ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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どうも獅子河馬ブウです。
本当はアニメ5話を最後まで書きたかったのですが、予想以上に文字数が多くなったので区切りました。
残りも書き次第投稿する予定です。それではどうぞ。


第12話 風の戦士、キュアツイスターの登場

らんこの過去を知ってから数日が経過する。

現在らんこは風波家の自室にて最近忙しくて書いていなかった日記を書いているのだ。

 

【春休み◯日目】

《ましろがプリズムになり3日が経過した日、私は自室で引き篭もっていた。あの日自身の失態とあげは姉さんへの嫉妬により自分の中にあった認識出来なかった醜い心が露わになった。私は自身の薄汚れた心の存在を認識した事により己を責め続けた。

私がこの3日間電話もメールも返さない事にソラとましろが心配して、態々家まで来たが2人が会うのが怖くて家を出て、無我夢中に街の中を走り続けた。そして、気が付いたら川の堤防へ其処でましろから話を聞いてやってきたあげは姉さんが私を探しに来てくれた。その時、私はあげは姉さんに私の中にあった醜い心を吐き出したが、あげは姉さんは私を拒むのではなく受け入れてくれた。更には2人に会う勇気が無い私を暫く自分のアパートに住ませるという提案もしてくれた。

その後、豚男が現れて私はあげは姉さんを巻き込まない様に豚男を連れて近くの公園に誘い出し、奴の出すランボーグと1人で戦うが結果は勿論ボロ負けだった。その際奴はましろが私にくれた音楽プレイヤーをソラの"ヒーロー手帳"の時の様に壊し、私は今まで心の支えであったプレイヤーを壊されて、絶望の涙を流した。

その後、ましろが助けに来てくれてその際にランボーグを倒す為の私はランボーグに取り込まれ────────────》

 

「ウプッ⁉︎……ハァ、ハァ、ハァ……また、だわ」

 

日記を途中まで書いていたらんこだったが、ランボーグに取り込まれた時の不快感を思い出したのか吐き気を覚え、思わず胃の中に入っている物が口から出そうになるが何とか吐き出さずに戻し、口の中が酸味が広がる。

今でもあの恐怖を思い出す。脱水で意識を失いかけていた所に追い打ちをかける様にランボーグの体に取り込まれ、中にあるアンダーグエナジーがらんこの体を蝕んだのだ。その時の想像を絶する不快感を味わった彼女だったが、幸いにも入って数秒で意識を失った事で其処までの苦しみを味わずに済んだのだ。

 

「ほんと……私って悪運が良い……いや、ましろ達のお陰ね」

 

ランボーグに取り込まれた自分をましろが直ぐに救出してくれた為、長時間アンダーグエナジーを体に摂取せずに済んだのだ。その後ヨヨの適切な治療を受けた事によりなんとか生還出来た。本当にみんなには頭が上がらなかった。

その後はあげはに対して怪我をしたお詫びとして呼び方を聖さんから"あげは姉さん"と呼んだり、ましろには殴った事を許して貰ったりなどあっという間にらんこの背負っていた罪悪感は無くなり、更に自身の虐められていた過去を知ってからも全員は態度を変える事なく受け入れて貰ったりして、彼女の心が軽くなっていた。

 

「らんこ〜、ましろちゃんとソラちゃんが来たわよ〜!」

 

「え、もうそんな時間⁉︎」

 

2人がやって来た事を知ると一旦ノートに日記を書くのを中断して、慌てて出掛ける用意をする。何せ今日は以前延期になったお手がけをする日なのだから。

 

──────────

 

風波家へ迎えに来てくれたソラ達とらんこは合流すると街へお出かけをして、ショッピングをしたり、施設などで遊んだりしていた。

 

「2人ともありがとう……それとごめん…私の為に……」

 

自身の楽しみにしていた街に遊びに行くという約束を付き合ってくれた事にらんこは感謝しつつも2人にも予定があるだろうと思い申し訳無さを感じていた。

 

「ううん、寧ろ謝るのはこっちの方だよ。この前のあげはちゃんの学校見学で予定が延期になっちゃったから今日はその分もとことん楽しもうよ!」

 

「える!」

 

「ましろ……本当にありがとう」

 

春休みも終わりが近くなってきて、3人が一緒に遊べる時間も少なくなる。そうなる前にましろの提案でらんこの計画したお出かけをやろうと言う事になり一部予定を変えて行っていたのだ。

 

「それにしてもらんこちゃんはフードを被らない方がいいと思うんだけどなぁ」

 

前回の一件にて普段フードで隠していた頭部が露わになって、らんこの顔と髪型が可愛い事からましろはフードで隠すのは勿体無いと思った。

 

「いや、なんか今まで被ってた癖もあって、このスタイルに慣れちゃったの……それとこうしていれば人と接する時の緊張が和らぐみたいな……」

 

「らんこちゃん」

 

らんこの言動に思わず苦笑いを浮かべる。普段からやや人に当たりが強い彼女だったが、前回の一件で彼女の性格は変わりお淑やかさが目立ち、親しみやすさを感じる。

だが、良いことばかりでは無かった。死にかけた事によりそれまで彼女にあった己の強い自身という虚像が砕け、臆病な心が露わになった事だ。今カバトンやランボーグが目の前に現れたら幼い子供の様に怯えてしまうだろうと思ったましろは彼女を絶対に守ろうと心に誓う。

 

「………」

 

