後、一部キャラが贔屓されていますが其処は私の推しキャラであるとお察し願います。
前回、らんこは1人ソラシド市から出て梳杉町へやってきていた。其処で恋愛の神の悪戯によって自分の人生が無茶苦茶にされたと知りたくなかった事実を知らされた後、自分と同じ様に恋愛の神の悪戯に人生を悩まされた恋太郎という少年と出会い仲良くなった。しかし、彼の言った言葉に怒りを露わにする。
「脳みそーッ!!!腐ってんのかーッ!!!」
「本当に返す言葉もありません!」
礼儀正しい恋太郎が二股している事を知り失望のあまりらんこは怒りの叫び声を上げ、恋太郎も反論できず素直に認めていた。そして、そんな2人のやりとりを見ていた恋太郎の彼女である羽香里はもう1人の彼女の唐音に詰め寄っていた。
「唐音さん何で今更あんな事を言うんですか!?」
「いや、何言ってんのよ!?さっきの台詞私じゃないわよ!」
先程のらんこの発言を羽香里は何故か唐音が発言したのだと認識していた。何故そんな事になっているのか。理由は過去に唐音が恋太郎へ先程のらんこと全く同じ表情で同じ台詞を吐いた事があったからだ。更にはどう言う訳からんこの声は唐音の声と全く同じなくらい似ている。そう言う事があり羽香里はデジャヴを感じ唐音が言ったのだと勘違いしてしまったのだ。
「あんた…見ず知らずの私を助けて良い奴って思ってたのに複数の女性と同時交際するなんて最低よ!クズ!性欲魔人!女の敵!」
「グボアッ!?か、唐音と同じ声だから…そんなこと言われると心臓が破裂しそう…!」
罵倒に恋太郎は物理的に吐血し胸を抑える。このまま続けば恋太郎の心臓は本当に破裂してしまうだろう。そう思った羽香里と唐音は慌ててらんこの元へ向かう。
「お、落ち着いて下さい唐…じゃなかった風波さん。確かに恋太郎君は私と唐音さんと付き合っていますが、私達は特に不満はありません!寧ろ幸せなんですよ!」
「え、そうなの?」
てっきり複数の女性に付き合っている事から恋太郎は節操ないと思っていたが、彼女である羽香里から自分達は幸せであると聞かされらんこは恋太郎への罵詈雑言を止めようとする。
「べ、別に幸せなんて思ってないんだからね!」
「いや、どっち!?」
「もう、アホの唐音さんは黙ってて下さい!」
しかしもう1人の彼女である唐音のツンデレによって逆の発言をした事かららんこは混乱してしまう。
それから羽香里の説明によって2人とも現状は幸せである事を理解する。
「ごめんなさい愛城さん…私とんだ誤解をしてしまって」
「ううん、誤解するのも仕方ないよ。だから頭を上げてくれ」
「全く、早とちりして本当迷惑なんだから」
「いや、唐音さんも途中話をややこしくしてましたよね」
「うぐっ」
誤解は何とか解けらんこは先程まで恋太郎への罵詈雑言に対して彼に謝罪をし、唐音はそんならんこに対して怒った態度を見せるが羽香里からの指摘に思わず顔を歪める。
「それにしてもあんた…いや、あんた達って本当に付き合ってるのね。2人の彼女を同時交際するなんてアニメみたい」
普通は同時交際などよくあるハーレムアニメや漫画しか聞かず、現実では法律上禁止されている。スカイランドの法律は知らないが多分異世界だから一夫多妻は許されるだろう(偏見)。兎に角らんことしては同時交際なんて他人とはいえあまり褒められる物ではないと考えている。
「まぁ、私としてはあなた達が二股で付き合うのに対して特に問題無ければ何も口出しh「いや、今は33人付き合っているけど」屋根裏のゴミを超える大物!?」
かの有名な某怪盗団のリーダーですら最大でも10人なのにその3倍以上の人数を聞いてらんこは思わず声を荒げる。最近世の中は現実がフィクションを上回る事がしばしば見られるが、まさか一度にお付き合いする女性の数が上回るとは…しかもリーダーとは違い羽香里と唐音の様子を見る限り複数同時交際を当人達は把握している様だ。
「あんた…その内刺されるわよ」
どうしてそんな大人数を一度で交際する事になったのかは知らないが、人間の性格はそれぞれある。その中で複数同時交際と相性が悪い彼女もいたりしてそれがきっかけで破局し、更には彼氏の恋太郎に対して背中から包丁やナイフで刺してくるかもしれない。そんな恋太郎にらんこは呆れつつも忠告をする。
「構わない。俺は彼女達を幸せにするって誓ったんだ。それで彼女達が幸せと感じなかったら俺も潔く刺されて死ぬ……なんて彼女達の手を血に染まらせる事はしたく無いから寧ろ俺が腹を切って死ぬ」
「「キュン!!♡」」
「いや、武士か!?そして、何で今のでときめくの!?」
おかしいのは自分なのかと錯乱してしまうらんこ。自分をダンプカーから助けてくれた恋太郎は善人なのは間違いじゃないがまともではなかった。先程言ったセリフも恋太郎の目を見れば冗談を言っておらずまじで幸せに出来なかった切腹するつもりの覚悟の目であった。
「はぁ、何だか頭が痛くなってきた。これなら1人で来るんじゃなかったわ」
3人の惚気っぷりを見て頭痛を覚えるらんこ。これなら1人でこの街へ来ず誰か誘っておけばと後悔する。
「まぁ良いわ。ダンプカーと足の治療の件とありがとう」
「あ、待ってくれ。風波さんはこれから何処に行くんだ?」
「まぁ、折角来たから暫くこの街を観光するつもりだけど」
正直言えばあの神から知りたくなかった自分の運命を知った後、家に帰りたかったが態々遠くまでやって来たから観光して行こうと思ったのだ。らんこからこの街を観光すると聞いた恋太郎は彼女にある提案をする。
「なら、俺たちと一緒に行かないか?」
「は?」
「え、恋太郎君?」
「ちょっと急にどうしたのよ?」
恋太郎からの提案にらんこは声を漏らし、彼の側にいた羽香里と唐音は驚きの声を出す。見た感じ恋太郎はらんこに惚れている訳ではないし、らんこもまた然りだ。なのに積極的に関わるのは珍しく思えた。
「だって風波さんってこの街に来るのは初めてなんだろ?なら、この街に住んでいる俺が案内するよ」
「愛城さん…」
恋太郎が街の案内をすると聞いてらんこは呆然となる。彼はらんこと此処で別れるのは内心惜しく思っており、恋愛感情は抱いていないもののらんこは自分と同じあの
「ありがとう。でも、悪いけどお断りするわ」
「え?」
「愛城さんには恩があるけど、これ以上お世話になるのは申し訳ないし折角おみくじで彼女さん達が来たんだからそっちの方を優先にした方が良いわ。それじゃあ」
「ま、待ってくれ風波さん!」
その場を去るらんこを恋太郎は呼び止めようとするが、らんこは歩くのを止めず。背後から聞こえる恋太郎達の呼び止める声を無視して公園から出るとフォーチュンクッキーが入った袋を取り出して一枚齧り中のおみくじを取り出した。
