砂場での出来事を終えてましろは家に帰るとその時閃いたテーマを忘れずにノートに書き写し、それから本格的に絵本作りに没頭する。
一方でリビングではバイトを終えたあげはも帰ってきて事の経緯をソラ達が説明していた。
「えっ!?じゃあ昼間からずっと絵本作ってるの!?」
「ええ、そうなんですよ」
「ましろさんトイレする時以外は部屋から出てこようとしないんですよ」
バイト先であるPrettyHolicから別れた後、あげはが夕方までバイトをしている間にましろが絵本作りに熱中。あげはは元々外で絵本を作るだけと聞いていたので帰宅後も絵本作りを続けているとは想像しなかった。そのため、驚きの表情を露わにする。
「ええ、私もあそこまで熱心なましろさんは初めて見ました」
「そっか…其処まで夢中に…」
テスト勉強でも無いのに机に向き合って絵本を作るましろの姿にソラは新鮮な気持ちを抱いていた。一方であげは気楽に絵本作りをしないかと誘っただけなのに其処まで夢中になっている事に誘った甲斐があったと嬉しそうにする。
「ですが、少し不安です」
「ソラちゃん?」
「不安とは…どう言うことだ?」
「いえ、ただ私の思い過ごしだと良いんですけど……ましろさんは私達の期待に応えようと無理しているんじゃないかと」
最初ましろはコンテスト参加しないかと誘われた際動揺し、其処からソラ達が後押しする様な事をしてしまった。その為、やろうかやらないか考える間も無くただその場の雰囲気に流される様に絵本を書いてしまっているのではと不安を抱いていた。一応その時らんこが無理しなくて良いと声を掛けたが最終的にましろはやると言ってた為、ソラの不安は杞憂に過ぎないだろうがそれでも気になる様だ。
そんなに心配ならましろの様子を見に行けばとあげは声を掛けようとするがその直前にある事に気がつく。
「そういえばらんこちゃんは?」
先ほどからリビングを見渡しても何処にもいないらんこの存在にあげはは不思議に思った。玄関に彼女の靴があった事からまだこの家にいるのは間違いなさそうだが何処に行ったのかと考えていると何やら香ばしい匂いがキッチンから漂ってきたことに気がつく。
「んん?この美味しそうな匂いは?」
「あれ、あげは姉さんバイトから帰ってきてたの?」
するとキッチンかららんこが現れると彼女の手には美味しそうに焼けたアップルパイが乗った皿が乗っていた。するとそれを見たあげはとベリィベリーが目を輝かせる。
「おお、それはらんこの手作りか?実に美味しそうなパイだな!」
「らんこちゃんアップルパイ焼いたの?なら私にも一切れ食べさせて」
そう言うと2人はそのアップルパイを食べようと手を伸ばしたが掴んだのはアップルパイでなく虚空であった。
「ダメよ。これはましろに食べさせる為に焼いたアップルパイよ」
アップルパイの皿を引っ込めるらんこはこのアップルパイを絵本作りに励むましろの為に焼いた様で他の人間に食べさせるつもりはない様だ。
「そんな…こんなにおいしい匂いを漂わせて…しかもそれがらんこの手料理で味わえないなんて酷い!残酷過ぎる!!!」
「ええー…私もバイト疲れで少し小腹空いていて甘いもの食べたい気分なのになぁ〜」
「ちょっとお2人とも…」
アップルパイが食べられない事にベリィベリーは嘆き悲しみ、その隣ではあげはがブーイングをする始末だ。そんな2人にツバサは呆れた眼差しを向ける。
「落ち着きなさいってちゃんと皆んなの分のアップルパイも既に作ってあるわよ」
「ふっ…さすがらんこ。準備が良いな」
「もお〜、焦らしちゃってらんこちゃんのいけず」
「はぁ…この2人は…」
自分達の分も作ってあるとわかると掌を返す様にベリィベリーとあげはは態度を改め、そんな2人にツバサはため息を吐いて呆れた表情を浮かべる。
「取り敢えずこのアップルパイをましろに持っていくから皆んなはキッチンにあるアップルパイと紅茶を食べてて」
「ありがとうねらんこちゃん。あ、そうだ。ソラちゃんも一緒にましろんの様子を見に行ったら?」
「わ、私がですか?」
突然あげはかららんこと共にましろの様子を見に行かないかと誘われ動揺を見せる。
「気になるんでしょましろんが」
「それは良いわね。このアップルパイ中のりんごを入れ過ぎてちょっと重いからあんたは紅茶を運んでよ」
「わ、わかりました」