一方でソラは2人の会話に交わらず何か考えている様子だった。

その後3人はましろの案内によってプリティホリックに訪れていた。店内にはオシャレをしたい女の子で賑わっており、そんな中らんこは自分がここにいるのは場違いと感じる。

 

「ましろ、私は前にも言ったけどオシャレは…」

 

自分にオシャレは似合わないと思ったらんこは店から出ようとするが、

 

「そんな事ないよ。この前らんこちゃんのフード外した姿は可愛かったからきっと、この化粧品も似合うよ」

 

ましろは棚に置かれてあった新商品のシャイニーパウダーを手にとって、これがらんこに合いそうだと言わんばかりに答える。

 

「そ、そうかしら……照れるわね」

 

対してらんこもましろが自分の為に化粧品を選んでくれる事に嬉しく思ったのか口元を緩ませる。

この前の一件により少し明るくなったらんこにましろは接しやすくなったがやはり違和感を覚える。

 

(今のらんこちゃんも可愛くて良いけど……やっぱり前の方が印象が強いせいか少し変な感じがするな……)

 

今までの彼女は弱い己をを偽る為の強がりである事は理解している。それでもましろは今の彼女を否定したくなかったが、前の方も良かったと思える。

 

「そうだ。ソラちゃんもどう?この新作なんてソラちゃんに似合いそうだよ」

 

ましろは先程から一向に会話に参加しない終始無言のソラに声をかけるが、

 

「………」

 

彼女は黙ったままである。それを見てらんこは恐る恐るましろに話しかける。

 

「ねぇましろ…ソラがなんだかいつもと感じが違うけど、何かあったの?」

 

自分を迎えを来た時もこの状態のソラにらんこはソラ本人に聞きづらい様でましろに聞いてみる。

 

「うん、実は家で少しあってね……」

 

ましろは語り出す。今朝からソラの様子がおかしくヨヨから今まで謎だったプリキュアについての伝承を聞いても態度は素っ気なく、それよりもスカイランドに繋がるゲートを開いて欲しいと催促したりなど、ヨヨに当たる様子が見られたりなどの事があったそうだ。

 

「そんな事が……ヨヨさんにも当たるなんて……」

 

普段のソラを知っているらんこはましろの話を聞いて信じられなかった。人には優しく礼を重んじる彼女だ。ましてや色々お世話になっているヨヨに対して当たるなど彼女らしくない。

 

「ソラ…あんた何があったの?」

 

「………」

 

らんこが心配するがソラは彼女に対して何も答えず表情は硬いままだった。それを見てらんこは何か思い当たる節があるのか恐る恐る口を開く。

 

「……もしかして、今日のお出かけは……そんなに楽しくない?」

 

「っ!……」

 

らんこのフード越しからも分かる悲しそうな顔を見てソラは思わず何か言いそうになるが何とか堪え、らんこに目を合わせる。

 

「らんこさん……お願いがあります

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたはこれ以上私とエルちゃんに関わらないで下さい」

 

「え?」

 

突然ソラの発言にらんこは思考が停止する。

 

─────────

 

一方で3人の近くにある駅の屋根ではカバトンがおり、その側にはキメラングの姿もあった。少し前にカバトンはプリキュアに勝てない事を行きつけのおでん屋の店主に愚痴っていた所、謎の女性の声が聞こえて''早よプリンセスを連れて来い"(直訳)と脅しをかけられてしまった。なので慌てて大量のおでんを摂取し、現在己の限界までアンダーグエナジーを溜めていたのだ。

そんなカバトンに対してキメラング呆れた表情を見せていた。

 

「態々おでんなんて食わなくても私特製のプロテインでも摂取すれば一気に大量のカロリーが摂取出来てアンダーグエナジーを得られるよ」

 

そう言うと彼女は白衣のポケットからプロテインの入ったボトルを取り出すが、カバトンはそれを睨む。

 

「そんな不味いのを飲んで得るカロリーなんてゴメンなのねん!俺は美味しい物を食って得るカロリーでアンダーグエナジーを作り出すのが流儀なのねん!お前は其処で黙ってみていろ!」

 

「……君って贅沢だね…まぁ、私としてはデータが欲しいから派手に暴れてくれたまえよ」

 

カバトンの台詞に呆れつつ、プリキュアとの戦闘データ採取出来ればそれで良いと思い、それ以上カバトンには何も言わなかった。

だが、此処でキメラングはある事に気がつく。

 

(そう言えばおでんってカロリーは少ないって聞いた事があるけど……)

 

別に今伝えても良いが、カバトンのモチベーションが減ってクソ雑魚ランボーグが出来たら開始5秒でプリキュアにやられると思い、ここは敢えて黙っている事にした。

 

(まぁ、本当に弱かったら私がランボーグを作って戦闘データを手に入れれば良いか)

 

もしもの事を想定してキメラングもアンダーグエナジーを溜めようかと思った時だ。先程までアンダーグエナジーを溜めていたカバトンは限界まできたのか、アンダーグエナジーを溜めるのを止める。

 

「キタキター!これならイケる…イケるのねん!!!」

 

「っ!ほお〜、これは今までにない大量のアンダーグエナジーだね」

 

キメラングもカバトンが放つ従来以上のアンダーグエナジーの量に驚きの表情を見せる。

 

「いくぜぇぇぇぇえっ!カモン!アンダーグエナジー!」

 

『ランボーグ!!!!』

 