「なになに…道を歩けばずぶ濡れになるでしょ…いや、流石にないでしょ。今日は快晴なんだからずぶ濡れには──」
ならないと断言しようとしたらんこだったが、その瞬間を猛スピードで車がらんこの目の前を横切った。その際にらんこのすぐ側にあった水溜りの上を通るとバシャッという音と共に水が飛び散り、らんこの身体に思いっきりかかる。
「だ、大丈夫風波さん!?」
「服がびしょ濡れじゃない」
「早く乾かさないと」
ずぶ濡れになったらんこを見て慌てて彼女の元に駆け寄った恋太郎達は心配して声を掛けるがらんこはゆっくりと口を開く。
「べ、別に…さっき掛かったソフトクリームで服が汚れたから…せ、洗濯する手間が省けただから…グスッ…!」
「泣いちゃっているよ!?」
大粒の涙を流すらんこに恋太郎は動揺する。まぁ、それも仕方ない。らんこはただでさえ恋愛の神から知りたくない事実を知らされ、100回程の不幸を体験する事が決まってしまった。その影響で先程まで服がソフトクリームで汚れた上にダンプに轢かれかけた。そして今は水たまりの水が全身に掛かったりと彼女のメンタルも傷ついていた。更に言えば此処にはソラ達やひかると言った頼れる人間がいない為、彼女の心は普段よりも増して不安定である。そこに先程から続く不幸の連続により限界を迎えようとしていたのだ。
「ほ、ほら、このハンカチで身体とその涙を拭いて下さい!」
「な、泣いて…ひっぐ、ない…んだから…!」
「いや、もう泣いているんだからそんな我慢しなくて良いのよ」
「と、兎に角何処かの服屋に行こう!」
このままでは風邪引いてしまうと判断してらんこを連れてその場を離れていく恋太郎達。
そして、そんな4人の後ろ姿を先程らんこをびしょ濡れにした車が眺めていた。
─────────
それから一同は現在服屋に来ており、らんこの濡れた服の代わりの服を買っていたのだ。
「す、すいません色々とお世話になって」
「気にしなくていいから」
「だ、だって…この服ってこんなに高いのに」
今着ている服はこの店で買ったもので更には普段着ているものよりもお高い服でらんこの財布に入っている金銭的にも払えず。そのため恋太郎達が代わりに払ってくれたのだ。それに対してらんこは本当に申し訳なく思ってた。
「まぁ、中学生のお財布事情的にも仕方ないよ」
「ええ、それに先程までの見たらほっとけないんですよ」
「私も…何だか他人の気がしないのよ…」
対して恋太郎達は服の代金に対して全く気にしていなかった。それよりも気になるのはらんこの様子だ。
「それにしてもさっきまでの雰囲気からガラリと変わったな」
「そうね。なんか最初あった時と比べて本当に大人しくなっちゃって」
「まるで以前ツンデレを無くした時の唐音さんの様です」
羽香里の言葉に恋太郎と唐音は同意する。それは以前ある事情で唐音がツンデレを消失してしまった時の様に今のらんこは先程までの人当たりが強い姿は全く無いのだ。*1
「あの、今服の代金の待ち合わせがない代わりに何か私に出来ることはありますか?私…何でもしますから」
「風波さんそう言う発言は控えた方が良いですよ」
「そうよ。例えば羽々…羽香里の母親が此処にいたら絶対碌なことしないから」
「で、でも…」
らんこの提案に羽香里と唐音は拒否しようとするが、らんことしては汚れた服の代わりの服を買ってくれた3人に何もしないと言うのは彼女の性分に合わなかった。羽香里達はらんこに安易に"なんでも"なんて言わない様にと説得を促そうとすると恋太郎が口を開いた。
「それじゃあ、俺の言うことを聞いてくれるかい?」
「れ、恋太郎!?ちょ、ちょっと何をさせる気よ!」
まさか恋太郎がらんこの提案を飲もうとしている事に唐音は如何わしい事でもする気なのかと不安に思った。その隣ではわなわなと羽香里が身体を震わせる。
「そんな、恋太郎君……寧ろ私が風波さんの代わりに何でも聞いてあげますよ…ジュルリ」
「取り敢えずその涎を拭け」
ナニを想像したのかは知らない…と言うよりもあからさまに邪な事を妄想した羽香里は涎を垂らしながら提案し、そんな彼女に唐音は涎の事を指摘する。
「いや、そうじゃないんだ。俺が風波さんにお願いしたい事は公園で言っていた街の道案内をさせて欲しいんだ」
「え?でも、それって…」
確かに何でもしますとは言ったが、それは自分が恋太郎達の恩を返す為であってもので恋太郎の要求は恩を返すには程遠い。……というか恋太郎がらんこに尽くす様な内容である事から恩返しにはならないのではと考える。
「公園でも言ったけど、俺は風波さんにこの街を案内したいんだ。さっきまで風波さんは此処へ来てから嫌な事ばかりあって帰る時に俺や彼女達の住むこの街に悪い印象を抱いて欲しくないんだ。だからお願いだ。どうか案内をさせて欲しい」
「愛城さん…」
恋太郎の言う事は本心だろう。彼のこれまでの発言には嘘、または邪な考えは無くただらんこの為に案内をしたいと言う善意で動いているのだろう。そんな彼の姿にらんこはソラ、そして初めてひかると会った時の事が過ぎる。
「ふふっ」
「風波さん?」
「いや、なんでも無いわ。良いわよ、貴方に道案内をさせてあげる」
突然笑ったらんこにキョトンとなるも彼女が道案内の申し出を受けた事に恋太郎も嬉しそうな笑みを浮かべる。
「そっか、ありがとう風波s「らんこよ」…え?」
「風波さんじゃ無くてらんこで良い。愛城さんとは他人の様に思えないから」
「「はい!?」」
先程まで打って変わって恋太郎の提案を受け入れただけで無く自分の事を名前で呼ぶ様に要求し、更には他人の様に思えないと言う発言に羽香里と唐音は驚きの声を上げる。
「確かにそうだな。じゃあ、俺も恋太郎で良いよ」
「「えええええっ!?」」
そして、恋太郎もらんこの発言を否定せず更にはそのまま自分も名前で呼ぶ様に言った事に驚いた2人は恋太郎に詰め寄った。
「れ、恋太郎君なんですか今のは!?」
「他人の様に思えないって何!?あんた何を隠しているの!?」
「ええっ、2人ともどうしたんだ!?」
何故か2人が詰め寄ってきた事に恋太郎は困惑の表情を浮かべる。そんな3人のやり取りにらんこは再び笑みを浮かべた。
────────
それから何とか恋太郎は2人に誤解を解きらんこと共に店を出た。
「それでらんこさんは何処に行きたいんですか?」
「なんでも言いなさい。案内するわよ」
「それじゃあ、お二人のおすすめの場所で」
そして、恋太郎では無く羽香里と唐音が率先して案内をする姿勢にらんこは驚きつつも取り敢えず彼女達におすすめの場所を案内してもらう事にしてもらった。
(2人とも、一時はどうなるかと思ったけどらんこさんと仲良くなれて良かったな)
