ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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第119話 バッタモンダーとの決着

時をアンダーグウバウゾーが浄化される少し前の時間に遡り、トールは現在バッタモンダーの大量に操るバッタの数に翻弄されていた。

 

「さっきからずっとなんなんだよ、このあり得ない数は!」

 

「随分と焦っている様だね。まっ、幾ら小さいとはいえこの数を相手にしたら焦るのも仕方ないことだろうけど」

 

次から次へと周囲から飛んでくるバッタの大群に対し、下手に近づくとバッタ達が自身からエネルギーを吸い出して増殖してしまう。トールはその事態を恐れ、遠距離から電撃を放って撃ち落としつつ高速移動をして避ける事を繰り返す。それでもバッタの数はとんでもない程の量がいる為、トールの力を持ってしても対処はできない…いや、厳密にいえば対処できるポテンシャルはあった。それでも出来ないのはまだトールが己の力を完全に使いこなせていないからでもある。

 

(俺の力…まだまだこんなものじゃ無い筈だ。何とか力を使いこなさねえと…じゃないとやられる…!)

 

自身の力はこんなものでは無いと思っているトール。今回はまだ変身して2回目であり、最初の変身からそれなりに日数が経っている事から少しのブランクがあっても使いこなせば一気にこの状況を打破出来ると確信していたのだ。

 

「さて、僕は弱い者を長く痛ぶるなんて酷い真似なんてしないからね。一気に決めてあげるよ」

 

「くっ!」

 

相変わらず全く思ってない事を言うバッタモンダーはトールに止めを刺そうと全てのバッタをトールへと向ける。対してトールは大量のバッタの目を向けられた事に思わずギョッとなる。このままでは一斉に襲いかかってくるバッタになす術もなくやられてしまうとトールは悲観的な考えをする。

 

(いや、ピンチはチャンスって言葉がある。ギリギリまで諦めなければきっと逆転のチャンスが生まれるはずだ…!)

 

最後まで希望を諦めない。そう考えたトールは周辺を見渡して何処かに突破口がないか探し回る。しかしあるのは自身を狙うバッタのみ。彼等は前後左右から自分を狙っておりいつでも襲える様にロックオンし、ギチギチと顎を鳴らしている。

 

「くそ、どいつもこいつも俺を餌だと思いやがって…!」

 

自分を敵ではなく餌として認識しているバッタ達にトールは思わずイラッとする。こっちは真面目に戦っているのに、逆にバッタ達はさっきから腹を空かしているのか顎を鳴らしフラフラとしていたのだ。

 

(ん?腹を空かしてフラフラしている?……そうだ!)

 

何かを思いついた顔を浮かべるトールだが動くのをやめてその場で棒立ちする。それを見てバッタモンダーは不思議そうな顔を浮かべる。

 

「おや、もしかして諦めたのかい?」

 

「悔しい事にな。俺の速さを持ってしても此処からは抜け出せない事が漸く理解できたよ。俺の負けだ。降参だ」

 

そう言って両手を上げて戦う意思がない事をバッタモンダーに見せつけるトール。対してバッタモンダーは降参するトールを見て思わず口角が上がる。

 

「いいよ。その潔さに免じて……一瞬でトドメを刺してあげるよ!やれ、お前ら!」

 

戦う意思が無いトールを一気に倒そうとバッタモンダーはバッタ達に指示を出すとバッタ達は一斉にトールへと飛び出す。トールは抵抗する間もなくバッタ達に全身覆い尽くされエネルギーを根こそぎ持って行かれてしまう……そんな時だった。

 

「此処だ‼︎」

 

「な、なにぃっ!?」

 

その瞬間、トールはオーラを纏うとバッタ達に向かって雷の速さで飛び出す。それを見たバッタモンダーは驚愕する。自分からバッタの大群に突っ込むトールは死に急いでいるのかと思ったが、次の瞬間トールはバッタの大群から何故か無傷ですり抜けて脱出したのだ。

 

