ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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今回はオリジナルエピソードを書いた訳ですが、想定した長さよりも文字数が多かった為、前編と後編に分けます。後編は出来次第投稿していきます。


第10話 悲しき風と優しい光の出会い 前編

ましろがキュアプリズムになってから3日が経っていた。その間カバトンの襲撃も無く、らんこ達は平穏な日々を過ごしている。二人目のプリキュアであるキュアプリズムが出てきてカバトンも流石に慎重になったのだろう。

だが、それと同時にらんこも虹ヶ丘家へくる事は無かった。

リビングで1人ましろはスマホの画面を神妙な顔をして睨んでいる。

 

「う〜ん」

 

「どうしましたましろさん」

 

「える?」

 

其処へソラと彼女に抱えられたエルがやってくる。1時間ほど前からスマホを見つめるましろの事が気になり、彼女に話しかけるける。

 

「それがね、らんこちゃんにこの3日間電話やメッセージを送っても全然返事が返ってこなくて…」

 

「え、そうなんですか……」

 

ましろの話を聞いて、ソラは3日前戦いが終わり1人らんこが黙って帰った事を思い出す。その時はソラも少ししてから連絡が来た事を安心していたが、ましろの発言を聞いて不安を覚える。

 

「もしかして風邪でも引いたのでしょうか」

 

「……そうかもしれない」

 

風邪をひいて寝込んでいるとソラは思ったが、ましろは何か引っ掛かるがソラの言う通り風邪かも知れないと思った。

 

「なら、お見舞いに行って看病しましょう」

 

「うん、そうだね。お婆ちゃん今日は居ないけど前に作った風邪薬があるからそれを持っていこう。後、らんこちゃんがこの前置いて行った自転車もついでに返しに行こうか」

 

2人は意見が一致すると、出かける準備をしてらんこの自転車を押して風波家へ向かっていた。

 

───────────

 

 

一方で風波家のらんこの部屋では外の日差しを遮る様に窓にカーテンが閉められ、室内の灯りは付いておらず暗かった。その部屋の中でらんこはベットに潜り込んでいた。その表情は暗く、目の下に隈が出来ている。

彼女は現在風邪や病気に罹っては居ないが、この間の一件を引き攣っていた。

 

(最低だ……私)

 

思い返すのはあげはの事であった。彼女は幼い頃からましろと幼馴染で自分と比べて明るく楽しそうに話を盛り上げるのが上手であった。更にはましろがプリキュアになることを躊躇った時に自分より先に激昂をして彼女へとアドバイス。その結果ましろは自信を持つ事になった。トドメとなったのは一方的に嫌っていた自分を危険も顧みず助けて、更には自分の事を友達と言った事だ。

 

(私なんて……私なんて……!)

 

己を責め続けるらんこ。日に日に心に出来た傷は深さを増す。すると、側にあったスマホの画面が光っている事に気付き見てみると、画面に10件以上もましろからの連絡通知がきていた。

 

「ましろ……」

 

恐る恐る画面に触れて、ましろに電話しようとするが、その直前彼女の脳裏には自身の手で怪我をしたましろの姿が過ぎる。

 

「っ!」

 

自身の友達を意識してやった訳では無いものの、自分の所為で怪我をさせてしまった事に罪悪感を感じ、彼女はスマホの電源を落とすと、スマホを手放した。

 

(もし、ましろが私の事を恨んでいたら、それにソラも私の所為で捕まったからソラも……)

 

どれもあの日自身の所為で起こった事だ。2人から罵倒されるかもしれない恐怖を思うとより悲しい気持ちが大きくなっていく。

 

「うっ…!」

 

精神的の疲労により一瞬眩暈が起きて気を失いそうになるが、何とか気をしっかり持つ。

 

「取り敢えず…何か食べなきゃ……」

 

食欲は全く無い物の何か食べれば少しは気分は晴れるだろうと思い、布団を剥ぎ、扉の方へ行くと扉からノックの音が響く。

 

「母さん?」

 

