ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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第125話 誤りの選択の結果

激しい衝撃音によって始まったキュアスカイとキメラングの戦いはお互いに拳と剣をぶつかり合い始める。

 

「はあああああああっ!!!!」

 

「そらそらそらそらっ!!!!」

 

二人の掛け声と共に拳と剣のぶつかり合いは激しさを増していく。ぶつかる度に発生する衝撃音も段々と早くなっていき、お互いに譲る気配は全く無くそれは永遠に続きそうだった。

そんな攻防にツイスター達はいつでもスカイの援護が出来る様に見守っていたが、中々介入する隙が無く今はただ見ているだけしか無かった。

 

「スカイったら…1人で突っ走って」

 

「でも、キメラングはアーマーが使えないからスカイの方が有利なのでは?」

 

「そうだよ。言っちゃあれだけど私達が手伝わなくてもスカイの実力なら勝てると思うんだけど」

 

前回のアーマーを使用したキメラングの強さがあまりにも大きかった為、アーマーが無いキメラングと比較したら実力が霞んで見えていた。それ故にウィングとバタフライはスカイが勝てる…みんなはそう思っているがツイスターだけは違った。

 

「甘いわね。マッドサイエンティストは確かに前回の方が物凄く強かった。でも、だからと言って今のあいつに簡単に勝てるなんて思っちゃ駄目よ」

 

「何故だ?明らかに先日と比べれば勝てる可能性が高い筈だろう」

 

ベリィベリーもウィング達と同意見で今のキメラングならスカイ1人でも勝てるとそう思っていたがツイスターは首を横に振る。

 

「果たしてそうかしら?その証拠にマッドサイエンティストの様子をよく見て」

 

ツイスターに言われた通りにキメラングに再び視線を向けるが剣でスカイの拳を弾いているのみだ。だがキメラングの表情を見ると涼しい顔を目にも止まらぬ拳の連打を捌いていた。一方でスカイは焦った表情を浮かべている。

 

「これは!」

 

「ええ。スカイは今、冷静さが欠けているわ」

 

焦った様子で拳をキメラングに打ち込むスカイのその姿は普段はあまり見る事の無い姿だ。いつもならランボーグと戦う際には冷静に己の鍛え抜いた技を使っているが、今のスカイからは普段通りの動きは見られない。

それもその筈。キメラングはスカイの目の前でシャララを洗脳してランボーグへと変えたのだ。そんなキメラングにスカイは明確な敵意を抱き彼女を倒そうと必死になっていた。

 

「更に言えばキメラングはこの事を読んでいたみたいでスカイを挑発して冷静さを無くしているの。

 

「という事は無駄に体力を消費してしまう…ってこと!?」

 

プリズムも状況を理解する。このままではスカイは体力を多く消耗して無くなった所をキメラングにやられてしまう事になる。

 

「ええ、そうならない為にも何がなんでもあの場に介入するわよ!」

 

そう言ってツイスターは手を突き出すと風の塊を作り出しキメラングに向かって放とうとするが、その瞬間。ツイスターの脳裏にある声が響く。

 

『スカイランドで青の護衛隊にいた時はシャララ隊長はいつも優しく接してくれました。私がミスしたり無茶をしても馬鹿とは一度も言わず労いの言葉をかけてくれたんです!らんこさんと違って』

 

「っ!」

 

先程のスカイ(ソラ)の台詞が脳裏を過り、ツイスターは動揺してしまうと風の塊を消失させてしまう。

 

「ツイスター…どうしたの?」

 

「な、なんでもないわ!」

 

風を消したツイスターにプリズムは話しかけるがツイスターは己の気持ちを悟られない様に誤魔化して再び風の塊を作り出そうとする。

 

「おっと、そうはさせないぜ‼︎」

 

だが、そこにツイスターを妨害するかの様にターボマンがホイールを投げて奇襲を仕掛けてくる。ツイスター達は咄嗟に跳んで避けるもその様子にターボマンはほくそ笑む様に笑みを浮かべる。

 

「今だぜお前ら!」

 

「良いタイミングだ!」

 

『ランボオオグッ‼︎』

 

「オオーンッ‼︎」

 

『なっ!?』

 

