「フッフフーン♪」
ひかるがベリィベリーに蹴られて連れて行かれている頃、キメラングのラボにはキメラングが鼻唄を歌いながらダークパッドを眺めていた。そんな彼女にターボマンが気になって話しかける。
「随分と機嫌がいいなドクター」
「おっ、わかるかい?実は漸く新しいアーマーが完成したからね。気分が良くてつい歌ってたよ」
そう言うと白衣のポケットからはソラ達が使うスカイミラージュとよく似たアイテムと緑色と黄色の2色が入ったスカイトーンを取り出した。
「へぇ、今回の奴はプリキュアに変身するアイテムと似ているな」
「クククッ、彼女達にお披露目する時が楽しみだよ。リハーサルも何回もやったし。もう待ちきれないって感じさ」
どうやら今回の発明品はよっぽど自信があるのかプリキュア達と戦う時を楽しみにしている様だ。
「ハッ、そんな余裕な事を言って…また、壊されるのがオチじゃないのか?」
「「ん?」」
そこに場の空気を壊すかの様な発言が響き渡り、聞こえた方向に視線を向けるとそこにはあまり機嫌が良くない顔を浮かべたバッタモンダーが何か巨大なカプセルの様な物に座っていた。
「おやおや、バッタモンダー君。何やら機嫌があまりよろしくないみたいだけどどうしたのかな?」
「どうしたかだって?…ハッ、決まっているだろう。ここんとこ奴等に全く勝ててないんだ!機嫌が悪いに決まっているだろ!」
どうやらここ暫くの戦いで一勝も出来ずにいた所にバッタモンダーはむしゃくしゃしている様だ。更に言えばプリキュア側も戦う度に成長している為、バッタモンダーとしてはたまったものじゃなかった。そんな怒りを発散するかの様に巨大なカプセルを殴ったり蹴ったりをする。
「まぁまぁ落ち着きたまえよ。この前の戦闘記録を見たがターボマンを有利に戦わせる為にサポートに特化したランボーグを作り出したのは見事だったよ」
「そんな気休め程度の褒め言葉なんていらねえよ!それよりももっとプリキュア達を倒せる様な発明品とかねぇのかよ!お前がくれたランボーグを強化するアイテムと発明品はどれもこれも役た「あん?」…ずじゃないけど、プリキュアがそれを上回ってきて勝てねえんだよ!」
一瞬バッタモンダーはキメラングの発明品を貶す発言をしかけるとキメラングが睨みを聞かせた。そのため、彼は慌てて訂正してキメラングの機嫌を取ると現状では全く勝てないと答える。
「そいつはお前がドクターの発明をフルに使いこなせてねぇのが原因じゃないのか?」
「んなわけ無ぇだろ!俺は今まで借りた発明品は予め使い方とか確認しているんだ!ちゃんと最大限利用している!」
ターボマンの発言を否定するバッタモンダー、彼はプリキュア相手に最近全く勝ててない事から危機感を覚えていた。一応キメラングから借りた発明品を使うに当たっては事前に使い方を確認して力を最大限活かす方法でプリキュア達と戦ってはいるものの、プリキュア側のチームワークと戦いの中での成長の速さのせいで最終的には負けるのだ。
「まぁ、それなら戦い方を変えるとか良いが彼女達は戦いの中で常に成長しているからあまり効果はないかもね。それに対して君は等アンダーグ帝国の中でも実力は下の下、小細工なしで正面で戦えばあっさりやられるのがオチだろう」
「おい!人が気にしている事をストレートに言うんじゃねぇ!」
実力があまりない事を指摘されたバッタモンダーは思わず怒鳴り声を上げる。だが、実際の所キメラングの言う事は事実である。バッタモンダーは見た目からしてヒョロっとしており、力は前任者であるカバトンよりはるかに劣る。そんな彼だが弱い力を補う為に頭を使っているが、それでも上手く行かない。
「しかしだ。力が無い分頭を使ったり色んなものを利用するその姿勢は評価に値するよ。それ故に君にアドバイスを贈ろう」
「アドバイス?」
これまでキメラングは発明品を貸してくれた事があってもアドバイスを貰うことは無かったため、バッタモンダーは新鮮な気持ちを抱きつつ耳を貸す事にした。
「まず君はアンダーグエナジーの使い方を学ぶといい」
「はぁ?なんだよ今更」
「君は以前スカイランドでランボーグを青の護衛隊と戦わせ、その際プリキュア以外にランボーグを倒させようとした。そしてそれは残骸であるアンダーグエナジーをあちこちに撒き散らし、残っていたそれらを利用して超大型のランボーグを作り出そうとした事があったね。…その発想は実に良い。アンダーグエナジーは少量だけでは大した事ないがそれが沢山集まればあらゆる物を凌駕する!」