最初はらんこの事を新しい彼女と誤解を抱いていた2人に驚いたものの、恋太郎の嘘偽りの無い説得が功を成して何とか誤解が解けた。その後こうして仲良くしようとする姿に安心を抱いたのだが、その内心にはある不安があった。
(ひょっとしたら恋太郎君が中心で案内をしたらコロリと惚れるかもしれません)
(ええ、恋人が居たにも関わらず恋太郎を好きになった前例がいる事だし)
2人はらんこがもしかしたら恋太郎を好きになるのではと不安を抱いていた。普通彼氏持ちのらんこが恋太郎に恋心を抱く事はまず無い。しかし、女は心変わりする者。現に恋太郎の彼女達の中には未亡人がおり、恋太郎と対面するまで彼の事を過去に5股の蛆虫と罵っていたがいざ対面すると心変わりをして恋太郎と付き合う事になったのだ。*2
「ぐっ…お母様…!」
そんな前例の姿を思い出した羽香里の脳内はそれからの奇行っぷりが次々と映像の様に流れ思わず苦い表情を浮かべ腹を抑える。
「あの、羽香里さんお腹を痛めたんですか?一応胃薬は持っているんで飲みますか?」
「だ、大丈夫ですよ!なんともありませんよ!」
腹を抑える羽香里の姿を見てらんこは彼女に心配するが羽香里は誤魔化した。
「と、所でらんこさんは食べるのが好きなんですか?」
「そう言えばさっきも公園から出る時にもなんか食べてたわよね」
羽香里達はらんこが公園の出入り口にてフォーチュンクッキーを食べている事を思い出しもしかして食べるのが大好きなのではと推測する。
「まぁ、確かに食べるのは好きですけどリベンジを兼ねて食べているんです」
「「リベンジ?」」
リベンジとはどう言う事だろうと羽香里達はらんこの発言に首を傾げているとらんこはフォーチュンクッキーの入った袋を取り出した。
「前にフォーチュンクッキーに入っているおみくじで酷い目にあったからそのリベンジもあってこうやって食べているんです…」
「いや、おみくじで酷い目にあったってそんな占いとかそういうの信じてるの?」
「唐音さんよして下さい。私達にもブーメランが当たりますよ」
おみくじなんて物を信じるらんこに唐音は呆れた表情を浮かべるのに対して、羽香里は何やら遠い目をして唐音に呆れた目を向ける。尚、その裏では何処からとも無く飛んできたブーメランを恋太郎が代わりに受けていた。
「そうは言っても前にフォーチュンクッキーをやった際は実際に大火傷するくらいの感電や大きな鳥に襲われたりして。今日だってフォーチュンクッキーを食べた後にダンプカーに轢かれそうになっているんですよ」
「いや、どんだけ不幸なのよ!?」
「一度お祓いに行ってきた方が良いですよ!」
らんこの発言に思わず2人は目が飛び出しそうになるくらいに驚いた。そんなに不幸なら近くの神社でお祓いに行こうかと羽香里達は神社へ案内しようとしたが、らんこが止める。
「いや、寧ろその神に私の人生にこれから100回の不運が付きまとう事を定められたから神社に行こうとしたら私は多分その神社燃やしますよ」
「放火する事を宣言するな!罰当たりが過ぎるでしょうが!」
「どんだけ神様の事を嫌っているんですか貴女は!?」
なんとも罰当たりな発言をするらんこに羽香里達は思わず声を荒げる。対してらんこは気を取り直してフォーチュンクッキーを2枚齧るとその内の一枚からおみくじを取り出した。
「えっと…道を歩けば犬に噛まれるでしょう」
「犬に噛まれる!?いきなり物騒じゃないの!」
ダンプカーと比べると其処までの危険はないが、それでも痛い思いをする内容に唐音は驚くも冷静になって周囲を見渡す。しかし、犬は何処にもいなかった。
「いや、犬なんて何処にもいないじゃ─」
「ワンッ!」
「痛っ!」
「いたーっ!?」
だが、まるで暗殺者の如く気配を消していたのか子犬が現れてらんこの手に噛み付き持っていたおみくじも手放してしまう。
「らんこさん大丈夫…って、あれ、この犬は?」
「見覚えがある様な…」
「もしかして…わん太郎?」
らんこの手を噛み付いてきた犬の姿に既視感を覚える羽香里と唐音、そんな中恋太郎は目の前の犬を名前で呼ぶとらんこの手を噛みつくのをやめて「わんっ」と吠える。
「あ、やっぱりわん太郎だ」
「でも、どうして此処に?」
「え、皆さんはこの子犬の事を知っているんですか?」
「ええ、実わね─」
らんこの質問に唐音が答えようとした瞬間、遠くからわん太郎の名を呼ぶ声が聞こえてきた。
「わん太郎待ってー!」
「わん太郎ストップデース!」
「あの声は!」
遠くから聞こえてくる声に恋太郎は真っ先に反応し、振り返ると其処には眼鏡をかけた真面目そうな幼さを感じさせる少女とその隣にはテンガロンハットを被った如何にもアメリカ人なカウガールがやってきた。
「知与ちゃんにナディー先生!」
「恋太郎さん!それに羽香里さんに唐音さんも!」
「オー、恋太郎ボーイアンド羽香里ガールアンド唐音ガールもハローデース!」
「え、知り合い?」
何やら目の前の2人と気軽に話している様子にらんこは唐音に視線を向ける。
「いや、知り合いというか…」
「俺の彼女達です!」
「え、まさかあの2人が!?」
公園の時に恋太郎は羽香里と唐音以外にも付き合っている女性がいるとは聞いたが、まさか本当にいるとは信じてなかったようだ。
「あれ、というかまだそっちのカウガールの人は良いですけど、もう片方の子って小学生じゃ…」
「一応今年の春から中学生になったけど…」
「やっぱり見た目が不味いですよね」
明らかに見ためが小学生とほぼ変わらない姿の少女が高校生である恋太郎の彼氏となると何やらイケナイ雰囲気が広がる。
「まぁ、それ言ったら楠莉先輩やヤクさんは実年齢は兎も角見た目がアウトですもんね」
「え、なに?ひょっとしてあの子以外にも小学生みたいな姿をした子がいるの?」
「まぁ、いるにはいるのよ。事情が複雑だけど」
羽香里と唐音の脳裏に過ぎる2人の人物。1人は現実ではあり得ない薬を作り出す見た目は小学生で中身も幼児退行により小学生の子。もう1人は血縁的にはその祖母にあたるが、見た目は小学生中身は89歳の高齢者と言う文字通りのロリババアがおりどちらも恋太郎の彼女なのである。
「あの…気になっていたんですが、そちらにいるのは?」
「え、私?」
「オー、ニューフェイスガール!」
先程まで恋太郎と会話をしていた知与とナディーはらんこの存在に気が付き彼女に話しかける。
「紹介するよ。この子は風波らんこさん今日観光しにこの町にやって来たんだ」
「そうなんですか。あ、私は伊院知与です知与と呼んでください。
「そう。さっき恋太郎さんに紹介されたけど私は風波らんこよ。よろしk「ゔーッ」…うー?」
知与が礼儀正しく自己紹介して来た為、らんこも自己紹介をしようとしたら何か唸る声が聞こえ、てっきりわん太郎が唸っているかと思ったが唸っておらず。ではなんだろうかと聞こえた方向に視線を向けると其処には険しい表情を浮かべて犬の様に唸る知与の姿があった。