ターボマンの掛け声と共にバッタモンダー達は一斉にツイスター達に襲い掛かる。彼女達は驚きの声を上げたが、咄嗟に対抗して戦いを始める。

一方でキメラングとの戦いに夢中であったスカイもツイスター達の声と戦闘音を聞いて我に返り動きを止めてツイスター達の方に振り向く。

 

「み、皆さん!」

 

「ほほう、あちらも始めたか。ならこちらも楽しもうじゃないか!」

 

そう言って動きを止めたスカイにキメラングは隙有りだと言わんばかりに間合いを詰めて切り掛かる。

 

「させませんっ!」

 

だがスカイはキメラングの接近に気付き、彼女が振り翳してきたツインミラージュをカウンターの要領で蹴り飛ばす。これによりツインミラージュは遥か後方の地面に突き刺さる。

 

「なに!?」

 

「今です!」

 

丸腰となったキメラングにスカイは一撃を叩き込もうと拳に力を入れて叩き込もうとした時、キメラングの口角が上がっている事に気がつく。するとキメラングは着込んでいた白衣を広げるとそこから複数のドローンが姿を見せる。

 

「ククッ、丸腰になった敵をすぐに攻撃するのは良い点だがそれが罠であるというのも考えないってのはマイナスポイントだよ!」

 

「くっ!」

 

一斉にドローンから放たれるレーザーにスカイはなんとか後退して回避するが、レーザーの幾つかが身体に掠ってダメージを受けてしまう。

 

「逃がさないよ!君たち行きたまえ!」

 

狙った獲物は確実に仕留めると言わんばかりにドローンをスカイに向かって飛ばしながらレーザーを放ち続ける。対してスカイはこれでは埒が開かないと思い逃げながら両腕を鳥の翼の様に不思議な動きをし、ある程度行うと迫り来る一機のドローンに向かって拳を叩き込む。そのドローンはまるでビリヤードの玉の様に次々と他のドローンとぶつかっていくおそのぶつかった衝撃で全て爆破する。それを見たキメラングは動きに既視感があるのか、「ほほう」と感心の声を上げる。

 

「スカイランド神拳か。まさかこの目で拝むとは…しかも衝撃を伝達させる技か偶然か。中々面白い事をしてくれるね」

 

「スカイランド神拳を存じているんですか!?」

 

まさか自分以外にもスカイランド神拳を知っている者がいる事に驚くが、よりにもよってそれがキメラングである事にスカイは複雑な心境を抱く。先日ヨヨがキメラングは自分の友達と言われた際には正直信じられなかった。幾ら洗脳状態にあるとはいえスカイランド(同郷)の人間がエルを狙うアンダーグ帝国の手先となって何度も自分達の前に立ち塞がり、挙げ句の果てにはシャララをランボーグにした所業などスカイは到底彼女を許せなかった。

 

「なんだったらスカイランド神拳談義でもしようかい?私も護衛手段で少しばかり齧っている程度だけどそれなりの自信はあるんだよね」

 

「誰が貴女としますか!」

 

キメラングの提案に強く拒否すると今度こそ丸腰になったキメラングに迫り拳を振るうが、キメラングはスカイの拳を受け流した。

 

「なっ、まだです!」

 

自身の拳を素手で受け流された事にスカイは驚くも続けて回し蹴りを放つが、それも手で受け流され今度は勢いを殺せずスカイの身体は宙に放り出されてしまう。スカイはそのまま地面に落下するも咄嗟に受け身を取って起き上がる。すかさず彼女は再度跳び上がってから連続で拳や蹴りを放つ。しかし、これはキメラングに全て避けられてしまう。

 

「どうしたんだい?私がアーマーや発明品を使わずに君の攻撃を捌いている事に驚いたのかい?」

 

「く…ぐぅぅっ!」

 

ニヤニヤと笑みを浮かべるキメラングにスカイは悔しそうな表情を浮かべる。冷静さを欠けているとはいえ己の動きが全て読まれていて全く当たらない事はスカイにとって屈辱でしかなかった。段々と精神が乱されていくスカイは再び拳を振るうが、キメラングはしゃがんで避けそこから立ち上がる様に頭突きを喰らわせる。

 

「メットバット!」

 

「ぐがっ!」

 

頭突きを喰らったスカイは思わず数歩後退するとキメラングは彼女の足を踏んで逃さない様にし、更には頭を掴みスカイの顔を何度も殴る。

 

「クハハハッ!どうした!?もっと君の力を見せてみたまえ!」

 