扉の外にいる母がノックしたのかと思い、彼女は扉を開けようとドアノブに手を伸ばす。

 

「らんこちゃんいる?」

 

「らんこさんのお母さんに上がらせてもらいました!」

 

(ましろにソラ⁉︎)

 

その瞬間、扉の外に聞こえる筈のないソラとましろの声を聞いてらんこは動揺する。

 

────────────

 

時は10分前に戻る。ソラとましろの2人は虹ヶ丘家を出て暫く歩き、らんこの住む風波家の前に到着していた。

 

「此処がらんこさんの家ですか……」

 

目の前に立つ家は自分がお世話になっている虹ヶ丘家より小さく、一瞬違和感を覚える。

 

(ましろさんの家にお世話になっている所為か、感覚が麻痺してました)

 

よくよく思い返せばスカイランドにある自身の自宅もこれくらいだった事を思い出すソラだった。

 

「ましろさん、この家がらんこさんの家で間違いありませんね」

 

「うん、その筈なんだけど」

 

「…その筈?」

 

「える?」

 

ましろの何やら深みのある台詞にソラは思わず首を傾げる。

 

「……実は私……らんこちゃんの家一度も来た事ないの」

 

「え、そうなんですか?」

 

ましろの発言にソラは意外だと感じた。ましろとらんこは中学から入学してからの付き合いだ。ソラはらんこが虹ヶ丘家へ度々遊びに来ているので逆にましろがらんこの家に遊びに行く事もあるはずと考えていたのである。

 

「うん、前かららんこちゃんの家に行って見たかったんだけど、らんこちゃんはいつもその日は用事があるからって、理由を言って行かなかったんだ……」

 

ましろもその時は最初本当に用事があると思い、深く考えなかったが今思い返すと何か家には自分に知られたく無い物があるのかと思ってしまう。

 

(……もしかして、最近様子がおかしいのが関係して……)

 

偶に見せる彼女の辛そうな表情がもしかしたら関係あるのかもと思い、プリキュアになって自信のついた今なら彼女の悩みを聞けると思ったましろは決心する。

 

「取り敢えず入って見ましょうか」

 

「うん」

 

2人は玄関の前へ来るとインターホンを鳴らす。それから少しして、扉が開かれると、濃い緑色髪を纏めた女性が出てくる。

 

「あら、ましろちゃんこんにちは」

 

「こんにちはおばさん」

 

ましろからおばさんと呼ばれる女性を見て、何処となくらんこの顔の面影がある事もありらんこの母とソラは推測する。

 

「初めまして私はソラ・ハレワタールです。もしかして、らんこさんのお母さんですか?」

 

「ええそうよ。って、もしかして貴女もらんこの友達?」

 

「はい、私もましろさん同様にらんこさんの友達d「らんこったら、こんな可愛い友達がいるなんて聞いていないわよ!」むごっ⁉︎」

 

突然らんこの母に身体を抱きしめられたソラは驚き、顔の色も次第に青くなっていく。

 

「お、おばさん!らんこちゃんは今家にいますか?」

 

「ええ、らんこは今部屋にいるけど……」

 

「おばさん?」

 

「える?」

 

彼女の顔が何処か悲しそうな顔をしている事にましろは不思議に思って声をかける。

 

「…あっ、何でも無いわ!あ、それとソラちゃんごめんね。取り敢えず2人とも中に上がって頂戴。らんこは2階の部屋にいるから会ってきて、私はお茶とお菓子の用意をしているわ」

 

抱擁を解くと顔が窒息しかけていた青ざめていたソラが解放され、らんこの母は先に家の中に戻る。

 

「プハーッ⁉︎な、なんからんこさんのお母さんとは思えませんね……もっとこう、かっこよくて冷静なイメージがありました」

 

「う、うん、私も授業参観の時に初めて会った時もこんな感じだったからびっくりしたよ」

 

ましろの脳裏には一年前の授業参観日でのファーストコンタクトを思い出す。

 