こうしてソラは紅茶の入ったポットとカップを受け取るとらんこと共にましろの部屋に向かう事となる。しかしその道中ソラの表情は暗いままだ。それを見たらんこは気になって話しかける。
「いつまで辛気臭い顔をしているのよ」
「いえ、なんだが…私達の所為で無理しているのではと考えるとましろさんに会うのが気まずくて…」
確証は当てないものの、ましろが本当に自分達のせいで無理しているのだとソラは申し訳なく思っている様だ。対してらんこはそんなソラに対してため息を吐くと口を開く。
「全く馬鹿ね…あんたの検討外れな心配には本当に呆れるわよ」
「ば、馬鹿!?」
さらっと罵倒された事に思わずショックを受けたソラは持っていた紅茶のポットを落としそうになり掛ける。そんな彼女に対して話を続ける。
「確かにましろの性格上私達の期待に応えたいっていう気持ちがあると思うわ。でも、あの子はそれだけじゃ無くただ自分が描きたいから絵本を描いているのよ」
「そ、そうなんですか?」
「そんなに心配なら本人に聞いてみたらどう?」
気がつくと2人はましろの部屋の前まで来ておりソラは扉をノックしようとするが躊躇してしまうが、それとは対称にらんこが扉を叩く。
「ましろ入るわよ」
「ちょ、らんこさん!?」
なんの躊躇いも無く扉を開けて部屋に入るらんこに驚きつつもソラは彼女に続いて入るとそこには机に向き合い熱心に絵本を描いているましろの姿があった。その姿にソラはましろは自分達の為では無くただ自分が描きたいからという熱意が伝わってくる。それを見てこれ以上彼女の集中の妨げをしたくないと思ったソラはましろの側にポットとカップを置くとそのまま部屋から出ようとする。
「お、お邪魔しまs「ましろ調子はどう?」って、らんこさん!?」
場の空気を読んで部屋から出ようとする自身に対してらんこはなんの躊躇いも無くましろに話しかけた事にソラは驚きの声を上げてしまう。すると、ましろはペンを止めて2人に笑顔を見せる。
「うん!次々に良いアイデアが浮かんできてね、もう筆が止まらないよ!」
「そうですか…」
ましろの生き生きした顔を見てソラは先程まであった不安な気持ちはなくなり、らんこの言う通り自分で書きたいから書いているようで安心した気持ちになる。
「ところでましろ、今のところ作業は何処まで出来ているの」
「まだシナリオが完成してないけど、途中までだけど見てみる?」
そう言うとましろは未完成のシナリオが書かれた紙をらんこに渡すとらんこはシナリオの内容を興味深そうに眺める。
「へぇ、中々良いじゃないの。これならテーマもハッキリしていて子供もわかりやすそうね」
「本当に?」
公園で最初に書いたシナリオをらんこにボロクソ言われたが今書いている内容は好感触な事にましろは嬉しそうにする。するとソラはましろの書くシナリオが気になったのか恐る恐る話しかける。
「あの、私にも見せてもらえませんか?」
「もちろん良いよ」
ソラはましろから許可を貰うとらんこから紙を受け取り興味津々で内容を眺めるとソラは目を輝かせる。そんなソラを見てましろは嬉しそうにする。
「どうやらソラちゃんも気に入ってくれたみたい」
「その様ね。それにしても公園で書いたメチャクチャな内容と比べてだいぶ良くなっていたけど、一体何があったのよ?」
「そ、それは言わないでよ…!」
公園で書いたシナリオは黒歴史だったのか触れられた事にましろは恥ずかしがるとらんこの質問に答えようとする。
「あの公園でらんこちゃんがエルちゃんを説得した姿にヒントを貰ったんだよ」
「ヒントですって?」
自分の行動がましろの絵本のテーマのヒントになったと言われたらんこだがあまりピンと来てない様だ。
「ほら、らんこちゃん男の子達と一緒に遊んだ事でエルちゃんの心を動かして皆んなと仲良くなるなんて本当に凄いよ。その後私達も誘ってくれてありがとうね」
「別に私は大した事はやってないわ。ただ、エルが将来我儘し放題の暴君にならない様にしただけよ」
自分達の代わりにエルを説得した事にましろはお礼を言うがそれに対してらんこは相変わらず謙遜な態度をする。
「それよりもあんたそろそろ小腹が空いているでしょ。アップルパイを焼いたから温かいうちに食べなさい」
「美味しそうなアップルパイだね。ありがとうらんこちゃん」