「ぐっ、うおおおおおっ!!!」

 

顔面を繰り返し殴られるスカイだがいつまでも殴られる筈がない。彼女はどうにかキメラングの拳を受け止め、もう片方の拳をキメラングの顔に向かって振るうのであった。

一方でツイスター達はそれぞれ分かれてターボマン達と戦っていた。

 

「さぁ小鳥ちゃん!どっちが早いか今日こそ決めようぜ!」

 

「僕はキュアウィングだ!」

 

互いに高速で動き尚且つどちらも一歩も譲らずぶつかり合うターボマンとウィング。

 

「今日用意したバッタは沢山いるから好きなだけ味わうと良いよ!」

 

「それはお断りだよ!」

 

大量の黒いバッタを操るバッタモンダーはプリズムにバッタを放つとプリズムは向かってくる大量のバッタにギョッとしながらも彼女も大量の光弾を放ち相殺していく。

 

『ランボオオオオグッ!!!』

 

「シャララ隊長…貴女に攻撃する事をお許しください!」

 

「ベリィベリーちゃん、私も手伝うよ!」

 

巨大な剣を構えて迫り来るシャララボーグにベリィベリーとバタフライが2人がかりで挑んでいた。

そして、ツイスターとワシオーンはと言うと工事現場内にある骨組みの建物の中を駆け巡っていた。ツイスターは最初ワシオーンの素早い動きを殺すためにジャングルジムの様に複雑な骨組みの中を戦いの場に選ぶ。これなら巨体であるワシオーンが不利であるのに対して小柄な自分は有利に戦えると思ってた。

 

「オオーンッ!!!」

 

「なんでこの狭い中を動き回れるのよ!?」

 

だが、実際は違ってワシオーンは狭い骨組みの中を不自由無く動き回れていたのだ。何故あの巨体で狭い空間を動けるのか不思議だった。普通ならワシオーンの体のサイズから考えて進行方向先の鉄骨などで自由に動く事は難しいはずだ。しかし彼はシャララとともに数多の任務をこなしてきてその中には今の様に動きづらい環境での活動も経験がある為、ツイスターよりも巧みに動く事が出来たのだ。

 

「兎に角じっとして!」

 

このままでは追い詰められると思ったツイスターはワシオーンを取り押さえようとマフラーを振るうが、周りの鉄骨が邪魔してワシオーンに届かない。対してワシオーンは鉄骨を避けてツイスターに迫る。

 

「オオーンッ!」

 

「がああっ!し、しまった…!」

 

『ツイスター‼︎』

 

骨組みの中を素早く動くワシオーンに反応出来なかったツイスターはワシオーンの足に身体を抑えつけられてしまう。なんとか抜け出そうとするも洗脳によって力が増したワシオーンの足から抜け出せず。そのまま罪人を断罪するかの様に鋭い嘴がツイスターの顔面に迫っていく。遠くから見ていたプリズム達はツイスターを助けようと動き出すがシャララボーグ達によって邪魔され助けに行けなかった。

ツイスターも今から脱出は不可能と諦めて迫り来る痛みに少しでも耐えられる様に目を強く閉じる。

 

「ひろがるチェンジ!トール!!!」

 

「ガオーンッ!?」

 

「……え?」

 

しかし聞き覚えのある声が耳に入ると同時に自身の身体の拘束が解けた事に気がつくと思わず目を開ける。すると其処にはワシオーンの顎にアッパーを決めたトールの姿があった。

 

「ツイスター大丈夫か?」

 

「と、トール?なんであんたが此処に?」

 

心配して駆け寄ってくるトールにツイスターは質問を投げる。自分はワシオーンの攻撃を受けそうになった時にトールの存在は頭に思い浮かばなかった。なのにこんなタイミング良くトールが助けに来てくれた事が不思議であった。

 

「あっちの世界にいたらツイスターがやられそうな姿が頭の中を過ったから嫌な予感がしてな。それで急いでこっちにやってきたら案の定だ」

 

「そうなの?…とりあえず助かったわ。ありがとう」

 

「気にしないでくれ。それに前に言っただろ?何か危険が迫った時に直ぐに守って行くって」

 

その台詞はかつてベリィベリーに問われた際にトール(ひかる)が言った言葉でそれを言葉の通りに実行してくれた事にツイスターは嬉しそうに薄らと頬を赤くする。

 

