

「いつもの事よ?」

 

「そ、そうなんです…か…

…今度は自身を制御する事の重要性を説く必要がありそうですね…」

 

 

後ろで閻魔さんが怪訝な顔で見つめているとも知らず、俺はスペルを撃ち続ける。

ビームは次々と蝶に当たり、蝶は虚空へと消えていくが…

 

 

「「「「「…フフフフフフ…」」」」」

 

「…?」

 

 

…全く手応えが無いのだ。

普通なら爆発なりしてから消えるだろうに、今回の場合はそんな事は全く無い。

いわばティッシュとかを指で突いている様な感触である。

 

 

「…何を企んでるんだか…」

 

「「「「「フフフ…」」」」」

 

 

疑問を口に出してみても、帰ってくるのは西行妖の笑いのみ。

このまま続けても意味が無さそうなので、俺はひとまずスペルを止めて相手の様子を伺う。

 

 

「…うーむ…何のつもりなんだ?

此方の出方を伺っているのか、はたまた試しているのか…」

 

「紀流、どうしたの?

折角超サイヤ人になったっていうのに、もう気合いが抜けちゃったのかしら?」

 

「あ、幽香さん…

いや、気合いが抜けたってわけじゃ無いんですよ。

あいつが何かろくでもない事を企んでそうなんで、次の行動を待ってるんです。

こういう時は後に動いた方が有利ですからn「そんなの待ってられないぜっ!!!」わっと!?」

 

 

俺がそう言い終わるか言い終わらない内に、俺は前に出てきた魔理沙に押し退けられてよろめく。

俺を押したその右手には、さも当然の様に限界まで気が溜まっている八卦炉が握られている。

 

 

「まさか、超サイヤ人でも躊躇する事があるなんてな。

けどちょっと安心したよ、祠弥。」

 

「…何にだ?」

 

「『私』は躊躇していない事にだっ!!!

喰らえ西行妖!恋符『マスター…」

 

「待て、闇雲に攻撃するのは危k「スパーク』!!!」人の話を聞k「それっ♪」…幽香さんっ!?

敵を観察する事も大せt「はぁぁぁぁぁぁっ!!!」霊武さぁぁぁぁぁぁんっ!!!」

 

 

…あぁもう、何でこの三人は待てないんだ!

まあ俺自身攻めまくるのが好きなのに、

何故今回に限ってこんなに神経質になってるんだか自分でも良く分からないけd…

…とか何とか言ってる場合じゃねぇ!せめて生身の霊武さんだけでも止めねば!!

 

 

「霊武さん、ストォォォォォォップ!!!

Calm downですよ!」

 

 

俺は霊武さんを後ろから羽交い締めにし、強引にその動きを止める。

 

 

「うわっと!?」

 

 

霊武さんはびっくりした様子で一瞬もがいたが、

俺が腕を放すと同時に俺に向き直り、慌てた様に口を開いた。

 

 

「どうした紀流、何で止めたんだ!?

私は本体に隙が出来た所を叩こうと思ったんだが…」

 

「…もしかしたら、その隙も向こうの計算の内かも知れませんよ。」

 

「え、一体どういう事d…」

 

 

思わせ振りな俺の口調が気になったのか霊武さんがそれを疑問に出そうとしたその時、

魔理沙と幽香さんの攻撃が蝶に炸裂して大爆発を起こした。

と同時に、二人はその場で落下し始めた。

 

 

「!?」

 

 

霊武さんは酷く驚きつつも、落下していく二人の下に回り込んで二人を受け止める。

先程までの気合いとはうって変わって憔悴している二人の様子を見て、

俺は自分の嫌な予感が間違っていなかった事を直感した。

 

 

「「「「「…フフフン…」」」」」

 

「…。」

 

 

俺はご機嫌な様子の西行妖から目を離さない様にしながら、

慌てた表情で二人を揺さぶっている霊武さんの元に飛ぶ。

 

 

「大丈夫か、二人共っ!?」

 

「「…。」」

 

「…っ!!!

おい貴様、この二人に一体何をしたんだ!?」

 

「フフ…」

 

 

霊武さんは激昂して西行妖に怒鳴りかかるが、西行妖はそれを聞いてただにやつくばかりである。

その表情によって霊武さんは更に苛立ち、助けた二人が吹き飛びそうな勢いの気を放出して叫ぶ。

 

 

「何をしたかと訊いているんだ…このっ…

化け物桜ぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「その質問に答えなくちゃいけない義理は、俺達には無いんだよ。

悔しかったらほら、御自慢の拳で殴りかかってきたらどうだい?」

 

 

あ、西行妖の声が元に戻った。落ち着いたのか?

…霊武さんはとても落ち着く事なんて出来ないみたいだけど。

 

 

「…その言葉…直ぐに…後悔…させて…やるっ!!!」

 

 

霊武さんは怒りを絞り出す様に言葉を区切りながら発していき、

その一語一語の度に霊武さんの周りの景色が歪んでいく。

このままだと自分が受け止めた二人の事も忘れて突進していきそうだと感じた俺は、

一先ず霊武さんを落ち着かせようと口を開きかけるが…

 

 

「冷静になれ、博麗 霊武!

