ゆっくり読んでいってね!
…え、何で三ヶ月近く間が空いたのかって?なんでだr(殴)
お詫び
うっかり未完成版を投稿してしまいましたので、いっぺん消しました。
すみません。
「…それでだな紀流、その時霊夢がこう言ってだな…」
「…ふぇー、ほーはんへふはー…
…ひはひ、はんへはんはひひほひっへふほほはははっはんはほふ…」
オッス!オラ紀流!
今現在俺は、ミスティアの屋台で八ツ目鰻を頬張りながら霊武さんの話を聞いている所だ!
二次会とは名ばかりでもうかれこれ五時間は屋台の椅子に座りっぱなしだぜ!
最初こそ妖夢や魔理沙や閻魔さんも起きてて俺に散々絡んできたりしたのだが、
やがて一人二人と寝てしまい、今起きているのは霊武さんと店主のミスティアぐらいだ。
「…しかし紀流、良くそんなけったいな物が食べられるな…」
「ひはへへはんはんふふほは、ほっはひはひへふほー?
…んぐっ…ほら、霊武さんも試しに一匹…」
「…近づけないでくれ…」
俺が差し出した八ツ目鰻を、霊武さんは親の敵でもあるかの様な目で見ている。
美味しいのになぁ、これ。
「もぐ…ひふひほっはひはひへふへぇ…こんなに美味なのに…」
「…駄目な物は駄目なんd「何!?私の焼いた八ツ目鰻が食べられないと!?」うわぁっ!?」
「…八ツ目鰻を食べられない癖に私の屋台に来るとはいい度胸だ…
博麗の巫女のお姉さんだか何だか知らないけど、営業妨害ってなら容赦しないよ!!」
「いや待て、本当に無理なんd「喰らえ!八ツ目鰻(生)アターック!!」
止めてくれ!私はにょろにょろした物が大っ嫌いなんだぁぁぁっ!!!」
ミスティアはまだ生きている八ツ目鰻を振り回し、霊武さんをひっぱたこうとしている。
霊武さんはどうやら本当に駄目らしく、西行妖との戦いの時よりも更に速い動きでかわしている。
…全く…もう少し静かに出来ないのかねぇ…
「…はぁ…はぁ…」
「あ、終わったんですか?」
「…あぁ、つい手が出てしまったよ…」
…え、手が出た?
霊武さんの言葉に俺は違和感を覚え、少し腰を浮かせて屋台の奥を覗き込む。
「…う~ん…」
「…」
そこには、頭から帽子が吹っ飛んだミスティアが目を回している姿があった。
…正に文字通り『手が出た』んですね、霊武さん。
「…」
「…すまん、紀流…
だ、だけどな、私は本当に駄目なんだ!」
「…だとしても気絶する勢いでぶん殴るのはどうかと思いますよ…
おーい、大丈夫かー?」
「…大…丈…夫…だよ…」
ミスティアは満身創痍(実際そうなのかもしれないが)の人の様にゆっくり起き上がり、
屋台の外に出て背中やスカートをはたいて手を拭いた後、再び俺達の前に立った。
「…ははは、まさかそこまで嫌がるとは思って無かったからさ…いてて…」
「…大丈夫か?」
「あはは、大丈夫だよー。
それにしても貴方強いねぇ、流石は博麗の巫女のお姉さんだ!」
「いやいや、家出した私なんかよりも霊夢の方が凄いぞ?
実際今日も傷を負っているにも関わらず、この宴会に参加しているんだからな!」
霊武さんは腕を組み、物凄く誇らしげな顔で頭を何度も縦に振る。
…何か霊夢すげぇみたいになってるけど、それはちょっと違わないか?