そして、溜めたアンダーグエナジーを一気に電車へ注ぎ込むと、いつもの様にランボーグへと変わるが、ランボーグから発せられる膨大なオーラを見てキメラングは感心した表情を見せる。

 

「おおっ、このランボーグはいつもの倍以上のスペックがあるじゃ無いか」

 

「そうだ!これが俺様史上最強にTUEEEランボーグなのねん!!!!」

 

「君もやる時はやるんだなカバト……って、誰だ君?」

 

「……へ?」

 

カバトンを褒めようとキメラングは視線を移すが、其処にはカロリーを消費し過ぎて身体の脂肪すらも無くなったヒョロガリのカバトンの姿を見て思わず口に出すのであった。

 

──────────

 

「ソ、ソラちゃん急に何を言い出すの⁉︎」

 

一方で場面は3人の元へ戻りソラがらんこに対してほぼ絶交と変わりない事を言った事にましろは慌てて彼女に問い詰める。

 

「言った筈です……これ以上私達に関わるのはやめてください」

 

間違いではないとソラはらんこに対してもう一度言う。対してらんこは口をごもりながらもゆっくり開く。

 

「………それは……私が弱いから?」

 

「っ!……はい……」

 

「ソラちゃん!」

 

らんこの悲しそう顔を見て思わず躊躇う表情を見せたが、ソラは其処を堪えて彼女の質問に肯定する。ましろもソラらしからぬ発言に彼女を咎めようとした。

 

「ごめん……失望させたわよね……前にソラは私の事はヒーローって呼んでくれたのに……その姿は嘘であなた達を騙し続けていた……本当の私は昔の事を今でも引き摺る臆病者なのに……」

 

「あっ」

 

ソラは見た。フード越しで目元が見えなかったが、らんこの頬を伝う一筋の液体…涙の存在に。彼女は今泣いている……己の行動でまた彼女を傷つけてしまった事にソラは気づいてしまう。

 

 

「ら、らんこs「出て来やがれぇー!!!プリキュアー!!!」ッ⁉︎」

 

その時、ソラの台詞を遮る様に大きな声が聞こえ、3人は声が聞こえた方向へ振り向くと其処にはランボーグに乗り込んだカバトンが街の中を飛び回っていた。

 

「ヒィッ⁉︎」

 

「ら、らんこちゃん!」

 

カバトンとランボーグの姿を見てらんこは取り込まれた時の恐怖を思い出した様で顔を青ざめてその場で腰を抜かし恐怖の表情を見せる。そんな彼女をましろは宥めようとする。

 

「誰が本当にTUEEEのかはっきりさせてやる!そしてプリンセスをいただくのねん!」

 

カバトンがランボーグを街中で乗り回している中、キメラングは近くのビルの屋上からその様子を覗いていた。

 

「さぁて、プリキュア達も今回ばかりカバトン君に勝つのは難しいそうだね」

 

前回のプリズムの戦闘データから計算して、現状プリキュア達はカバトンのランボーグに勝つ事が難しいとキメラングは判断する。

 

一方で場面はソラ達の元へ戻り、ソラは後ろで怯えて涙を流すらんことましろにエルを少し見た後、再び視線をランボーグの方へ戻してミラージュペンを取り出す。

 

「……ましろさん、らんこさんとエルちゃんをお願いします」

 

「え、待って!」

 

自分達を置いて単身でランボーグと戦いに行こうとするソラを呼び止めようとするが、

 

「それと……らんこさん……ごめんなさい」

 

「……え?」

 

ソラはらんこに呟く様に謝罪をすると、その場から駆け出しミラージュペンを天に掲げる。

 

「……ヒーローの出番です!」

 

ソラの台詞と共にペンが光、彼女の体を包み込む。

 

「スカイミラージュ!トーンコネクト!広がるチェンジ!スカイ!」

 

そして一気にソラはキュアスカイへと変身する。

 

「無限に広がる青い空!キュアスカイ!」

 

変身が完了したスカイはカバトンを追って跳んでいく。

 

「待って、私も!」

 

だが、スカイは彼女の声が聞こえない…いや、敢えて聞こえていない振りをしてそのままランボーグの元へ行く。

 

「フン、一人か?」

 

「独りぼっちを恐れない。それがヒーロー!」

 

そう言うとスカイはランボーグを強く睨む、前回己の空回りの行動によりらんこの命を落としかけた事を不甲斐ないと思いつつ、目の前のランボーグを倒して怯えるらんこの恐怖の源を取り除こうとする。

 

「ヒーローガール……スカイパァァァァンチ!!!」

 

『ランボォォォォッ!!!』

 

先手必勝と言わんばかりにスカイはスカイパンチを繰り出すが、ランボーグもまけじと拳で向かい打とうとする。

すると、スカイパンチとランボーグの拳は衝突し、互いに力をぶつけ合う。

 

「アアッ!」

 

「スカイ⁉︎」

 

しかし、敢えなく押し切られてビルへ落ちていくスカイを見たましろはらんことエルを見て近くの建物の陰へ連れていき、エルを乗せたスリングをらんこに託す。

 

「らんこちゃんは此処でエルちゃんと隠れていて」

 

「ま、ましろは?」

 

不安そうな眼差しを自身に向けるらんこをましろは彼女を安心させる様に笑顔を見せる。

 

「私はスカイを助けてくるよ……らんこちゃんはエルちゃんをお願いね」

 

そう言うと彼女に背を向けてミラージュペンを掲げる。

 