「ゴァァァァァァァァン!!!」

 

「「え?」」

 

すると先程トールの一撃を貰って倒されたワシオーンは起き上がり怒りの鳴き声をあげはじめる。決して2人が戦いをそっちのけでイチャついている事に対して怒っているのではない…多分。

 

「ヤバいわね。ワシオーンが完全に怒っている…気をつけてトール。ワシオーンの動きが更に早くなるかもしれないからあんたもスピードを上げて」

 

「おう…所でツイスターの危機だからつい攻撃したけどアレってランボーグじゃないよな?なんだあのデカい鳥は?」

 

「あれ、あんたあっちでスカイランドに行ってないの?あ、でも私達と同じような時間の流れならスカイランドに行った時はまだプリキュアじゃ無いか。…ワシオーンはシャララ隊長の相棒みたいなもので今は前にあんたと同じ様に洗脳されていて本当に厄介で……ん?」

 

ワシオーンの説明をしていたツイスターだが途中何かに気付いたのかワシオーンをじっと見つめる。

 

(確かワシオーンは前にひかると同じ様に洗脳されているのよね)

 

「どうした。俺の顔なんか見つめて?」

 

ワシオーンを暫く眺めた後、今度はトールに視線を向けるツイスター。対してトールは何故ツイスターが自分の顔を見つめているのか不思議に思い首を傾げる。

 

「(そして同じ様にシャララ隊長はマッドサイエンティストに洗脳されて今はランボーグになっている……)あっ!」

 

今度はバタフライとベリィベリーが戦うシャララボーグへと視線を向けた後、再びトールとワシオーンと交互に視線を向けた後何かに気付く。

 

「そうよ…私ったら、肝心な事を忘れているじゃない!」

 

「なあ、さっきからどうしたんだ?俺やワシオーンって奴の顔を見比べたと思ったら急に声を上げて?」

 

無言で自分達を見比べた後、急に声を上げたかと思ったら何かに気付いたツイスターだがトールの視点からすると彼女の行動はやや奇怪に見えるのだ。

 

「ごめんトール。悪いけどワシオーンの相手をしてくれる?私やる事が出来たから」

 

「えっ?…まぁ、ツイスターの事だからきっと大事な事をするんだろ。わかった。彼奴は俺に任せろ」

 

何をするかわからないが、トールはツイスターの頼みを聞き入れ彼女の代わりにワシオーンと戦う事を引き受けた。ツイスターはトールに「ありがとう」とお礼を言うと骨組みから脱出しシャララボーグと戦うバタフライとベリィベリーの元に駆け寄る。

 

「2人とも大丈夫?」

 

「ツイスター?」

 

「どうしたんだ私達の元にやってきて」

 

2人はトールの登場を確認したが何故トールにワシオーンの相手を任せてツイスターはこちらにやってきた理由について分からずツイスターに問うと彼女は答える。

 

「これからシャララボーグの中に囚われているシャララ隊長を安全に助け出すわよ」

 

「え、安全に助け出す?」

 

「それは一体?」

 

自分達でもシャララを多少傷つける事をやむ得ないと思い戦っていたのにツイスターは彼女を安全に助け出す方法があると言った事にそれは何か気になった。

 

「兎に角シャララボーグの動きを止めて。その隙に私がシャララ隊長を救い出すわ」

 

それを聞いた2人は無言で頷くとシャララボーグに向かって走り出す。対してシャララボーグは迫り来る2人に向かって剣を振り下ろすが跳んで避ける。

 

「シャララ隊長こっちを見てください!光り輝け!!!」

 

『ランッ!?』

 

避けたベリィベリーはシャララボーグに呼びかけて顔が向いた瞬間グローブから放たれる電撃を閃光球の様に激しく光らせた事でシャララボーグは目が眩んでしまい動きを止める。

 

「ほら、足元ご注意!」

 

そこにバタフライが投げキッスをシャララボーグの足に向かって放つと爆発し、シャララボーグは両膝と両手が地面について動きを止める。更にバリアを作り出すとそれを手裏剣の様に投げて手足に刺して固定し直ぐに立ち上がれない様にする。

 

「「今だ(よ)!」」

 

「ええ、上出来よ2人とも!」

 

チャンスを使ってくれた2人にお礼を言ったツイスターは高速回転を始める。

一方でスカイは先程までキメラングとの戦闘をしていたがツイスターの行動に気がつき動きを止める。

 