「…それは博麗の巫女の役目云々じゃなくて、
ただ本人がお酒を飲みたいだけなんじゃ無いですかね?」
「そうか?」
「いや、だって腹に穴空いてたら病院で大人しくしているのが普通でしょう?」
「霊夢は博麗の巫女だからな。
一時たりとも神社を空けてはならないという、強い意志があるんだろう。」
「…今俺達の後ろで爆睡してますけど…」
「妖怪が暴れだした時に備えて休養をとっているんだろうな。」
「…あの霊武さん、ちょっとばかし霊夢の事を美化し過ぎじゃ無いですか?」
「悪いか?」
「…いえ、別に。」
霊武さんはそんな事当然だろうとでも言いたげな表情で此方を見てきたので、
俺はこれ以上話がややこしくならない内に別の話題を振ろうと思ったのだが…
「じゃあ、紀流は霊夢の事をどう思っているんだ?
いや、そもそもお前は何者なんだ?」
「え?」
俺が口を開くよりも早く霊武さんが話を振ってきた為、俺は思わず素で返してしまう。
しかし霊武さんはそんな事は全く気にせず、席を一つ詰めて俺の隣に移動した後に話を続ける。
「先程も何度か霊夢にお前が何者なのかを訊いてみたんだが、
いくら質問しても『祠弥は普通の人間よ』の一点張りでな…
なあ紀流、お前は本当は普通の人間では無いんだろう?」
「はぁ!?」
「大丈夫だ、正体を現しても有無を言わせず殺しはしない。
仮にお前が悪い妖怪だったとしたら、霊夢が見逃す筈は無いからな。」
…いやいや霊武さん、俺は妖怪じゃ無いです。人間です。
というか何で霊夢の言葉を信じて俺を普通の人間だと思わないんだy…
「…だんまりを決め込んでも無駄だぞ、紀流?
生憎今起きているのは私とお前だけだからな…」
「いや、ミスティアは起きてるだr「…くー…」客がいるのに店主が寝るなぁぁぁぁぁぁ!!!」
救いなんて無かった。
そうこうしている間にも霊武さんの口調は益々強くなっていき、
俺が何も言えない内にずいずいと此方に体を寄せ、俺を長椅子の端へと追い詰めていく。
「さあ、観念して何もかもぶちまけろ!すっきりするぞ!!」
「俺は『普通の人間』です!
断じて妖怪でも妖精でも幽霊でも吸血鬼でも不老不死でも鬼でも何でもありませんっ!!!」
「またまた、そんな事を~。
阿求という者に聞いたぞ?お前は『無限大究極パワーの常人』と呼ばれているそうじゃないか?
普通の人間なら、『無限大』とか『究極パワー』なんてあだ名を付けられる筈は無いよな?」
「しっかり『常人』って入ってるでしょうが!!
…というか阿求はいつ俺に『無限大究極パワーの常人』なんて名前をつけやがったんだ!
俺はセルじゃ無いんだぞ!!!」
「とにかく!お前は普通の人間『では無い』という事で良いな!?」
「良かねぇっ!!!」
霊武さんはすんなり俺が普通の人間だって事を認めてくれそうだと思ったのにこのザマである。
…確かにかめはめ波撃ったりしてる俺を普通の人間だと思えってのは無理があるとは思うけど…
「…分かった紀流、お前は『普通の人間』なんだな。
他人にすぎない私がとやかく言う事では無いのに、すまなかった。」
「…分かってもらえれば、それで良いんですけど…」
「…だが、そうなると益々気になる事がある。
何故『普通の人間』に過ぎないお前を、霊夢は神社に置いているんだ?」
「…さぁ?」
「さぁとは何だ、さぁとは!?
一体お前はどうやって霊夢に認められ、博麗神社に身を落ち着けたんだ!?」
「…うーむ…」
確かに霊武さんの言う通り、何で俺は博麗神社に居られる事になったんだろう。
…霊夢の好意…って言えばそれまでだが、あの時点での俺は『不法侵入者』だったし…
「何でですかね?」
「何でだ?」
「何ででしょう?」
「…紀流、私をおちょくっているのか?」
「いえ、純粋に疑問に思っているだけです。
何で霊夢は俺に飯食わせてくれただけじゃなく、神社に置いてくれたのかなーって。」
「私が訊きたい。」
霊武さんは怪訝そうな顔で此方を見つめている。
その様子を見る限り、この話題を適当にはぐらかす事は出来なさそうだ。
「…まさかお前、霊夢を脅しているんじゃ無いだろうな?」
「…What!?」
唐突すぎないですか霊武さん。
まず霊夢を脅迫するなんて、ブウを完全に従えるレベルの難しさだと思うんですが。
つまり無理。
「霊夢は欠点が無いように見えて意外と情けない所があるからな…
…しかし、霊夢がそう易々と他人に屈するとは思えんし…」
「…あの、霊武さん?」
霊武さんが一人でぶつぶつ言い始めたので、
俺は今が移動する好機と長椅子から腰を上げかけたが…
「…まさか霊夢を洗脳したのか!?」
「何でそうなるんですかぁぁぁ!?」
「半ば冗談で言ってみたが、よく考えると辻褄が合うじゃないか!