「え、なに!?私なんか気に触る様な事をした!?」
「ゔゔーッ!値札ゔーッ!」
「ね、値札?…あっ」
知与の指摘にらんこは首の辺りが痒く感じて確認してみると其処には購入時に店員が剥がし忘れたのか値札が付いていた。
「ゔゔーッ‼︎」
「ちょ、引っ張りすぎ!引っ張りすぎだから…く、くるしい…!」
「知与ちゃんハサミが無いからって無理矢理はダメだった!」
無理矢理値札を引き剥がそうとする為、首が締まりらんこの首が青ざめて恋太郎は慌てて持っていたハサミで値札を切り取った。それと同時に知与は正気に戻った。
「ハッ…ご、ごめんなさい!わ、私風波さんに酷いことを…!」
「き、気にしないで、む、寧ろ指摘してくれたおかげであまり多くの人目に触れずに済んだわ」
泣きそうな位に謝ってくる知与に逆にらんこが申し訳なくなり変に怒れなかった。そんな中ナディーは足元にあったらんこのおみくじを拾う。
「オー、これはユーのペーパーデースか?」
「え、あっ、それはさっき落とした私のおみくじです」
ナディーから落としたおみくじを拾うと彼女にお礼を言おうとしようとするが、その前にナディーの口が開く。
「ポイ捨てはファッキューデース」
「ポイ捨てゔーッ!」
「いや、ポイ捨てじゃないから!」
また首を絞められるのかと思ったらんこは思わず知与から距離を離した。尚、先ほど犬に噛まれると書かれたおみくじとは別のおみくじの内容は首を絞められると言う内容であった。
「それで改めて貴女の名前は?」
「アイアムは恋太郎ボーイ達のハイスクールで国語のティーチャーしてまーす。アメーリカのナディーデース」
(相変わらず壊滅的な英語…)
らんこに自己紹介するナディーに唐音は呆れた表情を浮かべる。
「やっぱりアメリカ人なのね。え、えっと…Hi, I'm Ranko Kazanami. Im from Sorasid town.*3」
「ほ…ホワッ!?」
「ガチの英語の自己紹介!?」
アメリカ人であるナディーに気を利かせたらんこは相手に習って英語で自己紹介するもなにやらナディーは動揺を見せ、唐音も驚きの声を上げる。
「お、オー…あ、アイアムはジャパン語オッケー…ジャパン語オッケー…!」
「え、えっと…日本語で良いって事?」
何やらナディーの英会話に違和感を覚えるも彼女から日本語で会話して良いと話してくる。
「いや、私それなりに英語は出来るから大j「の、ノー!ジャパン語対応オッケー!オッケー!アイアムは国語のティーチャーデース!」なんでそんなに必死なの?」
何やら頑なに日本語での会話を求めるナディーにらんこは困惑の表情を浮かべると恋太郎が話しかける。
「秘密なんだけど、ナディー先生は幼い頃からアメリカに憧れてアメリカ人っぽく振る舞っている日本人なんだ」
「えっ!?あんな如何にもザ・アメリカンな姿なのに日本人なの!?」
まさかの衝撃の事実にらんこは驚きを隠せなかった。それに対してナディーはらんこからザ・アメリカンな姿と呼ばれた事に嬉しそうな顔を浮かべる。
「所で風波さんは何をしにこの町に?」
「まぁ、説明する尺が勿体無いから少し前の会話文を…ん?会話文って、私は何を言って?」
「この子メタ発言に慣れてないみたいね」
知与に話しかけられたらんこはメタ発言をするも自覚はない様子だ。
「そうですか、そんな事が…」
「風波ガールがとんでもないアンラッキーガールとアンダースタンドしましたデース」
「え、私でもよくわかんない事を口にしたのに何で理解できたのこの2人は?」
「この街がそう言う仕組みになっているとしか言いようが…」
一瞬で理解できてしまった知与とナディーにらんこは恐怖を感じ、そんならんこに羽香里はフォローを入れる。
「そう言う事ならアイアムも同行するデース」
「あ、なら私も」
「え、良いんですか?」
先程あったばかりの知与達も一緒に来てくれる事に何やららんこら申し訳無く思った。
「ノープロブレムデス。恋太郎ボーイ達と一緒にアメーリカパトロール出来るデース」
「それにわん太郎の散歩も出来ますからね」
どうやら2人の都合は問題ない様子だ。
「そう、それはありが痛っ!」
「ああ!だからわん太郎駄目でしょ!」
「わん太郎ハングリーデースか?でも、人のハンドをイートするのはファッキューデース!」
再びらんこの手を噛みつくわん太郎に飼い主の知与とナディーはわん太郎に注意をする。
「いや、大丈夫。甘噛みしてるから何だか愛らしく感じる。寧ろこれはご褒美かしら」
「オウー、育ガールナンバートゥーデースか?」
「いや、多分違うと思います」
噛まれた状態でわん太郎の頭を撫でるらんこに何やらナディーは誰かの名前を呟くが恋太郎はそれを否定した。
それからと言うものの新たに知与とナディーと共にらんこ達は街の中を歩いて行く。
「ねぇ、ひょっとしてこの調子で次の彼女との邂逅をやるの?だとしたら尺が足りないわよ」
「そうですね。此処は少しテンポを上げた方が良いかもしれません」
「ぐっ、他の彼女達の出会いも細かくやりたいってのに…せめて数行だけでも彼女達の台詞を載せてくれ!作者ァ‼︎」
そんな訳で恋太郎の希望に答えて残る29人の彼女達との出会いはダイジェストでお送りします。
─此処からはダイジェスト─
「あーッ!腹が減ってイライラするっ!」
「お腹が空いているならフォーチュンクッキーだけど、食べる?」
「クッキーで腹が満たされるわけないだろ!」
「そう言いつつ食べぐえっ!?」
突然真上から落ちて来た巨大なビッグ◯ックに押し潰されるらんこ。そして、そのビッグ◯ックを美味しそうに食べる原賀胡桃。尚、胡桃が食べたクッキーのおみくじには巨大なバーガーが降ってくると言う内容。
「くっ、私もお腹空いているからビッグ◯ックじゃなくてジャイアントバーガーを食べたいのに重くて身動きが…あれ、胸の辺りがムズムズするって、誰!?」
「ども〜、初めて見る方だったので是非とも試食ではなく試揉みさせて下さい」
「いや、許可取るまえに既に揉みんんっ!や、やめっ、ああんっ!」
ジャイアントバーガーに潰されながららんこは胸だけでなく全身揉まれて快楽を味わうと言う奇妙過ぎる状況に遭遇すると言う。尚、らんこの身体を揉み続けるマッサージ師少女の茂見紅葉曰く、身体がアト◯っているにも関わらずJCらしい柔らかさを感じて胸はCよりのBカップと感想を述べていた。
────────
「成る程、それでしたらこの美しいわたくしも恋太郎君達と同行しますわ」
「はぁ…まだ何も言ってないんですけど」
「尺の都合だから仕方ありませんこと。所で貴女、わたくしを見てどう思いましたか?」
「え、えっと…美しい?」
「ふふーんですわっ!」
(なんだこの人?)