「スカイミラージュ!トーンコネクト!広がるチェンジ!プリズム!」

 

ましろは一気にプリズムへと変身する。

 

「ふわり広がる優しい光!キュアプリズム!」

 

変身が完了するとプリズムは戦っているスカイの元へ跳んでいく。

 

「ま、ましろ…わ、私も!」

 

自分も2人の下へ向かおうと建物の陰から出ようとするが、彼女はその場から動く事が出来なかった。

 

「どうしてなのよ…以前の私ならこんな恐怖なんて乗り越えられた筈でしょ⁉︎」

 

以前のらんこなら多少の怪我は覚悟してプリキュアを助けようと勇気を出して奮闘していたが、前回1人でランボーグに戦って死にかけたのが原因で彼女の心には勇気が無くなっていたのだ。

 

「えるぅ……」

 

「エル……」

 

自身の腕の中にいるエルの心配そうな顔にらんこは彼女に申し訳なさを感じる。

 

「エル……ごめんね……こんな情けない姿を見せて……でも、あなたは必ず守るから…」

 

恐怖で押し潰されそうならんこであったが、ましろからエルを託されたからにはこの子は守ろうと優しく抱えると、突然スリングが光り空を飛ぶ小船の様な乗り物へと変わる。

 

「え……えええええっ!?な、何これ⁉︎」

 

目の前でエルの乗るスリングが変わった事にらんこは驚きの声を上げて混乱する。

 

「ひょっとして……これはヨヨさんが持っていたミラーパッドみたいな不思議なアイテムって事?」

 

らんこはエルの乗るスリングはヨヨが用意した物だと以前2人から聞かされていた為、そうなるとこれがこのスリングの本来の姿なのだと納得する。エルが自分の意思で自由に空を飛ぶ様子を見て少し寂しそうな表情を浮かべた。

 

「エル……あんたは2人を助けに行って。あんたの持つ不思議な力なら2人を助けられるかもしれないから」

 

「える!」

 

らんこの話を聞くとエルはスカイとプリズムの元へ飛んで行こうとしてから一度止まる。

 

「……える?」

 

後ろを振り返るとらんこは追いかけずその場を佇んでいた。それを見てエルは彼女の元へ引き返すと、一緒に行こうと言わんばかりに声を上げる。

 

「ごめん……私は2人の下へ行けない」

 

「える⁉︎えるるぅ、えるる!」

 

らんこが行かないと言う発言を聞いてエルは驚きの表情を見せるが、エルはらんこに一緒に来て貰おうと声を上げた。

 

「私は……あなたの様な不思議な力も……ましてや2人の様にランボーグを倒せる力も無い!……私が行ったところで2人の足手纏いにしかならないよ!」

 

「える……」

 

自分の非力さに悔しく思ったらんこは目から涙を流し、その場から走り去ろうとした。

 

「えーるぅ!」

 

「っ!……エル」

 

しかしエルはらんこの前に回り込み、通さないといわんばかりに両手を広げて止める。そしてエルは言葉を話せないものの、らんこへと"逃げちゃ駄目"と言っている様に思えた。

 

「っ、けど…私が行った所で何になるのよ!……2人が苦戦する相手よ……行った所で戦況が変わる筈無いよ!」

 

スカイに勝る程のパワーを持っているランボーグだ。非力な自分が加勢しに行った所で何も出来ずにやられてしまう。

 

「える、えるる!」

 

「……エル」

 

エルの真っ直ぐな瞳を見て彼女の中に存在する何かが次第に膨れ上がっていく。同時に脳裏に過ぎるのはソラとましろの顔であった。2人とも人付き合いが苦手な自分に積極的に関わり、友達になってくれた。そして色んな物を体験させてくれた。

楽しい事もあれば辛い事もあった……でも、全部ひっくるめて今は良い思い出になっている。これから先も2人と……友達と一緒に思い出を作りたい。そう思ったらんこは覚悟を決めた顔になるとエルに目線を合わせる。

 

「…エル……怖い思いをさせちゃうかも知れないけど私に力を貸してくれる?」

 

「える!」

 

らんこの言葉を聞いてエルは答える。それを聞くとらんこは笑みを浮かべる。

 

「ありがとうエル。それでこれからやる事なんだけど───」

 

らんこはエルに何か作戦の様な物を伝えるのだった。

 

───────────

 

一方でビルの屋上ではランボーグの前にボロボロの姿となったスカイが膝をついていた。

 

「イヒヒヒッ、YOEEEッ!!!」

 

「ぐっ…!」

 

ボロボロのスカイを見て下衆な笑い声を上げるカバトン、スカイも己の実力不足に痛感する。

 

(まさか、カバトンがこんなにも強くなっているなんて……このままだと、あの夢の通りになってしまいます……)

 

スカイの脳裏にはここ最近見る同じ夢を思い出す。

 

───────────

 

それは暗闇が広がる道の中、プリキュアに変身した自分とプリズムが強力なランボーグから逃げている所だ。

そのランボーグは自分のスカイパンチやプリズムのプリズムショットは効かず、更には力も強い。なす術が無い2人には逃げると言う選択肢を強制的に選ぶしか無く逃げ続けるが、とうとうランボーグの攻撃がスカイに命中してしまう。

 

『アアッ!』

 

攻撃を喰らったスカイの体は宙を飛び、地面に倒れる。そんな中プリズムはスカイを助ける為、ランボーグに立ち向かうがその行動も虚しく。ランボーグの攻撃を喰らって倒れ、変身が解かれてしまう。