現にお前の事を話していた時の霊夢は夢心地の様だったし、目が虚ろになっていたしな!!」
「それは只酔ってるだけでしょうg…うわっ!?」
霊武さんの暴論に呆れつつも反論しようとすると、霊武さんは突然俺の襟元を掴んできた。
慌てて振り払おうとするも上手く行かず、俺は長椅子から持ち上げられ仰向けに叩きつけられる。
「げえっ!?」
「…調子に乗るなよ、紀流…私とて博麗一族の端くれだ。
お前一人を蹴散らすぐらい、一瞬でやってのける事が出来るんだぞ…っ?」
「少し落ち着…ぐほぅ!?」
霊武さんは起き上がろうとしている俺の首を掴み、万力込めて長椅子と俺の後頭部を接触させた。
意識が飛びそうになる中見える霊武さんの顔は、気のせいか仄かに赤く染まっている様に見える。
…あれ、これって酔っ払いじゃないか?俺の首掴んでる手も熱いし。
「…正直に言ってもらうぞ。
博麗の巫女であり、私の妹である霊夢に何をしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「何もしてませんよぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!
っていうか霊武さん、本当にお酒一杯も飲んでないんですかぁ!?」
「私を疑うのか、紀流っ!!!」
「疑いたくもなりますよぉっ!!!」
「ならば信じさせてやるっ!!!」
霊武さんはそう言い放ち、もう片方の手も使って俺の首をぐいぐいと締め付けてきた。
…ああ、これ本格的に駄目な奴だ。お話になりません。
だから酔っ払いは嫌いなんだよ…何て流暢に文句垂れてる場合じゃない!死ぬ!!
「…どうだ紀流、白状する気になったか…っ!?」
「…んんんんんんんんん…!!!」
「ん…!?」
何かを感じ取ったのか一瞬動きを止めた霊武さんの隙を突き、俺は全力で気合い砲を放つ。
「だあっ!!!」
「…ちぃ…っ!!」
霊武さんが防御の為に両手を組んだので、俺は咄嗟に横に転がってそのまま長椅子から落ちる。
受け身をとって直ぐ様立ち上がると、霊武さんは長椅子に跨がった姿勢で此方を睨んできた。
その奥では、ミスティアが不安そうに此方を伺っている。
「…」
「…へへへ…頑張ってね?
後で八ツ目鰻サービスしてあげるかr「ん?」…ぐー…」
起きている事を霊武さんに悟られる前に、ミスティアは寝たふりを再開していた。
霊武さんは少しの間だけミスティアの頭を眺めていたが、程無くして俺の方に首を回す。
「…き~りゅ~う~?