らんこは目の前に立つ金髪碧眼かつお嬢様口調を使う日々己の美を磨いている努力家、美杉美々美に呆れた眼差しを送るとその隣に立つ目隠れ女子が口を開く。
「す、凄いな美々美先輩は…今日も美しいな…」
「ん?貴女はあの人の事を憧れているんですか?」
「う、うん、いつも美しさに日々努力して、その美しさに自信があって人前に見せる姿は憧れで…あっ!わ、私は初めて会う人になんでこんな事を…は、恥ずかしいいッ!!!」
「え、消えた!?」
突然目隠れ女子が消え、その場には何故か可愛い編みぐるみが残される。
「相変わらずお美しいミスディレクションですわね」
「え、ミスって、黒◯のバスケ?」
恥ずかしさの余りミスディレクションで2人の視界から姿を消す豊満な身体を持つ目隠れ女子…華暮愛々の技術にらんこは戦慄し、美々美は賛美する。
────────
「僕の名前は須藤育だよ。お近づきの印にケツバットはいかがかな?」
「結構で…いや、なんでケツバット!?それに金属バット!?大晦日での奴だって安全性を配慮した素材なのになんで金属バット!?そして、なんで当然の様にお尻を差し出すの!?」
ケツバットでコミュニケーションを取ろうするボーイッシュ女子、須藤育に困惑するらんこ。
「それでしたら代わりに私がやりますわ」
「え?」
突然現れた少女はらんこからバットを取るとそのまま育の尻に向かって振りかぶり力強く叩き抜く。
「キッツ〜!!!♡」
「バイオレンすわ〜ッ!!!♡」
「な、なんなのこの2人…!」
「まぁ、それはそんな反応するわよね」
「あたしらの感覚が麻痺しているってつくづく自覚するわ」
容赦無く育の尻を金属バットで叩き抜き幸せな笑みを浮かべる少女…灰尾凛と痛みを快楽に変化させる須藤育の姿にドン引きするらんこ。そんな彼女にフォローを入れるの唐音と胡桃であった。
─────────
「うい〜、別の街に観光して来たんだあ〜。なら、お近づきの印に一杯飲むか?」
「いや、私中学生…って、酒臭!」
昼間から酒瓶片手に飲んだくれる女性… 盆能寺百八から漂う酒臭さにらんこは思わず距離を取る。
「あー!百八さんまたこんな所でお酒なんか!それに未成年の方にお酒なんて進め、おんぎゃーっ!こんな所に空き缶がーっ!」
「そして、その空き缶が私の額にシュートッ!!!」
百八がらんこに酒を勧めようとするのを止めようとしたメイド…女井戸妹は足元にあった空き缶を踏んで転んでしまい。その際に空き缶がらんこの額に飛んで行き彼女の額は赤く腫れる。
─────────
「へぇ、恋太郎君達に街の案内して貰っているんだ」
「だど、おで達も一緒に行くど」
「ありがとうございます。あ、肩にバッタg「きゃーッ!!!」え、何っ!?」
「あ、危ないんだど!」
らんこにバッタが肩に乗っている事を指摘したら突然取り乱し後ろに転がるブラジル人ハーフの火保エイラ。そして転がった際に跳んだバッタを両手でキャッチする2mも身長がある優敷山女。
「バッタだって生きているんだど…!」
「仏様かしら?」
「どんな生き物では優しくする山女ちゃんマジで◯ウシカ!マジで女神!」
どんな小さな生き物でも優しく接するその姿はまるで慈愛の精神がその恵体に比例するかのように大きかった。そんな山女をらんこは思わず仏様と呼び、恋太郎は◯ウシカや女神と称えた。
そして、らんこ達の背後には美々美より高めの地雷系ギャル宇佐美椎奈がこっそりと立っていた。
「ギチギチ〜ッ‼︎♡」
────────
「数は興味ない。なんで知らない奴と一緒に行かないとならないんだ」
「まぁ、別に無理とまでは言わないわ(あと、滅茶苦茶口悪いわね)」
「数っち、この子名前は風波らんこって、名前に73と5が入っているよー」
「73と5!」
「因みに数とあー子が来れば19人になるよ」
「19!行く行く!」
「なんなのこの人は?」
数字の話になるとキャラが大きく変わる一二三数も同行しそんな彼女を恋太郎と共にフォローするギャル毛樽井亜愛子衣、通称あー子も共に行く事になった。
────────
「複数人と行動するのは効率的」
「『オイラ』も『お供します』」
「えっと…なんかアンドロイドも彼女にしているの?」
「違いますよ。凪乃さんは合理主義者で静さんは人との会話が苦手だからスマホの読み上げアプリを使っているだけですから」
「前者は分かるけど、後者はスケッ◯ダンスのス◯ッチじゃない」
羽香里の説明もあり銀髪のストレートヘアの女性、栄逢凪乃は人間であると説得されるもその隣にいる小動物を思わせるスマホを片手にコミュニケーションを取る少女にらんこは奇怪な眼差しを向ける。
───────
「違う街からこの街へと…そうか、君も僕と同じ旅人か」
「いや、旅人では無いわよ。まぁ、1人でこの街に来たけど…て言うか君もって事はあんたは旅人なの?」
「そうとも言えるし──そうでないとも言えるね」
「◯ムライ8か!?」
◯ナフキンの様な吟遊詩人の格好をした独特な言い回しをする中二詩人に調子を崩されるらんこ。
「成る程、単身でこの街へとやってくるとは貴様も中々の騎士「いやああああっ!!!もう働きたくなーいッ!!!」ど、どうした急に!?」
腰に竹刀を納める女性、土呂瀞騎士華の発言で青の護衛隊での仮隊員をしていた時の過酷な日々を思い出してしまったらんこは思わずその場で声を荒げる。そんな彼女に胸部分に猫と書かれたパーカーを着込む猫耳と尻尾を付けた女性が話しかける。
「にゃんこも働きたくないにゃん?それにゃらタマと一緒に
そう言って猫っぽい女性はらんこに猫耳カチューシャを渡そうと近寄る。
「いや、私猫を愛でるのは好きだけどもう猫になるのはもう勘弁よ」
「もう猫ににゃる?その話をもっと詳しく」
「ちょ、近い!キスしそうなくらいに近いから!」
らんこが以前猫になったと聞いてその時の話を詳しく聞こうとする働くのが嫌で猫になろうとする猫成珠、通称タマはらんこに詰め寄る。
「タマ以外に猫になる人がいるなんて…奇人ね」
「いや、それはそれは結構長くなる話で…って、さらっと話に混ざって来たけど誰よあんた!?そして、なんでドヤ顔を浮かべてるのよ!?」
いつの間にかこの場に現れ会話に混ざっている天才より奇才になりたい若き天才歌姫、才奇姫歌の存在にらんこは驚き彼女のリアクションを見た姫歌は奇人と思われて嬉しそうだった。
────────
「ぎゃーっ!!!カラスが群れで何故か私の真上から糞の雨を降らしてくるーッ!!!」