ましろは六等分に切り分けられたアップルパイの一切れを手に取り口に運ぼうとしたがその際らんこがこちら…と言うよりも手に取っていたアップルパイをじーっと見つめていた。
「らんこちゃん…お腹が空いているなら食べる?」
「べ、別に私はお腹は空いて─」
空いてないと否定しようとした時、らんこの腹から空腹を示す音が鳴り彼女は慌ててお腹を両手で隠す様に覆う。そんな姿を見てましろは「ふふっ」と笑みを溢す。
「私1人じゃこのアップルパイを食べきれないから3人で一緒に食べようよ」
そう言ってましろはらんことソラにアップルパイを勧める。実際らんこが焼いたアップルパイは直径21cmもある為、ましろ1人でこのサイズのパイを食べるのは難しかった。
「し、仕方ないわね。折角の好意を無碍にするのは悪いから食べてあげるわよ。仕方なくだけど」
「ありがとうございますましろさん」
2人はそう言って皿から一切れずつパイを手に取ると食べ始める。
「ん〜!このアップルパイ美味しいです!」
「うん、ほんと美味しく焼けているよらんこちゃん」
「そ、そんなに褒めたって…う、嬉しくないんだから…!」
褒められた事にらんこは相変わらず謙遜な態度をするが顔が真っ赤に染まり恥ずかしそうにしている。そんな彼女を見てソラとましろは思わず笑みをこぼす。それに気付いたらんこは咳払いをして態度を改める。
「でも、私が今できる事はこれくらいよ。あんたは私と違って今自身の夢の第一歩を踏み出そうとしているのよ…私ができる事はそれ程無いけどこれくらいの応援はさせてよね」
「らんこちゃん…」
彼女の言葉でましろは公園でのやり取りを思い出す。彼女とらんこは少し前まではソラやあげは達と違い将来何になりたい物や夢なんてなかった。だが、今回の絵本コンテストがきっかけで今まで無かった将来の夢に繋がると考えたましろはこうやって書いていた。そんなましろはらんこに抜け駆けする様な感じで申し訳なさを感じてしまうも、らんこが心から自分を応援する事にましろは自身の胸に温かいものを感じた。
「ありがとうらんこちゃん……私、この絵本を絶対完成して見せるからね!」
夢を応援してくれる
「あれ、アップルパイは?」
「さっきまで三切れあった筈なのに」
大皿に乗っていたアップルパイは気がつくと一切れも残っていなかった。自分達が一切れずつ食べた事から残りは三切れある筈なのにそれが皿から消えている。ソラもましろは皿にあったアップルパイが何処に行ったのか不思議に思っているとすぐ隣から聞こえてくる咀嚼音に振り向くとそこにはリスやハムスターの様に頬を膨らまして咀嚼しているらんこの顔が目に入る。
「モキュモキュ…ゴクン…ごめん…手が止まらなくてつい…」
「「ら、らんこちゃん(さん)…」」
自身の食欲に抗えず残りのアップルパイを食べてしまったらんこは申し訳なさそうな顔を浮かべて謝罪し、2人はそんな彼女に苦笑いをして許した。その後3人はリビングに行くとあげは達と共に残ったアップルパイを食べる事となる。その際あげは達にも今出来ているシナリオを見せて彼女達から感想を聞き、アドバイスを貰い更には応援の言葉を貰った事でましろは気力が湧くと絵本作りに力を入れる事になるのであった。
──────────
その頃、キメラングのラボ。そこではキメラングも何やら作業台に向き合って熱心に物作りをしており、その後ろでは彼女が何を作っているのかターボマンが気になっている。
「ドクターそろそろ新しいアーマーが完成するのか?」
「まぁね。新たに作るアーマーは今まで使っていたアーマーとは設計が異なるから結構時間が掛かったが後少しで完成する予定だよ」
そう言ってキメラングは新たなアーマー作りを引き続き続けている。そんな彼女にターボマンはある疑問を口にする。
「だがよ今作っているアーマーで本当にあいつらに勝てるのか?ぶっちゃけこの前俺ツイスターの奴に逆転負けされたんだぜ」
そう言うとターボマンは近くのモニターに電源を入れるとそこには梳杉町にて戦うターボマンとツイスターの姿が映し出される。最初はターボマンが優勢であったが後半になるとターボマンはツイスターにやられ、更には巨大化してもツイスターに敵わず敗北してしまったのだ。
「それはツイスターが特別だからさ。前にも言ったが彼女の力はプリキュアの力とアンダーグエナジーのハイブリッドだから。それに加えて彼女は心の強さによって戦闘能力が激しく変化するからね。君も先日の戦いで心当たりがあるんじゃ無いのか?」