 

『ましろさん‼︎』

 

倒れるましろの姿にスカイは彼女を助けようと立ち上がろうとするが、何故か立ち上がる事が出来ず、気がつくとランボーグが目の前にいた。

 

『い、いや……』

 

スカイは目の前のランボーグに恐怖し涙を流す、そんな様子に知った事かと言わんばかりにスカイに攻撃を放つが……

 

 

 

 

 

 

 

その時突然スカイの体は何かに押し出され、ランボーグの攻撃から逃れる事になる。

 

『え、一体何が…?』

 

自身に何が起きたのか理解できないスカイは先程まで自分がいた所に視線を向けると、その顔は青ざめていく。

 

『あ、ああ……そんな……』

 

其処には自分を庇ってランボーグの攻撃を受けて地面に伏すらんこの姿があった。

 

『い、嫌アアアアアアッ!!!らんこさぁぁぁぁぁぁん!!!』

 

自分の所為で友達2人がやられる姿に絶望するスカイ……。

 

この悪夢を彼女は連日見る事になるのだった。

 

 

───────────

 

(あの夢の様に……2人をやらせはしない!)

 

己の悪夢が正夢にならない様にスカイは態とらんこを引き離す真似をし、ましろを置いて1人で目の前のランボーグに立ち向かおうとする。

 

「スカイ!」

 

「ハッ…!」

 

その時、プリズムがビルの壁を駆け上がりビルの屋上へ到着すると、スカイの下へ駆け寄る。

 

「立てる?」

 

プリズムはスカイに手を差し伸べるが、

 

「私は大丈夫です…」

 

スカイはそんな彼女の手助けなど要らないという態度を見せる。

 

「来たな2匹目…そして、3匹目と4匹目……って、あれ?」

 

一方でカバトンはやってきたプリズムを見て、周囲を見渡すがいつもならいるエルとらんこの姿が見当たらない。

 

「おい、プリンセスとついでにフード娘は何処なのねん⁉︎」

 

「エルちゃんとらんこちゃんなら此処には居ないよ!」

 

「まぁ、良いのねん。フード娘はどうでも良いとして……プリンセスはお前たちを倒した後ゆっくり見つけるのねん!!!」

 

エルがいない事がわかるとランボーグは2人に向かってその巨体で潰そうと突っ込んでくる。

 

「「ッ⁉︎」」

 

2人はその場から跳んでランボーグの攻撃を避ける。ランボーグはビルの屋上を破壊すると消えた2人を探す為、周囲を見渡す。

 

「おきゃくさまのお呼び出しをいたします。プリキュア様〜……何処だ卑怯者!出て来いなのねん!」

 

カバトンの声が周囲に響く中、スカイとプリズムは近くの路地裏に身を潜めていた。

 

「ふぅ〜…今は言い争っている場合じゃ無いよ。一緒に戦おう…」

 

スカイに共に力を合わせて戦おうとプリズムは手を差し伸べるが、

 

「……出来ません」

 

「どうして……其処まで一緒に戦わないの?」

 

再びスカイは彼女の手を払う。そんな彼女にプリズムは共に戦わない理由を問う。

 

…友達…だから

 

「…え?」

 

「ましろさんとらんこさんは…私の初めての友達だから!」

 

「あの日、私は…ヒーローになる為のトレーニングを始めました」

 

思い出すのは幼い頃、自分を救ってくれたヒーローに出会った彼女はその憧れの人物に近づける様にその時からトレーニングを始める。日射が強い日でも雨が降る日でも、寒いくて雪が積もる日と辛い環境の中彼女はトレーニングを続ける。全てはヒーローになる為であるが、自分と同年代の女子は鍛錬を続ける己と違い、友達を作ったりアクセサリーや可愛い服を身につけてオシャレをする。

 

「自分で決めたことです。だから、自分で受け止めるしかないんです」

 

勿論羨ましかった。でも、全てはヒーローになる為、"独りぼっちを恐れない"と自身に言い聞かせてきた。

そんな中でこの世界にやって来てから生まれて初めて友達が2人も出来た。しかし……

 

「私は友達であるらんこさんを知らなかったとらいえ、何度も心を傷つた上にこの前私が1人で動いた事に死にかける思いをして、さっきも泣かせてしまって……!でも、これ以上ましろさんとらんこさんが傷付くなんて見たく無い!そんなの絶対に嫌だ……!」

 

思い出すのは夢の中で自分を助ける為に犠牲になったましろとらんこの姿が今戦っているランボーグも夢と同じ自分達の技が通用しないこのまま行くと、悪夢は現実となり2人はランボーグにやられる。だが、自分の所為で2人がやられるのは嫌だった。

 

「それなら一人の方がいい……わたし…一人で戦います!」

 

「そんな……」

 

これ以上友達が傷つくのを見たく無い、それなら1人で戦い傷付くのは自分だけで良いと考えるスカイの姿勢にどうすれば良いかプリズムは悩ませるが、その時上から物音が聞こえ2人は反射的に上に視線を移すと、其処にはカバトンが乗り込むランボーグが2人の姿をビルとビルの隙間から覗いていた。

 

「み〜つけた!」

 

「しまった⁉︎」

 

スカイとプリズムを見つけるとランボーグはビルの壁を壊しながら襲いかかる。対して2人はランボーグに背を向けて必死に逃げ出す。

 

「「うわー!!!」」

 