『まあ、貴女がらんこのお友達のましろちゃん⁉︎いつもらんこがお世話になっています』

 

『か、母さん⁉︎…や、辞めてよ…別にそう言うの……恥ずかしいから』

 

『恥ずかしがるらんこも可愛いわよ〜!』

 

『ちょ、人の話を聞きなさいよ!後、抱きつくなぁ〜!』

 

『な、仲が良さそうだね……』

 

と言った感じだった。

 

「て言うかソラちゃん大丈夫?さっき顔が青ざめていたけど…」

 

「だ、大丈夫です…いきなり抱きつかれたのはびっくりしましたが、問題ありません!それよりもらんこさんに会いましょう」

 

「そうだね…おばさんの様子からしてらんこちゃん風邪や病気じゃ無さそうみたいだけど」

 

風邪や病気じゃ無いそれなら何故彼女はこちらのメッセージや電話に応じてくれなかったのかと疑問を抱くましろ。

 

「そこはらんこさん自身に聞いてみましょう」

 

「…そうだよね」

 

それから2人は風波家へお邪魔する。

そして、時間は戻り2人はらんこの部屋の前に立っていた。

 

「お母さんから話を聞いて家の中に入れさせてもらったよ。入って良いかな?」

 

「あの日以来連絡も無いので心配して来ましたよー!」

 

「えるる?」

 

ソラ達は部屋への入室の許可を求めるが、中にいるらんこからは何も返事が返ってこなかった。

 

「……返事が無いけど寝ているのかな?」

 

「いえ、扉の近くに気配が感じます。らんこさん入りますよ」

 

ソラが恐る恐る扉を開けて2人は部屋の中へ入る。

 

「らんこちゃん調子はどうかなって、あれ?」

 

「らんこさん?」

 

「える?」

 

部屋の中に入ると其処にはらんこの姿はなくベットに掛けていた布団は乱雑に剥がれ、窓は空きそこから吹く風がカーテンを揺らしていた。

 

「可笑しいですね…確かに気配を感じた筈なんですが……」

 

「もしかして、トイレに行ったのかな……ん?」

 

部屋に居ない事からトイレへ行ったのかとましろは思ったがベットに置いてあるスマホと財布を見て妙な胸騒ぎを感じる。

一方でソラは先程から外の風が入ってくる窓へ近づく。

 

「不用心ですね部屋を留守にして窓を開けたままにするなんて……ん、ああっ⁉︎」

 

「どうしたのソラちゃん?」

 

窓を閉めようと窓の側に近づいたソラは外を見てなにかに気づいた。ましろもソラの声が聞いて何があったのか聞くと、

 

「た、大変です!ましろさん!…ら、らんこさんが逃げてしまいました!」

 

「ええええっ!?」

 

ましろは慌てて窓の外を見ると其処には靴を履かずに靴下のまま外を走っている見覚えのあるフードの人物…らんこの後ろ姿が確認できた。

 

「らんこちゃん!」

 

ましろは彼女の名を呼ぶと一瞬ましろの声を聞いて反応するも走りは止めずにそのまま道を曲がって姿が見えなくなってしまった。

 

「どうして……?」

 

先程声が聞こえた様子だが、止まらずそのまま逃げる様に走って行った彼女の後ろ姿を見てましろは疑問を口にするが、

 

「ましろさん!らんこさんを追いかけましょう!何故私達から逃げるように家を出たのかは本人に直接聞きましょう」

 

「う、うん!」

 

ソラの言う通りだ。今は考えているよりも先に彼女を見つけるのが先と考えたましろはソラと共に階を降りて玄関に向かおうとするが、其処へ3人分の紅茶とお菓子が載ったお盆を持ったらんこの母と鉢合わせする。

 

「あら、急に何処にいくの?2人ともお茶とお菓子の用意が出来たわよ」

 

事情を知らないらんこの母は呑気にお茶菓子を持って来ておやつにしようと言う。

 

「おばさんそれが大変だよ!」

 