「あー…成る程」
先日の戦いでターボマンはツイスターが1人でいれば勝てると踏んでいたが、その街で彼女の友達になった恋太郎達の存在が心の支えとなった事でツイスターの力が戦い始めた時と比べて大きく上昇。挙句の果てには新たな技まで作り出してドーピングで強化したターボマンをツイスターが1人で倒した事を思い出したターボマンは苦々しい表情を浮かべる。
「まぁ、大丈夫さ。そこは怪我の功名って奴で君が戦ってくれたお陰でツイスターの戦闘データを更新出来たから今作っているアーマーにそのデータを入れてるし更に実力を出せそうだよ」
「なーんかあんまし嬉しくないな…」
先日の戦いで得た戦闘データがアーマーの強化につながるのは良い事だが自身が敗北したと考えたターボマンは釈然としない様子。
「でも贅沢を言えばモルモット…いや、キュアトールの戦闘データがもう少し欲しかったよ。初めて戦った時以来会えないからデータが中々取れないんだよね」
「なら並行世界へ行ける装置があるんだからパパッと行ってきて奴と戦ってデータを集めてくりゃいんじゃないのか?」
ターボマンの提案にキメラングは無言になり白衣のポケットから並行世界へ飛ぶ装置を取り出し暫く眺める。
(……確かにターボマンの言う通り待つよりもこっちから会いに行った方が手っ取り早いな…)
次いつこちらに来るかわからないひかるを待つよりも会いに行った方が合理的であると考えたキメラングは装置を起動させようとする。
「……いや、やめとく。あっちにはムーンライズとオーロラに加えてスカイ達もいる上に碌に戦う道具や発明品が無いから行ったら返り討ちに遭いそうだからね…まっ、キュアトールの足りないデータは私が前に使っていたTYPE-Tの戦闘データがあるからそれで補う事にするよ」
「そうか、まぁドクターが決めた事なら特に言う事はないな。取り敢えず俺はバッタモンダーの奴と次アイツらと戦う時の作戦を立てに少し留守にするぜ」
そう言うとターボマンはラボから出て行った。そしてラボに残ったキメラングは暫く目を閉じると再び目を開くがその瞳の色は赤から紫へと変化する。
「キュアツイスター…改めて見ると奴の成長は実に凄まじい物だ…」
そう言うと彼女は改めてモニターに映るツイスターのこれまでの戦闘映像を眺める。
「データを見る限り他の連中と比べて成長速度1番大きく、更には暴走するがアンダーグエナジーの力を宿している……奴こそ私の新たな器として相応しいのかもしれないな」
そう言うとモニターに映るツイスターをまるで獲物を見る目で向けるとキメラングは1人ほくそ笑むのであった。
しかしこの時キメラングは忘れていた。ラボの隅にある牢屋の中にいる囚われのシャララの存在の事を。
(キメラング…1人で何か喋り出したがツイスターを見て器だと?…一体どう言う事なんだ?)
幸いにもキメラングは映像のツイスターに夢中になっているお陰でシャララの存在に気づかず、彼女はそのままキメラングの企みを盗み聞き。シャララはキメラングが何を企んでいるのかは分からないが、兎に角ツイスターが狙われている事が分かると急いでこのラボからの脱出手段について考えるのであった。
──────────
それから数日が経過し虹ヶ丘家ではあれからましろは絵本作りを続けていた。この数日間はソラ達の力を借りて絵本に必要な道具や資料を揃えて貰ったり、エルと一緒に鳥の姿になったツバサも被写体になった。更にらんこも遊びに来る度にましろへ差し入れのお菓子を作ってきたりして、ましろは絵本を仕上げていった。
「で、出来た…!」
友達の力を借りて出来上がったこの世に絵本の原稿を机に置くとましろは安心したのか額から汗が大量に流れており、それをハンカチで拭き取ると机に置かれてある時計に視線を向けた。その針は15時を示していた。
「もうこんな時間!?い、急がなきゃ…って、あれ?なんだか部屋が斜めに…?」
慌てて椅子から立ち上がるましろだが、どう言う訳か視界に映る自身の部屋が斜めになっていく現象を目の当たりになる。もしかしてエルが悪戯で念力を使って自分を浮かしているのかと思ったがそれは違うと直ぐ気がつく。
(違う…これは私が倒れているんだ…!)
