ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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第11話 悲しき風と優しい光の出会い 後編

あげはを戦いに巻き込まない様に川から離れたらんこは近くにある公園へ来ていた。彼女は後ろに付いてきたカバトンの方へ振り返る。

 

「グフフ、鬼ごっこはおしまいなのねん」

 

「私は鬼ごっこをやったつもりは無いわよ……寧ろ肥えた豚をこの場所へ誘い出した方が正しいわよ」

 

カバトンはらんこを追い詰めた事に笑みを浮かべるのに対し、らんこは周りを見渡し人が居ない事を確認しつつ、カバトンを煽る。

 

「チィッ、相変わらずお前はムカつくのねん!…まぁ良い、さて…どうやって虐めてやろうか……?」

 

カバトンは辺りの遊具を見渡した、滑り台、ジャングルジム、ブランコなどの遊具を見るとその中の一つに目が入った。

 

「あれにするのねん。カモン!アンダーグエナジー!」

 

『ランボーグ!』

 

「うう…」

 

アンダーグエナジーを召喚するとアンダーグエナジーは公園の砂場に注がれ、砂の巨人のランボーグが誕生する。

それを見てらんこは一瞬顔に恐怖の感情を浮かべるも、両手で己の頬を叩いて気合いを入れるとそばにあった太めの木の枝を手に取るとランボーグに向かって走り出す。

 

「いやあああっ!」

 

枝をがむしゃらに振るうが一部崩れるのみでダメージは入っていなかった。

 

「無駄なのねん!砂で出来ているからお前のYOEEE攻撃なんて屁でも無いのねん!」

 

今回作り出されたランボーグは砂で出来ている為、物理攻撃など全く効果をなさなかった。それでもらんこはひたすら枝を振り続けるが、ダメージは入らない。

 

『ランボ!』

 

「ああっ⁉︎」

 

良い加減鬱陶しく思ったのか、ランボーグはらんこを払いのけると彼女は地面に叩き出される。

らんこもこれ以上は無駄な行為だと理解すると、立ち上がってランボーグを背に逃げ出す。

 

「何処へ行くつもりだ?ランボーグ追いかけるのねん!」

 

『ランボォォォグゥ』

 

ランボーグはらんこの後を追う、一方で彼女は滑り台の上まで登るがすぐ後ろにはランボーグが迫っており砂の手を伸ばして捕まえようとするが、彼女はポケットから掌に収まるくらいの玉を取り出すと足元に叩きつけて其処から大量の煙が放出される。

 

『ランボッ⁉︎』

 

「んな⁉︎フード娘め、またずる賢い事を!」

 

煙によってランボーグの視界が煙に覆われ、らんこが認識出来なくなったのを狙い彼女は滑り台の柵に足をかけると、其処から跳んで地面へ着地する。

 

「今なら!」

 

そう言ってらんこはとある場所に向かって走り出そうとする。

 

「何をするかは知らねえが、そうはさせないのねん!ランボーグ!フード娘の位置は右だ!其処に向かって攻撃するのねん!」

 

『ランボォッ!』

 

カバトンがランボーグに指示を出すとランボーグの右腕が大砲となり其処から走っているらんこに向かって砂の塊が放たれる。

 

「えっ、きゃぁぁぁぁっ‼︎」

 

飛んできた砂の塊を受けらんこの身体は大きく飛び、近くの鉄棒へ身体が叩きつけられる。

 

「ぐ、ぐぅ……」

 

ふらつきながらも鉄棒で支えながら立ちあがろうとするが、彼女は当たりどころが悪かったのか足に力が入る事が出来ず立ち上がる事が出来ない。

 

「お願い…立って、立ってよ!」

 

彼女は自身の体に言い聞かせるも、体は思う様に動かない。

 

『ランボォーグ』

 

「あ、きゃああああ!」

 

気がつくと背後にはランボーグが立っており、逃げる事が出来ず巨大な砂の手に捕まってしまう。

 

「ギャーハッハッハッ‼︎YOEEEE‼︎いやこの俺がTUEEEEからか、頼りのプリキュアが居なければお前はただのお荷物なんだよ」

 

ランボーグに捕まっているらんこを見て愉快に笑い声を上げる、それを見てらんこはカバトンを鼻で笑う。

 

「……ふっ、ええそうよ……確かに私はお荷物よ……けど、私が居なくてもソラは強いし、ましろがプリキュアになった今じゃあんたに勝ち目なんて無いわよ!」

 

「喧しいのねん!締め上げろランボーグ!」

 

「っ!あああああっ!!!」

 

ランボーグは手に力を入れるとらんこの体は締め付けられ、締め付けられる痛みに思わず悲鳴を上げる。

するとその時、彼女の服から何かが落ちてカバトンの目の前に転がる。

 

「ん、何だこれ?」

 

「っ⁉︎か、返して!それは私の大事な物‼︎」

 

拾い上げた物は彼女の音楽プレイヤーであった。それを見た彼女は顔を青ざめて取り乱す。

そんな彼女の顔を見てカバトンは悪そうな笑みを浮かべる。

 