「ば、馬鹿な!?バッタ達に完全に包囲されていたのにどうやって抜け出せたんだ!?」

 

バッタモンダーの疑問は最もである。先程までトールは周りをバッタで囲われて脱出できなかった筈だ。それなのに何故脱出できたのか疑問でしか無かった。

 

「どうやらお前はこのバッタ達の弱点について理解してない様だな」

 

「弱点だと?そんなものある訳ねえだろ!」

 

自分の作ったバッタに自信のあるバッタモンダーにとってはトールの発言は自分を惑わそうとする根拠の無いハッタリであると思っていた。

 

「お前は言ってたよな。こいつらは常に飢えているって」

 

「だ、だからどうしたんだ…」

 

トールの言葉にバッタモンダーは疑問符を浮かべる。バッタ達が飢えているのは作ったバッタモンダーが知っている事だ。なのに何故今更その事を指摘するのかわからなかった。

 

「こいつらは常に飢えているのは物を食うたびに吸収したエネルギーを自身の分体を作るために消費するからだろ。そしてこいつらは腹ペコである事で常にフラフラとしているんだ。それも自分達の間隔を自分達で判断できないくらいにな」

 

「ま、まさか…!」

 

バッタモンダーも漸く理解する。増殖の特性を活かす為に常に飢えさせた事がバッタ達の思考が鈍くさせ、一匹一匹の距離の間隔を開けさせすぎてしまった。トールはそこを突く形で包囲から脱出出来たのだ。

 

「さて、答え合わせは此処までにしてお前の操るバッタは厄介だからな。さっさと倒させてもらうぜ!」

 

「ま、待て!此処は平和的に話し合おう!」

 

「誰がするか!」

 

先程までバッタの大群で襲ってこようとしたバッタモンダーにトールは容赦しなかった。オーラを纏うと一気にバッタモンダーと距離を詰める。

 

「ヒイイイイイイッ!!!ゆ、許してくれええええっ!!!」

 

バッタモンダーは迫り来るトールに思わず情けない悲鳴を上げて許しを乞うが、トールは止まらずそのままバッタモンダーに一撃を叩き込もうと拳を構える。その瞬間、怯えていた筈のバッタモンダーの表情はニヤついた表情に変わる。

 

「なっ、まさか!?」

 

「そのまさかだよ!」

 

するとバッタモンダーの着ていたジャケットが蠢きそこから無数のバッタ達が飛び出しトールを襲う。

 

「グアッ!?このやろっ!」

 

バッタ達に全身を噛みつかれ、エネルギーを吸収されたトール。トールはそれに慌てて全身から電気を発してバッタ達を剥がした。だが、バッタ達は少しだけだがトールの身体からエネルギーを吸い取った事で増殖する。

 

「くっ、まさかまだバッタを隠していたなんて…!」

 

「どうだい。まさかバッタを隠し持っているとは思わなかっただろ?そのお陰で背中がチクチクしたけどさ」

 

普段のバッタモンダーなら隠し持っているなんてしない。だが、キメラングの戦いを間近で見ていたこともあって彼女がいつも不測の事態に備えて用意している事はわかっていた。そのためバッタモンダーもそれに習い、今回バッタを少量だけ隠していたのだ。

 

「さて、話はこれくらいにして改めて決着をつけようか?」

 

「決着って、まだ戦いは始まったばかりだろうが!」

 

勝ちを確信しているバッタモンダーに苛立ちを覚えるトールは再びオーラを纏うとものすごい速さで移動し、バッタモンダーの死角から拳を叩き込もうとする。その直後に先程までトールを襲おうとしていたバッタ達がバッタモンダーを守る様に盾となりトールの一撃を防いだ。

 

「なにっ!?」

 

「いやぁ、死角からの攻撃は中々だけど僕のバッタは結構出来が良くてね。こうやって生みの親である僕を守ってくれるんだよね」

 

「ま、まだだ!」

 