「ツイスター…一体何をするつもりですか?」

 

先程までツイスターはワシオーンと戦っていたのそれをトールに任せて何故かバタフライ達とシャララボーグと戦い始めた事が気になっていた。そんなスカイの考えを察したのかキメラングが口を開く。

 

「さてはシャララボーグから隊長さんを救い出す算段を思いついたな」

 

「な、なんですって!?」

 

キメラングの言葉にスカイは思わず聞き返してしまう。もしキメラングの言う通りツイスターがシャララを救い出せると出来るならスカイは先程まであった不安が無くなりシャララが戻ってくる事に安心を覚え始める。だが、そんなスカイの安心を妨げるかの様にキメラングが口を開く。

 

「でもなぁ、今のツイスターが例の方法でやったら多分…だけど、失敗する可能性があるかもね」

 

「え?…ど、どう言う事ですか!?」

 

敵であるキメラングの言葉にも関わらずスカイは思わず聞き返してしまう。

 

「以前並行世界で私が初めてキュアトールと出会って彼を今の隊長さんの様に洗脳しランボーグにした所、ツイスターは驚く事に自身の浄化技でランボーグの身を削って中にいたキュアトールを救出した事があるんだよ」

 

「そ、そうなんですか!…え、でも何故成功経験があるのに失敗すると?」

 

成功例がある筈なら失敗する可能性はそこまで高くない筈だ。にも関わらずキメラングがツイスターは失敗すると言ったことが疑問でしかなかった。

 

「それは今のツイスターは以前よりも強くなっているからね。前にトールを助けた時は4月ちょっと前だったかな?それから何ヶ月も経っていてその間ツイスターも実力が上がった。だからその時と同じ調子でやったら力を制御出来ず、勢い余って中にいる隊長さんを傷付けるかもしれないよ」

 

「そんな馬鹿な!」

 

実力が上がったから失敗するという理屈にスカイは否定する。スカイも常日頃身体を鍛えていてソラシド市に初めて訪れた時と比べて強くなっていると実感がある。しかし強くなったとはいえ己の力はしっかり制御出来ており、戦いの時も力の制御という点で失敗するなんて事はあまり無い。それ故にスカイはキメラングの言っている事は出鱈目であると判断する。だが、そんなスカイにキメラングは舌を鳴らした。

 

「チッチッチ、君は忘れているのかい?ツイスターは君達と違って()()()を身体に宿している事を」

 

「ある物……まさか!」

 

ある物と聞いて一瞬スカイはピンと来なかったが少し間をおいてある事を思い出す。それはアンダーグエナジーにより凶暴となった漆黒の姿となったツイスター…ダークツイスターの存在だ。

 

「どうやら思い出した様だね。ダークツイスターの姿に成れる様になったツイスターはその影響で通常時の姿でもその力の一端が出る様になったんだよ」

 

それを聞いてスカイの脳裏にはある事が過った。それは戦いの最中でツイスターがオーラを出して長時間戦った結果、性格が徐々に残忍な物に変化してダークツイスターに変身しなくても力はそれに匹敵する程に増していった事に。

もし今のツイスターがオーラの使いすぎで残忍な性格となってシャララボーグに攻撃したらとスカイは最悪な想像をしてしまう。

 

「う、嘘です!そんなの…わ、私を惑わす為に嘘をついているんですね!」

 

思い浮かんでしまった想像を振り払う様にスカイは必死に否定する。普段のスカイならそんな物は自分を惑わそうとする戯言と判断し無視するのだが今のスカイは冷静とは言える状態ではなく動揺が大きかったのだ。

 

「まぁ、嘘か本当かは君の勝手だよ。でも見てごらんよツイスターはもう技を発動する気だよ」

 

「な、なんですって!?」

 

慌てて振り返るスカイの視線の先には充分回転して身体に強力な風を纏わせたツイスターが高く跳び上がる。

 

「シャララ隊長覚悟して!ヒーローガール!ツイスターストライクッ!!!」

 

そこから一気にシャララボーグに向かってドリルの様に回転しながら突撃していく。一方でシャララボーグは迫り来るツイスターから逃げようともがくが手足に刺さったバタフライのバリアで身動きが取れない状態だった。

 

(シャララ隊長…)

 