「大変!芽衣あの子を!」
「かしこまりました!」
羽香里に似た女性は側にいたメイドに指示を出すとらんこの元へ行き傘を広げて糞雨から守った。
「あ、ありがとうございますメイドさん」
「流石は妹のお姉様!」
「お礼なら羽々里様にお願いします」
妹の姉である糸目のメイド、銘戸芽衣にお礼を言うが彼女は謙遜な態度を見せると自身の主へ顔を向け、らんこはその女性にお礼を言おうと近づく。
「あの、ありがとうございます」
「うふふ、気にしないで…でも、お礼なら
貴女のパンツの色を聞かせて、デュフフフ」
「ぎゃーっ!!!へ、変態だーッ!?」
「お母様ーッ!!!」
羽香里の母親でもある花園羽々里は可愛い物に目がなく頻繁に暴走してしまう事があり、今回は涎を垂らしながららんこの履いているパンツを聞きだそうと近寄ってきた。その姿にらんこは恐怖を覚え、娘の羽香里は羽々里の奇行を止めようと後ろから羽交い締めをする。
────────
「そーなのか。らんこはここに来てから不幸続きなのか。それならこの笑い薬を飲んで不幸なんて吹き飛ばすのだ」
「いや、そんな子供が作った安全性が無い薬なんて飲みたk「良いから飲むのだー!」ぐもっ!?な、何をしキャハハハハハッ!!!」
白衣を着た少女にらんこは試験管に入った液体を無理やり飲まされるとタガが外れた様に笑い出し腹を押さえて地面に倒れ込んでしまう。
「どうだ。笑って気分も晴れたのだ」
「うへへ、ゲヘヘヘヘッ!!!と、止めベヘヘヘヘッ!!!」
「えー、もう止めるのか。しょうがないなぁ…あ、打ち消しの薬を持ってくるのを忘れたのだ。だから薬の効果が切れるまで1時間待ってほしいのだ」
「べへへへへ、ふざけてんじゃないわよヨホホホホホホッ!!!」
「ぎゃー!?唐音と同じ声で笑いながら追っかけてくるからおっかねえのだ!!!」
「逃げるなははははっ!!!絶対捕まええへへへへへっ!!!尻叩きひゃ、ヒャハハハッ!!!いや1000回ヨホホホホホホッ!!!」
「絶対捕まりたくないのだーッ!!!」
笑いながら怒るという奇妙な感情に駆られながらも無責任な事をした薬膳楠莉を追い回すらんこ。そして、そんな光景を楠莉の面影がある和服を着た幼女と漫画家とかが被っているベレー帽を被った目にハイライトがない少女が見ていた。
「やれやれ、楠莉も困った物じゃのう」
「笑いながら怒りを露わにする。そして◯ルックみたいな笑い声…実にメルヘンですね」
幼女な姿をした実年齢89歳、薬膳ヤクとこの世の絶望にメルヘンという救済を見出した絵本作家、雪房田夢留はらんこと楠莉の鬼ごっこを眺めていた。
だけど、その途中地面や電柱を破壊しながら楠莉を追いかけるらんこの姿に恋太郎と恋太郎の彼女達がなんとからんこを説得して止めるのであった。
─────────
「あ、アンタが恋太郎達とつるんでいる風波らんこかい?」
「えへへへへっ!そうヨホホホホホホッ!」
「な、なんで笑っているんでい?」
「此処は名探偵である私が笑っている理由について推理しましょう。ちょっと失礼…」
昭和の番長の様な格好をした少女とその隣には袖を捲ったゴスロリを着たイギリス人ハーフの少女は笑いながら返事をするらんこに引いていた。すると其処に探偵の格好かつ何処か犬が変身しそうプリキュアに似通った姿をした少女がらんこの身体の匂いをくんくんと嗅ぐ。
「ふむ、沢山の科学薬品の香りがしますね。さては、楠莉先輩の薬を飲みましたね」
「えへへへへっ!正解ヨヨヨヨヨヨッ!!!」
「やっぱり後輩が絡んでた!」
「ばろーちくしょう!おめぇ、知らねえ奴から物貰うなって親から教わらなかったんでい!?」
名探偵(自称)の端須蓮葉の推理?によってらんこが楠莉の薬によって笑いが絶えない状態になったと知った裏番長を目指して高校を留年した 輩先とゴスロリ服をイギリスのハッピと勘違いするお祭り大好き江戸っ子の出井祭李は哀れに思ったのかそれぞれ飴玉と特製焼きそばをプレゼントしたが笑いながら食べる為むせこんでしまう。
────────
「だ、だめよ。知らない人から貰った物を飲んじゃちゃ…だ、ダメなんだから…!」
「そ、そんな事言っ、キャハハハハハッ!!!」
「ひ、人と会話する時は、わ、笑っちゃダメなんだから…!」
一見規則に厳しそうな見た目をしているにも関わらず顔を赤く染めながら身体をもじもじさせる守北季鞠にらんこは笑いながら返事をし、再度もじもじさせながら注意する。
「ぐーぐー(とりあえず自分のペースで喋って)」
「あ、あんたは何で寝がらフォローをするのヨホホホホホホッ!!!」
「ぐーぐー(お気になさらず)」
そして、その隣では寝がらプラカードを使ってらんことコミュニケーションを取る夢遊病持ちの根向井寧夢がいた。
────────
笑い薬を飲んで1時間が経過し、らんこは恋太郎とその彼女達…通称恋太郎ファミリーと共に街の大通りにいた。
「ぜぇ…ぜぇ…や、やっと、笑い薬の効果が切れた…」
「だ、大丈夫かいらんこさん」
漸く笑い薬の効果が切れ体力と息が切れ地面に膝をついて苦しそうな姿を見せるらんこに恋太郎は心配する。
「ええ、大丈夫…いや、笑い過ぎて途中顎が外れそうになって痛かったけどこれで漸く本調子で動けるわ…!」
「ピエン」
自身の顎を摩りながららんこは笑い薬を無理やり飲ませた楠莉を鋭く睨みつけると睨まれた楠莉は思わず腰を抜かし慌てて彼女の前に手を合わせる。
「ご、ごめんなのだ。ぶ、ぶたないでほしいのだ」
「いや、被害者ヅラした◯ム太郎するんじゃないわよ!というか私が暴力を振るう前提で謝るのもやめなさいよ!」
らんこは確かに楠莉に無理やり飲まされた笑い薬で道中とんでもない痴態に晒されたものの彼女とて見た目が8歳児の姿をした楠莉に暴力を振るうつもりはなかったのだ。
「次からは良かれと思っても無理やり変な薬を飲まさないでよね。もし飲ませたとしたらちゃんと解毒剤とかでも効果を早めに消す薬とか用意しておきなさい」
「わ、わかったのだ」
らんこは楠莉に念を入れて注意すると彼女も落ち込みつつも反省の態度を見せる。すると恋太郎がらんこに近づいた。
「らんこさん。その…楠莉先輩が迷惑かけました…」
「別に良いですよ。皮肉にもあの笑い薬のおかげで道中あった不幸な事は笑って誤魔化す事ができましたから」