トールは諦めずに再び色んな角度から攻めるが他のバッタ達もバッタモンダーの元に集まり盾となって防がれてしまう。

 

「無駄さ。この圧倒的な数の前には君の速さを持ってしても勝つことはできないのさ!」

 

「ぐああああああっ!!!」

 

バッタモンダーが腕を振るうとそれに合わせてバッタ達は鞭のようにしなりトールへ襲い吹き飛ばしトールは地面に倒れる。

 

「ぐっ、まさか此処まで強いなんて…!」

 

「どうだい。前までの僕はただランボーグを操ってイキっていただけだったけど、今の僕はこうやって前に出て戦い君達プリキュアに圧倒出来る力を手に入れたんだよ」

 

バッタモンダーはこれまでと違い自身の力に自惚れているものでは無かった。しっかりと己の実力を把握し、更には相手の力量も把握出来るようになったのである。そして、自身の進化の素晴らしさに彼の顔は自信が満ちていた。

 

「さて、話はこれまでにしてそろそろ蹴りをつk「はああああっ!?」って、うおおおおおっ!?」

 

バッタモンダーがトールにトドメを刺そうとした瞬間、バッタモンダーに向かってプリズムが上から光弾の雨を降らせる。バッタモンダーは驚きながらもバッタ達を使って防御し、その隙にトールの元にスカイとウィングとバタフライが駆けつける。

 

「大丈夫ですかトール?」

 

「僕たちがいない間よく持ち堪えました」

 

「待ってて今すぐ回復させてあげるから」

 

自分達の不在にバッタモンダーと戦っていた事に労いの言葉を送るとバタフライはミックスパレットを使ってトールの傷ついた身体を回復させる。一方でプリズムはこれ以上バッタモンダーに攻撃しても防がれて無意味だと判断し、スカイ達の元に行く。

 

「おやおや、これは僕に先程無様に吹き飛ばされたキュアスカイ御一行様じゃないか。一体何の用だい?」

 

「当然貴方を倒しに来ました」

 

先程はバッタモンダーの操るバッタ達に侮りやられた彼女達だが今度は油断せず戦う為、此処に舞い戻ってきたのだ。

 

「僕を倒しに来ただって?あっ、はははははっ!!!それは無理な話だよ。何せこの僕、スーパーバッタモンダー様は強いからね。今の君達じゃ勝てないよ」

 

「いや、スーパーバッタモンダーって自分でスーパーを付けるなんてなんか恥ずかしくない?」

 

「いいや、僕は全然恥ずかしくないよ。何故ならスーパーって似合うくらい強くなったからね」

 

バタフライは思わず驚愕な顔を浮かべる。普段のバッタモンダーなら冷静さを無くして怒鳴り散らかすのに今のバッタモンダーはバタフライの煽り言葉に全くと言っていいほど余裕な態度を見せていた。

 

「今までのバッタモンダーとは違うみたい」

 

「恐らく力を手に入れて天狗になっているのでしょう」

 

「それなら慢心しているって事でしょ。ならその伸びた鼻をへし折ろう!」

 

バタフライの言う通りバッタモンダーは現在慢心している。その為、必ず何処かに隙や油断が生まれる。そこを突けば自分達の勝機を見出せる筈だ。

 

「僕の鼻をへし折るか。なら折れるものなら折ってみろ!」

 

バッタモンダーは再び腕を振るとそれに合わせてバッタ達はスカイ達に向けて襲い掛かるが、彼女達は跳んで避ける。

 

「しかしどうしますか?あのバッタの大群をチマチマ相手にしていてもキリが無いです。あっちは凡ゆる物を食べて数を増やし続けていきますし」

 

「私たちの体力にも限りがあるし、早く倒さなきゃ」

 

幾らプリキュアとしての体力があってもそれは無限では無く限りがある。その為長く戦い続ければいずれは体力は尽きてしまうだろう。

 

「なぁ、スカイは何か作戦があるか?」

 

「……」

 