「ほぉう。そんなに大事な物か……なら、こうしてやるのねん!」

 

そう言うと音楽プレイヤーを地面に落とし、カバトンは踏み壊した。

 

「あ……ああああああっ!?」

 

壊された自身のプレイヤーを見てらんこは涙を流し絶望の表情を浮かべる。

 

「ギャーハッハッハッ!!!いい気味なのねん!!!今まで俺を散々コケにしたバチが当たったのねん!!!」

 

彼女の泣き顔を見てカバトンは思いっきり笑った。今までの彼女に対する鬱憤が溜まっていた所為か、その後も壊した音楽プレイヤーを踏み続ける。

そんな様子を少し離れた木の裏からキメラングが怪しげな黒い鏡越しでその様子を覗いていた。

 

「うわぁ…カバトン君やる事がえげつないね。見た所あの子にとって大切な物なのにそれを壊してあの顔は……結構鬱憤が溜まっていたんだろうね」

 

カバトンの行動に若干引くも、直ぐにらんこに視線を移す。

 

「それにしてもあの子は少しは期待出来ると思ったけど、やっぱりただの一般人はこれが当たり前か」

 

先程までのランボーグとの戦いを見て、らんこが何か策を考えていた様だが、それを実行出来ず捕まり泣いている姿を見て期待外れと言わんばかりに落胆な表情を浮かべると持っていた黒い鏡を白衣の中へ仕舞う。

 

「さて、このままお前の泣き顔を見るのも良いけど、今まで味わった屈辱を味合わせてやるのねん!ランボーグ気絶しない様にジワジワと締め付けるのねん!」

 

「ううっ、ひっぐ…!」

 

自身のプレイヤーを壊されたらんこはカバトンの声は聞こえず悲しみくれて涙を流していた。

そして、ランボーグは命令を受け、万力の様に更に彼女の体を締め付けようとした瞬間だ。

 

「やめてぇぇぇぇぇぇ!」

 

「ん?」

 

「ひっぐ、いまの……こえは……」

 

そんな時公園の外から声が響きカバトンとらんこはそこへ視線を向けるとましろが立っていた。此処まで来るのに走っていたのか息が荒かった。

 

「ま…しろ……」

 

「脇役…なんで此処に⁉︎」

 

「らんこちゃん……!」

 

ましろは普段泣かずいつだってクールな対応をして、痛い思いをしても泣かずに自分達を助けてくれていたらんこの事を尊敬していた。だが、目の前でランボーグに捕まっているらんこは涙を流していた。

 

「カバトン!らんこちゃんに何をしたの⁉︎」

 

「なにって、ただ俺様はこいつの物を踏み潰してやっただけなのねん」

 

「踏み潰した……?あっ!」

 

カバトンの言葉に釣られカバトンの足下に視線を移すと其処には壊された音楽プレイヤーがあった。

 

「そ、それはらんこちゃんの……!」

 

その壊されたプレイヤーは常日頃らんこが身につけている大事な物だ。それは彼女だけでなくましろにも縁がある物だった。そんな音楽プレイヤーを壊されてらんこが泣いていると理解するとましろの頭に血が上る。

 

「……さない」

 

「あん?」

 

「これ以上らんこちゃんを傷付けるのは許さない!」

 

普段の彼女らしからぬ怒りの表情を見せるとミラージュペンを構える。

 

「ひろがるチェンジプリズム!」

 

その言葉と共にましろは眩い光に包まれる。

 

「ふわり広がる優しい光!キュアプリズム!」

 

変身が完了したプリズム即座にその場から飛び出し、ランボーグに捕まっているらんこを助けようとする。

一方で一部始終を見ていたキメラングもプリズムへ変身したましろを見て興味が湧いていた。

 

「へぇ〜、あれが例のプリキュアって奴か。今度こそ私の期待に応えてくれよ!」

 

再び鏡を取り出すとプリズムの戦いを観戦する。

 

「はあああああっ!」

 

飛び出したプリズムはランボーグに向かって拳を振るうが当たった瞬間、その場所は崩れ落ちるもダメージは入っていなかった。

 

「なら、これはどう!」

 

物理は無意味と判断したプリズムは間合いを取ると両手から光弾を作りそれを連射して放った。対してランボーグは防御をする事なくそのまま受けるも、砂が崩れただけで直ぐにランボーグの身体にくっ付いて再生する。

 

「そんな⁉︎これも効かないなんて!」

 

「ぐふふふっ、まさかフード娘を痛めつける為に作ったランボーグがプリキュアの攻撃にも効かないなんて嬉しい誤算なのねん!こいつならキュアスカイも手も足も出せないのねん!」

 

プリズムの攻撃を無効化する自身のランボーグに喜ぶカバトン、仮にスカイが来たとしても今日こそは勝てる自信に満ち溢れていた。

 

「ま…まし……ろ……」

 

「しっかりしてらんこちゃん!」

 

ランボーグの砂に長時間拘束されているらんこは身体の水分がじわじわと持っていかれて脱水症状を起こし、意識を失いかけている。

そんな彼女にプリズムは意識を保つ様に声を掛けていく。

 