「らんこさんが家を出て行ってしまいました!」

 

「何ですって⁉︎」

 

らんこが家を出て行った。それを聞くと彼女は驚愕の表情を浮かべる。

 

「私達これかららんこさんを探しに行ってきます」

 

「だからおばさんは家で待ってて!」

 

彼女を安心させる様に言うと2人は靴を履いて外に出ようとした。

 

「待って‼︎」

 

「「え?」」

 

その時、らんこの母が2人へと声をかけた。すると、先程までの親しみやすい笑顔から真剣な表情に変わる。

 

「……2人ともらんこを探しにいく前に聞いて欲しい事があるの」

 

「聞いて欲しい事?」

 

「何ですかそれは?」

 

 

本当なら話を聞いている暇は無いと言いたい所だが、2人は真剣な彼女の眼差しを見て話を聞く事にした。

 

「あの子3日前に帰ってきた時に何があったのかは知らないけど、とても悲しい表情をしていたの……あの時……3年前と同じに……」

 

「3年前?」

 

「3年前って事はらんこちゃんはその時は小学五年生くらいだよね……?」

 

一瞬、3日前と聞いた時2人は保育士の学校で起きた事を思い出すが、その後らんこの母からの口に出た3年前という言葉に2人はどう言う事なのかと思っていると、

 

「よく聞いてあの子は昔……」

 

らんこの母は語り出す。3年前らんこに何があったのか、そして次第に2人の顔も驚愕の表情へと変わっていく。

 

「そんな……らんこちゃんにそんな事が……!」

 

「それが本当だとすると私は知らずの内にらんこさんを傷付けていただなんて!」

 

「お願い、本来なら親である私達が解決する筈なんだけど今のあの子の心の傷を癒す事が出来るのは貴女達しかいないの!」

 

らんこの母は2人に頭を下げて彼女を助けて欲しいと頼む。

 

「任せて下さいおばさん!らんこちゃんは私達が必ず連れて帰ってきますから!」

 

「……」

 

勿論ましろは彼女の頼みを聞き、らんこを連れ戻すと答えるが、ソラは表情が曇っており、何も答えようとしなかった。

 

「ソラちゃん?」

 

「え…あっ、は、はい!任せて下さい!らんこさんは私達の友達です!必ず連れて帰って見せます!」

 

返事をしないソラにましろは話しかけると慌てて返事をする。その様子に一瞬違和感を覚えるましろであったが、今はらんこを優先しようと思い考えを後回しにする。

その後、ソラは先に家を飛び出してらんこを探しに行き、ましろはスマホを取り出す。

 

「あげはちゃんにも協力してもらおう!」

 

幸いにもあげはの学校はまだ始まってい無い為、彼女にもらんこを探すのを協力して貰おうと電話をするのだった。

 

──────────────

 

「はぁ〜、全然勝てないのねん」

 

そう呟くのは路地裏で黄昏ているカバトンだった。此処しばらくソラ達と戦っているが一勝もできない事に頭を悩ませていた。

 

「この前良いところまで行ったのにまさか脇役がプリキュアになるなんて……!」

 

「プリキュア ?」

 

「そうなのねん…見た目はただのYOEEEガキだけど変身して物凄くTUEEE奴になるのねん!」

 

「ほほう、そんなに厄介なのかい?」

 

「ああ、そうなのねん!1人でも厄介なのに更に1人増えるなんて本当にどうすればてあいつらに勝てるのねん……ん?」

 

先程から自分は誰と話しているんだと思い、カバトンは恐る恐る声が聞こえた所へ振り返ると其処には白い髪が露出したヘルメットと白衣を着込んだ少女が立っていた。

 

「やぁ、カバトン君」

 

「うおおっ⁉︎お、お前はキメラング!何でお前が此処にいるのねん⁉︎」

 

いつのまにかそばに居たキメラングと呼ばれた少女の存在にカバトンは酷く取り乱している様子だ。

 