一時の感情に弄ばれて激高する程、貴方は愚かでは無いだろう!!!」

 

「…っ!」

 

 

それより先に、閻魔さんの凛とした声が響き渡った。

閻魔さんは一度口を閉じて息を整えると、再び話を続ける。

 

 

「貴方が今しようとした行為は非常に自分本意で浅ましい物であり、

自分がたった今助けた命を危険に晒しているんですよ!?

貴方は自分自身が救った命を自分自身で奪うつもりなんですか!?」

 

「…。」

 

「…閻魔さん、ちょっと言い過ぎじゃないか?」

 

「…いや紀流、その人の言っている事は正しい。

怒りに任せて相手を攻撃するなんて事は、絶対にやってはいけないんだ…」

 

 

霊武さんは沈んだ声でそう答えると、魔理沙を両腕に抱え、幽香さんを背中に背負った。

…あんなに取り乱したのもやっぱり、霊夢の事が少なからず影響してるんだろうな…

俺はむしろ霊夢を心配しなさすぎなのかもしれん。

そんな事を考えていると、二人を心配して俺の横に来ていた妖夢がぼそっと呟いた。

 

 

「…一体何故、お二人は…」

 

「急に落っこちたのかって?

魔理沙と幽香さんに限って力を使いきったとは考えられないし、

十中八九あいつのスペルに原因があるだろうな。」

 

「やはり、そうなんですか…」

 

 

妖夢は一度西行妖の方を伺った後、遠慮がちに小声でこう訊ねてきた。

 

 

「紀流さんは先程西行妖への攻撃を躊躇っていた様でしたが、

やはり何かこう…あれから凄まじい気迫みたいな物を感じたんですか?」

 

「いや、むしろその逆だ。

何も感じられないんだよ、あの蝶からは。」

 

「…え?」

 

「「?」」

 

 

三人が一斉に首を傾げたので、俺は言葉を続ける。

 

 

「妖夢の言う通り、西行妖本体が放っている気迫は凄まじい。

けど、その気迫があいつのスペルからは微塵も感じられないんだよ。

身も蓋もない言い方をすれば『攻撃するまでの演出の割には攻撃自体が地味』って感じだ。」

 

「…じゃあ何故、霧雨 魔理沙と風見 幽香はあの様な状態に?

気が入っていない攻撃を受けてああなるとは考えがたいのですが…」

 

「そもそも、攻撃したのは魔理沙さんと幽香さんの方ですよね?

攻撃を仕掛けた方が倒れるなんて事、普通に考えたら有り得ませんよ?」

 

「そうなんだよなぁ…

気が感じられない奴に攻撃して逆に倒されるなんて事あるわ…け…」

 

 

 

 

 

…いや、待てよ。

気を感じ取る事が出来ない敵ってのがどっかにいたような…

そいつらって相手の攻撃を『吸収』して自分のエネルギーにしてた気が…

あ、成る程!

 

 

「…紀流、どうs「『人造人間』だーっ!!!」何だって!?」

 

 

黙りこくった俺を心配して声をかけた霊武さんを遮り、俺は大声をあげる。

俺の直ぐ横にいた妖夢は一瞬その場で固まった後、慌てた様子で俺に劣らぬ大声を張り上げた。

 

 

「人造人間?

…まさかあの幽々子様の肉体は造られた物だとでも言うんですか!?」

 

「…いや、そういう意味で言ったんじゃ無い。

けどこれで分かった。魔理沙と幽香さんは気を吸いとられたんだよ。」

 

「…気を吸いとられた?」

 

 

多分、あの蝶が19号における掌のエネルギー吸収装置みたいな物なんだろう。

魔理沙と幽香さんは撃ったレーザーを通じてエネルギーを吸われたんだ。

蝶が爆発したのはメタルクウラ・コアがオーバーヒートして爆発したのと一緒だと考えよう。

…あれ、俺だってビーム撃ったよな?何でエネルギー吸われてないんだ?

 

 

「…おい、紀流?」

 

「…霊武…さん、ですよね?これは仕方がない事です。

紀流さんは一度何かを閃くと自分の中で勝手に突っ走ってしまう傾向がある様ですので…」

 

「その間は何を言っても上の空、というわけですか…

…全く、言いたい事が多すぎる…はぁ…」

 

 

映姫は溜め息をつき、下を向いてぶつぶつ呟いている紀流の側に屈んで顔を覗き込む。

 

 

「…良し、とにかく二人を回復させy…うわっ!?」

 

「やっと正気に戻りましたか。

それで、貴方は西行妖のスペルの正体をどの様に解釈したんですか?」

 

「『触れるとろくな事にならないスペル』です。」

 

「…触れても平気なスペルがあるのか訊きたい所ですが、今はそれで良しとしましょう。」

 

 

呆れ顔でそう言った後、映姫は西行妖へと視線を移す。

西行妖は先程からの表情を変える事無く紀流の方に視線を向けてにやついていたが、

彼女の視線に気づいて笑いを少し引っ込め、ゆっくりと話し始めた。

 

 

「…君達の言う人造人間ってのがどんな意味合いかは知らないが、

どうやら理解したみたいだね。結構な事だ。」

 

「あれ、思った以上に冷静だな。

最後の切り札の種が知られたんだから、もう少し取り乱しても良いんじゃないか?」

 

 

紀流の疑問に対し、西行妖は気持ち悪い程綺麗な微笑みを浮かべ、こう答えた。

 

 

「その必要性が何処にある?」

 

「要は直接的にも間接的にも触れなきゃ良いんだろ?