「み、みず……」

 

「大丈夫!直ぐに助けて水を飲ませるからもう少し頑張って!」

 

未だに目の前のランボーグを倒す手立てを思いつかないプリズムだが、水を欲する彼女を見て直ぐにでも水を飲ませる事ができない己の無力さを悔しがるも。

 

「ち、ちが…う…」

 

「…え、違う?」

 

だが、らんこは違うという言葉を出して、何かを否定している様子だった。

 

「わ、私じゃ…なく……て……」

 

「ごちゃごちゃうるさいのねん!そいつを黙らせろランボーグ!」

 

『ランボーグ!』

 

「ああ⁉︎らんこちゃん!」

 

何かを伝えようとするらんこをカバトンはランボーグに命令して彼女を胴体へ押し込むと全身がランボーグの身体へ取り込まれる。

 

「なんて事をするの!」

 

「はっ、耳障りだったから黙らせてやったのねん。でも、これでお前も下手に攻撃できなくなったのねん!ランボーグ!プリズムが攻撃できない今やっつけるのねん!」

 

『ランボォォォォォォグッ‼︎』

 

「くっ!」

 

ランボーグは両腕を大砲の形へ変えると、砂の塊をプリズム目掛けて放つ。

一方でプリズムは今は避ける事に専念する。下手にランボーグに攻撃をするとランボーグの中に囚われているらんこに当たるかもしれない。だが、ランボーグを倒さない限り彼女を救う事も出来ない。更に言うと砂で出来たランボーグだ。早く助けないと身体の水分が全て砂に吸収され、死んでしまう。どうしたら良いと悩ませる。

此処はソラが助けに来る事を期待したいプリズムだったが、肝心のソラはらんこを探す為に別れてそれっきりだ。

此処へ来る途中あげはからの電話で川の堤防であげはと合流してエルを預け、彼女にソラを見つける様に頼んだが、間に合わないだろう。

 

(それじゃあ、どうやってらんこちゃんを助ければ良いの⁉︎)

 

友達の命が危ないこの状況をどうやって打破すれば良いと考えると、ある事が頭の中に過ぎる。

 

(そう言えばらんこちゃんはいつも何か考えがあって行動している…)

 

思い出すのショッピングモールの件で、2人で協力したが近くの店で消火器を拝借して煙幕にしたり、裏山ではソラに大量の石を使ってランボーグを倒すサポートをしていた。

それなら今回も彼女は何かこの状況を何とかする策を思いついているのではとプリズムは考える。

 

(待って、もしかして……)

 

其処でプリズムが思い出すのはランボーグに取り込まれる寸前にらんこが言った言葉だった。

 

『み、みず……』

 

『ち、ちが…う…』

 

『わ、私じゃ…なく……て……』

 

最初は脱水で干からびていた所を水を欲したかと思ったが、その後否定し、自分では無い誰かに水を渡す様に言っていた。

 

「あの時言ってた言葉の意味は……あっ!もしかして…!」

 

何かに気付いたプリズムは辺りを見渡す。すると、少し離れた所にある水道を見つけると、ランボーグに視線を戻す。

 

「そうか!そういう事なんだねらんこちゃん!」

 

プリズムはらんこがあの時何を言いたかったのかを理解する。

 

「何をぶつぶつ言っているのねんいい加減大人しく倒されるのねん!そうすればあのフード娘と一緒に仲良く捕まっていられるのねん!」

 

「そういう訳には行かない。私はプリキュアとして、そして友達としてらんこちゃんを必ず助けるって決めたんだもん!」

 

彼女はらんこを必ず助ける為、動き出す。

 

「はっ、出来る訳ないのねん!」

 

『ランボーグ‼︎』

 

引き続き砂の塊を放つランボーグ、それをプリズムは避け一定の間合いを空けると、

 

「ここだ!」

 

そう言うとプリズムは光弾をランボーグに向かって放つ。

 

「はあっ⁉︎正気か⁉︎このままだとランボーグの中にいるフード娘に当たるぞ⁉︎」

 

躊躇無く光弾を放つプリズムにカバトンは敵であるにも関わらず、思わず声を荒げてしまうが、光弾がランボーグに当たるギリギリで軌道がずれ、ランボーグの脇を掠ってそのまま後ろの方へ飛んでいった。

 

「ふうー……って、やっぱり人質作戦は効いているのねん!現に此奴は直前に躊躇って外したんだからな。なら、ランボーグ!フード娘を徹底的に利用してプリズムに攻撃を続けるのねん!」

 

プリズムの放つ光弾は彼女自身が取り込まれているらんこを思って外したと思っているカバトンは人質を最大限に利用してプリズムを倒そうと考えるが、突然辺りに何かが破壊される音が聞こえると、

 

『ランボォッ⁉︎』

 

「な、なにいっ⁉︎」

 

それと同時にランボーグの背後から大量の水が掛かり、次第に全身が水で湿っていく。

 

「な、何で水が……って、あっ!」

 