「ウヒャヒャヒャッ!待て!」

 

広い道へ出た2人は直ぐに角を曲がってランボーグから撒こうとするが、それは通用せずランボーグの追跡は続く。カバトンもプリキュア達が自分に恐れをなして逃げている様子が面白く思い、笑いながら彼女達を追いかけていく。

 

「追いつかれちゃう!」

 

「上に!」

 

2人は迫り来るランボーグから逃げる為、ビルの上に跳ぶが追跡は終わらない。このままではいずれ捕まってしまう、そう思ったスカイはプリズムに提案する。

 

「私が囮になります!」

 

「二言目にはそれ言うよね!もう1人じゃ無いんだよ!」

 

スカイの囮となる案は勿論プリズムは却下する。自分達は1人じゃ無い仲間がいるとプリズムはスカイに言うものの……

 

「1人じゃ無いから怖いんです!」

 

スカイの方は仲間がいれば失う恐怖があると言う事実もあるという事を突きつける。互いに平行線が続きどちらも引く様子を見せなかった。

 

「おい!逃げているのに2人して話をする余裕を見せるなんて巫山戯るんじゃねぇ!!!」

 

一方で2人を追うカバトンは話の内容が聞こえていない所為か2人が言い争いをしているとは思っておらず、逃げながら談話していると思い込み腹を立てる。

 

「良いのねん…それなら話が出来ない様にしてやるのねん‼︎」

 

カバトンは操縦席にあるレバーを引くと、ランボーグの額にあった"急行"と言う文字が変化し"特急"と浮かび上がる。それに伴いランボーグのスピードが上がり、一瞬で2人の真上に移動するとそのまま拳を叩きつける。

 

「「あああああっ!!!」」

 

2人はそれぞれ吹き飛ばされる。スカイはビルの壁に叩きつけられ、その衝撃で瓦礫に手足が挟まれ動けなくなる。一方でプリズムはスカイと違い瓦礫などに体は挟まれてはいないが、当たりどころが悪かったのか上手く立ち上がれないでいた。

 

「うぅ…」

 

「先ずは1匹目なのねん!」

 

動けないプリズムを見て先に倒そうとランボーグはプリズムに向かって拳を振り上げる。

 

「ま、ましろさん⁉︎」

 

その光景を見て悪夢がフラッシュバックする。自分を守ってプリズム(ましろ)が倒れる。それは嫌だ。絶対に嫌だと、心の声がそう叫ぶ。

 

「駄目ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

スカイは瓦礫から脱出すると、プリズムを助けようと駆け出すが間に合わず、プリズムはそのままランボーグの攻撃を喰らってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えるぅっ!」

 

「あん⁉︎」

 

その時、聞こえて来た声にカバトンは思わず動きを止め、同時にプリズムに迫っていた拳もギリギリ止まる。一方でスカイとプリズムも聞き覚えのある声に思わず驚愕する。

 

「「エルちゃん⁉︎」」

 

2人はエルの声が聞こえた方向へ視線を移す。まさか、らんこが連れて来たのかと思ったが、視線の先にいるエルの姿を見ると2人は驚愕する。

 

「「え、エルちゃんが飛んでいるぅ〜!?」」

 

2人は空飛ぶ小船に乗ったエルの存在に驚きを隠せない。と言うよりも何処から手に入れたんだその筋◯雲と思うくらい自由に飛ぶエルに声を上げる。

 

「あ、そう言えば……」

 

エルの揺籠を見てプリズムはある事を思い出す。それはスカイジュエルを探しにいく際にヨヨからエル用のスリングを貰った時の事だ。

 

『いろいろと役に立つと思うわ』

 

当時はそれが何なのかよくわからなかったが、もしかしてこの事を言っていたのではと彼女は推測する。

 

「ほ〜う、プリンセス自らやって来るとは……大人しく捕まるのね〜ん!」

 

カバトンは目的のエルがやってきた事を確認すると、プリズムに攻撃するのをやめて、エルを捕まえようとランボーグの手を伸ばすが、エルはそれを避ける。

 

「エルちゃん‼︎」

 

「逃げて‼︎」

 

2人はエルに逃げる様に言うとエルは隣のビルへ向かう。

 

「チィッ、蝿のように飛び回りやがって……だが、次こそ捕まえるのねん!」

 

「「エルちゃん!」」

 

そう言ってカバトンはランボーグを操ってエルに手を伸ばし、エルが捕まりそうになった時だった。

 

「豚男‼︎」

 

「そ、その呼び方はフード娘!?」

 

「「らんこさん(ちゃん)⁉︎」」

 

エルの逃げたビルの屋上に手摺を乗り越えて仁王立ちするらんこの姿があり、片手に大きめの金属の缶を所持している。

 

「この前の借りを返すわ…よっ!」

 

「え、ごわあっ⁉︎」

 

そう言うとらんこは持っていた缶をランボーグのカバトンが乗る操縦席のフロントガラスに向けて投げると、中に入っていた緑色の液体…ペンキがフロントガラスにかけられ、カバトンは目の前が見えなくなる。

 

「ま、前が見えないのねん⁉︎」

 

『ランボオッ!?』

 

前が見えない事に動揺するカバトンは操縦席のあるレバーやスイッチを無茶苦茶に動かすとランボーグはらんこのいるビルに突っ込みビルは激しく揺れる。

 

「え、う、うわあああっ!!!」

 

激しく揺れるビルにらんこはバランスを崩してしまい、ビルの屋上から落ちていってしまう。

 

「らんこさん‼︎」

 

落ちていくらんこを見て、スカイは身体にダメージがあるにも関わらず飛び出し、彼女を受け止めるとビルの壁を蹴って衝撃を最小限にして地面に着地する。

 

「大丈夫ですからんこさん⁉︎」

 

「…ええ、また、助けて貰ったわね…」

 

スカイは腕の中にいるらんこに怪我は無いか確認するが特に目立った外傷は見られない。助けてもらったらんこはこの状況が最初スカイに助けてくれた時と似ている事から懐かしさを覚える。

 

「何を……何をしているんですか!?