だったらこうするまでさ!宇撃『ビッグバンアタック』!!」

 

 

紀流は不意にスペルを発動して掌に青い気弾を生み出し、間髪入れずに西行妖に向かって放つ。

西行妖は眉を少し上げた後に軽く扇子を振るって気弾の軌道を変え、蝶に当てて爆発させた。

 

 

「…成る程、考えたじゃないか。」

 

「気を放出し続けなきゃいけないレーザーは吸われるし、直接触れたらお前の思う壺だろ?

だから発射する時の一瞬だけ気を集めれば良い『気弾』が最も有効な攻撃方法になる。

…超サイヤ人の状態で放ったビッグバンアタックで一匹しか消せないとは思わなかったけどな…」

 

「それを聞いて安心したぜ、祠弥…

弾幕による攻撃なら、私…いや、『私達』の十八番だからな!」

 

「あなたの『安心したぜ』って台詞ほど不安になる言葉も無いけれどね♪」

 

「あれ、いつ起きたんだい?」

 

 

西行妖が首を傾げて見つめている先には、紀流によって回復した魔理沙と幽香の姿があった。

最も、二人はまだ霊武の腕と背中に収まっているのだが。

 

 

「気がついたのか、二人共!」

 

「…嬉しいのは分かったから、早く腕を緩めてくれない?

足が抜けないんだけど。」

 

「おい幽香、あまり足を動かすn…痛っ!

霊夢の姉さん!そんな温かい目で見つめてないで早く私を下ろし…だから痛いって言ってるだろ!?」

 

「文句ならこいつに言って。

…ほら、そんな状態だといつ西行妖って奴に攻撃されても文句言えないわよ?」

 

「…あぁ悪い悪い、思わず感慨に耽っていたよ…」

 

 

霊武はばつの悪そうな顔をした後、腕を緩めて幽香の足を放す。

幽香が霊武の背中から離れるのと同時に、魔理沙も軽く体を揺らして霊武の腕から飛び降りた。

二人が元気そうなのを見て紀流は安堵のため息を漏らし、得意気な表情で二人に話しかける。

 

 

「上手くいったみたいですね。

どうです幽香さん、前よりは気の送り方が丁寧になったでしょう?」

 

「私は前『みたいに』跳ね起きそうになったけど?」

 

「あ、そうですか…やっぱり難しいな…

魔理沙はどうだ?体に異常は無いか?」

 

「西行妖に負わせられた傷はまだ痛むが、

祠弥が回復させてくれた事に関しては何の影響も受けちゃいないぜ!」

 

「そいつは結構。

さーて、本題に戻るとしようか。」

 

 

紀流はそう言いつつ西行妖の方を向いて全身に力を込め、黄金の気をみなぎらせる。

西行妖がその気をにこやかな目付きで見つめる中、紀流は無表情で口を開く。

 

 

「二回も説明するのは面倒なんで、結論だけ言わせてもらうぞ。

悪い事は言わないから、とっとと降参してくれ。」

 

「…降参?」

 

 

紀流の口から発せられた意外な言葉に、西行妖は思わず口の中でその言葉を繰り返す。

霊武は西行妖に負けず劣らずの驚きを見せ、紀流の肩を掴んで前後に激しく揺さぶった。

 

 

「紀流!?何を考えているんだ!?

あいつは…霊夢と紫を…殺しかけたんだぞ!?」

 

「だからこれ以上罪を…痛い!

罪を重ねさせない様にする意味合いも込めt…だから舌噛みますっt…っ!!」

 

「…あ、すまん紀流…」

 

 

紀流が今にも泣き出しそうな表情になったのを見て、霊武は我に帰った様に手を放す。

 

 

「…んーっ…」

 

「…えっと…本当にすま…じゃない、ごめんなさい…

まさかとは思うが、舌を噛み切ってはいないよな?」

 

「もしそうだったら泡吹いて卒倒してますって…

…全く、一体俺は何度話を脱線させれば気が済むんだか…こほん。

で、どうなの?降参しないの?」

 

「するわけないじゃん。」

 

 

西行妖はあっさりとそう答えるが、紀流は西行妖がまだ口を閉じない内にすかさず言葉を続ける。

 

 

「じゃあ『仲直り』はどうだ?」

 

「ばかにしてんの?

そもそもきみさあ、ぼくらがききいれてこうさんすることにまったくきたいをよせてないよね。」

 

「期待してるよ。」

 

「その期待に応えるつもりは無い!