水が出ているところに視線を移すと水道があったが、見るも無惨に壊され噴水の如く止まらず出ていた。そして、同時にカバトンは先程のプリズムの光弾を思い出す。最初は人質の存在に躊躇って外したのかと思っていたが、実際は違った。最初からランボーグを狙ったのではなくその後ろにある水道を狙ったのだ。

そして、砂で出来た体は水をあびた事により固まっていきランボーグの動きは鈍る。

 

「な、何やっているのねん!早く動くのねん!」

 

『ラン…ボ……ォォ』

 

ランボーグは動こうとするが全身の砂が水を吸収してしまった為、体が固まり思うように動かなくなっていた。

 

「やあっ!」

 

『ボオッ!?』

 

固まって動かなくなったランボーグの胴体にプリズムは渾身のパンチをお見舞いする。すると、ランボーグの身体は先程の様に散らず全体的にひび割れてそこかららんこの姿が露わになり、彼女がランボーグの身体から落ちるが、プリズムが受け止めた衝撃で普段フードで隠していた彼女の髪、緑色のボブヘアーが顕になる。

 

「らんこちゃん!」

 

「うう……」

 

気を失っているが生きている事が分かると安心して近くのベンチへ優しく寝かすとランボーグを人睨みする。

 

「よくもらんこちゃんを……絶対に許さない!」

 

プリズムは一気にその場から飛び出してランボーグとの間合いを詰める。

 

「はあああああっ!!!」

 

『ラアアアアッ!?』

 

「ひ、ひええええっ!!!」

 

プリズムの怒りのラッシュ攻撃にランボーグはなす術なく受けるしかなかった。

そして、其処からアッパーを決め、ランボーグの巨体は倒れる。

 

「これでおしまいだよ!」

 

ましろは飛び上がると両手をランボーグに向け、光弾を作り出す。

 

「ヒーローガール…プリズムショットォォォォォォォォッ!!!」

 

『スミキッター』

 

渾身のプリズムショットを放つとランボーグに命中して浄化され、元の砂場に戻る。

それに伴い、戦いで破壊された公園は元に戻る。

そして、浄化されたランボーグから発生されたキラキラする謎の物質がキメラングの持つ鏡に吸収される。

 

「これがプリキュアの力か……予想以上だよ!面白い素材も手に入れたし。また、データを取らせてくれたまえよ。キメランラン♪」

 

満足いく様子にキメラングは姿を消した。一方で、その場に残ったのはプリズムとカバトンでカバトンは腰を抜かして地面に尻餅をついて、プリズムは普段からは出さない鋭い眼孔でカバトンを睨む。

 

「ひ、ヒィッ⁉︎か、カバトントン‼︎」

 

慌ててカバトンは転移し逃げ、プリズムも戦いが終わったとわかると変身を解く。

 

「ふぅー……あっ!らんこちゃん!」

 

ましろはらんこの存在を思い出すと慌ててベンチで横になっている彼女の元へ向かう。 

 

「らんこちゃん!らんこちゃんしっかりして!」

 

「ぅぅ…ま……しろ」

 

「らんこちゃん!」

 

ましろの呼びかけに反応したのか薄らと目を開け彼女を見つめる。

 

「ラン…ボーグは……?」

 

「大丈夫だよ!ランボーグは私が倒したからもう安全だよ!」

 

「そぅ………めいわく………ご……めん…………」

 

ましろに謝罪の言葉を言うと再び彼女の瞳は閉じ、意識を失う。

 

「らんこちゃん?…そんな、らんこちゃん嫌だよ!」

 

らんこに呼びかけるましろであったがらんこは一向に起きる様子は無い。ましろはどうすれば良いか悩んでいると、公園の外から車のエンジン音が聞こえて振り向くと、そこには黄色いハマーが駐まっており、そこからソラとあげはに彼女に抱えられたエルが出て来る。

 

「ましろさーん!」

 

「ましろーん!」

 

「えるるー!」

 

「ソラちゃん…あげはちゃんにエルちゃんも……」

 

其処へ駆け付けたソラ達の姿を見て安心したのか涙を流すましろ。

 

「ましろさん遅くなってすいません!らんこさんは…っ!らんこさん‼︎」

 

「えるうー!」

 

「ちょっと診せて!」

 

ソラは意識を失って体の至るところが傷だらけのらんこの姿を見て動揺を見せ、エルも彼女の気付いた姿を見て泣いてしまう。

あげははエルを一旦ましろへ預けるとらんこの体を触れ、体の状態を確認する。

 

「酷い……体が衰弱している…それに肌も乾燥している…急いで病院に連れて行こう!」

 

「はい、では私が車の方まd「待って!」ましろさん?」

 

病院へ乗せて行こうと、ソラは意識の無い彼女をあげはの車へ運ぼうとした時にましろが止める。

 

「らんこちゃんはさっきまでランボーグに取り込まれていたから普通の治療じゃ治らないかも!」

 

「な、何ですって⁉︎」

 

ランボーグの体内に取り込まれる。又はアンダーグエナジーを普通の人間が取り込むとどうなるかわからないが、如何にもあの毒々しい闇のエネルギーで形成されたランボーグに取り込まれていたのだ。適切な治療を行わないと後遺症が残るかもしれない。