逃げるという事は、何か疚しい事があるという事だよな~?」
「疚しい事なんて神社をぶっ壊した事と霊夢の服を灰にしちまった事しかありませんっ!!!」
「本当にそれだけかぁ!?」
「えーと、えーと…それだけでs「嘘をつけぇっ!!!」うわったぁっ!?」
俺がまごまごしている内に、霊武さんは長椅子から下りて此方に向かって殴りかかってきた。
俺は咄嗟に拳の軌道を見極め、紙一重で体を横にずらして相手の右ストレートを回避するが…
「…ふふん…」
「…え?」
霊武さんはすれ違い様に微笑み、そのまま俺に左腕で首筋にラリアットを喰らわせてきた。
俺は血が止まりそうになる程の馬鹿力で振り回され、そのままの勢いで空中に放り上げられる。
「…いいっ…!?」
「…ふふふ…」
意識を何とか正常に保って下を見ると、にやけ顔の霊武さんと目が合った。
霊武さんは両手を上に挙げた後、掌を俺の方へと向け…
「…霊夢に近づく不届き者は…完全に消えて無くなってもらうっ!!!」
「いい加減にしろぉっ!波符『かめはめ波』!!」
もう駄目だと思った俺はスペルを発動し、霊武さんが放ってきた気に向けて青い光線を発射する。
二つの気は衝突して一瞬溶け合い、互いにその軌道を大きくずらし、爆発した。
「全く…勘弁してくださいよ、霊武さん…」
「…ふっふっふっふっふ…っふっふっふっふっふ…
成る程、霊夢が気に入るわけだな…」
「…あのですねぇ…」
もう駄目だこの巫女さん。仕方無い、少しばかり強引な方法を取ろう。
あの様子だとお酒にはあまり強くなさそうだから、そこにもう一押しすれば…
「…姉さ~ん、お酒取って~…」
「「!?」」
俺が霊武さんを止める作戦を必死に頭から捻り出そうとしていると、
先程の気のぶつかり合いで目が覚めたらしき霊夢がぼんやり顔で声を挙げた。
…というかあれだけ呑んでまだ酒を欲しがるのか、霊夢よ。
「分かった霊夢、少し待っていろ!直ぐに持っていってやるからな!」
当然というかなんというべきなのかは分からないが、
霊武さんは直ぐに霊夢の言葉に反応していそいそとミスティアの元へと向かう。
どうやら此方への興味を完全に無くした様なので、俺は気を静めて地上に降り立つ。
…正確にはさっさと降り立とうとしたのだが…
「おい祠弥~、あたい特製のお酒でも飲まないか~?
きんっきんに冷えてておいしいぞ~!」
「ひゃい!?」
それより早く、酔っ払っているチルノに後ろから冷えた(というか凍った)瓶を首筋に当てられた。
俺は驚いて思わず変な声が出てしまい、照れ隠しの意味も込めて咄嗟に文句を言う。
「何すんだよ、チルノ…」
「あはは祠弥、ひゃいって何だ、ひゃいって!
このていどの冷え具合でひゃいひゃい言っている様じゃ、まだまださいきょーにはとおいわね!」
「…チルノちゃん、それ冷えてるっていうより凍ってるよ…」
「…はぁ…全く、勘弁してくれよ…
こう見えても一応、幻想郷の存亡を賭けた大激戦を繰り広げたんだからな?」
「あたい達だって協力しただろー?
つまり、今の祠弥はもはやさいきょーではない!
幻想郷さいきょーの座は、再びあたいのものとなったのだー!!」
「…分かった。」
「ほう、諦めるのk「明日になったら速攻で奪い返してやるよ…」その意気だぞ、祠弥!」
チルノはそう言って笑い、俺と強引に肩を組んで密着してくる。冷たい。
…といっても、首の感覚が無くなってきている事を除けば対した事ないのだが。
「チルノちゃん、もう離れなよ…
祠弥さんは疲れてるんだから、休ませてあげないと…ね?」
「なにをいう!
ほこらやはにじかいにきたんだから、まだまだげんきいっぱいにきまっているだろ!」
「…二次会が始まってから五時間経ってるんだよ、チルノちゃん。」
「かんけいない!
だいたいつかれてるんなら、さっさとかえればいいだろ!」
「…帰れたら苦労しないよ…」
霊夢達をおいてけぼりにした場合を想像しただけでも血圧上がって死にそうです。
…そもそも、霊夢は永琳に『数週間は絶対安静』って言われてた気がするんだが…
「…えーり~ん、祠弥呼んできて~…」
「…自分で行って下さ…ぐぅ…」
「あ、寝た~…
仕方無い…この際妹紅で良いわ、行ってきて~…」
「はぁっ!?何でお前に命令されて私があいつを呼ばなきゃ「それ。」ぐうっ…
…卑怯だぞ、傷を狙うなんて…」
「怪我するあんたが悪い。
ってわけで、早く呼んできて~ぇぇぇ…」
「…やだね。」
…そして、患者に酒呑むなって言った医者が酔い潰れてるってどういう事なの…
えーと、これはあれだ、正に…
「…医者の不養生…」
「え?」
「あー、なんだほこらや、いしゃのふえるどじょうだって?
