「つ、ツイスター…その姿は…!」
恐る恐るプリズムがツイスターへと話しかける。今のツイスターはキメラングが被っていたヘルメットを被っており、緑色だった髪は白く染まっていた。更には瞳の色も赤と言ったキメラングと同じ姿になっていたのだ。
「ああ、これね。なんだかこのヘルメットを被ったらとても気分が良くなって。髪の色もほら、まるで絹糸みたいで綺麗でしょ?」
「えっ、あ、うん」
話しかけられたツイスターは普段となんら変わらずにプリズムの質問に答える。その様子にプリズムは戸惑いながら肯定する。だけどそのやり取りを見ていたトール達は警戒する。
(今のツイスターは…間違いなく正気じゃない)
(ああ、それは私にも分かる)
アイコンタクトをして意思疎通をするトールとベリィベリー。先程ツイスターはヘルメットを被った際に苦しそうな悲鳴をあげていた。それなのに何事も無かった様に振る舞い、更には見た目がキメラングと同じ特徴へと変化した事は明らかに異常だ。2人はツイスターに悟られない様にある程度の距離を置いてバレない様に彼女を挟み込める位置に立つ。
一方でターボマンとバッタモンダーは恐る恐る距離を取り小声で会話をする。
「おい、これはどう言う事だよ?」
「知るか!俺だってこの状況が事前にドクターから聞いていた話と違う事に驚いてんだよ」
そして、こちらでもプリキュア達にバレない様に相談するターボマンとバッタモンダー。実は今回の戦いの前にキメラングからツイスターを捕獲すると言う事自体は聞かされており、2人はキメラングの指示に従い戦っていた。そのため途中スカイがツイスターに攻撃した事に驚くもツイスターを捕獲するチャンスであった為、それぞれはそのまま足止めをしていたのだ。しかし、現在キメラングは気を失って地面に倒れてしまっている。その代わりとしてツイスターが豹変した事に二人は驚いてひとまず静観したのだ。
「兎に角どうする?気絶したキメラングの奴を連れて撤退するか?」
「いや待て、此処は暫く風景に溶け込んで様子を見よう。どういう訳かシャララボーグと鳥野郎も止まったまま動こうとしないしな」
此処は下手に関わらず、傍観する事に決めた2人。彼等は自分達の存在を悟られない様に骨組みの陰に隠れて様子を見守るのであった。
一方でツイスターは何やら自身の格好を見て何やらため息を吐く。
「どうしたのツイスター?」
「いや、私ってなんで今までこんなダサい色の衣装を着てて何の疑問も思わずにいたのかって不思議に思って」
「えっ、急に何を?」
まさか自分のイメージカラーである緑をディスるツイスターにバタフライは思わず驚きの顔を見せる。確かにかつては幼稚園の子供から色が理由で不人気だった事を気にしていた。ただ、この件は今は解決した事だ。なのに今更色について気にする様子に困惑する。
「そうだ。折角だしイメチェンでもしようかしら」
「イメチェン?」
「何をする気ですか?」
唐突にイメチェンをすると言い出すがそもそも基本的に自分達の衣装は例外を除いて見た目の変化なんて出来ない筈だ。それなら化粧でもするのかと一同がそう思っているとツイスターはその場でくるりと回転。すると衣装の色が緑から白を基調としたものに変化する。
「ええっ!?なにそれ!」
「ツイスターの衣装が変わった!?」
「白い…ツイスター?」
姿が変わったツイスターに一同は驚きの声を上げる。以前ツイスターはダークツイスターとその名の通り漆黒の衣装を身に纏った姿になった事がある。だが今は対称的に純白の衣装を着ており、ダークツイスターに準えるなら差し詰めホワイトツイスターと呼ぶべきだろう。
「どうプリズム?貴女とお揃いの白よ。似合うかしら」
「う、うん…似合っているよ」
話しかけられてきたプリズムは思わず同意する。確かに今のツイスターは衣装を変えたおかげで白い髪に白い衣装が似合っていた。加えて自分と同じ白を基調とした衣装であると友達として嬉しかったものの、それを素直に嬉しいとは思えなかった。