 

「でも、ましろん!このまま何もしないんじゃらんこちゃんが死んじゃあかもしれないんだよ⁉︎」

 

「らんこさんが……死ぬ?」

 

あげはの口から告げられた"死ぬ"と言う言葉に思わず思考が停止してしまう。

しかし、ましろは今のらんこを何とか治療できる心当たりがあった。

 

「お婆ちゃんなら…お婆ちゃんなら何とか治せるかも!」

 

「ヨヨさんが?」

 

3日前の件で色々事情を知ったあげははヨヨが学者である事も知った為、ましろの言う通り彼女なららんこを治療出来るかもしれないと思った。

 

「なら、一刻も早くましろんの家に連れて行かないと!ソラちゃん悪いけど、らんこちゃんを私の車へ運んで!」

 

「……」

 

「ソラちゃん?」

 

あげはは車を動かす為、ソラにらんこを運んで貰おうと声を掛けるが、ソラは返事や頷きもせず、その場で立ち尽くしていた。

 

「ソラちゃん!」

 

「えーる!」

 

「…はっ!…は、はい!わかりました」

 

ましろとエルが声を掛けるとソラは我を取り戻し、らんこを抱えるとあげはの車へ寝かせる。

その後3人車に乗り込み、ヨヨの待つ虹ヶ丘家へ直行する。

 

────────────

 

 

(……ここは……)

 

彼女は気がつくと見覚えのある教室に立っていた。

 

(ここって、確か私の小学校……)

 

何故、自分がここに居るのか分からないが目の前にある机に1人の少女が座っていた。

 

(あれは…私?)

 

何故、小学生の自分が目の前にいるのか一瞬理解出来なかったが、数秒してから状況を呑み込む。

 

(そっか……これが走馬灯って奴なのね……)

 

今見ているのは走馬灯と思った彼女は不思議と恐怖は感じなかった。意識を失う前に己は精神的に病みかけ、更にランボーグの攻撃を受け、精神と肉体両方ともボロボロだったのだ。死ぬのは当然と思った彼女はその場で座り込み、目の前に映る己の短い人生を見る事にした。

 

風波らんこは小学生の頃から物覚えが良く、運動も優れ、成績は常に一位を収めていた。親もクラスメイトから称賛を受けていた。正に神童であると、彼女は周りからチヤホヤされる事に幸福を覚える。

だが、彼女の姿を妬む者も少なくなかった。それをらんこは身をもって味わう事になる。

 

場面は彼女が小学5年生に上がった時へ映る。

4年生まで彼女の称賛の視線とは真逆に彼女は殆どのクラスメイトから白い目で見られていた。

彼女は最初あまりクラスメイトが避けているのは己の成績が優秀過ぎて周りが話しかけ辛いと思い、彼女は今までの優秀な成績を収めていた己の経歴を捨てるかの様に態と成績を下げる様に学力や運動を半年程を手を抜く事にした。そうすればクラスメイトの皆んなと仲良くなれると信じていたが、それとは真逆に彼女は周りから虐めを受ける事になった。

 

今までの成績も実力も嘘のなど汚い手を使って成績を納めていたと噂を流れ、自身が勉強から手を抜いたことにより信憑性が増し、机には落書きはされ、仕舞っていたノートや教科書はズタズタに切り裂かれていた。仕舞いにはバケツの水を掛けられる事もあった。

その後、虐めは公になり、らんこの父と母は虐めに気付かなかった事に責任感を強く感じ、前の仕事を辞めてソラシド市に引っ越して、新たな生活を始める。だが、彼女の心に付いた傷は大きく、前の学校の虐めていたクラスメイト達が何処かに居るのではと怯える日々が続き、彼女は前のクラスメイト達に見つからない様に常にフードを被る様になった。

フードを被る様になってからはまるで鎧を体に纏っているかの様に安心感を覚え、自身が強くなったと錯覚し、彼女の性格が誰にも媚びたりしない強気な性格へと変貌していった。その影響で彼女は人付き合いをしなくなり、静かな場所で1人過ごす様になると卒業まで彼女は友達を作ろうとしなかった。

 

(人と群れるなんて面倒……私はそう思っていた)

 

これからも友達なんて作らず1人で生きて行こうと思ったらんこ。しかし、そんな彼女に転機が訪れる。

それはらんこが私立ソラシド学園に入学してからだ。授業を終えた後であった。昼休みの時間に屋上で1人音楽プレイヤーを聴いて過ごしていた時だ。

 

『……学校なんてつまんない』

 

将来の為、勉強するのは大切な事だ。だが、友達なんて面倒だ。1人で過ごしていた方が気楽で良い。

 

『あのぉ…』

 

『なに、あんたは?』

 

背後から誰かに話しかけられたらんこは振り返ると、其処にはましろが立っていた。

 

『同じクラスの……風波らんこさん…だったよね。私は虹ヶ丘ましろ……あっ!』

 