いいなー、あたいにもいっぴきくれよ~…」
「…どじょうじゃないって…けど、俺もやっぱり疲れてるのかな…
体重いし、思うように動けないし…」
「当たり前ですよ!凍ってるんですから!
ほらチルノちゃん、離れないと紀流さんが凍っちゃうよ!!」
大妖精は俺の肩に置かれたチルノの腕を掴み、頑張って俺から引き剥がそうとしている。
次第に氷がでかくなってきたので、俺は大妖精を手伝ってチルノを氷ごとひっぺがす。
それまでぼんやりしていたチルノはそれで覚醒したらしく、急に持っていた瓶を振り始めた。
「おいほこらや!飲め!」
「もういらん…」
「なんだと!?
むぅぅ、あたいのお酒を飲めるやつはいないのか…」
「はいはーい!僕が飲むよー!!」
「「!?」」
不満げなチルノの声に応えたのは、どう聞いても未成年にしか聞こえない子供の声。
「…む、お前は…」
「え~へへ…だめ?」
チルノが首を向けた先には、目測五・六歳程の男の子が笑いながら浮かんでいた。
少し体が光っていて浮いている事を除けば、何処にでもいそうな子供である。
「そのお酒、僕にちょーだーい♪
一度も飲んだ事ないんd「止めんか。」いたい!
なにすんのさぁっ!?」
外見に似合わずお酒をねだるその子供を止めたのは、これまた普通に人里を歩いていそうな青年。
子供と同じく体が光っているその青年は子供の膨れっ面も気にせず、呆れた様に言葉を続ける。
「…あのなあ、第一お前は未成年だろう!」
「もう数百年くらい生きてるよ!」
「幽霊の状態で存在している事を『生きている』とは言わーん!!!」
「じゃあなんなのさ!
あのお兄さんだってお酒飲んでたじゃないか!
ねえお兄さん、お兄さんはまだ大人になってないよね?」
いきなり話の矛先が俺に向いてきた事に面倒だと思いつつも、俺は一応答える。
「二十歳になってるかなってないかって意味なら、なってないぞ。」
「ほーら、やっぱr「何!?お前は未成年なのにそんなにぐいぐい酒を飲んでいるのか!?」
ちょっと、いまはぼくがお兄さんt「未成年者が酒を飲むなぁぁぁ!!!」…」
…おーおー、ヒートアップしてますな。
俺が子供と青年の口喧嘩をチルノ達と一緒に妙に上から目線で観戦していると、
後ろから溜め息が同時に三つ聞こえてきた。
「…ん?」
俺が振り向いた先にいたのは、只今喧嘩の真っ最中の二人と同じ光を放っている者達。
「…はぁ、二人共元気だなぁ…」
ぱっと見は大人だが、まだ何処かあどけなさが残る女の人。
「全く、あの二人には困った物ね…
下では人が大勢寝ているっていうのに…」
長身で美人だが、言動からして姉御肌そうな女性。
「五月蝿いったらありゃしない。
おーい二人共、仲が良いのは分かったから喧嘩なら他所でやれよー。」
そして最後に、お前も子供だろう、と突っ込みたくなるような小学生中学年ぐらいの男の子。
三人は暫くの間呆れ顔で喧嘩中の二人を見つめていたが、
俺が見ている事に気づくと急に姿勢を正し、深く深く頭を下げてきた。
「…紀流さん、本当にありがとうございます。
本来なら地獄処か存在を抹消されて然るべき私達を救って頂いて…本当に…」
「紀流お兄さんのお陰で、僕達は今ここにいられるんだからね…
…えっと、その、ありがとうございます…」
「…感謝してもしきれないです…」
三人は俺に対する感謝の言葉を述べながら益々頭を深く下げていく。
「まあまあ、もう過ぎた事だし。」
「まったく…あんたたちゆうれいは、もっとほこらやに感謝するべきよ!