お前達がここで西行妖の力によって死ぬ事、それは変わらない…いや、変える気の無い事実!!」

 

 

最後の言葉と共に、西行妖は両手に持った扇子を振り上げて蝶を上空へと舞い上がらせる。

紀流は蝶の軍団を呆れ顔で見上げた後、西行妖に視線を戻して面倒臭さ全開の声で喋り始めた。

 

 

「…あぁ、そうでございますか。

一度決めた事を何が何でも貫き通すその姿勢、尊敬に値すると思うよ。

ですよね、閻魔さん?」

 

「…姿勢だけを見るならば、確かに尊敬に値するでしょう。

ですが…」

 

「そうそう。方向性がまるで検討違いなんだよな。

つまり、これ以上の話し合いはまるで意味を成さないって事だ。」

 

「そこまで言うならやる事は一つよね、紀流♪」

 

「はい。」

 

 

嬉しげな幽香の声に応え、紀流はゆっくりと腕を横に開いて気を高めていく。

瞬間、紀流の金色の髪の毛がぞわっと逆立ったかと思うと…

 

 

「…自慢出来る話じゃ無いが、俺もそこまで我慢強く無いんでね…

はぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

紀流は一気に黄金の気を爆発させ、

通常の超サイヤ人よりも髪の逆立ちが激しい超サイヤ人の第二形態『超紀流』へと変身した。

 

 

「あらあら、結構しっかりした体になったじゃない。

けど、いくら筋肉があったところで私達には敵わないわよ?」

 

「最後にもういっぺんだけ言ってやろう。

降参しろ。さもないとお前達の魂がどうなるか分からんぞ?」

 

「俺達に跪いて頼むっていうなら…いや、考えやしないさ。

降参はしない。これが俺達の答えだ。」

 

「…はぁ…」

 

「?」

 

 

魔理沙の溜め息に西行妖は反応し、少し首を傾げる。

その無言の疑問に、魔理沙はこう答えた。

 

 

「今の状態の紀流…いや、超紀流が相手に降参を促すなんて有り得ない。

私だって一度しか見てないけど、あの姿を見たらそう確信せざるを得ないんだぜ。

けどお前達は、その警告を無視した…」

 

「幽々子様の肉体を使っている時点で既に人間としても幽霊としても終わっていますが、

それに加えて頭の方も残念ですね、貴様らは。」

 

「人の親切を無下にも断ったんだ。

その様な者に残された道は一つしかない。」

 

「今回は貴方達にも私と同程度の権限を与えます。

どっちにしろ『あれ』は有罪ですからね。」

 

「…その発言が閻魔として正しいとは思えんが、ありがたく受け取っておく。」

 

 

紀流はそう言い、西行妖を睨み付ける。

その瞬間周りの空気の流れが変わり、その場にいた全員の全身に鳥肌が立った。

…肉体の死んでいる西行妖は立たなかったものの、もしも生きていたら確実に立っていただろう。

 

 

「…おい、西行妖。

お前達さっき、俺達を屈服させるとか言ってたよな?

『生者だろうが死者だろうが屈服せざるを得ない真の力』とやらで。」

 

「いったよ?」

 

「…お前達、死んだんだよな?」

 

「…今まで何を聞いてきたんだ、貴様はっ!?

脈絡の無い戯言を延々と垂れ流している余裕が貴様にあるのかぁ!?」

 

「…ハッ、何だ…

死んだ事しか無いくせに、あんな大口を叩いてやがったのか。

こいつはとんだお笑い草だな!アーッハッハッハッハッハッハッハァ!!!」

 

「…!?」

 

「…紀流!?」

 

 

西行妖の言葉をまるで無視して突然笑い出した紀流を見て、霊武は思わず戦慄する。

それは霊武以外の皆も同じであった。

 

 

「…こいつは…想像以上に…やばいかもしれないぜ…」

 

「わざわざ貴方に言われなくても…分かります…っ!」

 

「こ…これが…紀流 祠弥の力…

その気になりさえすれば、私の裁きに影響されず全てをひっくり返す事が出来る力…!!!」

 

「…もう、笑ってなんていられないわね。」

 

 

皆は本能で『紀流 祠弥』に恐怖を感じた。

しかし、それは一瞬の事だった。

紀流はひとしきり笑い終わると、一度大きな深呼吸をした後に皆の方へ向き直り…

 

 

「…さあ、行こう。」

 

 

決意に満ちた目で、そう言った。

 

 

「…え?」

 

「おいおい魔理沙、この期に及んで『え』は無いだろ?

西行妖はここにいる全員で倒す。勿論、霊夢と紫も含めてな。」

 

「霊夢…」

 

 

霊武は視線を下に落とし、霊夢と紫が避難している白玉楼の方を見る。

その動作に気づいたのか、紀流は霊武一人に向けて話し始めた。

 

 

「霊武さん、俺はもうさっきみたいに止めたりはしません。

霊武さんの思うがまま、存分に拳を振るって下さい。

…勿論、反魂蝶には触れないようにして。」

 

「…感謝するぞ、紀流。」

 

 

程度の違いこそあれど、皆が西行妖に対して怒りを感じている事は同じ。

そんな事も分からずに独りで戦おうとして、結局可愛い妹一人の敵が討てないで、何が姉だ。

幻想郷を守るのが霊夢の役目なら、私の役目はその霊夢を守る事。

霊武はそう考えて自分を鼓舞し、無意識の内に拳に力を溜める。

 

 

「『ここにいる全員で倒す』…

それはいつ決めたの、紀流?」

 