当時初めて会話する事に他人行儀なましろはらんこに自己紹介をすると、何かに気づいて彼女の横に立つと中庭を見下ろす。すると其処には立派な桜の木が生えていた。

 

『わぁ〜!綺麗〜!』

 

その桜の木の美しさにましろは感動を覚え、隣にいるらんこに話しかける。

 

『風波さんも桜好きなんですか?』

 

『別に……桜なんてこの時期どこにでもあるわよ……珍しくも無い……』

 

『えっ、そうかな。こんなに綺麗で大きな桜は私初めて見るよ』

 

それがらんことましろとの初めての会話になった。それから数日が経過し、とある休日にらんこは珍しく街を散歩して、橋の所を歩いていると、

 

『…ん?……あれは』

 

彼女の視線の先にいたのは橋から下の方を眺めるましろであった。だが何か困っている様子だ。

らんこは面倒くさい事にならない内に早く去ろうと思い、彼女を横切るが、その時ましろが涙目になっている事に気付いたが、無視して歩こうとするが、ましろから10歩程離れた所で自身の足を止め、暫く何か考えると溜息を吐き彼女の元へ歩み寄る。

 

『……何やってんのあんた?』

 

『あっ、風波さん』

 

らんこに話しかけられた事に彼女の存在に気付くましろ。先程から川の方を見下ろしていた彼女は言いづらそうな表情をするも答える。

 

『ちょっとお婆ちゃんに頼まれて買い物をしていたんだけど……実は財布を川へ落としちゃって……』

 

『財布?』

 

どうやら誤って財布を橋の上から川へ財布を落としてしまって困っている様だった。らんこは橋の上から川を見下ろすが、光の反射などで財布が何処にあるか分からなかった。

 

『どうしよう……このままじゃお使いが出来ない…』

 

『…………』

 

財布を無くした事に彼女は物凄く困っている様子で涙目になっていた。そんな彼女の姿を見てらんこは再び溜息を吐くと、自身のバッグをましろに突き出す。

 

『……ちょっと持ってなさい』

 

『え、一体なにを…?』

 

荷物をましろに預けると彼女は橋の手摺りの上に立つと其処から暫く川を眺めた後、川に向かって飛び降りる。

 

『え、ええええっ⁉︎』

 

突然の行動にましろは驚きを隠せな慌てて手摺りから身を乗り出して川へ飛び降りた彼女の姿を慌てて確認する。激しい水飛沫の音が鳴るが川は膝下までの深さで足取りも安定している為、溺れることはなかった。その後、彼女は辺りを見渡しながら歩いていると何かを見つけ其処に手を突っ込むと彼女の手にはがま口財布が握られていた。それを見たましろは「あっ!」と声を上げ、らんこもこれがましろの財布であると察した。

 

『ありがとう風波さん!』

 

『別に……あのままだと後味悪いからやっただけだから』

 

履いていた靴下や靴が濡れてしまったが、軽く絞り水分を取り履き直した後、ましろに財布を渡した。

 

『あの、風波さんこの後お礼をさせてくれないかな?』

 

『結構よ…別に見返り目的でしたわけじゃ無いし』

 

そう言うと彼女はイヤホンを耳に付けた後、ポケットに入れてある音楽プレイヤー再生させるが、

 

『ん?』

 

『どうしたの?』

 

らんこの様子がおかしい。すると彼女はポケットに入れてある音楽プレイヤーを取り出すと、

 

『……最悪……壊れてるし……』

 

どうやら先程川に飛び込んだ所為で音楽プレーヤーが浸水して壊れてしまった様だ。

 

『ご、ごめんなさい!私の財布を拾ってくれた所為で壊れちゃったみたいで……』

 

『別に……自分でやった事だから……今度は無くすんじゃないわよ』

 

そう言うと彼女はその場から去ろうとすると、

 

『あ、あの!』

 

『……今度は何よ?』

 

まだ自分に用が有るのかと思い面倒くさそうに振り返ると、

 

『風波さん……あ、ありがとう!』

 

『……ふん』

 

らんこはましろからのお礼の言葉を受け取ると、その場から離れていく。

それから平日の学校でらんこは自身の机に座って窓の外を眺めていると、

 

『風波さん!』

 

『ん?』

 

ましろがらんこに話しかけてくる。

 

『虹ヶ丘……一体何の様?』

 

『じ、実は……これを渡そうと思って……』

 

そう言うとましろはらんこに何かが入った紙袋を差し出す。らんこは渡された紙袋が何なのかと思いつつ袋を開けて中身を取り出す。すると、それを見たらんこは目を見開く。

 

『これって、最新の音楽プレイヤーじゃない』

 

決して安く無いものを渡してきたましろにらんこは一体どういうつもりなのかと思っていると、

 

『良かったら使って…』

 

『……この前も言ったけど私は見返り目的で助けた訳じゃ無い』

 

これは受け取れないと紙袋に入れて返そうとするが、

 

『そ、それなら…私と友達になってくれないかな?』

 

『ともだち?』

 