「お、おわっ!?あぶねっ!」
そう言いながらキメラングは大きめの本をバッタモンダーに向かって投げ渡すとバッタモンダーは慌ててそれを受け取る。
「な、なんだこれ?…昆虫図鑑だぁ?」
「その通り。その中にある……そうだなぁ。試しに蟻や蜂、それについて調べるといい」
「蟻や蜂って…馬鹿にしているつもりか!?」
アドバイスをすると言っておきながら蟻や蜂と言った小さい虫を調べろと訳のわからない事を言うキメラング。それにバッタモンダーは馬鹿にされたと思い込むが、キメラングは「違う違う」と言って否定する。
「いいかい?蟻や蜂は1匹だと大した事はないけどそれが何百、何千といった数が揃えば巨大な虫を相手にしても勝つことが出来る」
その説明を聞いてバッタモンダーは大きなスズメバチを相手にミツバチが群れをなしてスズメバチの身体を覆い尽くして蒸し殺し、蟻の場合は自分たちより大きな虫を黒い身体を大量に纏わりつかして弱らせていく姿が脳裏に浮かび思わず「うげっ」と声を出す。
「まぁ、そんな感じにアンダーグエナジーを少量かつ複数操る様にしてみるといい。私が使うドローンの様にね」
「少量かつ複数か……でも蟻と蜂はイマイチピンと来ないな」
取り敢えず納得しきれていないもののバッタモンダーは図鑑のページを開いて蟻や蜂について書かれたページを探そうとめくっているとあるページに目が止まる。
「ん?……こ、コイツは!?」
何やら目が大きく開きまるで子供が漫画本に熱中するかの様にバッタモンダーは開いたページの内容を熱心に見つめ始める。
「なんだ?バッタモンダーの奴偉く図鑑に夢中になっていたが、何か気になる虫でも見つけたか?」
「クククッ、恐らくあのページを見つけたんだろうな」
図鑑を熱心に見つめるバッタモンダーの姿に背後から見ていたターボマンは首を傾げるのに対してキメラングは彼が何に夢中になっているか察している様子だ。
そんな時キメラングの持つダークパッドが何やら点滅する。
「おや、どうやらプリキュア達が動き出した様だね。丁度良い機会だから今回新しいアーマーの試運転をするか」
「おう、早速プリキュア達に目に物を……ん?プリキュア達が動き出した?」
一瞬普通に出撃しようとしたターボマンだがキメラングの発言を改めて思い返して足を止める。彼女の発言からしてプリキュア達の動きを把握している様に聞こえるのだ。
「動いたって…彼奴らに発信機でも付けているのか?」
「違う違う。実は結構前にキュアスカイやキュアプリズムのアジトを把握していて其処から何処かに行くのをドローンで確認させてあるんだよ」
「へぇ、そうかなるほど……は?」
一瞬納得しかけて再び出撃しようとしたが足を止めてキメラングに再び振り向き、ターボマンは声を漏らす。
「ちょ、ちょっ待て。今奴等のアジトの場所を把握してあると言ったよな!?」
「ああ、だいたい4月辺りに把握してるが…それがどうしたんだい?」
「ハアアアアアアアッ!?」
さらっと衝撃の発言をした事にターボマンは驚きのあまり声を上げる。それもその筈。自分達の敵であるプリキュアには何度も痛い目を遭わされており、ターボマンも可能なら彼女達の
「ま、まてまてなんで今までそれを言わなかったんだドクター!?」
「いや、私としては奇襲をかけるのは趣味じゃないからね。だってそうしたら彼女達に発明品をフルに使えず、かつコンディションが悪いだろうから良いデータが取れないしね」
言わなかった理由に思わずターボマンはズッコケそうになりかける。対してキメラングの言う4月あたりと言うのは初めて並行世界へ行った時の事だろう。かつてひかるを洗脳した際ににてその際にキメラングは彼をマーキングしてその際に虹ヶ丘家の場所を突き止めたのだ。その場所を頼りに元の世界に戻った際にもそこを一応確認して虹ヶ丘家の場所を突き止めたのであった。
「ああ…まぁ、ドクターが奴等のアジトに奇襲はしない方針にするなら俺は何も言わねえよ。兎に角彼奴らが向かった先は分かるのか?」
「勿論さ。どうやらだいぶ山奥へと向かっている様だけど、ハイキングでもするつもりかな?」
「ハイキングね…まぁ、そうなったら俺のタイヤを凸凹地面に対応したオフロードタイヤに交換するか…おい、バッタモンダーお前も来い」