もしもあたいがほこらやだったら、直ぐにあんたたちを成敗してたわ!」
「…チルノ、言い過ぎだ。」
「いいすぎなんて事があるわけないだろ!
忘れたのかほこらや、こいつらは『さいぎょうあやかし』だったんだぞ!」
「…チルノちゃん…」
「「「…」」」
「チルノ、何度も言っただろ?
この人達は『利用』されただけだ。」
そう、不思議な雰囲気を放っているこの五人。
実は彼らこそが、幽々子の体を乗っ取って大暴れした『西行妖』の『声』の正体なのだ。
え、何で声限定なのかって?まああれだ、色々あったんだ。
「全く、あの時は大変だったな…
主に魔理沙と霊武さんと紫と妖夢と幽香さんを止めるので。」
要するに、
龍拳撃って敵爆散→爆発があった場所から五人が落ちてくる→まだ生きていたのか→
→有無を言わせず成敗しようとする皆→俺必死になだめる→効果なし→幽々子も止める→皆驚く→
→幽々子が必死に五人を庇う→皆動揺→俺五人の気が西行妖の気と似ても似つかない事に気づく→
→幽々子の肉体を使っていた様に西行妖が五人の魂を利用していたんじゃないかと考える→
→だとすれば五人は悪くない→そう皆に言ってみる→当然皆は納得しない→
→真実がどうであれ五人を責めるつもりはないと幽々子が断言する→皆渋々納得(完結)って所だ。
「…ふん、あたいは認めないからな?」
「…あのなあ…」
「いえ、良いんです。
…私達の心が弱かったのが悪いんですから…」
「何を言うんだ、普通数百年も動けない状態でいたんじゃ気が狂うのもしょうがない。
だから、そんなに責任を感じなくたって良いんだぞ?
現に霊夢だって許してくれたんだし。」
「…お兄さんにはあれが『許した』様に見えるの?
あのお姉さん、僕達の方を見て溜め息一つ付いただけだったよ?」
「大丈夫、それは霊夢が割り切ったって印だからな。
傷が残ってる内は何とも言えないけど、全快したら普通に接してくれると思うぞ?」
「…でも、他の人達は…」
「だーかーらー、もう異変は終わった事なんだって!
酒を飲み交わせば皆友達、それが幻想郷なのさ。
…ま、正式に謝りたいと思ってるんなら早めに謝った方が良いと思うけどな。」
「…そう…ですよね…えぇ、その通りです!
ほらあんた達、改めて皆で皆さんに謝りに行くわよ!!」
「「「「はーい!!!」」」」
「あー、こらー!
あたいは許してないっていってるだろー!!!」
「…あ、ちょっとま…行っちまったか…」
元気よく皆に謝りに向かった五人。
俺は一瞬付いていった方が良いかと思ったが、直ぐに思い直して五人に任せる事にした。
…あーぁ、俺は何て面倒臭がり屋なんでしょう。
「…はぁ…」
「紀流さん、どうしたんですか?