「ねぇ、トールとベリィベリーも今の私って可愛いかしら?」
「えっ、あ、ああ」
「も、もちろん…だとも」
更にツイスターはトール達にも声を掛ける。話しかけられたトール達は反射的に答えるが、プリズムと同じ様に義心地無い反応を見せる。対してツイスターは2人が義心地な無い反応でも肯定してくれた事に「ふふ〜ん」と気分よく鼻歌を歌う。だがそんなツイスターにトール達は警戒を緩めない。今の彼女は先程キメラングのヘルメットを被って以降、容姿と性格に変化が起きている。更にはよからぬ気配さえも感じられた。なので今の彼女が何をしでかすか想像が出来ない。そのためツイスターにバレない様にいつでも動ける姿勢を取る。
「さて、気分が良くなった所でやる事をやるとしますか」
先程まで嬉しそうな表情から一変し真面目な表情を浮かべるツイスターにプリズム達は警戒を強める。彼女が言うやる事とは見当がつかないが良からぬ事かもしれないと考える。
「ツイスター…やる事って一体なんなの?」
「それはねっ!」
するとツイスターはプリズムの問いに答えようとすると同時にその場から駆け出すと一瞬でプリズム達の視界から姿を消す。突然姿を消したツイスターに一同は慌てて彼女を周囲を見渡しながら探す。すると、そのツイスターはいつの間にかスカイの前に立っており、彼女は足を振り上げる。
「吹き飛びなさいッ!!!」
「なっ、ぐあああああっ!?」
そして先程あった出来事により呆然となっていたスカイ。彼女は反応が遅れて防御する間もなくまともに蹴りを受けてしまうと数m吹き飛ばされて地面に倒れ伏す。
「スカイ!?ツイスター何を!?」
一方でプリズム達は突然スカイへ暴力を振るったツイスターを目の当たりにして驚き彼女に問い詰める。
「何って、見ての通りスカイを攻撃しただけよ」
「見ての通りって…」
「僕達は何故スカイに攻撃したのか聞いているんです!」
一瞬堂々とした態度のツイスターにプリズムは面食らった顔を浮かべてたじろぐも直ぐにウィングが攻撃をした理由を問い詰める。
「だって、スカイったら私がシャララ隊長を助けようとしたのにそれを邪魔して私に殺意ある攻撃をしたのよ。しかもスカイパンチでよ?だからこれは私への裏切り行為として認定して攻撃したのよ」
「う、裏切りって…」
怒りが籠った眼差しを向けられたプリズムは動きを止めてしまう。確かにスカイはツイスターに向かって攻撃をしたのは事実だ。ツイスターが怒るのは無理はない。
「で、でも、殺意は言い過ぎです!スカイだって態とした訳じゃないに決まっています!」
「そうだよ!きっとシャララさんを守ろうとしたからだよ!」
だが、ウィングとバタフライはスカイが故意があってやったのではないと否定する。そんな2人の発言にツイスターはため息を吐いて口を開く。
「それで大好きなシャララ隊長を
「「そ、それは…」」
2人は言い返せなかった。確かにスカイはシャララを守ろうとして行動に出たのだろう。だが、ツイスターにとっては不意打ち同然とも言える行いで。しかも防御の薄い側面からの攻撃で殺意が無いと言われれば無理がある。ウィングとバタフライは何も言い返せずその場で辛そうな表情を浮かべる。
「言い返せないって事はアレが殺意ある攻撃って事を認めた訳ね。ならあんた達はこれから私のする事に邪魔しないで」
そう言うと再びスカイに攻撃しようとツイスターは倒れているスカイに近づていく。だが、其処にプリズムとベリィベリーとトールが立ち塞がる。
「やめてツイスター!スカイは友達でしょ!」
「幾ら攻撃されて苦しい思いをしたとはいえやり返すのは間違っている!」
「そうだ!こっちでも仲間割れをするんじゃねえ!」
更にスカイへ暴行しようとするツイスターを止めようとプリズム達は動き出す。特にトールは元の世界で似た様な事を体験している真っ最中であったので尚更彼女を止めたかったのだ。
(勘弁してくれよなぁ。あっちじゃアサヒとユキさんでこっちじゃらんこさんにソラさんってどっちも揉め事を起こして…兎に角どうにかして止めねえと!)