「いやちょっと待て、あと少しで何か掴めそうな気がするから俺は今回パスs「んなもん道中で見てろ!良いからとっと来い!」いでででっ!!!お、おい!髪を引っ張るなっ!ハゲるだダダダダダッ!!!」
図鑑を読んでいたバッタモンダーは自身の長い髪を掴むと彼を引きずる様にラボから出ていき、キメラングも後に続く様に出て行く。そんな後ろ姿をラボに残ったある人物が見ていた。
(……奴等は行ったか…)
そしてラボに残ったのは牢屋に囚われているシャララとその相棒のワシオーンが残され、シャララは周囲を見渡すと警備用に残された複数のドローンを確認するとほくそ笑むのであった。
──────
そして場面はらんこの方に戻る。彼女はヨヨが用意したミラージュパッドの空間の通り道を通ってヨヨの畑へと辿り着いたのだが、早速ベリィベリーが騒ぎ出していた。
「皆んな!やはり私の思ったとおりコイツはらんこを床に押し倒し抵抗できなくさせて接吻を強要させていたぞ!」
「え、マジで!?」
「ひ、ひかる君!ほ、本当にやったんですか!?」
「しぇっぷん?」
其処にはひかるを連れて先に畑へと戻ったベリィベリーがひかるがらんこにしようとした事をソラ達に話しひかるの評価を下げようとしていたのだ。尚、ヨヨはその場にはおらず何処かに行った模様。
「いやいや、さすがにそれはないでしょ」
「そうですよ。ひかるさんがそんな事をするとは思えませんよ」
しかし、ましろとツバサはベリィベリーの言う事を信じない。彼女達はベリィベリーがひかるを陥れようとして嘘をついているのではと思い込んでいた。
「い〜やっ!全て事実だ。そうだろ雷田ひかる」
「いや、誤解!……とは言えなくてその、やったかどうかと言われたら……つ、つい出来心で」
「「「「ええええええっ!?」」」」
「えるっ!?」
ひかるは一瞬否定しようとするものの、実際ひかるはらんこに男を見せようとしたためらんこは固まった。更にひかるはその状態でらんこから唇を奪おうとしていた為、否定する事が出来なかった。
「ヒュー!やるじゃんひかる君!男見せるじゃん!」
「何言っているんですかあげはさん!ひかるさんのやった事ってアウトに近…いえ、アウトですよ!」
「だ、ダメですよ!そ、そんな事をしては…!」
「い、幾ら彼氏でもやっちゃダメだよ!」
「おい、なんで私の言葉は信じず雷田ひかるの言葉は信じているんだ?」
ベリィベリーの言葉は信じなかったがひかるの発言を信じる一同にベリィベリーは納得出来ないが、改めてらんこに向き直ると両腕を広げる。
「らんこよ。奴に襲われてさぞ怖かっただろう。慰めてやるから私の胸に飛び込んでこい…ヨシヨシてやるぞ…ぐへへ」
「騙されないでらんこちゃん!」
「ベリィベリーさん思いっきり下心を出してますよ!」
明らかに下心目的でらんこを慰めようとするベリィベリーを見てましろとツバサはらんこを止めようとする。
「だ、大丈夫よ。私は気にしてないわ。そ、それに……わ、私は寧ろあのままでも…////」
「なん…だと…!」
顔を赤く染めて照れるらんこにベリィベリーは衝撃が走る。ベリィベリーは欲望のまま動こうとしたひかるによって傷ついたらんこの心と身体(こっちがメイン)で癒そう(意味深)と企んでいたのだが、らんこの反応からひかるに攻められそうになったのは満更でもない事に動揺を見せる。
「成る程、らんこちゃんって攻めの方が良いかと思ったら受けの方が良いんだ…」
「あげはさんは何を言っているんですか!?」
2人のやり取りを見たあげははらんこの性癖に関して勘違いをしツバサはツッコミを入れる。
「と、ところでらんこちゃんが持っているそのデカいリュックは?」
「え?…ああ、これね」
一方でましろはいい加減場の雰囲気を変えようとらんこに話しかけ、彼女が持ってきたひかるのリュックを指摘する。
「実はひかるがなんか勘違いしてハイキングに行くと思い込んで色々と荷物を入れてやってきたのよ。私の部屋に置くと場違い感が強いからもしかしたらなんか役に立つものがあるかもしれないと思って一応持ってきたけど。全く、ひかるもおっちょこちょいよね」
呆れた様にらんこは言うが、彼女は事前にヨヨから野菜収穫について聞かされていた。しかし、ひかるにはその目的地をちゃんと言っておらず。来る時の服装だけ言ったためこうなったのだと彼女は自覚していなかった。