「何って、君がこの前私のラボから実験に必要なキノコを持って行ったからそれを返しに貰いにこの世界へ来たんだよ」

 

「キノコ〜?……あっ」

 

思い出すのは毒キノコを食って腹を下した日に彼女のラボへお邪魔した時だった。その時彼女から特製の薬を貰ったついでにソラを騙す罠を作る為に必要なキノコを一個くすねた事を思い出す。

そして、そのキノコはランボーグの素体にしたが結局プリキュアの2人に浄化されてしまい、回収せずに捨ててしまった事を思い出した。

 

「さぁ、返してくれたまえ」

 

手を差し出して催促するキメラングにカバトンは顔を青ざめながら答える。

 

「あ、あのキノコなら……無くし……たのねん」

 

「……は?」

 

すると、一瞬キメラングの声色が低くなる。表情は笑顔を浮かべたままだが、明らかに機嫌が悪くなっている。それに気づいたカバトンは慌てて弁明する。

 

「ま、待つのねん!キノコならすぐ同じ物を用意するのねん!な、なんならすぐ其処で買ってこようか⁉︎」

 

カバトンはどうにか怒りをおさめて貰おうと彼女を説得する。と言うよりも普通毒キノコは一般の店では売っていない。

 

「そうか、そうか……まぁ、今となってはキノコなんかどうでも良いさ」

 

「え、許してくれるのねん?」

 

キノコを捨てた事に対して許してくれると思ったカバトンはつい口に出してしまう。

 

「何言ってるんだい?世の中はギブアンドテイクだよ。君が無くしたキノコの代わりに新しい研究テーマを私にくれるか…もしくは!」

 

「うおっ⁉︎」

 

苛立ったような声色で少女がそう言うと白衣のポケットの中から手術などで使われるメスを取り出し、それをカバトンの首元に突きつける。

 

「此処で君が私のモルモットになるかだね♪」

 

「ま、待ってくれ!い、いきなりそんな事言われたって無理なのねん⁉︎」

 

突然の2択を迫られたカバトンは慌てて少女に話しかけるが、彼女は興味深そうな声色で話す。

 

「そんな事ないさぁ…こう見えても私は君を高く評価しているんだよ。頭のできが悪くて力だけが取り柄の君の体だ。さぞかし頑丈なんだろうね……良い実験が出来そうだよぉ♪」

 

「既に俺の体を実験に使う前提なのねん⁉︎」

 

少女は笑顔を浮かべつつ話すものの、口振りからしてカバトンから研究テーマを貰うのは期待しておらず、最初からカバトンの体を手に入れるのが目的の様だ。

 

「ちょ、ちょ、待つのねん!それなら丁度お前が欲しそうな研究対象がいるのねん!」

 

「……ふうん、本当かい?」

 

キメラングはメスを引っ込めるとカバトンの話に耳を貸す。その様子にカバトンは安堵の息を吐いた。

 

「それで、私が興味を引く様な実験対象とは何者なんだい?」

 

「え、それは……」

 

命欲しさに咄嗟に言ってしまったが、目の前のマッドでやべー奴を何とか誤魔化さないと冗談抜きでやばいと思い考える。

 

「……後、10秒猶予をあげるよ…それまでに言えなかったらこのまま君をラボの実験台の上に直行させるから、10…9…8…7…」

 

「き、急にそんな事言われても⁉︎た、たいむぅ!ま、待っ、待つのねん!」

 

カバトンは待って欲しいと言うも彼女は聞く耳持たずカウントダウンを続ける。このままでは本当に命が危ない。如何すれば良いかと己の出来の悪い頭をフル回転させるカバトンであったが中々答えは出なかった。

 

「…ん?あれは……」

 

するとカバトンの視界の端っこを横切ったのは家出しているらんこの姿だ。

 

「彼奴はフード娘⁉︎」

 

「ん?」

 

カバトンの荒がる声を聞いてキメラングは後ろに振り向くとらんこを視界に入れる。

 

「……なんだい君はあー言うのが好みかい?」

 