申し訳なさそうな顔を浮かべる恋太郎にらんこは其処まで気にしている様子はなかった。実際笑い薬を飲む前までも恋太郎の彼女達と会う中でフォーチュンクッキーを食べてはその度にほぼそのおみくじに書かれていた不幸は連発し、笑い薬を飲んだ以降は不幸な目にあってもある程度は耐える事ができたのだ。
「さて、恋太郎さんの彼女は現在32人で残すは1人…対してフォーチュンクッキーは残るは2枚ね」
「32人?いや俺の彼女達はもう…って、らんこさん何でクッキーをまた食べるんだ!?」
恋太郎は何かを訂正しようとしたがらんこが残るクッキーをまとめて齧った事に驚きの声を上げ、恋太郎の彼女達も同様の反応を見せる。*4
唐「あんた此処まで酷い目に遭ってきたのにまだやるの!?」
凪「いや、風波らんこのクッキーを食べる行動は強迫観念に該当する可能性が高い」
静「"らんこさんは"『死に急ぎ野郎』『なのか』」
楠「それともらんこは育と同じドMなのか?」
騎「いや、彼女の行動は己の心を鍛える修行かもしれない」
ナ「オー、正にハードトレーニングでソウルをストロングするデース」
育「くっ、なんて羨ま…じゃなくて厳しい鍛錬なんだ。できる事なら僕が代わりに受けたいのに…!」
祭「不幸祭りたぁ、なんて肝っ玉をしているんでい…!」
姫「進んでキツイ道を選ぶなんて奇人ね」
ほぼ全員がらんこの行動に理解ができなかった。これまで道中不幸な目に遭ってきたのは此処にいる全員が目の当たりにしてきた。だからこそ彼女が何故躊躇いもなく残りのフォーチュンクッキーを齧ったのか理解できなかった。
「あんた達さっきから人の事を何だと思っているのよ!?」
「ん?どんな賭け事でも自分の幸運を信じるギャンブラー?」
「そうじゃないわっ!!!」
百八の発言を強く否定するらんこ。それなら一体何故わざわざ自分から苦しい目に遭おうとするのかその行動理由について再度問うとらんこは口を開く。
「だって、もうクッキーは2枚なんだからこの際一気に100回目の不幸をさっさと終えて後は楽になろうと思って」
「確かにその方が効率的」
「その方が近道──とも言えるね」
らんこの言う通り後2回でクッキーを食べ終えて不幸を乗り越えれば終わるのであれば早めに終えれば良いと凪乃と詩人は納得の声を上げる。
「で、でも、もし残りの2枚に命の危機になる様な事が書かれていたら…」
「大丈夫よ。私って運は悪くても悪運だけは強い方だから」
「いや、それ自慢できる事じゃ無いだろ…」
自身の運ではなく悪運を信じるらんこに胡桃は顔を引き攣らせる。一方でらんこは早速残りの2枚のおみくじの内の片方を確認する。
「何々…道を歩けば穴に落ちるでしょう。何だ…99回目にしては大した事は無いわね。さて、もう一枚は何かしら?」
99枚目のおみくじの内容が其処まで命の危機に瀕するものでは無いとわかると緊張感は少し解け、その調子で100枚目のおみくじを確認しようとした時だった。
「きゃっ!?風でおみくじが!」
突然の突風でらんこの手に持っていた100枚目のおみくじは吹き飛ばされてしまいらんこは飛ばされたおみくじを追いかける。そんな中恋太郎は何かに気づく。
「らんこさん止まるんだ!そっちは危険だ!」
「大丈夫よ。おみくじが飛んでいるのは歩道の中だから!」
らんこは恋太郎の忠告に対して問題ないと言わんばかりにおみくじを追いかけ、何とかおみくじを手にしようとした瞬間。
「違う!そっちの方はマンホールがあってしかも蓋が外されている状態なんだ!」
「え…きゃああああああっ!?」
「あーッ!らんこが穴に落ちたぞ!」
マンホールの穴へと落ちてしまったらんこを見て一同は慌ててマンホールの元へ向かい中を覗くと其処にはギリギリマンホールの縁を掴んで下まで落下せずに済んだらんこの姿があった。
「お、落ちてないわよ…!」
せめてものの強がりなのからんこは一同に落ちてないと宣言し、恋太郎達も彼女が何処も怪我をしてない事を確認すると安心して胸を撫で下ろした。
『落ちてないし、狙い通りだから』
誰だこいつ?
相変わらずらんこの脳内に聞こえてくる少女の声、しかし今回は今の状況と相まって強がりに聞こえる台詞だ。
「らんこちゃん私の手に捕まって」
「あ、ありがとございま…ん?」
らんこは自分に差し出された手を掴みマンホールから引き出して貰ったが、助けて貰った人物を見て思わず声を漏らす。其処にいたのは身長が恋太郎ファミリーの中で美々美より少し高い長身かつ、兎を連想させる三つ編みを折り畳んでふわふわシュシュでまとめた髪型をして格好も地雷系ギャルを彷彿させる物となっていた。
「あのぉ…助けてくれたのはありがたいんですけど、貴女誰ですか?」
今まで恋太郎ファミリー達と邂逅してきたが目の前にいる人物だけはらんこは出会った覚えが無かった。更に言うとそんな知らない人が自分の名前をあたかも知り合いの様な口調で接している姿に恐怖を覚えた。そんならんこを察した恋太郎が彼女に話しかけてくる。
「この人は俺の彼女のうさちゃん先輩、もとい宇佐美椎奈先輩でらんこさんもとっくに会っている筈なんだけど…」
「え、いやいや。私は恋太郎さんの彼女さん達とこれまで会ってきてどれも印象に残る程の強い個性を持ってた人ばかりだったけど、この人だけ顔を合わせたり話しかけられたりしてませんでしたよ」
らんこの言う通り目の前の椎奈だけは何度も自身の記憶を振り返っても接触した記憶が無かったのだ。ひょっとして何処かで頭を強く打ち付けてその時出会った記憶が都合よく飛んだのかと考える。
「でも私はちゃんとらんこちゃんの直ぐ背後にいたよ」
「え、いた!?全然気配なんて察せなかったのに…」
背後に立っていたと言うが、それはどの時の事を言っているのだろうか。彼女が嘘をついている可能性も無きにあらずだが、彼氏の恋太郎はちゃんと存在を認識している様な事を言っていた。その為何処かにいたのは違いないが其処はどこの事だろうか。
「それじゃあヒントとしてとある彼女との会話シーンにて矛盾があるから其処から辿って視点を変えればうさちゃん先輩を見つけられるから是非探してくれ」
「ゼ◯伝みたいな謎解き要素を入れるな!」
「ただでさえ今回文字数が長いのに…」
突然の謎解き要素、椎奈先輩を探せを出された事に唐音は恋太郎にツッコミを入れ胡桃は呆れた表情を浮かべる。
「まぁ良いわ。取り敢えず彼女さん達も全員揃った事だし残り1枚のおみくじを見ますか」
そう言うとらんこは先程風によって吹き飛ばされたおみくじを広げて中にある文章を確認した瞬間、彼女の顔が青ざめ冷や汗を流す。