一瞬友達と聞いて、小学生の頃に掌返しして虐めてきたクラスメイト達を思い出すも、彼女の優しそうな瞳を見てらんこは暫く考えると、

 

『……別に良いわよ』

 

『や、やったー!』

 

ましろはらんこが友達になる事を了承した事に喜ぶ。

 

『じゃ、じゃあ、らんこちゃんって呼んで良い?私もましろで良いよ」

 

『勝手にすれば……まぁ、あんた危なかしっそうだから私が見ていないと駄目そうだしね』

 

『えええっ⁉︎そ、そんな事ないよー!』

 

らんこから軽口を言われたらんこは否定すると、その様子を見てらんこは笑みを浮かべる。

 

『それとこの音楽プレイヤーは受け取るわ……折角のご好意だから』

 

それかららんことましろは一緒に居る事が多かった。それからスカイランドからやってきたソラとエルと友達となり、ファンタジーな体験を何度もする様になり、ましろの幼馴染のあげはと邂逅する事になる。

 

そして、一通り己の人生を振り返ったらんこは一筋の涙を流す。

 

「やっぱり……もっとみんなといたい……!」

 

らんこは死にきれないと思い、何とか意識を起こそうとその場から立ちあがろうするが、周りから黒い闇が現れそれが彼女の体に纏わりつき力が抜けて、意識が沈んで行く。

 

「うっ……誰か……たす……けて……!」

 

全身が黒い闇に覆われて意識が沈もうとした時だった。目の前に一筋の光が現れ闇を照らす。それに気付いたらんこは光謎の物体に視線を移すと、見覚えのある形へと変化する。

 

「ミラージュ……ペン?」

 

それはソラとましろが持つミラージュペンと全く同じ物が存在する。しかし、目の前にある物はソラの様に青い光じゃ無く、ましてやましろの様な優しい桃色の光でも無い。まるで荒々しい風をイメージした緑の光だった。

 

「これは……私の……?」

 

恐る恐る彼女は僅かに残った力を振り絞り、そのペンを手に取ると一気に其処から激しい緑色の光と荒々しい風が吹き、彼女の体を覆っていた黒い闇が晴れ次第に彼女の意識はその光に包まれていく。

 

 

───────────

 

意識が戻り、ゆっくりと目を開けると見覚えのある天井がらんこの視界に入る。

 

「ここは……ましろの家?」

 

辺りを見渡すと見覚えのある部屋だった。らんこは己の手を見るが其処には先程まであった握っていたミラージュペンがない事に気付く。

 

「あれは……夢だったの?」

 

自身のミラージュペンがらんこ自身を闇から救い出してくれたと思ったが、何処にもミラージュペンがない事から先程の事はただの夢だったのかと思っていると、そこへ扉が開き其処からソラ、ましろ、エルそしてあげはが入って来る。

 

「あっ、らんこちゃん!」

 

「えっ、らんこさん⁉︎」

 

「らんこちゃん起きたんだね!」

 

「えるぅー!」

 

4人はらんこが起きている事に気付くと慌てて駆け寄る。

 

「み、みん、痛っ⁉︎」

 

上半身を起こすと身体に鋭い痛みが走り、思わず踞る。

 

「だ、大丈夫らんこちゃん⁉︎」

 

「無理しないでください!背中を見てみましたが大きな痣が出来ていましたよ!」

 

「あ、痣…?」

 

ソラの言う痣を聞いて思い出すのはランボーグの放つ砂の塊を受けて、吹き飛びそのまま鉄棒に叩きつけられた時だった。恐らくその時出来た傷だろう。

 

「それにしても本当に良かった…お婆ちゃんに治療して貰ったけどいつ起きるか分からないって言われてこのまま起きないとどうしようかと思ってたんだ……」

 

どうやららんこの体はかなり不味い状態だった様で下手すると一生目覚めなかったかもしれないと言う事だ。それを知るとらんこは思わず冷や汗を流す。同時に罪悪感を覚える。

 

「ごめん…迷惑かけて……」

 

らんこは今回の騒ぎの件を4人に頭を下げて謝る。

 

「ううん、私も気にしていないよ」

 

「私もです……寧ろこっちがらんこさん謝らさせて下さい」

 

「え、どう言う事?」

 

ソラの自分が謝りたいと言う発言に首を傾げるとソラは語り出す。

 

「らんこさん今まであなたの過去を知らなかったとは言え、あなたの心の傷を開く様な真似をして本当にごめんなさい!」

 

「え、もしかして……私が昔虐められていた事を知ったの?」

 

ソラの謝罪にらんこは自身の過去がいつの間にか知られている事に動揺しつつも、恐る恐るましろとあげはにも視線を向ける。

 

「うん、お母さんから聞いたよ。小学5年生の頃に虐めにあったっあったて…」

 

「私もましろんから聞いたよ……ごめんね」

 

自身の知られたくない過去をよりにもよってましろ達に知られてしまった事にらんこは深く動揺する。

 

「らんこちゃん取り敢えず言わせて……ごめんね」

 

「……え?」

 

ましろの謝罪を聞いて思わず振り向くと、彼女は涙を流していた。

 