「違うのねん!彼奴はプリキュアの仲間のフード娘なのねん!」

 

「プリキュアね……そう言えばさっきも言っていたがそれは何なんだい?さっき君の話を聞いた時に強いとか何とかって聞いたが……」

 

「そ、それは……」

 

一瞬カバトンは話したくなかったが、此処で話さないと彼女は容赦なく自分を実験台にすると思い仕方なくプリキュアについて今までの事を話す。

 

「へぇ〜、成る程……随分面白そうじゃ無いかそのプリキュアって」

 

「全然面白く無いのねん!このままだとあのお方から大目玉を喰らう羽目になる……それは嫌なのねん!」

 

一向にプリキュアに勝てない事にカバトンの言うあのお方の機嫌を損ねるかもしれないという恐怖を味わうカバトンだが、

 

「なら、私の作戦に乗るのは如何かな?」

 

「へ、お前の作戦?」

 

彼女の言うが作戦にカバトンは首を傾げるが、彼女から作戦内容を聞くと次第に笑みを浮かべる。

 

「にひっ、そう言う事なら喜んでやるのねん!」

 

悪人に相応しい笑みを浮かべるカバトンはキメラングの作戦に乗り、カバトンはらんこの後を追いかけ、キメラングも鼻歌を歌いながらスキップしてその後をついて行く。

 

──────────

 

一方らんこはソラシド市を走り回った後、川の堤防にてしゃがみ込んでいた。

 

(つい家を出てきちゃったけどこれからどうしよう…)

 

今更家に帰る訳に行かない。かと言って何処かに行く宛も無かった。一体どうすれば良いのかと悩んでいると、

 

「らんこちゃん!」

 

「え?」

 

自分の名前を呼んだことに思わず振り返る。

 

「やっぱり、らんこちゃんだ!」

 

其処に立っていたのは自身が一方的に嫌っていたあげはが立っていたのだ。

 

「ッ!」

 

「あ、待って!」

 

慌ててらんこはその場から逃げようとするが、

 

「ブベッ⁉︎」

 

足を滑らせて思いっきり地面に転んでしまった。

 

「だ、大丈夫らんこちゃん⁉︎」

 

「こ、これくらいなんとっ、痛っ!」

 

そんならんこの姿を見てあげはは心配そうに駆け寄ると、転んだ際に怪我した様で膝から血を流していた。

 

「もう、怪我しているんだから無茶しない!」

 

あげはは彼女を注意すると持っていたバックから絆創膏や消毒液を取り出して擦りむいた膝を治療した。

 

「よーし、これでもう大丈夫!」

 

「あ、ありがとう……ございます」

 

地面に転んだ際に擦りむいた膝をあげはに治療して貰ったらんこは義心地なさを感じつつも彼女にお礼を言うと、あげはも「気にしないで♪」と笑顔で答える。

 

「なんでここに…」

 

「実は少し前にましろんから電話があってらんこちゃんが家を飛び出したって聞いて探しに来たんだ」

 

「そうじゃなくて、なんで此処にいる事がわかったの……ですか」

 

ソラシド市は広い、そんな中1人の人間をピンポイントで探すのは難しい事だ。だかららんこはどうやって自分を見つけたのかが不思議で仕方なかった。

 

「実は私も昔家出をした時があってもしかしたらと思ってきたらビンゴだった訳」

 

「え、家出……あっ」

 

家出した経験があると聞いてらんこはましろを励ました時に聞いた過去の話を思い出す。

 

「うん、その時私も途方に暮れて此処に来たからもしかしてと思ってね……らんこちゃんはどうして家出したの?聞いた話によると別に親との関係は悪くないみたいだけど……」

 

「そ、それは……」

 

あげはに家出の理由を問われた時に思わず言葉が詰まる。

 

「もしかして…ソラちゃんとましろんと喧嘩した?」

 

「ち、違う喧嘩なんてしてない!……ただ、私は2人にどう接すればいいかわからないの……」

 