バッタ達を一網打尽する作戦は無いかスカイに話しかけるトールだが、スカイは何やら顎に手を当てて考えている様子だ。

 

「スカイ?」

 

「…あっ、すいません。実はツイスターの言葉が気になったんです」

 

「ツイスターの言葉?」

 

ツイスターの言葉というのは少し前にツイスターがスカイとプリズムにバッタ達の攻略方法について何か伝えようとした時の事であろう。肝心の内容はツイスターがキメラングに攫われて知る事は出来なかったが。

 

「そういえば何かあのバッタ達を倒す方法について思いついたと言ってたよね」

 

「しかし、伝えようとした直前にツイスターはキメラングに攫われてしまったからその方法については結局分からず終いですけどね」

 

スカイ以外の面々もツイスターが伝えたかった内容については気になっており喉に刺さった小骨の様な感じであった。

するとトールは攫われる直前のツイスターの言葉を思い出す。

 

「そういえばツイスターはスカイとプリズムを名指ししていたよな。それって2人がバッタ達を倒す鍵になるんじゃないのか?」

 

「「私達が?」」

 

自分達が鍵と言われてピンとこないスカイとプリズムは先程から襲いかかってくるバッタ達を捌き避けながら考えているとプリズムが「あっ」と声を上げる。

 

「あっ、そうだ!もしかしてツイスターが伝えたかったのって」

 

「え、プリズムは何かわかったのですか!?」

 

確信とまではいかないがプリズムはツイスターが自分達に何を伝えたかったのか薄らと察した様だ。

 

「うん。皆聞いて、実は…」

 

「おいおい、戦いの最中に話し合いって流石に舐めすぎだよっ!!!」

 

自分が思いついた推測をスカイ達に伝えようとするプリズムであったが、そんな隙だらけの姿をバッタモンダーが逃す筈なく。バッタ達を操り再び彼女達に襲わせるが寸前の所散会して回避した。

 

「という訳だよ!皆んなわかった!?」

 

「はい、勿論です!」

 

「確かにそれならあのバッタ達を一度に全部倒せそうだしね」

 

どうやらこの様子からギリギリでプリズムはスカイ達に自分の考えたツイスターの作戦について伝えられる事ができた様だ。

 

「なら、バッタ達を引きつけるのは俺に任せてくれ。速さには自信があるからな」

 

「僕も協力します」

 

トールとウィングはそう言うとそれぞれ飛び出しバッタモンダーへと急接近する。

 

「何を企んでいるのかは知らないけど安易に突っ込むのは愚か者のする事だよ!」

 

「ハッ!その愚か者を未だに倒せてない奴が何言ってやがる!」

 

するとバッタモンダーはトールの煽りを聞いて眉がピクっと動く。

 

「こ、これは慈悲だよ。僕は強くなりすぎてしまったからね。何せさっきスカイ達を倒したからさ。此処は強者としての慈「僕たちは今までお前の操ってきたランボーグを何度も倒してきたんだ。たった一回の勝利に浮かれる前に自分が負けた回数を数えてみるのはどうだ!」……」

 

更にウィングの指摘を聞いたバッタモンダーは無言になり、地面に顔を俯かせると身体を震わせていく。それから彼は再び口を開ける。

 

「…い、いいだろう。そんなに僕を怒らせたいなら望み通りに怒ってやるよ!!!」

 

遂にバッタモンダーの堪忍袋がの緒が切れ、バッタモンダーはトール達に向かって全てのバッタ達を仕向けトール達はバッタとの鬼ごっこを始める。

 

「よし、作戦第一段階成功!」

 

「このまま行くぜ!」

 

2人は後をつけてくるバッタ達を確認して飛んで逃げる。

 

「なんだよ。大層なことを言っておいて結局逃げようとするなんて腰抜けだな」

 

一方でバッタモンダーはバッタ達から逃げる様に飛ぶトールとウィングを見て嘲笑う。しかし、バッタモンダーは彼等の目的については全く察していなかった。

そして、次第にバッタ達がウィングに追いついていくとそのまま彼へと襲い掛かろうとする。

 