「どうしたのらんこちゃん?」
「顔色がよろしくありませんが何かおみくじによろしくない事が書かれていましたの?」
「な、何でもないわ!そ、それよりも皆さんここまでの案内どうもありがとうございます。後は私1人で大丈夫です」
『え?』
らんこの発言に一同は声を漏らす。突然彼女は街の案内を此処までで良いと切り上げた事に目を丸くした。
「急にどうしたんだらんこさん?」
「そうよ。何で案内を止めようとするのよ?」
「ひょっとしてそのおみくじは何かとんでもない事が書いてあるんじゃ」
「な、何でもないわよ!!!」
恋太郎を筆頭に恋太郎ファミリーがらんこの持つおみくじに何か良からぬ事が書いてあったのではと推測する。しかし、らんこはそれを否定しその場から走り出した。
「らんこさん待ちなさい!」
「そっちは危険ですよ!」
何かに気付いた一同はらんこに止まる様に言うが彼女は止まらず走り続け横断歩道に足を踏み入れてしまう。
「止まれ風波らんこ!!!」
「信号が赤ですよ!!!」
「…え」
騎士華と季鞠の発言にらんこはハッとなり今自分が何処を走っているのか気付く。そこは横断歩道の中であり、横からは猛スピードで迫る自動車がいた。らんこはそれを察知するも回避する間は無くそのまま彼女は自動車に衝突してしまう。
「はあッ!!!」
かと思いきや間一髪エイラが一気にらんこの元へ行くと自動車に向かって得意のカポエラによる強烈なキックを与えてフロント部分を潰して大破させた。それを見たらんこは思わず腰を抜かしてペタンと地面に座りエイラは彼女に手を差し伸べる。
「大丈夫らんこちゃん?」
「え、ええ…あ、ありがとうございます」
心配するエイラの手を握って立ち上がるとらんこは彼女にお礼を言うと、恋太郎達が駆け寄ってきた。
「何やっているのよらんこ!」
「『やはり』らんこさんは『死に急ぎ野郎』『なのか』」
「信号機の色を確認せず横断歩道を走り抜けようとした行為は美しくありませんわ」
「赤信号ゔー!」
「周囲の危険を確認せず道を渡るのは褒められた事ではないのう」
恋太郎ファミリー達はらんこが赤信号で横断歩道を渡ろうとした事に注意をする。
「ま、待ってくれ皆んな!確かに信号も確認せず横断歩道を渡ろうとした事はいけない行為だ。だけどらんこさんも横断歩道のルールはちゃんとわかっている筈だ。それなのに赤信号に気づかず渡ろうとした事にはきっと何か意味がある筈なんだ」
「意味ってどう言う事なんですか恋太郎君」
恋太郎の話にらんこが危険を犯してまでも走り抜こうとした事にについて意味があるという事に羽香里はその事について追求する。
「思い出してくれ。らんこさんが急に俺たちの元を離れようとした事になったきっかけを…」
『きっかけ?』
恋太郎の言葉に恋太郎ファミリー達は彼女が離れようとした直後の事を思い返すと「あっ」と楠莉が声を上げる。
「そういえばらんこは最後のおみくじを見た後に楠莉達から離れようとしたのだ」
「おみくじを確認した直後、風波らんこの顔色が変化した。よっておみくじの内容に彼女が私たちから離れようとする衝動に駆られた事を考えるのが論理的」
楠莉と凪乃の言葉に一同は納得の声を上げる。
「と言う事はらんこちゃんが見た最後のおみくじに何か恐ろしい事が書かれていたと言う事かしら?」
「とんでもない試練─かもしれないね」
羽々里と詩人を筆頭にらんこの持つおみくじについて気になり始めた。
「らんこ!それは一体どんな過酷の事なんだ」
「是非ともお聞かせください」
「あんたらが言うと真面目に聞こえないんだよ」
育と凛がおみくじの内容について聞こうとするが2人とも顔を赤くしながら聞いてくる為、自分たちの下心目的で聞こうとしているのではと胡桃がツッコミを入れる。
「皆んな待ってくれ!確かにおみくじについて気になるのは俺も同じだ。でも、其処は本人の意思を尊重して無理やり聞き出そうとするのh「恋太郎さん大丈夫です」…らんこさん?」
恋太郎は振り返るとらんこは思い詰めた顔を浮かべていたのだ。
「さっき皆さんに迷惑を掛けといてそれで私が何も理由を明かさないのは筋が通りませんので説明します。私はこのおみくじに書かれていた内容を見てあなた達を傷つけてしまうと思って離れようとしたんです」
「俺たちを傷つける…それって一体?」
これまでの99枚のおみくじは主にらんこに対する不幸な事ばかりが書かれていた。しかし、今彼女の手に持つ100枚目は自分たちを傷つけると書かれていたと聞いてそれは何なのか気になった。
「一体何なのよ私達を傷つける内容って」
「その…このおみくじに書かれていたのh「キャーッ!!!」え?」
その時だ。らんこがおみくじの内容について明かそうとしたタイミングでらんこを自動車から守ったエイラが声を上げてこちらに転がってきたのだ。
「え、エイラさん!?」
「ど、どうしたんだエイラさん!何かあったのか!?」
怯えるエイラに一同は一体どうしたんだと気になって彼女に話しかけるとエイラは恐る恐る先程自身が蹴りを入れて大破させた車に指を刺した。
「お、お化けは…ぶ、物理じゃ倒せない!」
「何を言って…え!?」
「嘘!?」
「ありえない!」
エイラの言葉に一同は車の方に視線を向けるとその車は先程フロント部分をエイラによって大破されたにも関わらず、巻き戻る様に直っていく。更には運転席には誰も乗っていなかったのだ。
「ど、どう言う事だ!」
「運転手がいない…壊れた車が自動で直るなんて存在がメルヘン」
目の前で起きる不思議な光景に一同は困惑の表情を浮かべていると車が話し始めた。
「おいおい、俺はどちらかと言うと被害者…いや、被害車だぜ。だと言うのに謝罪の言葉も無しかよ」
『しゃ、喋った!?』
自動車が声を発するという異常な光景に一同は更に驚きの表情を見せる。するとその自動車の装甲は突然割れ…否、変形し3m程の人型のロボットとなって一同を見下ろした。
「ヨォ、まさかこんな所で会えるなんてな…ツイスター」
「…ターボマンッ!」
自分をツイスターと呼ぶ敵の存在…ターボマンをらんこは睨みつけると同時に今手の中にあるおみくじに書かれていた内容を思い出す。
─このおみくじを引いた街にて大きな災いが降りかかるだろう─
恋太郎の28人目の彼女の宇佐美椎奈が何処に隠れていたかわかりましたか?わからない人は夜間モードをお使いになって下さい。
次回の100カノ編最終話をお楽しみにしていてください。