3日前の出来事で自身の醜さを自覚し、更には2人がその時己の所為で傷付いてそれを恨んでいるのではとらんこは一方的に思い込む。

 

「それに私は聖さんに一方的に嫉妬していた。」

 

「え、嫉妬?」

 

らんこの発言にあげはは思いもしなかったのか、呆気に取られる。

 

「大人だし、綺麗だし、私と違って明るいしオシャレもできる。対して私は面倒くさがりやで気まぐれ、人によって当たりが強い……常にフードを被って暗い雰囲気を出している……これならましろが私よりも貴女といる方が楽しい筈よ……」

 

自分とはまさに正反対のあげはの存在にらんこは悔しさを感じたが、

 

「そんな事ないよ。らんこちゃんの良いところましろんから聞いているよ」

 

「え?」

 

あげはの発言にらんこは思わず声を漏らす。

 

「この前の化け物みたいな奴からましろんとエルちゃんを助けたり、自分から進んで戦ってソラちゃんを助けたりしている」

 

「あれは別に褒められる物じゃ無い……それにソラの方は負けると今度は私がやられると思ったから仕方なく手助けした感じだし……」

 

自分の今までの行いはあくまで己の為だと、謙遜するらんこ。

 

「そんな事無いよそれなら普通に無関係と装って逃げれば良かったでしょ、でも逃げなかった……それはらんこちゃんの本心、つまり優しさだと思うよ」

 

「優しい……私が?」

 

そんな時、あげはに優しいと言われてらんこは思わず目を見開く。

 

「うん、私が思うにらんこちゃんはましろんと同じくらいの優しさがあると思うよ。小さい頃からましろんと見てきた私が保証するよ」

 

ましろと同じ優しさがある。そう言われるとらんこは薄らとではある物の、口元が緩む。

 

「さぁ、もう直ぐ日が暮れるからお家に帰ろう」

 

「で、でも……」

 

まだ、2人に会う覚悟ができていないらんこは家に帰る気はならなかった。

 

「……なら、ほとぼりが冷めるまで私と暮らす?」

 

「え?」

 

あげはの提案に思わずきょとんとなる。

 

「今、隣町のアパートで一人暮らししていて、部屋ももう1人くらいなら住む事が可能だから春休みが終わるまで私と一緒に暮らしてみるのは如何かな?」

 

「そ、それは……」

 

一瞬あげはの出した魅力的な提案に頭を悩ませていると、

 

「見つけたのねん」

 

「「っ⁉︎」」

 

2人はその場から聞こえた声を聞いて表情を変えると、聞こえた方向に振り向くと、其処にカバトンが立っていた。

 

「あいつはあの時の!」

 

「豚男!」

 

「だからカバトンだって言っているのねん⁉︎ソラと脇役は覚えているのになんでお前は未だに覚えてくれないのねん⁉︎」

 

全く名前を言ってくれないらんこにカバトンはツッコミを入れる。

 

「言っておくけど……ソラとましろは勿論エルも此処にはいないわよ」

 

いるのは自分とあげはの2人だけだと伝えるとカバトンはニヤリと笑みを浮かべる。

 

「そうか…いないのか。なら、好都合なのねん!」

 

「え?」

 

ソラ達が居ないと知って怪しげな笑みを浮かべるカバトンにらんこは声を漏らす。普段からエルちゃんを狙っているカバトンだから今回も同様かと思っていたが違う様だ。

 

「今までの戦いを振り返ってわかった事があるのねん。俺とソラの戦いは本当なら俺様のランボーグの前にソラは手も足も出なかった事が殆どあったのねん!」

 

最初の戦い以外ではカバトンの言う通りソラが変身するキュアスカイ単体では圧倒的な優勢を誇っていたのだ。

 

「だが、お前が事あるごとに戦いに横槍を入れる際で俺は連敗が続いたのねん……」

 

「……何が言いたいのよ?」

 

カバトンの言っている事が理解出来ないらんこはカバトンに結論を求めると、

 