そんな光景を見たスカイはシャララボーグの姿を見つめる。必死になんとかツイスターの技を避けようとするその姿が一瞬自身のよく知るシャララの姿に変化して見えたのだ。

 

「っ!シャララ隊長!」

 

思わず手を伸ばしてしまうスカイ。だが、それは自身の心が生み出した幻であると慌てて己に言い聞かせる。しかし、其処にキメラングが近づきスカイの耳元に囁く。

 

「何を躊躇っているんだい。このままだと親愛なるシャララ隊長さんがツイスターによって殺されちゃうよ」

 

「殺される…シャララ隊長が…?」

 

シャララが殺されると聞いてスカイは身体が固まり更に息が荒くなり顔色も悪くなっていく。キメラングが今言った言葉がスカイの脳裏に先程想像してしまったばかりの最悪の想像を蘇らせてしまったのだ。

 

「つ、ツイスター!やめて下さい!」

 

「もう言葉では止められないよ。どうする?このままだと隊長さんが殺されるよ。そうならない為にも君がやれる事はツイスターに言葉を掛けるよりももっと確実に止められる方法しかないよね」

 

「かく…じつに…?」

 

それは悪魔の囁きだ。スカイはその囁きを聞いて自己判断を鈍らせてしまう。普通ならシャララがツイスターに殺されるなどプリズムや他の皆が聞けばあり得ないと言うだろう。だが、今のスカイは精神が大きく不安定な状態で何が正しくて何が間違いなのか判断が出来ずにいた。

 

「なに簡単な事だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

貴様が奴を力強くで止めれば良いだけの事だ

 

「そ、それって…!」

 

つまりツイスターに手をかけろと言っているのだ。勿論スカイにはそんな事出来る筈がない。ツイスターもといらんこはましろと共に初めて友達になってくれた人物だ。そのらんこに手を出すなんてスカイは出来るわけがなかったのだ。

 

「考えている間は無い。後数秒すればツイスターの技はシャララボーグに命中するぞ」

 

「うっ…あっ…ぁぁ…!」

 

恩人と友を天秤にかける。二択に一つ。キメラングの言う事が嘘かもしれないという考えはとうにスカイの頭から消えており、どっちを取るかの重圧に惑わされる。

 

(ツイスター…ツイスター…らん…こさん)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャララ隊長ッ!!!」

 

悩んだ結果スカイは駆け出した。そんなスカイの後ろ姿をキメラングはほくそ笑む。

そしてスカイは駆け出したのが数秒遅れた事により今から走った所で間に合う事はない…そう、ただ走った所では。

 

「だ、だめええええええええええっ!!!!」

 

このままではツイスターのドリルの様な蹴りがシャララボーグの胴体に大きな穴を開けると思ったスカイは地面が減り込むくらい足に力を入れると一気に加速して飛び出す。更に右手にエネルギーを溜めて一気にツイスターの元まで飛んでいき拳をツイスターに向かって放つ…つまり、スカイパンチを喰らわしたのだ。

 

「え、スガハッ!?」

 

『えっ!?』

 

ツイスターもスカイがいきなり目の前に現れた事に驚いた瞬間、自身の脇腹に強烈な痛みが走ると何が起きたのか直ぐには理解出来ず。気が付いた時にはスカイが自身の脇腹に拳を深くめり込ませていたのだ。そしてスカイはそのままツイスターを殴り抜き、ツイスターの身体は吹き飛ばされ積まれていた鉄骨の山に叩きつけられる。

突然の光景にプリズム達だけでなくバッタモンダーとターボマン達も思わず戦いを止めて唖然となる。

 

「スカイ!何やってんだお前ーッ!!!?」

 

そしていち早く我に返ったトールが叫び、それを聞いた一同は少し遅れて我に返ると一斉にツイスターを見るとそこには口から多量の血を吐き苦しそうに脇腹を押さえているツイスターの痛々しい姿があった。

 

「ガフッ!グッ…ゥァ…!」

 

「わ、私は…私は何故…ツイスターを…ウプッ!?」

 

スカイは己のやった行動が信じられずにいた。ツイスターとシャララが脳裏に点滅するかの様に入れ替わり、最後シャララの存在が現れた瞬間に一瞬意識が無くなったかと思ったら気が付けば自身のスカイパンチをツイスターへと叩き込んでしまっていた。今でもツイスターを殴った感触は拳に残っていてスカイは気分が悪くなり吐き気を催した。そんなスカイにキメラングが近づき肩に手を乗せる。