絵本作りで蓄積した疲労が絵本の完成と共に一気にましろへ襲い掛かり、彼女は耐えられず足に力が抜けて床へと倒れていく。しかも疲労が大きかった所為かまるでスローモーションを体験しているゆっくりと床へ倒れそうになっていく。
そしてましろの身体は受け身を取る事が出来ずそのまま床へ倒れ込んでしまう。
「「ましろ(さん)!」」
かと思いきや間一髪廊下からソラとらんこが慌てて部屋に入ると床に倒れそうになったましろの身体を支える事に成功する。
「大丈夫ましろ!?」
「怪我はしてませんか!?」
「う、うん…2人のおかげでね」
2人に支えて貰いながらましろは側にある椅子に座り込む。そんな彼女をソラとらんこが心配そうに見つめる。
「ましろさんやっぱり絵本作りの疲れが身体に…」
「あんた…今日が締切り日だって分かるけどちゃんと休まなきゃ駄目でしょ!」
「ご、ごめんね」
ましろは心配する2人に申し訳なさそうな顔をする。彼女は皆んなからの協力はあったものの、やはり初めて作る絵本だから色々と手間がかかってしまう。それだけで無く平日は学校生活で絵本が作れない分、家に帰ったら毎日夜更かしして絵本作りを励んだ事が原因なのだろう。
「とにかくよ。完成した絵本の原稿は私たちが市役所に持っていくからあんたは休んでて。行くわよソラ」
「はい、らんこs「ま、待って…!」ましろさん?」
ましろの代わりにらんこ達が原稿を市役所まで届けに行こうとするがそこにましろが呼び止める。
「ソラちゃん…らんこちゃん……我儘を言う様だけど私も一緒に連れて行って…!」
「何を言っているんですかましろさん!?」
「馬鹿!今のあんたを連れていく訳いかないでしょ!」
ましろの頼みにソラとらんこは思わず否定的な意見が出る。風邪や病気でないにしろ倒れかける程疲れが溜まっているましろを下手に外に連れていけば今度こそ倒れるかもしれないのだ。
「お願い…この絵本は私が作ったの…だから私自身の手でこの絵本をコンテストに応募したいの…!」
ましろの必死の頼みにソラとらんこは何も言えず互いに目を合わせるとらんこが深くため息を吐く。
「はあ〜……仕方ないわね。ソラ、ましろを支えて。私は原稿を持つから」
「わかりました。さぁ、ましろさん肩を貸しますよ」
「ありがとうね……」
自身の我儘を聞いてくれた2人にましろはお礼を言うとソラに身体を支えて貰いながら一階へ降りていく事になる。尚、この後リビングにいるツバサ達の説得に骨が折れるもなんとか説得し皆んなでましろを支えて市役所へ向かう事となる。
「ましろさん頑張って下さい」
「ゆっくりで良いですから、転ばない様に」
「そうよ。自分のペースで歩きなさい」
「う、うん…」
地面を転ばない様にましろの左右にソラとらんことツバサがおり、その後ろにはあげはとベリィベリーにエルが付いている。
「全く…歩くのも困難な程疲れるなんて本当に無茶をしてくれるな」
「まぁまぁベリィベリーちゃん。ましろんもこの絵本に色々と気持ちを込めているから気持ちをわかってあげて」
「ましお〜、がんばれっ」
無茶をするましろにベリィベリーは彼女の事をあまり良く思ってないのに対してあげはがフォローを入れる。兎に角コンテストの応募の締め切り時間は17時まで。この時点で結構ギリギリだがましろが転んで怪我をしない様配慮をし、一同は道をゆっくりと市役所まで歩いていく。すると道中の横断歩道の信号が赤に変わってしまい、一同は足止めされる。
「早く信号変わりなさいよ」
「落ち着いて下さいらんこさん。時間はまだありますから慌てずに…ん?」
信号が中々変わらない事に苛立ちを覚えるらんこをソラが宥めているとその信号の先に見覚えのある人物がいる事に気がつく。
「やぁ、こんなところで奇遇だね。君たちは何処にいく気かな?」
「アレじゃないかこんな良い天気だ。揃って遊園地でも遊びに行く気か?」
歩道用信号の先にはバッタモンダーと車に変形しているターボマンの姿があったのだ。
「バッタモンダー!それにターボマンも!」
「あんた達に構っている余裕はないから其処を退きなさい!」