 

「え……スカイ?」

 

「らんこちゃん大丈夫⁉︎」

 

「えるぅ!」

 

突然怒鳴り声を上げるスカイにらんこは思わず困惑する。そんな2人の下にプリズムとエルもやってくる。

 

「危うく死ぬ所だったんですよ⁉︎」

 

「…ソラ」

 

本気で己を心配するスカイの顔を見てらんこは思わずソラと呼んでしまう。

 

「この前の時もそうです……私は今までらんこさんに対して酷い事をして来て、らんこさんに謝ろうと1人で突っ走りました……けど、それが原因でらんこさんが死ぬ様な思いをさせてしまった……全部私と関わった所為で……だからさっきもあんな事を言ったのに……!」

 

「………」

 

まるで今までの事を懺悔するかの様に泣くスカイはらんこに自身の気持ちを吐く。それに対してらんこはただ黙って聞く。

 

「私はこれ以上ましろさんやあなた……友達が傷つく所は見たくないんです‼︎」

 

「それがあんたの本音だったのね……」

 

「…あっ」

 

スカイはつい彼女に本音を言ってしまった事に気づく。

 

「全く……私が言えた義理じゃ無いけど、あんた物凄い不器用ね……」

 

「……え?」

 

らんこの言葉にスカイは声を漏らす。そして、らんこはスカイから離れると彼女と向き合う。

 

「ソラ……よく聞きなさい。私は昔のしくじりで人と接するのが嫌になって友達も作るのが嫌になった…人はすぐ状況が変わると掌を返し、相手を利用するだけ利用する……そんな人が嫌になった……でも、そんな私をあんたとましろが変えてくれたのよ!」

 

彼女が思い出すのは中学生になって初めて友達になったましろとその一年後にあって間もない自分をヒーローと呼んでくれたソラの姿だった。

 

「嬉しかった……あって間もない私の事をヒーローって呼んでくれた事に……心の底から嬉しかった……」

 

「らんこさん……」

 

らんこの話を聞いてスカイは彼女が自分の言葉にそれほど思ってくれた事にスカイも思わず口元を緩ませる。後ろでプリズムとエルも2人の関係が良くなっていく事に微笑ましく思っていると、

 

 

「ゴラァッ!!!フード娘!!!」

 

「「カバトン⁉︎」」

 

その時、漸くペンキを落としたカバトンが3人の前に現れる。

 

「毎度毎度、ずるい手を使ってきやがって……しかも後からやってきてなんだか良い感じに終わらせようとするんじゃないのねん!……だけど、今日と言う今日はプリンセスを手に入れて、更にスカイ共々この俺様史上にTUEEEランボーグでジ・エンドなのねん!」

 

『ランボオオオオオオグッ!!!!』

 

カバトンは今日こそは勝つと言わんばかりに強気な宣言をする。それを見てスカイとプリズムはらんことエルを守る様に前に立つ。

 

「らんこさんはエルちゃんを連れて逃げて下さい!」

 

「此処は私たちが戦うよ!」

 

2人は彼女に逃げる様に言うが、

 

「逃げる……?馬鹿な事を言うんじゃ無いわよ!友達を置いて逃げるなんて真似出来るわけ無いじゃない!」

 

「「え?」」

 

らんこの言葉に2人は呆気に取られると彼女は2人より前に立っていた。

 

「な、何をしているんですか⁉︎」

 

「そうだよ!らんこちゃんは下がってて、危ないよ!」

 

2人は彼女の行動に慌てて下がる様に言うが、彼女はその場から一歩も動くつもりはなかった。だが、やはり彼女も内心恐怖はまだ存在しており、肩が震えていた。

 

「ハンッ!相変わらずYOEEE癖に自分から出て来るとは中々の度胸なのねん……だが、今回ばかりは容赦しないのねん!ランボーグやれぇ!」

 

『ランボォォォォォォォグッ!!!』

 

ランボーグは3人に向かってその巨体で突撃して来る。

 

「「らんこさん(ちゃん)逃げて!!!」」

 

2人は彼女に向かって叫ぶが、らんこは一歩も動かず堂々とした姿勢で迫るランボーグを睨みつける。

 

 

「確かに私はソラのように強くはない……ましろのような誰にも振る舞える優しさもない…けど、私の2人を助けたいこの気持ちは嘘偽りのない本心よッ!!!」

 

その時だ。彼女の胸から緑色の光が放たれると、同時に彼女を中心に竜巻が起こる。

 

『ラアアアアアンッ!?』

 

「ギャァァァァッ!?な、なんなのねん!この風は!?」

 

らんこに突っ込もうとしたランボーグだが、竜巻の風圧に吹き飛ばされてしまう。

 

「な、なんですかこの強い風は⁉︎体が飛ばされそうです‼︎」

 