「あのさ、俺も特に野菜収穫をするのは文句はないんだが…本当にあの野菜を俺たちが収穫するのか?」
すると何かに気づいたひかるは恐る恐るヨヨの畑に視線を向ける。其処には明らかに趣味で作ったとは思えない程に農家にも負けないくらいの広大な規模の野菜畑が広がっていたのだ。
「……ねぇ、私も敢えて無視…じゃなくてスルーしてたけど目の前にある野菜畑って本当にヨヨさんが作ったの?なんか私の想像していた3倍…いや、5倍くらい広いんだけど」
「う、うん、私達もそこはびっくりしちゃったよ」
ましろ達も先に到着した際は美味しく育った野菜畑に最初は感動するものの、視界に広がる…というより広がりすぎる畑の面積に次第に一同の顔は引き攣っていたのだ。そんな広大な野菜畑にらんこはベリィベリーがひかるを連れて行く際にマンパワーが足りないと発言した意味も理解する。
「なんかこんなに広い野菜畑なら野菜を収穫すると思うとちょっとやる気が無くなるわね……もう帰って良いかしら?」
「いや、今来たばかりでもう帰りたいの!?」
まだ畑に来て5分も経たずに帰りたい発言をするらんこにましろは思わずツッコミを入れる。
「安心しろらんこ。
「いや、馬車鳥って?…それよりもこの野菜畑を俺が1人にやらせるつもりかベリィベリーさん!?」
ベリィベリーの発言から自分を酷使させベリィベリーとらんこは2人っきりで何処かに行こうとする事に思わず待ったと声をかける。
「そうだよベリィベリーちゃん。流石にひかる君だけに野菜の収穫ってのはね…」
「あげはさんの言うとおりです。此処は皆んなで力を合わせていきましょう」
あげはとソラも援護射撃をしてベリィベリーは思わず「ぐっ」と呻き声を漏らすとため息を吐きながら口を開く。
「わかったわかった。確かにこの広大な畑を雷田ひかる1人に押し付けるのは酷な話だな。わかった。ちゃんと私も手伝おう…ただし雷田ひかる!」
「はい!?」
突然話しかけられた事にひかるは驚きつつも反射的に返事をする。
「お前…幾ら汚れて良い服を着ているからってらんこを押し倒すなよ。わかったか!」
「わ、わかってるって!」
(別に私は問題ないんだけど…)
ベリィベリーはひかるにらんこを押し倒すなと釘を刺す中、当のらんこは内心ひかるに押し倒される事に特に不満はない様子だ。
「皆さん揃いましたね」
「あっ、お婆ちゃん」
そんな時、先程から何処かに行っていたヨヨが一同の前にやってきた。
「ヨヨさん。この畑の野菜を私達が収穫するんですか?ちょっと…いや、かなりの野菜の量があるんですけど」
あまりの広大な野菜畑に自分達だけで収穫をするのは結構時間と体力を消費してしまうのではとらんこは不安になっていた。
「そうですか?これくらいの量私達が力を合わせればあっという間に終わりますよ」
「此処にいる誰もがあんたみたいな体力お化けと一緒だと思っているんじゃないわよ」
「た、体力お化け!?」
ソラとしてはフォローしたつもりがらんこから辛辣に体力お化けと呼ばれた事に動揺を見せる。しかしらんこの言う事は最もだ。此処まで広い畑をエルとヨヨを含めて9人いたとしても収穫するのはやや困難だろう。
「それでしたら心配ありません。実は数日前に知り合いに応援を頼んで置きましたのでもうそろそろこちらに到着する予定です」
『知り合い?』
すると遠くから車のクラクションが聞こえ、聞こえた方向に視線を向けると一台のハイエースがこちらに向かって来ていた。
「もしかしてあの車にヨヨさんの知り合いが乗っているんですか?」
「ええ、ちょうど良い時に来てくれました」
ハイエースはらんこ達の元へと近づき停止すると扉が開き其処から出てきた人物達にベリィベリーを除く一同は思わず「あっ!」と声をあげる。
「皆んな〜!久しぶり!」
「コメコメ!」
「「ゆいさん(ちゃん)!コメコメ!」」
「皆んな元気にしてた?」
「パムパム達は元気パム」
「「ここねさん(ちゃん)!パムパム!」」
「らんらんもいるよ〜!」
「メーン!メンメンもいるメン!」
「「らん(さん)!それにメンメンも!」」
「ヨヨさんからお呼ばれをされた時には君たちに会えると思っていたよ」
「あまねっ!」
ハイエースから降りてきたのは以前おいしーなタウンにて知り合ったゆい達デリシャスパーティ♡プリキュアの面々だったのであった。