「今だ!ハアッ!!!」

 

「何っ!?」

 

バッタ達がウィングに襲い掛かる直前、ウィングは全身からオーラを放つと更に加速してバッタ達と距離を離す。それを見たトールはミックスパレットを構えるバタフライに声をかける。

 

「よし、バタフライ!1発頼んだ!」

 

「まっかせて!2つの力を一つに!ホワイト!イエロー!速さの力、アゲてこ!」

 

ミックスパレットを操りバタフライはトールとウィングに速さの力を付与させると2人は先程よりも更に加速していく。そのまま二人はバッタ達を囲む様に飛んでいき、そこから竜巻を発生させバッタ達を閉じ込める。

 

「な、なんだって!?おい、急いでそこから抜け出せ!」

 

バッタモンダーはバッタ達が竜巻に閉じ込められた事に驚き急いでバッタ達に脱出する様に指示を出すも、2人が作り出した強力な竜巻によりバッタ達はなす術もなかった。そのため、結局バッタ達は身動きが取れず竜巻に巻き込まれてしまう。

 

「スカイ!」

 

「プリズム!」

 

「「任せた(ました)!」」

 

「「はい(うん)!」」

 

トールとウィングに後の事を託されたスカイとプリズムはスカイミラージュを構えるとスロットにスカイトーンを装填させる。

 

「スカイブルー!」

 

「プリズムホワイト!」

 

スカイミラージュを高く掲げると竜巻に閉じ込められたバッタ達の真上に円盤が現れ、竜巻ごとバッタ達は全て吸い込まれていく。

 

「「プリキュア!アップ・ドラフト・シャイニング!!!」」

 

円盤の中に吸引されたバッタは全て浄化されキラキラエナジーへと変換する。そしてすかさずスカイはミラーパッドを構える。

 

「ミラーパッド、オッケー」

 

キラキラエナジーは全てミラーパッドに吸い込まれていき、これにてバッタモンダーとの戦いはスカイ達の勝利で終わったのだ。

 

「あ、あり得ねえ!俺の力が負けるなんて!」

 

途中まで自分の勝利を確信していたバッタモンダーだったが、最終的に自身のバッタ達が全て浄化されるという完全敗北を味わってしまう。彼はこの現実を到底受けいられなかった。

 

「確かに貴方は強くなりました。でも、力とは誰かを守る為にあります。力の使い道を間違えなければもっと強くなった筈でしょう」

 

「うるせえ‼︎お前の説教なんて聞きたくねえ!一応言うが今回は偶々運が良かっただけだから次はこうはいかねえぞ!バッタモン…ヒデブッ!?」

 

「「「「「ええっ!?」」」」」

 

捨て台詞を吐いていつもの様に去ろうとしたバッタモンダーだったが横から何かが飛んできてバッタモンダーにぶつかるとそのまま吹き飛び地面に数回バウンドして気絶する。

スカイ達はいきなりの出来事に驚くも一体何が飛んできたのか気になってそちらに視線を向けると其処にはツイスターの姿があった。

 

「「「「「ツイスター!?」」」」」

 

スカイ達は倒れているツイスターの元へ駆け寄ると彼女の身体は所々切り傷が出来て血を流している状態だ。

 

「ツイスター!しっかりするんだ!」

 

「うぅ…」

 

ツイスターは先程までキメラングとの激しい戦闘をしていてその際怪我を負ったのだろう。彼女は気を失っており、トールの呼びかけにはうめき声を返してくる。

 

「これは酷い…バタフライ!」

 

「わかってる!2つの力を一つに!イエロー!ブルー!癒しの力、アゲてこ!」

 

ツイスターの容態を見てウィングはバタフライに催促し、バタフライもミックスパレットを取り出して彼女の傷を癒した。

 

「うう…此処は…」

 

「ツイスター!」

 

「良かった目を覚ましたのね」

 