「そうよ!こっちは忙しいんだから!」
よりにもよって悪いタイミングで現れた2人に一同は構っている余裕はなく、自分達に関わるなと突き放す様な発言をする。そんな事を言われた2人は苛立ちや逆上する事はなくほくそ笑む。
「おやおやつれない事を言うね。僕はそれなりに付き合いが長いんだからそんな冷たい態度を取らなくて良いだろ」
「全くだな。俺は戦った回数はたったの2回だがそれでも拳を交えた仲なんだ。少しは仲良くしようぜ」
「よくもぬけぬけとそんな台詞が出てくるな…!」
全くと言って良いほど仲良くする気がない癖して態とらしく言うバッタモンダー達にベリィベリーは苛立ち拳を強く握りしめる。
「おお、怖い怖い。それよりも君たちの持つその封筒。なんだか大事そうに持っているけど何が入っているんだい?」
「あんた達には関係ないでしょ!」
封筒を目につけたバッタモンダー達にあげはは強気な態度を見せてバッタモンダー達を追い払おうとするが、それが余計にバッタモンダー達に興味を惹かせてしまう。
「そんな怖い顔をしないでくれよ。僕達は君達な心配なんだ。何かアクシデントやトラブルに巻き込まれてその封筒を失ってしまわないかってね」
「その通りだ。世の中は危険がいっぱいだからいつ何時何が起きても不思議じゃないからなぁ」
「そんな白々しい台詞を言って!どうせお前達はこの封筒を狙っているんだろ!」
ツバサの指摘にバッタモンダーは再び笑い声を上げる。
「ハーハハハッ!…その通りだよ!カモン!アンダーグエナジー!」
『ランボーグ!』
「そんで俺変形!」
ツバサの発言を認めるとバッタモンダーはアンダーグエナジーを側の歩道用信号機に注ぐとランボーグが誕生し、ターボマンも人型に変形してランボーグの隣に並び立つ。
「ああ、もう!こんな時に!」
「仕方ありません。ましろさん此処は私達に任せて貴女はエルちゃんと市役所へ行ってください!」
「ううん、私も戦うよ」
コンテストの締め切りを間に合わせる為、ソラ達は自分達がランボーグとターボマンの相手をしようとミラージュペンを構えるがましろもミラージュペンを取り出した。
「ちょっとましろ!」
「ましろんは無茶しないで!」
「ましろさん絵本作りの疲れが溜まっているんですから!」
「無理に戦おうとするなましろ!」
「そうですよ!貴女は封筒を市役所へ持って行って下さい!」
疲労が蓄積している上にコンテストの締め切り時間が迫る中で戦おうとするましろを一同は止めようとするが彼女は拒否する。
「ううん、そんな事はさせられないよ。確かに私は疲れていていつもの力は出せないかもしれない……でも、皆んなが戦っている中私だけ安全地帯にいるなんて我慢できないよ!」
「ましろ…」
彼女の台詞にらんこはデジャヴを覚える。以前自身も戦いの中で傷つき疲れが溜まっていて皆んなから止められた際にも似た様な台詞を言った事を思い出してしまう。
「…全く、性格に似合わない頑固さね。わかったわ。一緒に戦う事は認めて上げるけど戦えそうになくなったり、締め切り時間がギリギリになったら止めるけど良いわね」
「らんこちゃん…ありがとう!」
らんこから条件付きで戦う事を許して貰った事にましろはお礼を言う。対してらんこはソラ達に目を合わせると彼女達もらんこの言う条件に納得する。
そして、ましろ達はミラージュペンを掲げると一気に変身する。
「「「「「スカイミラージュ!トーンコネクト!ひろがるチェンジ!」」」」」
「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!」
「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!」
「大空に広がる一陣の風!キュアツイスター!」
「天高くひろがる勇気!キュアウィング!」
「アゲてひろがるワンダホー!キュアバタフライ!」
「「「「「レディ……ゴー!ひろがるスカイ!プリキュア!」」」」」
変身が完了すると封筒をエルに預けてベリィベリーと共に一同はランボーグとターボマンとの戦いに挑むのであった。