「最初っからそのつもりでしたよ、幽香さん。

幽香さんだって、自分で戦って相手を打ちのめしたいでしょう?」

 

「打ちのめすだけじゃ足りないわ。

私は『叩き潰す』の方がしっくり来るわよ。」

 

「幽香さんにしてはゆるい表現ですね。

『叩き潰してミンチにして天日で乾燥後に火の中に放り込む』とか言うと思ってました。」

 

「あ、その台詞頂戴♪」

 

「どうぞ、幾らでもお使いください。」

 

「じゃ、あいつを叩き潰してミンチにして天日で乾燥後に火の中に放り込ませてもらうわよ。」

 

 

幽香はそう言って微笑み、傘を取り出して構える。

そうだ、紀流に遠慮して勝負を預ける必要なんて何処にもない。

後ろで戦いを見守るのは自分らしくなく、何より紀流はそんな自分を望んではいないだろう。

心の中でそう結論付け、幽香は傘の先端に気を溜める。

 

 

「微力ながら、私も助太刀させてもらいます!

いや、させて下さい!」

 

「普通は逆だろ、その台詞。

けど妖夢、今のお前は微力なんかじゃない。百人…いや、千人力だ。

皆が手こずっていたあの人魂達を一瞬で片付けたお前を見たら、誰も微力だなんて思わないさ。」

 

「…いえ、私はまだまだ微力で半人前です。

もしも一人前であれば、いち早くあの桜の危険性に気づく事が出来た筈なんです…

そして…そして…幽々子様を救う事が出来た…筈でっ…!!」

 

 

妖夢は必死に涙を堪えるが、涙は彼女の意に反して両目からどんどん溢れ出てくる。

自身のスカートをぐしょ濡れにしながら妖夢は尚も口を開こうとするが、それは紀流に阻まれた。

 

 

「妖夢、お前の言う『一人前』ってなんだ?」

 

「…ふぇ…?」

 

「お前の言う一人前ってのを軽く想像してみたんだが、

何度やっても『全知全能で絶対無比な非の打ち所が無い凄い奴』みたいな奴しか浮かばないんだ。

そんなチートじみた奴、神様にだっていないぞ?」

 

「で…でも…」

 

「無理に背伸びした所で身長は伸びないし、最悪骨が外れるだけだ。

お前は少々、いやかなり、いや滅茶苦茶『一人前』って言葉に囚われている。」

 

「…悪いんですか?」

 

「ああ、最悪だ。目も当てられない。

そして更に酷い事に、そういった類いの奴は大抵負ける。

アニメなんてこの世界には無いだろうが、本ならあるだろ?

お前が今まで読んできた本の中で、そんな奴が強敵に勝ったシーンを見た試しがあるか?」

 

「…っ…」

 

 

また泣き出しそうになっている妖夢にお構い無く、紀流は持論を述べる。

 

 

「『完成されたのが一人前、進化していくのが半人前』。

半人前、つまりは後の世代の者が先人達が極めし物を学び、それを超えていく。

剣術だって亀仙流だって、そうやって進化してきた筈だ。

お前にも剣術を教えてくれた人がいるんだろ?」

 

「はい…」

 

「だったら、その人を超えてみせるんだ。

いや、超えろ。頭踏んづけて飛び越してやれ。」

 

「…ちょ…頭を踏んづけるって…」

 

「頭じゃ不満か?じゃあ後ろから掴んでバックドロップでも決めたらどうだ?

お前軽そうだから、多分そっちの方が面倒だと思うぞ?」

 

「…くっ…あははは…手厳しいですね…

でも、お陰で気持ちが纏まりました。」

 

 

そうだ、私は微力で半人前だ。

けど、それはあくまでも『理想の私』と比べた場合の事。

今の私にはは、今の私相応の力がある。

この力があれば理想の私の頭を踏んづけるとまでは行かないが、髪の毛一本位は取れるだろう。

そして、その髪の毛一本分で私は先程みたいなスペルを発動する事が出来た。

この戦いは通過点に過ぎないのに、うじうじしていてどうする。

妖夢はそう決意を固め、背中に差した刀の柄をゆっくりと掴む。

 

 

「流石は祠弥、精神的な気を高めるのもお手のものだな。」

 

「…流石にちょっと言い過ぎたかもしれんな…」

 

「いや、そんな事は無いと思うぜ。

それよりどうだ、ここは私にも妖夢に言った様なのを一つ…」

 

「お前の弾幕の様に煌めき、尚且つスペルの様に派手に生きろ。

後もう少し神社に遊びに来てくれ。霊夢の愚痴相手が増えて俺の負担が減るから。」

 

「…何かお前の私情が混じってる気がするが、

それも引っくるめて有り難く『借りて』おくぞ、祠弥!」

 

「いつまで?」

 

「無論、『死ぬまで』だぜっ♪」

 

 

祠弥は面白い。霊夢とはまた違った面白さ、『味』がある。

けど、今まで私は祠弥に霊夢程の面白さを抱いてはいなかった。

『普通の人間』を名乗っているわりには、人間味に欠けていると。

けど、それは大きな間違いだった。

祠弥も霊夢と同じ様に、笑ったり怒ったり怒ったり怒ったり…まあともかく、そんな感情がある。

それに気がつかなかったのは、この『霧雨 魔理沙』至上最大の大失敗だ。直ぐに挽回しよう。

魔理沙は自然と顔が綻ぶのを感じながら、魔法陣を展開する。

 