傷が癒えた事で意識が覚醒したツイスターにスカイ達はホッと一安心する。ツイスターも周りにスカイ達がいる事を確認すると安心を覚えかけるが意識を失う前の事を思い出す。

 

「そうだった。私は彼奴t「おー、此処まで飛ばされたのかい」ッ!」

 

声が聞こえた方向に視線を向けると其処にはツインミラージュの剣を肩に担ぎゆっくりとこちらに近づくキメラングの姿があった。

 

『キメラング!』

 

現れたキメラングにスカイ達は一斉に戦いの構えを取る。対してキメラングはスカイ達や先程吹っ飛んできたツイスターに衝突して気を失って倒れているバッタモンダーに視線を向ける。

 

「状況から察するにどうやら君達はバッタモンダー君に勝った様だね。全く、バッタモンダー君は爪が甘いな」

 

「キメラング!後は貴女だけです!」

 

「そうだ!観念しろ!」

 

倒れているバッタモンダーに呆れた眼差しをむけているキメラングにスカイ達は降伏勧告をする。

 

「悪いけど、私は今だいぶ調子が良いんだ。こんな状態で負けを認めるなんてしないよ。それに今なら君達を一度に相手をしても負ける気は全く感じられないからね」

 

スカイ達の提案を蹴るキメラングは新たに纏ったハイスペックアーマーによりツイスターを一方的に追い込み、更には彼女自身まだまだ余力は残っていた。そのためスカイ達を前にしても余裕な態度は崩れなかった。

 

「気をつけて。今のマッドサイエンティストの実力は冗談抜きで強いから」

 

先程までキメラングと一対一で戦闘をしていたツイスターはその身でキメラングの実力を目の当たりにしている為、仮に全員で戦っても勝てるヴィジョンが全く見えておらず。そのため不安な表情を浮かべる。

 

「心配するなよツイスター、俺たちが揃えばキメラングが例えどんなに強くてもチームワークで勝てる筈だ」

 

「トールの言う通りです。先程まで僕達全員の力を合わせてバッタモンダーに勝利しましたから」

 

「ええ、キメラングがどんなに強くても我々が協力すれば負けません!」

 

「皆…」

 

スカイ達の言葉に先程まで不安を抱いていたツイスターは少しずつではあるものの段々と明るくなっていく。そんなやり取りを前にキメラングは鼻で笑いながら口を開く。

 

「ふっ、随分と自信あり気だね。でも、戦うのは私だけでなくターボマンとアンダーグウバウゾーが『ピピピーッ!』…え?」

 

キメラングが自信満々で語っている時、突然彼女が持っていた捕獲箱が割れてしまう。同時に中からカレーとサラダのレシピッピが解放された。突然の出来事にキメラングは目をぱちくりとさせ呆然となっていると其処から更に車のエンジン音が聞こえてきた。その方向に振り向くと其処にはターボマンが車の姿でやってくる。そのままある程度キメラングへと近づくと人型に変形する。

 

「ドクター、残念な知らせだ。アンダーグウバウゾーが奴等にやられちまった」

 

「ああ、認めたくないが捕獲箱が破壊されたから君の言っている事は本当なんだろう。でも、今回のアンダーグウバウゾーはデリシャスパーティ♡プリキュアの面々の強力な技は通用しない様にしてあったんだけどなぁ」

 

今回用意したアンダーグウバウゾーは対デリパ組用に調整を施していた。そのためキメラングはやられる可能性は低いと思っていたのだが、実際やられてしまった事に何があったのか気になっていた。

 

「ああ、確かにデータにあった奴等の強力な技はアンダーグウバウゾーに効かなかった。だが、彼奴らはデータに無い技を使ってアンダーグウバウゾーを倒しやがったんだ」

 

「データに無い技だって!?そんな物があるのかい!?カァーッ!なんてこった…これならツイスターと戦っているよりもそっちが見たかったなぁ…」

 

「あんた…ちょっと失礼じゃない?」

 