「…だって私……らんこちゃんが苦しんでるのを知っていたのに相談に乗らなかったんだよ……」

 

ショッピングモールで彼女が苦しんでいる事に気づいていたましろは彼女が自分から話してくれるまで待とうと思っていたが、聞くのが怖かったのだとましろは気付いたのだ。もし、聞いたら彼女との友達関係が無くなりそうだと思ったのだ。

 

「そんな……そんな事ないわよ!」

 

「え?」

 

「私もみんなに…私の過去が知られるのが怖かったの!もし、知られでもしたらみんな私から離れていくかもしれない…そんな事ない筈なのに、でも私はそう思ってしまったの!……だから、ごめんなさい!」

 

優しい皆んなが自身の過去を知ると掌を返す様に関係性が変わると思ってしまったらんこは4人に謝ると、彼女達は笑みを浮かべる。

 

「ふふ、それならもう良いよね…」

 

「……え?」

 

「これ以上お互いに謝り続けるのはキリがない事だからこれでおしまいにしよ……ね?」

 

ましろの顔を見てらんこは恥ずかしくなったのか、顔が赤くなり彼女とは視線をずらす。

 

「ありがとう……ましろ……でも、これだけは言わせて……」

 

「なに?」

 

「その……殴ってごめん」

 

「ううん、気にしないで……」

 

ましろは殴られた事を許すとそれを聞いてらんこは表情が少し緩み、次はあげはに視線を移す。

 

「聖さんもごめんなさい……突き飛ばして」

 

思い出すのはカバトンから守る為、彼女を自分から無理矢理離そうと行った行動だが、あげはの膝に貼られてある絆創膏を見て少し胸が痛くなる。

 

「いいよ…あれは私を助ける為にやった事でしょ?寧ろお礼を言わせてよ」

 

あげはは突き飛ばされた事には怒っている様子は無く逆にらんこに御礼の言葉を言う。

 

「だとしても……私は聖さんに怪我をさせちゃった……お詫びに何かさせて下さい……何でもします……から」

 

「え、今何でもって言った?」

 

まるで定番ネタのその台詞にあげははついその返しをするとらんこは思わずビクッと怯える反応をみせる。

 

「あ、あげはちゃんらんこちゃんに酷い事をしないでね」

 

そんな事する筈無いと思っているが、ましろは一応あげはに言う。すると、あげはは考えが纏まったのか「よし」と声を出す。

 

 

「決めたよ。それじゃあ、らんこちゃんは今から私のことを"聖さん"なんて他人の様な呼び方じゃなくて"あげはちゃん"って呼んでね」

 

「え……ええええええっ!?」

 

呼ぶ名前を変える事にらんこは最初それぐらい問題無いと思ったが、あげは本人にちゃん付けで呼ぶ事に思わず驚きの声を上げる。

ましろの様に昔からの知り合いなら、呼ぶ事が出来るかもしれないが年上かつ3日前に邂逅した人物をちゃん付けで呼ぶにはらんこにとって余りにも難易度が高過ぎた事だ。

だが、何で持って言ってしまった故に断る事は出来なかったが、

 

「ひ、百歩譲って……"あげは姉さん"……でいいですか?」

 

代わりに姉さん呼びの代案を出す。これなら幾らかマシとらんこは思ったが、

 

「あげは……姉さん……⁉︎」

 

「え、どうしたのあげはちゃん?」

 

らんこから姉さん呼びされたあげはは衝撃を受ける。

フードを被ってないありのままのらんこの姿にまるで小動物を連想させる様な可愛さに更に恥ずかしながらも姉さんと呼ぶその姿にあげはの心に響き。思わず抱きしめてしまう。

 

「か、可愛いいいいっ!」

 

「ひゃああああっ!?は、離してェェェ!」

 

いきなり抱きしめられた事に声を上げ、そのまま揉みくちゃにされるのだった。

 

「ふふ、良かったね。らんこちゃんが元気になって……」

 

「え〜る!」

 

ましろはエルに話しかけると、彼女も同じ意見なのか笑顔を見せる。

 

一方で先程から会話に混ざらないソラはその光景を黙ってみていた。

 

(今回一件………私が最初からましろさんと一緒に行動していればらんこさんはここまで怪我する事なんて無かった筈です)

 

風波家を出た時、彼女はましろを置いて単身でらんこを探しに行ったのだ。

何故、彼女はそんな事したのかはらんこの母から告げられた彼女の悲しい過去を知ってしまった事だ。

ソラは今まで知らなかったとは言え、彼女のトラウマを刺激する様な行動…言動などを何度も行い、それに強く責任を感じ一刻も早く彼女を見つけて謝ろうとしたかったのだ。

だが、己のやった行動は全て空回りし、ましろが単身でランボーグと戦う事になり、その際らんこがランボーグに取り込まれる事になり命を失いかけた。

 

(未熟です……もっと強くならないと)

 

その日からソラは友達がこれ以上傷つかない様に更に鍛錬を増やして、強くなろうと思ったが、その夜から彼女は悪夢を見て魘される様になるのだった。

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