「び、ビル風?…ちがう、これは…!らんこちゃんから⁉︎」

 

「えるうっ!」

 

スカイとプリズム、プリズムに抱えて貰っているエルは竜巻の中にいるらんこに目を凝らして見ると、其処には彼女の前に自分達と同じミラージュペンが存在していた。

 

「これは……私のミラージュペン…なの?それにこの竜巻は……」

 

中にいるらんこは自分の胸から出現したミラージュペンと現在自分の体を中心に起こっているこの竜巻に困惑を覚える。何故ならこんな出来事は今まで無かったのだ。らんこは巻き込まれる様子は無く寧ろ彼女を守る為2人の視線の先には自分達の物では無い新たなミラージュペンが出現する。だが、今までとは異なりそのミラージュペンはスカイとプリズムの体を吹き飛ばすくらいの風を起こしている。

 

「いや、ちょっと待ってこの風は前にも何処かで……あっ!」

 

らんこは思い出す。それは自身が生と死の境目に彷徨って、意識が無くなりそうな時に自分を助けてくれる様に現れたミラージュペンの存在を。そして目の前にある物は同一の存在であると理解した。

 

「夢じゃなかったのね……ありがとう。二度も私を助けてくれて……」

 

そう言って彼女は両手で優しくミラージュペンを取ると発生していた竜巻は収まる。

一方でその様子を見ていたスカイはらんこのミラージュペンを見て絶望感を感じた。

 

(そんな……私が未熟ばかりにらんこさんを戦わせてしまうなんて……)

 

己の力不足でらんこまで戦いの道に引き込んでしまったと思い込んだスカイは目の前が真っ暗になっていくが、

 

「ソラ……私が戦う事に対して責任なんて感じないで」

 

「……え?」

 

らんこの発言を聞いてスカイは彼女に視線を向ける。

 

「あなたが戦いに私を巻き込んだ?……それは違う。これは私が選んだのよ。友達を助けたい……こんな私に……過去を知っても友達って接してくれた2人を私は助けたい‼︎」

 

「らんこ……さん……」

 

スカイはらんこの自分達を助けたいと言う台詞に思わず呆然となる。だが、その様子を見ていたカバトンは今の状況が厄介な事に気付く。

 

「クソッ!変身なんてさせないのねん‼︎」

 

『ランボォーグ!!!』

 

ただでさえ2人だけでも厄介なのに今度はらんこまでプリキュアになってしまう。そうはさせまいとランボーグをらんこ目掛けて突撃させる。

 

「させないよ!」

 

迫るランボーグに対してプリズムは両手にそれぞれ光弾を作るとランボーグに向かって投げる。

 

「こんな物屁でもないのねん!」

 

ランボーグはプリズムの光弾を難なく両手で受け止めるが、

 

「煌めけ!」

 

「ぎゃあああああっ!?め、目がぁ、目がぁぁぁぁっ!!!」

 

『ラ、ラァァァァァァン!?』

 

プリズムの言葉と共にランボーグの手の中にある光弾が激しく光り、カバトンとランボーグの目を潰した。

 

「今だよらんこちゃん!」

 

「ええ、エル!私に力を貸して……2人を守れる力を!」

 

らんこはエルに手を差し出す。するとエルの体がソラとましろの時と同様に光出し、らんこに向かって力を放出させる。

 

「ぷいきゅあああああっ!!!」

 

飛んでくる光をらんこは受け止めると、光はスカイトーンへ変化し全体的に明るめな緑に中央には旋風をモチーフとしたマークが浮かび上がる。

 

「柄じゃ無いけど……敢えて言わせて貰うわ!」

 

そう言うとらんこはフードを取り、緑色のボブヘアと素顔を顕にすると強気な笑みを浮かべる。

 

「さぁ、ヒーローの出番よ!」

 

その台詞と共にらんこの持つミラージュペンが強く光り彼女の体を包み込む。

 

「スカイミラージュ!」

 

ミラージュペンがスカイミラージュへと変化すると、らんこは手に取る。

 

「トーンコネクト!」

 

そして、スカイミラージュのスロットにスカイトーンを嵌めるとマイク部分が回転する。

 

「広がるチェンジ、ツイスター!」

 

マイク部分にTWISTERと文字が浮かび、辺りが光り、光りが晴れると、らんこを中心に大きなステージと幻想的な宇宙空間が広がると彼女の髪がライトグリーンへ発光すると髪が伸びていき、髪型は旋風をイメージするサイドテールへと変わり前髪を撫でると白のメッシュが入り、両足には旋風が発生し、緑色のブーツが形成され装着される。

 

「きらめきホップ!」

 

その言葉と共に舞台にHOPの文字が浮かび、頭部には旋風の形を模した髪飾りがつけられ、右耳にイヤリングが付けられる。

 

「さわやかステップ!」

 

続いてSTEPと文字が舞台に浮かぶと今度は緑と白を強調した半袖のセーラー服とミニスカートとスパッツが装着される。

 

「はればれジャンプ!」

 

最後に言葉の通り飛び上がるとJAMPと字がテカテカと現れ、両手にも旋風が発生し穴あきグローブが装着され、最後にスカイミラージュを振るうと其処から緑色のマフラーが出現して勢い良く首に巻き、口元まで覆われるも少し緩めて口元が露わにする。

 

「大空に広がる一陣の風!キュアツイスター」

 

キュアスカイ、キュアプリズムの続き3人目の新たな伝説の戦士キュアツイスターの誕生である。

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