 

「紀流 祠弥、場違いと言われるのを覚悟で問いますが、

貴方は何故、私の判決を覆せたのですか?」

 

「…そうさなぁ…まぁ普通に考えたら俺なんかが閻魔さんの裁きを覆せるわけないから、

多分俺の『相手の能力を無効化する程度の能力』のお陰だと思う。」

 

「…能力の…無効化…ですか。

道理で私の説法に聞く耳持たずだった訳です。」

 

「ちゃんと聞いただろ。

その証拠に、俺は今も『一般的な人間』でいようと努力してるんだぜ?」

 

「また都合の良い事を…

しかし、貴方のお陰で地獄のシステムに存在する穴が見えてきました。

今のままでは、貴方の様な者を一方的に裁く事が出来ない。」

 

「…いや、流石に地獄の裁きには反論するつもりは無いが…」

 

「そこで貴方を雇おうと思うのですが、どうです?

勿論私の後釜としてでは無く『私では裁けない者を裁く役割を担う者』としてですけどね。」

 

「何だよその重荷は。

そんな御大層な事が出来る身分じゃ無いぞ、俺は。

…それにそれは『一般的な人間』でも何でもないよな?」

 

「私が認めればそれで良いのです。

仕事をこなして社会に貢献すれば立派に『一般的な人間』を名乗れますよ。」

 

「…異議あり。」

 

「でしょうね。」

 

 

今まで私は、自身の裁きは絶対的な物だと思い込んでいた。

どれだけ反論されようが、一度裁きを下してしまえばそれで決着すると。

この少年に会うまでは、そう思っていた。

しかし今回の一件で、自身の裁きは能力に頼りきった物である事が判明した。

その能力を行使している自分が、どれだけ未熟であるかも。

ここで傍観者を貫いていたりしたら、何時まで経っても裁きを下すに相応しい者にはなれない。

映姫はそう自分に言い聞かせ、杓を握る手に力を込める。

 

 

「「「「「オハナシハオワッタカイ、キンパツノセンシサンヨ?」」」」」

 

「ああ、終わったさ。

お前の『復讐』とやらをぶっ潰す準備は殆ど整った。」

 

「「「「「コノゴニオヨンデ、マダソンナヨマイゴトヲイウノカ?

オマエタチノカチメナド、スズメノナミダホドモナイノダゾッ!!!」」」」」

 

「そんだけあれば充分だ。

お前の勝ち目は精々、蚊の涙程度だろうだからな。」

 

「ミジンコの間違いじゃないの、紀流?」

 

「別にそれでも良いんですけどね…

それじゃあ余りにも可哀想でしょう?」

 

「あんな奴等に可哀想も何もありませんよ。

けどミジンコは止めて下さい、斬ったかどうかが分かりにくいですから。」

 

「蚊だろうとミジンコだろうと、殴れば潰れるだろう?」

 

「それでは私が裁けません。

やはり人間で無いと。」

 

 

紀流達は各々の意見をぶつけ合い、相手の勝率を表現するのに最も相応しい言葉を模索する。

当然、西行妖を蚊帳の外にして。

 

 

「「「「「……ス…」」」」」

 

「あん?何か言っt…」

 

「「「「「ケシトバスッ!!!

サンザンワタシタチヲノノシッテキタクセ二、タタカオウトシナイジャナイカ!!!

イケ、『反魂蝶』ッ!!!」」」」」

 

 

西行妖は怒りの声と共に扇子を目一杯振り、紀流達に向かって蝶達を飛ばす。

蝶達は先程までのゆったりとした動きとは段違いのスピードで飛び、紀流達に襲いかかるが…

 

 

「魔符『スターダストレヴァリエ』!」

 

「餓王剣『餓鬼十王の報い』!」

 

「罪符『彷徨える大罪』!」

 

「花符『幻想郷の開花』!」

 

「宇撃『ビッグバンアタック』!」

 

 

紀流を除いた五人のスペルによって、蝶は殆ど爆散して掻き消え…

 

 

「なあ西行妖、何で俺が避けようとしないか分かるか?

それはな…ふんっ!!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

「…別にどうって事ないからだ。」

 

 

残りの蝶も、紀流の『手刀』によって真っ二つに切り裂かれた。

 

 

「おい紀流、あの蝶に触れずに戦えと言ったのはお前だろう!?

何平然と直接攻撃で消しているんだ!?」

 

「そっちこそ、何平然とビッグバンアタック発動してるんですか!?」

 

「私は『弾幕』の撃ち方を知らないからな。

紀流の動作を真似して見よう見まねでやってみたんだが、わりかし上手く行って良かったよ。

…そんな事よりも、何で直接攻撃をあの蝶に喰らわせたんだ!?」

 

「…見よう見まねがさっき俺が撃ったやつよりも高威力ってどういう事だよ…

えーっと…ああそうそう、攻撃の事だな。

流石にこればっかしはやってみなきゃ分からなかったが、どうやら見立ては正しかったらしい。」

 

「そ、そうか!