溜め息を付くと、幸せが逃げていってしまいますよ?」
「…そう言えば、そんな話もあったな。
いや、西行妖の事を考えてたんだ。」
「…西行妖の事を…ですか?」
「そうだ。
何故西行妖は、あの五人を利用したのかってね。」
「え?」
大妖精が首を傾げて此方を見つめたのを確認し、俺は言葉を続ける。
「戦いが始まる前、西行妖…というかあの五人が言ってたんだ。
『自分達は西行妖に囚われた』って。
その時はそうだったのか程度で別段気にはしてなかったんだが、
終わった今、よくよく考えてみるとちと腑に落ちなくてな…」
「何が…ですか?」
「西行妖は人を死に誘う。西行妖自身が言ってた事だ。
じゃあ何故、西行妖に囚われたのはあの五人だけだったのか、ってな。」
「…」
「実際、西行妖が死に誘った人間の数は五人なんかじゃ下らない筈。
少なくとも生前の幽々子や幽々子の親、あの五人以外に屋敷に住んでた人…
…ま、ここらの話は幽々子に聞いた方が手っ取り早いだろうけどね。
とにかく、それだけの人数が死んでいる中で…」
「…どうしてあの五人だけが、というわけですか…」
「そうだ。何かそれっぽい仮説は無いか?」
「…うーん…そうですね…」
俺の無茶な質問に対して大妖精は頭を捻って真剣に考えてくれ、
一分程経った後に自身なさげな声でぽつりぽつりと自身の考えを述べてくれた。
「…私には詳しい理由は分かりません。
ただ、思い入れの深い場所にはその人の意識が残る…と言う事は知っています。
妖精もある日突然消えたりするんですが、
暫くした後にその妖精が最後に遊んだ場所とかにひょっこり出てきたりするんですよ。」
「…つまり、あの五人は特に西行妖への思い入れが強かった、と?」
「あくまで私の想像ですけどね。お役に立てました?」
「いや、参考になった。
サンキューな、大妖精。」
俺はそこで言葉を切り、再び考え込む。
大妖精には話していないが、実は西行妖に関して引っ掛かった事はもう一つあるのだ。
…元気玉について、の事だが。
「…元気玉は基本善の気がある奴にしか作れず、
悪の気を持っている奴には作る事も跳ね返す事も出来ない筈だ…」
…だが、西行妖は元気玉を『押し返した』のだ。
あれだけ邪悪そうだった西行妖が、何故元気玉を押し返してこれたのか。
…もしかしたら、あくまでもしかしたらだが…
「…手段がどうであれ、心は『純粋』だった…のか?」
今となっては、西行妖が何を思っていたのかは分からない。
だが、もう少し話を聞いてやっても良かったんだろうか…
…いやいや、霊夢と紫の腹貫いて冥界をしっちゃかめっちゃかにした奴と話すなんて無理だ。
……けど冥界が滅茶苦茶になったのは幽々子曰く『自己防衛の過剰反応』って話だったよな?
………ええい、考えても頭がこんがらがるだけだ!!!
「…とにかくこの話は終わりだ、良いね!?」
「…ひいっ!?
…は、はい…」
「…あ、すまん…」
いきなり叫んで大妖精を驚かせてしまった俺は気まずくなり、地面を見下ろす。
五時間も宴会が続いていれば当然の事かもしれないが、目に付く殆どの人は目を閉じている。
それも座ったまま寝ている者から互いに寄りかかりあってバランスを取っている者など、
寝ている姿勢も(全員が寝ているわけではないが)十人十色だ。
「…畜生、どいつもこいつも幸せそうな寝顔しやがって…」
「もう夜も遅いですからね。」
「だな。
お前は眠くならないのか、大妖精?」
「今日はお酒を控えてますからね。
そう言う紀流さんは、眠くならないんですか?」
「俺が寝たら誰が霊夢達を運ぶんだよ…」
「…え、まさか皆さんを家まで送っていってあげるんですか!?」
「だってほっといたら風邪ひくだろうし。
神社で宴会するんなら布団被せてうっちゃらかしても良いんだが、屋外となるとなぁ…
…せめて誰か留守番してる奴でもいれば、そいつの気を探って瞬間移動出来るんだが…」
「…良い人なんですね、紀流さんは。
あーぁ、私が最初に紀流さんと会えたら良かったのになー。」
「止めてくれ、チルノにこきつかわれる場面しか想像できん。」
「何だ、あたいがどうしたって!?」
大妖精と和気あいあいと喋っていると、ここでチルノが戻ってきた。
その声が少しばかり弾んでいた為、俺はその理由についてチルノに訊ねる。
「どうしたチルノ、そんなにハッスルして?」
「…あぁそうだ、そうだった!
大ちゃんに祠弥、わるいがひとつたのまれてくれないか!?」
「…え、何を?」
「何があったの、チルノちゃん?」
「いや、あたいはなにもしてないんだぞ?