「つまりお前のサポートが無ければあいつらはYOEEEままって事だ!」

 

「っ!……つまり私が目障りだから消しに来たって所?」

 

カバトンの目的を察したらんこは思わず顔を青ざめる。

 

「要するにそう言うことなのねん……けどまぁ、俺も鬼じゃ無いのねん。命だけは助けてやるのねん……精々半年間歩けないくらいになるだけだがな」

 

「うぅ……」

 

拳を鳴らしながら一歩ずつ近づくカバトンにらんこは後退る。普段の彼女なら啖呵を切ったりするが、今の彼女は精神的疲労もあり、気持ちは暗く空元気も出せない。ましてや側にはプリキュアになれるソラとましろがおらず絶体絶命である。

そんな時だ、らんこの前にあげはが両手を広げて彼女を守る様に立っていた。

 

「ちょっとあんた丸腰の女の子で本気⁉︎」

 

「ひ、聖さん⁉︎」

 

突然自分を守る様に立つあげはにらんこは驚きの声をあげる。

 

「あん?お前はあの時いた脇役その2か、お前は関係ないのねん…怪我したくなければ其処を退け!」

 

「退く訳ないじゃん!らんこちゃんはソラちゃんやましろんと違って変身出来ない普通の女の子よ!」

 

カバトンの姿勢に一歩も引かないあげは、自分よりも歳が下の子供が危険な目に遭わせたくない彼女は強気な態度を示すが、カバトンは構わず話す。

 

「関係ないのねん。こっちもいい加減成果を出さないと()()()()から大目玉をくらう事になる羽目になるからな、ここいらでそいつを倒せばプリンセス・エルを手に入れるのは楽になる筈なのねん!」

 

(あのお方?)

 

カバトンの口から出たあのお方という人物の存在にらんこは眉を顰める。以前考察した通り、やはりカバトンは個人で動いているのでは無く組織で動いている事にらんこは確信した。

 

「邪魔をするなら先ずは脇役その2!お前から倒してやるのねん!」

 

「っ⁉︎」

 

らんこはカバトンの発言を聞いて目を見開く。このままではカバトンは本当にあげはに手を出すつもりだと、

 

「らんこちゃんは逃げて…此処は私が時間を「待って!」…って、らんこちゃん?」

 

自分が逃げる時間を稼ぐと言おうとしたが、らんこがあげはの前に立つ。

 

「あんたとの勝負を……受けるわ!」

 

「らんこちゃん⁉︎」

 

カバトンと戦う姿勢見せるらんこにあげはは驚きを隠せない。

 

「駄目よ!あいつが出すモンスターはましろんやソラちゃんが変身しないと倒す事が出来ないから此処は2人を呼ぶしかないよ」

 

自分達では敵わないとらんこを説得するあげはであったが、

 

「聖さん……ごめんなさい!」

 

「え、なにって…うわぁぁぁっ⁉︎」

 

突然らんこに突き飛ばされあげは堤防の下へ転がり落ちて行った。

 

「らんこちゃんいきなり何を…⁉︎」

 

自分を突き落としたらんこを見上げるが、彼女の恐怖を隠して笑顔を見せる彼女の姿にましろの面影を感じた。

 

「豚男!…私を倒したければこっちへ来なさい!」

 

「また豚男って呼びやがって!待つのねーん!」

 

らんこはカバトンを引き連れて堤防から走り去って行く。

その場に残されたあげは膝を軽く擦りむいた程度で済み、少しふらつきながらも立ち上がる。

 

「あたたっ……あの子私を巻き込まない様にして…急いでましろん達に知らせなきゃ!」

 

あげはスマホを取り出すとましろに電話をかけるのであった。

 

そして、そこから少し離れた場所では黒い鏡を使って一部始終を見ていた。

 

「さて、プリキュアのお仲間であるあの子は私の研究に値するかなぁ?いざお手並み拝見だよ…キメランラン♪」

 

そう言うと黒い鏡を仕舞うと、その場から消えらんこ達の元へ向かった。

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