『能力』だな、祠弥!!」

 

「大正解だ、魔理沙。

幽々子の能力は元々西行妖が持っていた物で、あいつはその力を使って大暴れしている。

そしてあの蝶も能力によって生み出された物…」

 

「つまり、紀流には効果が無いって事ね♪

けどそこまで考えていたなら、何故突っ込んでいかなかったの?」

 

「…あくまで予想だったってのもありますし、それに…」

 

「「「「「それに?」」」」」

 

 

皆が一斉に首を傾げる中、紀流は少し躊躇った様子で先を続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…俺が平気なの確認したら、皆一斉に突っ込んで即座に御陀仏になるかなぁって…」

 

「「「「「…。」」」」」

 

 

五人は黙った。

それは自分達を『何も考えずに敵に突っ込んでいく阿呆』扱いした紀流への怒りもあったが、

何よりも、全員が全員、まず間違いなく紀流が言った通りの行動をとっただろうからである。

しかも実際に突進した霊武、紀流の制止を無視して攻撃した魔理沙と幽香がいるのだ。

五人は暫く互いの顔色を伺い合った後、同時に紀流へと向き直り…

 

 

「「「「「♪」」」」」

 

 

笑って誤魔化した。

 

 

「おい、誰も目が笑ってないぞ。」

 

「…祠弥、あいつ倒したらちょっと一杯付き合ってくれ。奢るから。」

 

「…差し支えなければ、私も混ぜてくれないか。

私も紀流と話し合いたい事があるんだ。」

 

「…あら、奇遇ねえ。私もよ。」

 

「…どうせこの戦いが終われば博麗神社で宴会があるでしょうから、

その二次会として、神社を抜け出して何処かの屋台にでも行きましょうか。」

 

「…あぁ、それなら小町が穴場を見つけたとか言っていたので、そこに行きましょう。

詳しい事は私が後で調べておきます。」

 

「…お、おい…」

 

「「「「「え?」」」」」

 

「…タノシミニシテマスヨニジカイ…」

 

 

きりゅうは おんなのこわさを まなんだ!

 

 

「「「「「…オイ…コノクソッタレドモ…

マダ…ワレラヲ…ムシ…シツヅケル…ノカァ!?」」」」」

 

「あぁごめんごめん。

で、反魂蝶全部消したけどまだ何か種があるの?」

 

「「「「「…トウゼンダ。アレデゼンリョクダトオモッタノカ?

ソノキニナレバ、メイカイニハオサマリキラナイリョウノチョウガダセルンダゾ?

ナンナラ、イマココデダシテヤロウカ?ゼンリョクヲ!!!」」」」」

 

 

西行妖はそう言い放ち、後ろに展開されている巨大な屏風みたいな物を更に巨大化させる。

やがて、その屏風の絵の隙間は全て蝶で埋まった。

 

 

「へえ、やれば出来るじゃないか。

これは少し身構えた方が良いかな?」

 

「「「「「ミガマエタトコロデムダダ。

ワレラハメイカイノケッカイヲハカイシ、コノチョウヲマキチラスコトニシタ。

モハヤ、サッキテイドノコウゲキデハトメラレンゾ!!!」」」」」

 

 

その言葉と同時に屏風から数百匹の蝶が飛び出し、冥界の空に向かって突進した。

蝶達の量が増えていく毎に大気の揺れは激しくなり、地面の亀裂も大きくなっていく。

それを見て流石にやばいと感じたのか、妖夢は紀流の袖を引っ張って焦った声を出す。

 

 

「紀流さん、流石に結界を破壊されたらまずいですよ!

先程は量が少なかったので何とかなりましたが、あの量となると…」

 

「大丈夫だろ。」

 

「え!?」

 

「おや、貴方は気づいていなかったんですか?

冥界の外から感じられる気がやたら増えている事に。」

 

「ど…どういう…」

 

「ま、つまり…」

 

 

紀流がその続きを言う前に、大きな亀裂音と共に冥界の空にひびが入った。

そのひびは次第に広がっていき、やがて巨大な網目状になったかと思うと…

 

 

「「「「「クダケロォォォォォォォォォッ!!!」」」」」

 

 

結界は音を立てて割れ、外の光が差し込んだ。

と同時に、殆どの蝶達は上空から振ってきた無数の気弾によって爆発した。

 

 

「「「「「ナ…!?」」」」」

 

「…やっぱり、居たか。

まああれだけ騒いでたんだ、ここに気がつかない筈が無いよな。」

 

 

そう呟く紀流の視線の先に居たのは。

 

 

「あたい、さんじょうっ!!!」

 

「やりすぎだよチルノちゃん…」

 

「そうなのかー?」

 

 

チルノ、大妖精、ルーミア。そして…

 

 

「幻想郷の春にちゃちを入れるお馬鹿さんは…地に這いつくばって消えて貰うんですよーっ!!!」

 

「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」」」

 

 

一際目立つ黒い服を着た妖精を筆頭とした、夥しい数の妖精達だった。

 

 

「「「「「ナ…ナンダ…コイツラハ…」」」」」

 

「妖精達だよ。

大方の所、お前が呼び寄せた幽霊の軍団を追ってここまで来たんだろう。」

 

「いえ、それだけではありません。」

 

「ん、どういう事d「閻魔様ー!!!」?」

 

 

紀流の疑問を遮る様にして聞こえてきた元気な声。

その方向に目をやると、先程魔理沙と喧嘩していた『メディスン・メランコリー』の姿があった。

 

 

「私言われた通り、一杯呼んできましたよー!」

 

「私の案へのご協力、感謝します。」

 

「…えーと、どういう事だぜ?」

 

「ふふん、知りたいの?じゃあ教えてあげる!