 

「いやぁ…友情よりも恩人を選ぶとはどうやら君達の間にあった友情というのは想像してたより薄っぺらい物だったみたいだね」

 

「ち、違う私h「いや、違くわないよ。見てみたまえ君のとった行動によって恩人である隊長さんは救われたんだ。君の取った選択は間違いではないよ。まぁ、切り捨てた物は仕方ないとしかいえないからね」あ、ぁぁ…!」

 

キメラングの言葉を否定しようとするスカイだがそれを遮るかの様にキメラングがスカイのやった行動を正当化してツイスターに手を掛けた事実を突きつけて、スカイは己のやった行動を深く後悔する。

 

「故に君が切り捨てた物を頂くとするよ」

 

キメラングはそう言ってスカイを放置してツイスターへ近づいていく。それを見たトールはキメラングを止めようとする。

 

「おい!ツイスターに近づくんj「オオーンッ‼︎」なっ、退いてくれ‼︎」

 

だが、それを邪魔するかの様にワシオーンがトールの前に立ちはだかり妨害する。プリズム達も続いて動こうとするがバッタモンダーとターボマンとシャララボーグの妨害で足止めをされる。

そして誰にも邪魔される事なくキメラングは倒れているツイスターの前にやってくると彼女を見下す様に見つめる。

 

「さて、気分は如何かなって、聞かなくても悪いよね…」

 

「ま、マッドガフッ!」

 

脇腹のダメージが大きいツイスターは思わず血混じりの咳をして辛そうにしながらキメラングを睨みつける。

 

「あ、あんたね…スカイを唆して…わ、ゴホッ、たしに…攻撃…させたのは…フゥーッ!」

 

「おや?ひょっとして私とキュアスカイの会話を聞いていたのかな?」

 

意外と言わんばかりの顔を浮かべるキメラングだがツイスターは息を荒くしながら喋っていく。

 

「スカ…イが…はぁ、攻撃のちょぐっ、に泣いていた…スカイを泣かせるなんえ…ゆ、ゆるざないっ…!」

 

脇腹を抑えながらツイスターは立ち上がるとふらつきながらキメラングに殴りかかるもキメラングは簡単に避け、ツイスターの背中を軽く蹴ってツイスターは「ぐうっ!」と呻き声を上げて地面に崩れ落ちるとキメラングはツイスターの脇腹をぐりぐりと踏み付ける。

 

「んん〜、騙されて攻撃した友を怒るのではなく唆した私に怒るとは…ボロボロになりながらも立派なヒーロー精神だね」

 

「ぐうっ!」

 

脇腹を踏み付けられた事でツイスターは更に痛みが走り表情を歪める。そんな姿にキメラングは愉快な笑みを浮かべる。

 

「さて、君をこうして捕まえる事が出来た訳だ。ラボに連れ帰ったら改めて君の体を調べに調べて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

否、この場で貰い受けるぞ

 

「な、何を…!」

 

するとキメラングの目が紫色に光ると被っていたヘルメットが外れ倒れ伏すそのままツイスターの頭部に被さりスパークが起きる。

 

「うっ、あああああああああああああっ!!!」

 

『ツイスター‼︎』

 

辺りにツイスターの悲鳴が響き渡った事にプリズム達は彼女を心配する。今すぐにでもツイスターを助けに行きたかったが、全員足止めを喰らってしまい助けに行けなかった。

そして、スパークが収まっていくとヘルメットを脱いだキメラングは糸が切れた人形の様にその場に崩れ落ち代わりにツイスターが立ち上がる。

 

「ツイスター?」

 

「だい…じょうぶ…?」

 

先ほどまで悲痛の叫びを上げていたツイスターに一同は心配するがツイスターはゆっくりとプリズム達の方に向くと口を開く。

 

「ええ。

 

 

 

 

 

 

 

 

お陰様で今までに無いくらい調子が良いわ

 

『っ!?』

 

そう語るツイスターだが髪の色が緑から白へと変化し更に瞳の色も血をイメージとさせる赤へと変化し。その表情は普段の笑みと異なり邪悪さを感じさせる物へとなる。その姿を見た一同は驚きのあまり言葉を失うのであった。

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