トールの住む元の世界でもアサヒとユキが丁度今のツイスター達の様に関係がギクシャクしている。それを思い出すとこっちではそうはさせたく無いために何とかツイスターを止めようとトールは青白のオーラを放ち力を溜める。それを見たツイスターは軽くため息を吐くと指を構える。
「はぁ…恨みがあるのはスカイだけで私はあんた達とは戦いたくないわ……だから任せたわよ」
「え、任せるっt『ランボオオオオグッ‼︎』え、うわっ!?」
「プリズ「オオオーン‼︎」うおっ!?またお前か!」
「なっ、シャララ隊長!?今貴女を相手している余裕はありません!」
ツイスターが指を鳴らすと先程まで動きを止めていたシャララボーグとワシオーンが動き出しプリズム達に襲いかかってきえ彼女達の前に立ち塞がる。
「なんで急にランボーグとワシオーンが!?2人はキメラングの言う事しか聞かない筈!」
先程までキメラングの命令で動いていたシャララボーグ達はキメラングが倒れたら動きを止めていた。だが、ツイスターが命令をした事で再び動き出したためにとある答えに辿り着く。
「やっぱりあのヘルメットの所為か!」
元のツイスターには二人への命令が出来なかったが、今のツイスターはキメラングが被っていたヘルメットを強制に装着している。そのためランボーグ達を操り、更にはツイスターを洗脳。スカイへの憎しみを増幅させたのだとトールは勘づく。
兎に角ツイスターを止めようとトールは彼女の元へ向かおうとしたかったがワシオーンの妨害によりツイスターに近づく事が出来ずにいた。
「さて、待たせたわねスカイ。覚悟はいいかしら?」
「ツイスター…」
倒れていたスカイは自身に近づくツイスターを見て痛む身体を庇いながらも立ち上がるが拳を構えようとしない。
「あら、抵抗しないの?」
「抵抗する気はありません。私は…ツイスターに大怪我をさせたんです。これから貴女のする事を気が済むまで受け入れるつもりです」
キメラングに唆されたとはいえスカイがツイスターを傷つけたのは事実である。そんなスカイの覚悟を聞いてツイスターは眉を顰める。
「気が済むまでですって?あんた…私がどれ程怒っているのかわかっているの?」
「えっ、も、勿論です。だから私はツイスターの気が済むまで嬲られる覚悟h「違うわよ。あんたこの期に及んでまだ許してもらえると思ってんの?」え?」
スカイは己の覚悟をツイスターに訴えるが彼女は苛ついた表情を見せる。
「だとしたらあんたの頭は本当におめでたいわね。これを見てまだ許されるなんて思っているの?」
するとツイスターは己の腹部を掴むとそのまま力任せに衣装を破り捨て腹部を露出させる。
「一体何を…っ!?」
突然のツイスターの奇行にスカイは驚くも露出した腹部を見て言葉が失う。其処には大きな拳型の青紫色の痣が出来ている。その痣はスカイにとって忘れられないものであった。
「そ、それは…!」
「そうよ。あんたが先程私のお腹に向かってスカイパンチした痕よ」
自身の脇腹にある青痣をスカイに見せつけるツイスター。対してスカイは先程ツイスターの腹部にスカイパンチを叩き込んだ時の事が脳裏に蘇る。ツイスターに拳を叩き込んだ時はメギメギッと骨が折れる音と感触が拳に伝わっていた。今もその時の感触が鮮明に残っておりスカイは思い出し顔を青ざめてしまう。
「本当に最悪よ。あんたの拳で肋骨が折れてそれが肺に突き刺さっちゃってさ。さっきから息苦しくて血も口から出ているのよ」
「ご、ごめんなさい…!」
脇腹を摩りながら痛がるツイスターを見てスカイは声を振るわせながらも謝罪する。
「でもまぁ仕方ないわね。私はあんたに散々馬鹿って言ってきたもの。許せないわよね。だから私怨も込めたんでしょうね」
「ち、違います!わ、私はそんなつもりじゃ…」
必死に否定するスカイ。だが、確かにこれまで
「違うって言いたいの?此処にくる前にあんたは私にこう言ったわよね?"シャララ隊長は私の事を馬鹿なんて呼びませんでした"ってね」
「そ、それは…」
その台詞はらんこと共にシャララを探していた時にソラがらんこに向けて言った台詞だ。そしてツイスターは更に喋り出す。
「その後こうも言ったわよね。"スカイランドで青の護衛隊にいた時はシャララ隊長はいつも優しく接してくれました。私がミスしたり無茶をしても馬鹿とは一度も言わず労いの言葉をかけてくれたんです。らんこさんと違って"…ってね」
「うっ…ぅぅ」
スカイが言った台詞をまるで録音機の様に一言一句間違いなく口にするツイスターにスカイは動揺していく。
「これであんたが私の事を嫌いという事は痛い程伝わったわ。まぁ、その通りになるとは思わなかったけど」
「わ、私はツイスター…いや、らんこさんが嫌いだなんて…!」
思ってないと否定しようとするスカイだが、肝心のその言葉が何故か口から出なかった。
(なんで…なんで否定が出来ないんですか!?)