さっき階段の所で一旦別れた時、私は冥界の外に出て妖精達を集める仕事を頼まれたんだ!

閻魔様が頭を下げてくれたんだもん、勿論断らずに頑張ったんだよ!」

 

「万が一結界が破壊でもされた時の足止め役を頼んだんですけどね。

妖精達も、自分達を混乱させた者に対して怒っているでしょうし。」

 

「私はむしろ、私達を足止め程度にしか考えていなかったあなたの態度がムカつきますよー。

とにかく、あの亡霊のお嬢様もどきが今回の異変の原因なんですね?」

 

「はい。」

 

「遠慮なくやっちゃっても良いんですね?」

 

「白玉楼には当たらないようにしろよ。

…後、前会った時はすまなかった。」

 

「まああの時は異変でしたし、気にしなくて良いですよー。

じゃあ幻想郷にとって迷惑なあいつに、閻魔様の御前への引導を渡してやりますよー!!」

 

「「「「「おーー!!!」」」」」

 

 

黒服の妖精の言葉と共に、妖精達はちっちゃな腕を振り上げて肯定を示す。

 

 

「よし、あたいもあいつらにおふざけはいい加減にしろって事を見せてやるぞー、おー♪」

 

「チルノちゃん、乱暴はいけないよ…」

 

「大ちゃんは保守派なのかー。」

 

「…嫌な言い方するね、ルーミアちゃんも。」

 

 

…三人はいつも通りである。

 

 

「…さあて、ちょっと予想外だったが、此方の戦力は大幅に増加した。

只でさえミジンコだった勝率が、今度は原子レベルまで落ちちまったな。」

 

「妖精は、幻想郷の自然の中から生まれた存在。

今の貴方は、幻想郷その物を敵に回しているに等しい。」

 

「「「「「…フン、タカガヨウセイゴトキガドレダケフエタトコロデ…」」」」」

 

「…お前の敗北は揺らぎはしない。

大丈夫だ、皆分かってるぜ。」

 

「普通はこんな馬鹿げた戦いに挑もうとしている人には警告を送るべきなんでしょうが、

無駄な事だと分かっているのでもう何も言いません。」

 

「「「「「ググググググ…オノレキサマラ…

イキテカエレルトオモウナヨ…ッ!!!」」」」」

 

 

西行妖は気を高め、更に屏風を巨大化させていく。

空を覆い尽くしそうな大きさの屏風を横目で見ながら、紀流は言った。

 

 

「これが最後の最後、最終質問だ。

降伏しろ。」

 

「「「「「セェェェンッ!!!」」」」」

 

 

蝶達が、屏風から飛び出る。

 

 

「…残念だ。」

 

「やっぱりあいつは馬鹿ですよー。」

 

「だな。

…行けるか?」

 

「準備万端、何時でもどんと来いですよ!!!」

 

「上等だ!行くぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

 

弾幕が、放たれる。

今、冥界で始まったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

60年の区切りを彩る『花の如き弾幕を映す合戦』が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…どうやら、始まったみたいだねぇ。

ほら、あんたも感じるだろ?」

 

「…」

 

「あたいさ、今日は結構無理して仕事しててさ。

ここらで一つ、休憩をとろうかと思ってたんだ。」

 

「…」

 

「そこで、休憩のついでに冥界のイベントを見に行こうって思ってるわけさ。

あんたも一緒にどうだい?」

 

「…休憩にしては、随分と遠くまで行くのね。」

 

「私の能力なら一瞬で着くさ。

さ、来なよ。」

 

「…」

 

「…お前さん、このままで良いのかい?

逝くにしてもどっちにしても、何か言うべき事があるんじゃないか?」

 

「…」

 

「…だんまり、か…

まあ、無理にとは言わないよ。私だけで…」

 

「…っ…」

 

「…そうかい、やっぱり『行く』事にしたかい。

じゃ、しっかり掴まってなよ!!」

 

 

その時、一人の死神と一つの人間の魂が、三途の河から飛び立った。




戦えよ(殴)
…ごめんなさい。戦闘を入れようとすると蛇足感が半端なかったんです。
延々と話しておきながら何言ってんだって話ですが。まあ今回の敵は大した奴じゃないんd(ry
というわけで、次回決着。
感想、意見、アドバイス等々募集中。


余談

東方Project20周年&ドラゴンボールヒーローズ5周年。
両者にはどんどん記録を伸ばしていってもらいたいものです。
だが超4悟飯、お前は駄目だ。お前はいつから純粋なサイヤ人になったんだ。
お前はサイヤ人と地球人の混血で戦闘力が高いナッパ曰く『スーパーサイヤ人』じゃないのk(ry
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