キメラングはアンダーグウバウゾーがやられた事よりもデリパ組の見た事ない技をその場で見れなかった事がとても悔しがっている。そんなキメラングにツイスターは思わず呆れた眼差しを向ける。

 

「ところでターボマンその腕はどうしたんだい?君って確かプリキュアでもないオマケ達と戦っていた筈だけどまさかやられたのかい?」

 

「えっ…あ、新しい時代に賭けてきたって事で…」

 

「……その台詞を言えるほど君は大物じゃないだろ」

 

何処ぞの四皇が言っていた台詞で誤魔化そうとするが、キメラングには通用せず。彼女はターボマンは負けたのだと察して呆れた表情を浮かべる。

 

「全く君という奴はここ最近全くプリキュアに勝てない上にオマケ達にやられるなんてね…何時までも連敗を許されるなんて甘い事を考えていないかい?」

 

「そ、そんな訳ないだろう!俺だって真面目に戦っているんだ!」

 

冷めた目で見てくるキメラングにターボマンは身の危険を感じて慌てた様子で答える。

 

「そもそも対プリキュア用に作られた俺がプリキュアじゃない奴と戦っても本来の実力なんて出る訳「君…私に口答えするつもりかい」あっ、べ、別にそんなつもりじゃ…!」

 

つい興奮してキメラングに口答えをしてしまった事にターボマンは更に目が鋭くなったキメラングにたじろいでしまう。それから彼は言い訳をしようとするが完全にキメラングは怒っていた。

 

「もう良い…君には前々から碌に勝ち星を上げてこなくてウンザリしていたんだ。良い機会だから君をバラs「追いついたよ!」うん?」

 

キメラングがターボマンに処刑宣言に等しい言葉を投げようとしたその時。其処にターボマンの後を追いかけてきたプレシャス達デリシャスパーティ♡プリキュアとブラペとローズマリーが現れた。

 

「スカイ!皆んな大丈夫!」

 

「そっちは大丈夫そうね」

 

「見た感じ勝ったようだね」

 

「でもまだ油断はしない方が良い。キメラングが残っている」

 

プレシャス達はスカイ達の無事を確認するもキメラングが今だにピンピンしている姿を見て警戒を強める。

 

「おや、どうやらキュアプレシャス達もやってきたか…こいつは良い。丁度鬱憤が溜まっているから憂さ晴らしを兼ねてこのアーマーの性能が君達に通ずるか試してあげるよ」

 

「え、私達も相手に?」

 

「キメラング、まさか1人でここにいる全員を相手にするつもりか?」

 

スカイ達だけでなくデリパ組までも相手にする気のキメラングに流石無謀であるとフィナーレを筆頭に全員は思った。しかし、キメラングは余裕の態度は崩れなかった。

 

「ああ、もちろん君達のデータは既に持っているしね。ツイスターの様にサシの勝負では一方的な戦いになりそうだし…ハンデとして纏めて相手にしてあげるよ」

 

「ちょっと、幾ら何でも私達の事を舐めすぎじゃない?」

 

「そーだよ。ヤムヤム達だって強いんだから舐めていると痛い目を見るよ」

 

明らかに自分達の実力を軽んじているキメラングにバタフライとヤムヤムはイラッときた様で反論する。

 

「おっと、どうやら怒らせた様だね。でも、今回ばかりは君達と私は結構な力の差が生まれているのは事実だからさ。撤回するつもりは無いよ」

 

そう言ってキメラングは背中に背負っているウィングからジェットエンジンを噴かし出すと宙を浮かび、一同を見下ろすとツインミラージュを向ける。

 

「撤回して欲しいのなら実力で示してみなよ。もし君達が勝てたのなら私もその時は潔く認めるよ…でも、その代わり私も本気で行かせてもらうからさッ!!!」

 

そう言うとキメラングはツインミラージュを何度も振ると刀身から風の斬撃を飛ばしてプリキュア達に襲い掛かる。同時に戦いの火蓋は切られたのであった。

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