言ってしまうのは簡単な筈。だがスカイは己自身否定の言葉を出せずにいた。そんな姿を見たツイスターは一瞬悲しげな表情を浮かべると直ぐに呆れる様な表情へ変わる。
「なんで否定出来ないか不思議に思っているんでしょ。それはあんたが私の事を嫌いだと認めている証拠よ」
「私は嫌いだなんt「そういえば、あんたは確か嘘を吐く事が出来ないのよね」…あっ」
嘘を吐く事が出来ない…それを指摘されたスカイは合点が言ったかのように納得の声を漏らす。否、漏らしてしまった。これまで彼女は周りからスカイランドについて隠すようにと言われてきたが、正直過ぎてあげはにバラしたりクラスメイトにもバラしかけてしまう事があった。それ故に今回もツイスターが大嫌いとまではいかないが少なからず嫌っている事をスカイ自身が証明してしまったのだ。その事に気づいてしまったスカイは辛そうに頭を抱える。
「スカイ…あんたは本当に隠し事や嘘が出来ないのね。でも、それがあんたの個性でもあるわ。恥じる事なんてないわよ」
「つ、ツイスター…」
だがつぎの瞬間表情が一変し冷酷なものへと変化する。
「でも、あんたが私の事を嫌いと思っているなら私も言わせてもらうわ」
「ま、待って!ツイスター!」
「その先を言っては駄目です!」
そこから先は何を言うのか察したウィングとバタフライはツイスターにそれ以上は言わないで欲しいと懇願するがツイスターは口を開く。
「スカイ、あんたなんて
大っ嫌いよ」
「あっ」
大っ嫌い…その言葉を聞いた瞬間、スカイは頭の中が真っ白となり足に力が抜けて地面に膝をついてしまう。更にはツイスターの言葉に精神的ショックを受けスカイの心に大きなダメージを与えてしまう。その結果スカイの意思とは関係なく変身が解けてしまった。
「変身が解けるくらいショックを受けるなんてね。全くこんな結果になる事なんてわかってた筈なのに本当にあんたは馬鹿ね」
呆れた様子で意気消沈になったソラを見つめるツイスターは片腕をソラに向けると腕に白い霧の様な物が纏わりつき螺旋状、まるでドリルの様な形へと変化すると回転する。
「なにをする気!?」
「なにって、スカイパンチをしてきた借りを返すに決まっているでしょ」
「なっ!?ソラさんはもう既に心が傷ついてますよ!いや、それ以前に生身の人間に攻撃をするつもりですか!?」
その行動はとても正気とは思えなかった。今のツイスターが丸腰のソラに攻撃なんかしたらとんでもない事になってしまう。2人はツイスターに攻撃を止める様に言うがツイスターはやめようとしない。
「これは私の絶縁状代わりよ……消えなさい」
「「ソラちゃん(さん)!」」
ウィング達の静止を聞かずツイスターはドリルの様な腕から白い竜巻が放たれ、動けないソラに向かって襲い掛かるのであった。