あの五人がみんなにあやまってるのについていってたんだが、
とつぜんひとりが妖怪につかまっちゃったんだ!」
「…妖怪に?」
「こいつはいかんということであたいたちは直ぐに助けをもとめたんだが、
霊夢も魔理沙もどいつもこいつもぐったりでてんで頼りになりはしない!」
「…それは夜中だからだよ、チルノちゃん…」
「そこで、全く眠く無さそうな二人にすけだちを頼みにきたのだ!
さあもたもたするな、いっこくも早く助けにくるんだ!」
「…チルノ、一つ教えてくれ。
その妖怪って、どんな人だ?」
「…えーっとね、赤いスカートでかみのけがみどr「案内してくれ、チルノ。」おう!」
「紀流さん、私も行った方g「命が惜しかったら来ない方が良い。」…へ?」
俺の言葉に固まった大妖精を尻目に、俺はチルノに連れられてその妖怪の元へと向かう。
屋台の喧騒の中心にいたのは、俺の予想通りの人だった。
「…ねぇ、大声で謝れば許されるとおもってるの?」
「…いえ決してそんな事はありまs…ぐえ…」
「…私ねぇ、今凄く苛々してるの。
酔っ払いは絡んでくるし、店主は夜雀のくせに五月蝿いし、あなた達には叩き起こされるし…
…だから、ちょっと憂さ晴らししても良い?」
「…あの女の人怖いよぉ…」
「え?」
「ひいっ!?」
幽香さんは頬杖を付いて眠そうにしつつ、もう片方の手で女性の胸ぐらをがっしりと掴んでいる。
顔の赤さからして、相当酷く酔っ払っているようだ。
「…。」
「ほら祠弥、なに自分のかおをぶったたいてるんだ!はやく助けてやれ!」
「…一度戦ってるのに、何で寝てる幽香さんを叩き起こすなんて芸当が出来るんだ…
…チルノ行こう、このままだとあの五人は二度死ぬ羽目になるかもしれない。」
「なに!?それはやばいな、早くいかねば!
こらぁそこの妖怪、そのひとをはなせぇ!!」
「…おい、そんな不用意に近付くt「助けろ祠弥…あぐ…」…全く…」
紀流は溜め息と共に進み、チルノを含めた二人を助ける為に幽香の方へ向かう。
三人目の犠牲者によって屋台が更に喧しくなる中、幻想郷の夜は酒と共に過ぎていった。
「…紫様、何処に行かれるおつもりですか?」
「…え、いや、ちょっと月でも見ようかと…」
「五分前も見ましたよね?
紫様はお怪我をしていらっしゃるのですから、寝てください。」
「…分かったわy「ついでに、布団の中にある酒瓶も渡して下さい。戻してきます。」
そんな、ちょびっとぐらい良いじゃn「駄目です。」…うぅ…」
…ま、酒をお預けにされている者もいるようだが。
※頬張り状態の紀流語講座
ふぇー、ほーはんへふはー
(へぇー、そうなんですかー)
ひはひ、はんへはんはひひほひっへふほほはははっはんはほふ
(しかし、なんでさんさいじのいってることがわかったんだろう)
ひはへへはんはんふふほは、ほっはひはひへふほー
(みためではんだんするのは、もったいないですよー)
全部は行に変えただけです。
やっと終わったよ…待たせてすいません。
西行妖の下りはもう少し掘り下げたかったんですが、
回想入れたら何万文字行くか分からなかったので止めました。
疑問があったら聞いていいですy(殴)
次回からはvs???編。萃香編と似たような感じになると思います。
え、誰と戦うのかって?そりゃあ勿論今まで紀流が散々誤魔化してきt…ごほん。
なるべく早めに投稿するので、楽しみにしててね!
余談
ドラゴンボール超、遂にアニメでも本格的にシャンパ&ヴァドスが登場。
シャンパはビルスの双子の兄弟、ヴァドスはウイスの姉だと言うんだから驚きである。宇宙狭え。
…あぁ、宇宙最強の兄弟の座が…